上 下
78 / 84

第2章 78話 成長したエルちゃん

しおりを挟む
 



 ◆かえで視点




「へくち……! 外は冷えるわね、そろそろお家に入ろうかしらね」


 我が家にエルちゃんを迎えてから、もう半年が経過しようとしています。あれから、エルちゃんも少しずつ成長をして、今では拙いながらも何と言葉を喋る事が出来るのです! エルちゃんはただでさえ天使の様に可愛いのに、最近ではその可愛さに更に磨きが掛かりました。

「んぅ? かえでねーたん、らいじょうぶ?」
「うふふ♡ 大丈夫でちゅよ~そろそろお家の中に入りましょうか♪」
「んみゅ!」

 今日はエルちゃんと2人で、我が家のお庭でボール遊びをしておりました。季節も12月に入り、外の風も冷たく暖かい格好をしないと過ごせない時期となりました。

「エルちゃん、ボール遊び楽しかった?」
「んみゅ! たのちかったの!」
「あらあら、エルちゃんは元気でちゅね~♡ よし。お姉ちゃんが高い高いしてあげるね♡」
「わ~い♡」

 そう、この時私はエルちゃんを高い高いをして上げるために抱っこしたのですが、体勢が悪かったのか腰を思い切りやらかしてしまったのです! 

「うぐっ……!?」
「んぅ? かえでねーたん?」
「はひっ……え、エルちゃん……動かないでそのままにしてて……」

 こ、これは……もしかしてぎっくり腰? まだ私は23歳よ? ぎっくり腰って、若くしてなるものなのかしら? でも、腰に迸る電流が全身に駆け巡るような猛烈な痛み。これはかつて経験のした事の無い痛みだわね。涙が出そう……と言うかもう出てる。

「かえでねーたん!?」
「え、エルちゃん……ごめんね。ちょっと葵お姉ちゃんを呼んで来てくれるかな?」
「あい!」

 エルちゃんはトコトコと玄関の方へと向かい、葵ちゃんのを呼びに行ってくれました。私はあまりの痛みにその場で固まることしか出来ません。まさか、こんな事になるとは微塵も思って無かった……とほほ。

「ちょっ!? お姉ちゃん大丈夫!?」
「あ、葵ちゃん……私、もう駄目かも」
「お姉ちゃん落ち着いて、流石に外は冷えるから、リビングまで頑張って動ける?」
「うん……」

 私は葵ちゃんに肩を貸して貰いながら、痛みと格闘をしつつ何とかリビングの方へと辿り着きました。道中エルちゃんが泣きそうな顔をしながら、私の後ろを着いて来ていました。

「お姉ちゃん、何か重い物でも持ったりした?」
「いいえ、エルちゃんを抱っこして高い高いして遊んで上げようと思っただけなの……」
「もう、お姉ちゃんったら。今日はソファで安静にして横になってて。私が今から薬と湿布を買いに行くから」

 本当に情けないお姉ちゃんで、ごめんなさい。とりあえずエルちゃんがさっきから泣きそうな顔をしてるので、大丈夫だと言って落ち着かせてあげましょう。

「ぐすんっ……かえでねーたん、ちんじゃうの?」
「よしよし♡ 大丈夫だよ♪ 少し腰を痛めちゃっただけだから」
「ボクがなでなでしゅれば、なおりゅ?」
「はうっ……♡」

 何故かエルちゃんは、自分自身の事をボクと言うのです。僕と言う言葉を教えた事はありませんが、気付けば一人称が僕になって居たのです。金髪ロリエルフで、ボクっ娘……エルちゃんが、私の性癖を更にねじ曲げようとしています! 

 腰の痛みよりも前に、エルちゃんの可愛いさにやられて天に召されてしまいそうです! あら? もしかして、あそこに見えるのが三途の川なのかしら?

「かえでねーたん……これあげゆ!」
「え、これはエルちゃんが楽しみに取ってたおやつじゃ……」
「んみゅ!」

 エルちゃんがポケットから、ぺろぺろキャンディーのエナジードリンク味を取り出して私にくれると言うのです。お菓子を食べたら治る訳では無いですが、エルちゃんの好意を無下にする事は出来ません!

「エルちゃん、ありがとね♡ 今、葵お姉ちゃんが、お薬を買いに行ってくれてるから大丈夫だよ♪」
「んぅ……よちよち♪」
「はぅ……♡ エルちゃん、いきなりどうしたの?」
「いたいのいたいの~とんでぇけ!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?」
「かえでねーたん!?」

 もう今すぐに抱きしめてあげたい! 本当にエルちゃんは私達の心を揺さぶるのが本当に上手です。私の腰が元気であれば、今頃エルちゃんを押し倒して、ムギュっとして、チュッチュしてあげる所でしたよ! 

