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81話 怖がるエルちゃん

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 ◆かえで視点





「あらあら、葵お姉ちゃんの方が先にお寝んねしちゃったね♡」
「んみゅ……あおいねーたん、かあいいね♪」
「私から見たら、エルちゃんも葵ちゃんもどちらも可愛いわよ♡」

 現在同じベッドで三姉妹仲良く横になっております。真ん中にエルちゃん、左右は私と葵ちゃんでいつもエルちゃんを挟んで寝ています。前は白猫のタマちゃんをエルちゃんが抱いて寝ていたのですが、エルちゃんの寝相が悪いので、タマちゃんはリビングの床で寝る事が最近多いですね。その時のしょんぼりとしたエルちゃんの姿がまた堪らなく可愛かったです♡ まあそれはさて置き、今日は珍しく葵ちゃんの方が先に寝てしまいました。

「エルちゃんどしたの?」
「かえでねーたん、おてておーきいの」
「あらあら♡ おててにぎにぎしたかったの? いくらでもにぎにぎしてあげるよ♡」

 エルちゃんが何と! 私の手をにぎにぎと握って来たのです! エルちゃんから見たら、私や葵ちゃんの方が圧倒的に大きいのでそれは仕方の無い事です。でも、エルちゃんは本当に甘えん坊さんですね♡ しかも、私と結婚するとか言っちゃって♡ もう内心ニヤニヤが止まりません! 素直で良い子で、天然の入ったエルちゃん♡ 気付けば、エルちゃんの小さな身体を強く抱きしめていました。 

「ぐぬぬ……」
「あぁ、エルちゃんごめんね。思わず強く抱いちゃった♡ お姉ちゃんエルちゃんの事大好きだよ♡」
「んみゅ! ボクもだいしゅき!」
「ディフフ♡ もう♡ この子ったら♡ ん? 雨降って来たのかな?」

 先程まで静寂が支配しておりましたが、ザーザーと突然大雨が降って来ました。予報では雨だったのかしら?

「んぅ?」
「雨が沢山降って来たね」
「アメ……!?」
「エルちゃんが思ってるのとは恐らく違うよ。甘い食べ物じゃなくて、空からお水が沢山降って来るのが雨だよ♪」

 エルちゃんは段々と大きくなる雨音が怖いのか、プルプルと震えています。そして次の瞬間、外で大きな雷の音まで聞こえて来ました。どうやら近くに落ちたみたいですね。

「んみゃ……!? て、てきしゅうか……!?」
「ちょっ!? エルちゃん落ち着いて!」

 思わずクスクスと笑ってしまいました。エルちゃんは敵襲と言う言葉をいつの間に覚えたのでしょうか。ベッドの上で慌てふためくエルちゃんが、面白くてとても可愛いです♡ 思わず意地悪したくなってしまいますね♡

「んんっ……どしたの?」
「あ、あおいねーたん! て、てきしゅうなの! たいへんなの! ちんじゃうよ!」
「え、えと……敵襲? え? どゆこと?」

 エルちゃんが寝惚けている葵ちゃんの身体をユサユサと揺らしながら、必死な様子で敵襲だと叫んでいます。もう腹筋が崩壊しそうです! エルちゃんは雷と言う現象を知らないのかもしれませんね。

「ヒィイイイイ……!?」
「きゃああああ……!?」
「2人共落ち着いて! 怖くないからね?」

 そうだった……葵ちゃんも雷が苦手なの忘れていました。エルちゃんと葵ちゃんが、お互い抱き着きながら血相を変えて慌てております。ここは三姉妹の長女として、しっかりと妹達のケアをしてあげないと行けませんね。

「ふぇえええぇぇぇんんんん……!!」
「楓お姉ちゃん!」
「2人共大丈夫だから……よしよし♡」

 エルちゃんも可愛いけど、やはり葵ちゃんも可愛いな♡ エルちゃんに関しては恐怖が限界突破したのかもう大泣きです。葵ちゃんは涙目になりながら私に抱き着いて怯えています。こればかりは雷に感謝ですね♡ 雷さん、ありがとう♪ こうして葵ちゃんも抱き着いて来てくれるなら、毎日雷鳴っても満更でもないかもしれません。今、この瞬間お姉ちゃんとしての喜びを感じています♡ 

