50 / 84
50話 エルちゃんの小さな冒険
しおりを挟む◆葵視点
エルちゃん.......お姉ちゃんの事が本当に大好き何だね。玄関の扉の前に座りながら、健気に楓お姉ちゃんの帰りを待ってるよ.......まるで飼い主の帰りを待つ子犬のように。
「エルちゃん、心配しなくてもお姉ちゃん夕方にはちゃんと帰って来るから大丈夫だよ」
「うぅ.......」
「よしよし♪ もう、泣き虫さんですね~」
あぁ.......可愛い♡ エルちゃんを抱っこして私はリビングへと向かいました。朝ごはんを一緒に食べたら、エルちゃんと一緒にもう一眠りしようかと思います。エルちゃんも目をゴシゴシと擦っていたので、まだお眠のようですね。
「ぐすんっ.......あおいねーたん!」
「あらあら、甘えん坊さんでちゅね~♪ お姉ちゃんが仕事の間は、私に沢山甘えてね♡」
小さい子は人肌が寂しいお年頃です。ちゃんと愛情を持って接しないとね。もし、将来エルちゃんがグレてヤンキーにでもなってしまったら私達が困ります。
(エルちゃんにもいつか反抗期が来るのかな.......?)
もし、エルちゃんにうるせぇババア!とか将来言われでもしたら.......私ショックで寝込んでしまうかもしれません。
いえ、純粋なエルちゃんならきっと大丈夫。エルちゃんがそうならない為にも常日頃から、優しく接する様に心掛けよう。でも、もし悪い事をしたらそこはちゃんと怒りますけどね。エルちゃんのお姉ちゃんとして、私がしっかりしなくては.......楓お姉ちゃんはエルちゃんの前だともうデレデレなので駄目です。
・・・一ノ瀬家 リビング・・・
「よいしょっ。エルちゃん朝ごはん一緒に食べましょうね~今日は食パンだよ」
「んぅ.......? ――――――?」
エルちゃんが首を傾げながら、上目遣いで私を見つめています。
「エルちゃん.......」
誰か助けて下さい! 私の妹が可愛すぎて、私おかしくなりそうです! うっ.......胸が苦しい.......今ならお姉ちゃんも居ないから、少しばかりイチャイチャしても大丈夫だよね? ご飯食べたら私のお腹の上にエルちゃん乗せて二度寝しちゃお♡
「うふふ.......エルちゃん多分気に入ると思う。じゃじゃーん! 苺ジャムだよ!」
「――――――? チャム?」
「惜しいなぁ、ジャムだよ♪ これはパンに塗って食べるんだよ」
エルちゃんが物珍しそうにジャムを見ていますね。小さなおててでジャムを持ち、クンクンと匂いを嗅いでいます。私は食パンにジャムを塗ってからエルちゃんに渡しました。
エルちゃんの座る場所は勿論、私の膝の上です。いつもはお姉ちゃんにエルちゃんを取られてしまうので、居ない時は私がこうしてエルちゃんの温もりを.......ディフフ
「エルちゃんこのジャムを食パンに付けるんだよ。はい、どうぞ♪」
「..............」
「大丈夫だよ、毒なんて入ってないから♪ はい、あ~んして♡」
エルちゃんは小さなお口でパクリと食パンを食べた直後、目を大きく見開いてからもぐもぐと食パンを食べ始めました。エルちゃんは何でも美味しそうに食べるので、見ているこちらも癒されます♪ 別の意味で私も満たされてしまいますよ♡
私の膝の上に小さな天使ちゃんがご飯食べてるよ♡ クンクン.......良い匂いがしますね♪ 綺麗なサラサラな金色の艶のある髪の毛。触り心地も最高ですね~肌もモチモチしてプルンとしてます。小さなおてて、小柄な抱きやすい身体。今ならエルちゃんは、食パンを食べるのに集中しているのでお触りし放題です!