 ですが、このままでは葵ちゃんが薬を買って帰宅する前に、エルちゃんの可愛いさにやられて、私が天に召される方が先かもしれません。これは由々しき事態です。しかも、舌っ足らずで喋るエルちゃんがとても愛らしくて、思わず漏らしてしまいそうです! 

「エルちゃん、お姉ちゃんは大丈夫だからあっちで遊んでて良いんだよ?」
「やっ! かえでねーたんが、さびちそうだからボクがいっちょにいるもん!」
「うふふ……♡」

 本当にエルちゃんは成長しましたね。まだまだこれから覚える事は沢山ありますが、出会った当初の事を思えば天と地の差です。沢山苦労はありましたけど、これからもエルちゃんにお勉強を根気よく教えて行きつつも、時期がくれば幼稚園に入園させようとも思っています。

「本当はエルちゃんが、甘えたいだけ何じゃないの~?」
「ち、ちがうもん! しょんなことないもん!」
「じゃあ、お姉ちゃんと今日から夜は別々のお部屋で寝る?」
「ふぇ? なんでしょんなこというの……ぐすんっ」
「あぁ! ごめんごめん! 今のはお姉ちゃんが意地悪しちゃったね♡ お姉ちゃんはエルちゃんの事が大好きだから一緒に寝たいよ♡」
「んみゅ!」

 近頃はエルちゃんが更に甘えん坊さんになってしまいましたね。私や葵ちゃんにそらべったりですよ~でも、私に甘える方が頻度は多いような気がしますね。嬉しい限りです♡

「エルちゃん、お姉ちゃんの所においで~」
「あい!」
「ディフフ♡ エルちゃんは素直で良い子でちゅね~良い子にはお姉ちゃんが腕枕してあげるよ~」

 エルちゃんは喜んで私の横へと寝転がって、身体をスリスリと擦り付けるように甘えて来ました♡ 葵ちゃんが帰ってくるまで、エルちゃんと他愛ないお話をしながら時間を潰しましょう♪

「エルちゃん、来月クリスマスだね♪」
「んぅ? くりしゅます?」
「まあ、簡単に言うと良い子にしてる子は、サンタさんが欲しい物をプレゼントしてくれるんだよ♪」
「ちゃんたさん?」
「うふふ♡ サンタさんね♪」

 もう可愛いしゅぎる! エルちゃんもうやめて! 私の体力は最早ゼロだよ! あ、大人しくしとかないと腰が悪化しちゃう……

「クリスマスの日はご馳走とケーキが食べれる日何だよ♪」
「むむ!? けーき!」
「ちょっと、エルちゃん落ち着いて!?」

 エルちゃんが目をキラキラと輝かせています。本当に食べ物の事になるとエルちゃんは嬉しそうに喜びますね♡

「エルちゃんも日頃良い子にしてるし、今まで勉強も頑張って来たから、きっとサンタさんがプレゼントをくれるよ♪」
「しょうなの? ボクえらい?」
「うんうん♪ 良い子ですよ~♡」

 クリスマス当日は、豪華なご飯を用意して大きなケーキも準備しよう♪ エルちゃんが目を輝かせるような凄いクリスマスにするんだからぁ♪ あ、ボンキホーテでクリスマスのコスプレ衣装も買って置かないと行けないわね。楓サンタがエルちゃんが寝ている間にプレゼントを渡すの♪ 今から想像するだけで楽しみね♪

「エルちゃんは何か欲しい物あるのかな?」
「ん~かえでねーたん!」
「え? 私? いつも一緒に居るのに?」
「ボクね! かえでねーたんとけっこんしゅるの!」
「あらまぁ♡ お姉ちゃんと結婚だなんて♪」

 エルちゃんにこんなに好かれて、私は幸せものですよ♡ 女の子同士で、もし結婚出来るならですけどね♪ まあ、エルちゃんはきっと家族として、私の事が好きだと言いたいだけでしょうけどね♪

「かえでねーたん、だいしゅき♡」
「ええ~お姉ちゃんは他に好きな人が居るんだけどなぁ~」
「ふぇ!? そんなのや! かえでねーたんは、わたしゃないもん!」

 まあ、嘘ですけどね♪ だって、素直で純粋なエルちゃんを弄るのが可愛くて面白いんだもん♡ 頬っぺたをリスのように膨らませているエルちゃんが可愛いです♡

「うふふ……嘘だから心配しないで♪」
「もう! いじわるはメッなの! うしょつきは……えと……んと……わすれちゃった」
「嘘つきは泥棒の始まり、と言いたかったのかな?」
「んみゅ! しょうなの!」

 我が家の天使ちゃんは今日も可愛いです♡
    
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

神様のミスで女に転生したようです

結城はる
ファンタジー
 34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。  いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。  目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。  美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい  死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。  気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。  ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。  え……。  神様、私女になってるんですけどーーーー!!!  小説家になろうでも掲載しています。  URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

処理中です...