「あらあら♡ お姉ちゃんが傍についてるから何も怖くないよ~♪」
「ふぇえええんんん……! もう、おちまいだ……!」
「くすくす♪ エルちゃん大丈夫だから♡ ね? お姉ちゃんとピッタンコして寝んねすれば怖くないよ?」
「ぐすんっ……しゃいごにプリンたべたかった」
「まさかの遺言!? エルちゃん、お姉ちゃんが付いてるから♡ だから安心して♪」

 エルちゃんの震える小さな身体を優しく抱きしめながらあやしていると、葵ちゃんも私の身体にピタッと抱き着いて来ました♪

「うふふ♡ 葵ちゃん覚えてる? 子供の頃も良くこうして一緒に寝たよね♪」
「うん……お姉ちゃんとこうして居ると落ち着くもん……」
「今日は2人共私に甘えて良いんだからね♪ いいえ、365日、毎日甘えてもいいからね! 私達は磁石で例えるとS極とN極よ! 永遠に引っ付く運命なの♡ 運命の赤い鋼鉄の糸で結ばれてるの♡」
「何故例えが磁石なの……それに運命の赤い鋼鉄の糸とは……」

 少し落ち着いて来た葵ちゃんは、エルちゃんの頭を優しく撫で撫でしながら、背中をトントンっとしてあやし始めました。私と葵ちゃんの2人係で、我が家の幼いお姫様……可愛いエルちゃんをあやしています♪

「エルちゃん、あれは雷と言う現象なの」
「んぅ? かみゅなり?」
「うん、お空の上に雷神らいじん様が居てね~悪い子には雷を落として、ビリビリさせてからおへそを取ってしまうの。でも、良い子で素直な子には何も無いから大丈夫だよ♪」
「んみゅ……ごくりっ」
「ん? どしたのエルちゃん?」

 何やらエルちゃんが冷や汗をかきながらソワソワとしています。そんな可愛い仕草をして、私を誘っていると言うのかしら? ぺろぺろして押し倒したいくらいに可愛いです♡

「かえでねーたん、ごめんなちゃい……ボク、こっそりプリンたべようとちてたの……」
「え、明日食べれるのに? 今すぐ食べたかったの?」
「んみゅ……ごめんなしゃい……ボクわるいこ? ビリビリちない?」
「よしよし♡ エルちゃんは素直で良い子でちゅよ~♡ 大丈夫♡ でも、プリンは明日ね♪ もう歯磨きしちゃったし」

 エルちゃんは相変わらずの食いしん坊さんです♡ 食いしん坊ロリエルフです♪


「ズゴゴゴゴンンンンンッッッッ…………!!!!」


 また大きな雷が落ちたみたいですね。今度は葵ちゃんが、私の身体に顔を埋めてしまいました。エルちゃんの方は……

「あぅ……ぐすんっ……おちっこ、もらしちゃった」

 エルちゃんがリンゴのように顔を真っ赤にさせています。その姿を見た瞬間、私の心拍数は限界突破をいよいよ迎えようとしています。鼓動が早くなり、思わず涎が出そうでした。この気持ちは何でしょうか……最近エルちゃんを見てると意地悪したくなる欲求や愛であげたい欲求等が増してくるのです! 

「あらあら♡ エルちゃんお漏らししちゃったの?」
「うぅ……すこしだけなの……ちょっとだけなの!」
「うふふ♡ じゃあ、オムツ替えましょうね~」
「んん! ボクひとりで、できゆもん!」
「恥ずかしがらなくても大丈夫だよ♡ はい、脱ぎ脱ぎしましょうね~葵ちゃん、エルちゃんをちょっと押さえてて」
「了解~エルちゃん、大人しくしないとこちょこちょするからね?」

 顔を赤くしながら暴れるエルちゃん。最後までエルちゃんは抵抗を試みて居ましたが、エルちゃんの力は弱いので結局私と葵ちゃんの手によって、エルちゃんはされるがままの状態です。

