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星くずを集めたり、探したりする天使たちを知ってる?
しおりを挟む初めまして、キミ。
私は天使のミューズだよ。
キミには、私の声が聞こえているわよね?
姿は見えないの?
......そう、残念だわ。
私はね、キミたち子どもよりも、小さいの。
私の瞳は星くず色で、髪は天の川のような銀色なのよ。
自慢はね、背中に生えた白い羽。
これがあれば、どこへだって飛んでいけるから、便利でしょ?
......ん? なぁに?
どうして私が、キミに話かけてるのかって?
だってキミが、悲しそうに泣いているから。
だって私は、キミの専属の天使だから。
知らないの?
キミたち人間にはね、みんな誰でも、私のような天使が一人、くっついているんだよ。
なぜかって?
それはね、人間から出てくる星くずを拾い集めているからなのよ。
星くずって言ってもね、お空にまたたいているお星さまとは違うのよ。
キミたちの目には見えない、透明な星くずなの。
だけど、私たち天使には、星くずの色が見えてるの。
今、泣いてるキミからは、たくさんの水色の星くずを拾ったよ。
この魔法の袋にたくさん集めることができたわ。
これをどうするのかって?
これはね、キミの涙の原因になった、ママのところに届けるの。
ママのところにいる天使にね、じじょうを話して届けるの。
そしたらね、ママ専属の天使が集めた星くずを出してくれるから。
多分、あちらには、ピンク色の星くずが入っているはずなのよ。
キミのママは、キミを愛しているはずだから、きっと愛情のピンク色の星くずがあると思うのよ。
それがあったら、キミの水色の星くずと、ママのピンク色の星くずを混ぜて虹に変えるのよ。
うまく虹ができたら、幸せの出来上がり。
明日にはキミとママは仲直りして、ニコニコ笑顔の出来上がり。
......ん? どうしたの?
そんな、心配そうな顔をして?
ピンク色の星くずが、ママのところになかったらって?
......きっとあると思うけど、もしも、なかったとしても心配しないで。
私たち天使はね、自分の守っている人間が、笑顔になれるようにお仕事をしているの。
だから、ママのところになかったら、キミに合う星くずを持ってる誰かを探しに行くわ。
時間がかかることもあるけれど、一生懸命探してるから。
きっと、見つけてみせるから。
だから、もう泣かないで。
キミは一人ぼっちなんかじゃないよ。
これからキミが大人になるまでに、たくさんの辛いことや悲しいことがあるかもしれない。
そんな時は、私、ミューズを思い出して。
キミから出てくるどんな色の星くずも集めて、キミにぴったりな星くずを見つけてきてあげる。
キミがいつも笑顔でいられるように。
キミがいつも幸せでいられるように。
私のお仕事のご褒美はね、キミの星くずで作られるきれいな虹を見ることなの。
幸福の虹を見ることができていれば、私は生きていられるの。
だけどキミが泣いてばかりで、仕事が忙しすぎたら、だんだん私も悲しくなって、虹を作るお仕事が捗らなくなってしまうのよ。
だからキミも、私のために、できるだけ元気でいられるように頑張って。
元気でいるには、キミがキミを好きでいること。
そして、キミ以外のいろんなものを好きになること。
だけど、好きになれないものがあってもいいよ。
好きになれなかったからといって、キミを嫌いになってはいけないよ。
難しいかもしれないけれど、今はそんな言葉だけ、覚えていてね。
そのうちわかるようになるからね。
私はミューズ。
キミの天使。
私は、キミを守ってる。
キミは、私を守ってる。
大好きだよ。
大好きだよ。
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