「ぐふふ.......」
「んぅ.......?」
「何でも無いよぉ~♡」
エルちゃんと二度寝してから今日は何しようかな~何かお姉ちゃんらしい事をしてあげようかな。よし、寝て起きてから考えよう♪
「ピコーン!」
あら? 誰だろう? メッセージが2件来てますね。
「二宮マッマ.......そうえば今週土曜日に家に来るんだった。それと、もう一件は.......げっ!? 真由美じゃん!」
真由美は私と同じVTuberの一人で、私より2つ上の先輩です。真由美はお姉さん系路線で、名前は夢見アスカと言うキャラクターで、世の中の男性にママと言われ絶大な人気を誇っています。
ただ.......真由美は美人な人だけど、お姉ちゃんと同じ可愛い物が大好きな変態です。しかも、今週土曜日に遊びに行くねと連絡が来てます。まだ良いとも返信もしてないのに気が早いですね。
(まあ、一人増えた所であんまり変わらないか)
二宮マッマだけでも変態で大変なのに.......違う路線の変態がまた一人増えてしまいました。楓お姉ちゃんは賑やかで良いじゃない♪とか言うと思うけど、毎回誰かしら来る度私が餌食になるのですよ! 例えるならサンドイッチですね。具材が私で外側のパンが変態2人です。私やお姉ちゃんの周りには、美人な人が多いけど一癖も二癖もあるプロの変態さん達が多数居ます。
(まあ、うちにはエルちゃんと言う可愛いさの原発が常時稼働して居るから、今回は大丈夫かな?)
エルちゃんには申し訳無いけど、私にあの二人を止めれる自信はありません.......二宮マッマはエルちゃんに凄く会いたがってたし。真由美も恐らくエルちゃんに目を付けるでしょう。
「またその時考えよ。あら? エルちゃんもう食べたの?」
「――――――♪」
「あらあら、お口にジャム付いてるよ? お姉ちゃんがふきふきしてあげる」
うふふ.......何だか私の中の母性が覚醒してしまいそうです。これがお姉ちゃんになると言う事なのかな? 妹の面倒を見て、一緒に遊んであげたりお昼寝したりと。
「あ、そうだ。エルちゃんそろそろオムツ替えようか」
「んにゅ?」
私はエルちゃんを抱っこしてソファに移動します。エルちゃんを横に寝かせて、オムツを取り替えてあげました。
「――――――!?」
「暴れたら駄目だよ~すぐ終わるから」
「――――――!」
「しょうがないなぁ.......秘技! こしょぐり攻撃♡」
「―――――――――!? ――――――! ――――――!!!」
エルちゃんがキャッキャと笑いながら悶えております。あぁ、癖になりそうです。これでエルちゃんを疲れさせてから、オムツを取り替えてあげましょう。
・・・10分後・・・
やばい、やり過ぎちゃった。何とかオムツを取り替える事に成功したのは良かったのですが、エルちゃんがソファの上でダウンしています。
「エルちゃんごめんね、そろそろお姉ちゃんと一眠りしよっか♪」
頭の下にクッションを敷いて、エルちゃんを私のお腹の上に乗せたら完璧です! これが噂の妹抱き枕と言うやつですね♪ 抱き心地が最高過ぎて、もう離したくありません!
「ムギュっ♡ エルちゃんムギュっ.......!」
「ぐぬぬ.......!?」
「もう! エルちゃんは何でそんなに可愛いの? お姉ちゃんを困らせてそんなに楽しいの? チュッ♡ あ、もう1回しとこ♪」
顔を赤くしちゃって可愛いですね♪ 朝の何気無いエルちゃんとのコミュニケーションです。イチャイチャしてたら、私も眠くなって来ました。
そして気付けば、私はエルちゃんを抱きながら夢の世界へと旅立って行くのでした。
◆エルちゃん視点
「ぐぬぬ.......!?」
「すぅ.......すぅ.......」
これでは僕が完全に抱き枕では.......