「女の子同士何だから、見られても大丈夫だよ♡」
「やっ! ボクひとりで、できゆ! ボクはちんちだもん!」
「え? ち〇ち〇?」
「ちがうの! ちんち!」
「はいはい♪ エルちゃんは立派な紳士だから、大人しくしててね♪ もうすぐ終わるからね~」

 エルちゃんには、申し訳無いけどまだパンツは早いかもしれませんね。しばらくオムツで様子見です♪ 

「うぅっ……ぐすんっ」
「よしよし♡ もぉ♡ エルちゃんはまだまだ赤ちゃんでちゅね~♡ 泣き虫ちゃんだね~♡ ばぶばふ~♡ 頬っぺたつんつん♪」

 堪らん……もう癖になりそうです! エルちゃんの頬っぺたは相変わらず触り心地が素晴らしいです♡

「ムニムニ~♡ 天然の赤ちゃん肌だね~♪」
「エルちゃん本当に可愛なぁ♪」
「むむっ……」
「くすくす♪」

 エルちゃんは可愛いの塊で、何をしてもエルちゃんは、可愛いと尊いの暴風雨を巻き起こす様な魅力ある女の子です♪ エルちゃんが格好付けたとしても、無理に大人の真似をする背伸をした幼女にしか見えません。結論、可愛い♡

「もういいもん! ボクひとりで寝りゅ!」
「あらまぁ♡ 拗ねるエルちゃんも超絶可愛いわね♡」
「すねてにゃい……あぅ……」
「にゃい?」
「…………」

 するとエルちゃんは顔を赤らめながら枕を持って、トコトコと寝室から出て行ってしまいました。別室で寝ようとしているのかな? まあ、あえて私はエルちゃんを追いかけるような真似はしません。それは何故かと言うと……

「葵ちゃん、少し待ってようか」
「うん♪ 今回はどれくらい持つのかな?」
「5分くらいかな?」

 寂しがり屋で甘えん坊さんのエルちゃんの事です。きっと直ぐに戻って来るでしょう♪ 

「…………」
「うふふ……♡ あらあら、もう戻って来たのでちゅか?」
「あれれ~? エルちゃん、1人で寝るんじゃなかったの~?」

 エルちゃんが枕を両手で抱きしめながら、半分顔を埋めながらトコトコと寝室のベッドの所へと戻って来ました。エルちゃんの長いお耳がピクピクと動いています。エルちゃは本当に分かりやすい子ですね♡

「エルちゃんおいで♪ そんな泣かなくても良いのに~」
「うぅっ……やっぱりさびちいの……まっくらなの」

 葵ちゃんが涙目のエルちゃんを優しく抱っこして、大丈夫だからね~と言いながら宥めております。妹が妹をあやしている光景が尊すぎて、白飯が10杯食えそうです♪ そして、私はエルちゃんと葵ちゃんを抱きしめて眠りに着きました。





 ――――――深夜――――――





「――――――!! か―――ねーたん!」
「んんっ……」

 何だか身体が揺さぶられているような感覚です。これは夢なのかな?

「かえでねーたん! あおいねーたん!」
「んん? あらあら、エルちゃん目が覚めちゃったの?」
「んみゅ! ちたがさわがしいの!」
「下? 一階の事?」

 確かに……耳を澄ませて、集中すると何かの物音がしますね。そして、エルちゃんの声で葵ちゃんも真夜中に目が覚めてしまいました。

「どしたの?」
「葵ちゃん、何やら一階で何やら物音がするのよ。ちょっと私が様子見てくるよ」
「え? 物音? もしかして不審者?」
「分からないわ。一応スタンガンを持って行きましょうか」

 ここは三姉妹の長女として、私が先陣を切りましょう。念の為、護身用に買っておいたスタンガンとテーザー銃も持って行きます。

「エルちゃんはここで待っててね。直ぐに戻って来るから」
「やっ! ボクもいく!」
「はぅ……♡」

 エルちゃんが私の体にピタッと抱き着いて来ました。こういう時のエルちゃんは、きっと意地でも付いてくるでしょう。

「ボクにまかちて!」
「え、エルちゃん? そのおもちゃ持ってどうするの?」
「これでやっちゅけるの!」

 エルちゃんは、魔法少女☆みくるちゃんのおもちゃの杖を持って寝室を後にしました。
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