良い匂いがする.......女の人は何でこんなにも良い匂いがするのだろうか.......お姉さんの友達の人もお姉さん達とは違った良い匂いがしました。でも、貧乳でしたけど。
あおいねーたんの柔らかい大きな胸を枕にして、僕は現在お姉さんの上に横たわっています。あおいねーたんは気持ち良さそうにスヤスヤと僕を抱きながら眠っていますね。
―――――――――――――――
あれから何時間が経過したのでしょうか? 抱かれるのは好きなので問題は無いのですが、何故だか中々眠れません。
「うぅ.......かえでねーたん。まだ帰ってこないの」
もしかして、昨日内緒でおかちを僕が食べたせいで怒って出て行っちゃたのかな.......? あのおかちは、お姉さんの分だったのかな.......
「はわわぁ.......ど、どうしよう!?」
内心不安な気持ちでいっぱいになって来ました。今直ぐにかえでねーたんにおかちを食べた事を謝りに行こう! 我慢出来ずに食べちゃった僕が悪いのです。
僕は早速行動に移しました。寝ているあおいねーたんを起こさない様にそっと腕から抜け出します。
「このモフモフの服装だけど、まあいいや」
僕は早速靴の置いてある玄関へと向かいました。持ち物はお姉さんから貰った熊さんの小さなバッグと伝説の杖に僕が拾ったレンブラント鉱石のみです。この僕の宝物.......拾った物だけどお姉さんにプレゼントしよう。
「よし、行くぞ! 確かここを回すと扉が開く筈.......お! 開いたぞ!」
僕は背伸びをしながら大きな扉の鍵を開けて外へと出ました! 外は快晴で青空が何処までも広がっています。早くお姉さんを探しに行かなければ.......
「まずはこの間行った、ゴリラウダーが出現した場所に行ってみよう」
僕が道の隅っこをしばらく歩いていると前方から冒険者らしき人を発見しました。僕は通りすがりにニッコリと会釈をしてから横を通り過ぎました。何か驚いたような表情をしてましたね。
「それにしても凄い人だったな.......あの男の人はテイマーの方なのだろうか」
背の高い男の人が大きな魔物を連れていたのです! 魔物の首に紐を繋いで堂々と歩く姿は、まさに歴戦の猛者。そんなオーラが漂っておりました。さっきの魔物は、危険指定難易度A級の【ハウンド・ドッグ】ではなかろうか。(※男の飼い主が柴犬の散歩をしているだけです)
「この場所は凄い人達が多いのかな? お金持ちの人が多そうです.......やばい、何か場違い感が.......」
◆とある女子大生 優花視点
快晴の青空の下、閑静な住宅街にとある2人の女子大生が歩きながら喋っていた。
「真奈~今日どうする?」
「今日は大学の講義もお休みだから、一日カラオケで歌わない? 優花も歌うの好きでしょ?」
「お! 良いねそれ! 行こ行こ♪ あれ?」
私達の前に愛らしい金髪の小さな女の子がおもちゃの杖を持ちながら、こちらに向かって歩いて来ます。あれは、エルフのコスプレをしてるのかな? モフモフの兎さんのパジャマも着て可愛いです♡
「あらあらぁ、可愛いらしいお嬢ちゃんだね♪ パパとママは?」
「――――――?」
「え、日本語が通じない.......どうしよう」
このままこの子を一人にさせる訳には行きませんね。小さい子が一人で外を出歩くのは危険です! 今頃親御さんも心配してこの子を探しているかもしれません。
「真奈」
「ええ、分かってるわよ」
私と真奈でこの子の親御さんを探してあげることに決めました!
10
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
さくらと遥香
youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。
さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。
◆あらすじ
さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。
さくらは"さくちゃん"、
遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。
同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。
ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。
同期、仲間、戦友、コンビ。
2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。
そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。
イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。
配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。
さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。
2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。
遥香の力になりたいさくらは、
「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」
と申し出る。
そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて…
◆章構成と主な展開
・46時間TV編[完結]
(初キス、告白、両想い)
・付き合い始めた2人編[完結]
(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
・かっきー1st写真集編[完結]
(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
・飛鳥さん卒コン編[完結]
(大好きな先輩に2人の関係を伝える)
・さくら1st写真集編[完結]
(お風呂で♡♡)
・Wセンター編[完結]
(支え合う2人)
※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる