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俺はもう、この人しか愛せない〜セディ視点
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「お願いです!セドリック様。このままではうちの家は没落してしまいます。わたくし、平民になるなど、とても耐えられません。だからあなたのお嫁さんにしてくださいまし。あの家にいる限り、また父がギャンブルで借金を作って同じ目に遭いますわ。あなたしか、頼れる男性はいないのです。どうか、またわたくしと付き合ってくださいませ」
俺は彼女の言葉を聞きながら、2年前の自分の愚かさを痛感していた。
青い顔をしながらも、俺と一緒にデートしてくれ、ハンカチで口を押さえながら俺と会話してくれた彼女を健気だと思ったのだ。家のためとはいえ、俺を拒まずいてくれたから、いつかは俺の内面に目を向けてくれ、容姿にも慣れて好きになってくれるかもしれない、と必死で彼女に尽くした俺は本当にバカだった。
彼女は最初から、俺の内面など見ようとはしていなかった。
彼女が我慢してでも手に入れたかったのは、公爵家の妻という立場だ。
俺が後継を辞退した途端、彼女はその場で俺から去っていくことだろう。
そう思った時、ふと、ゆいのことが頭に浮かんだ。
ゆいは?ゆいはどうだろう......。
俺がもし、公爵家の後継でもなく、騎士団の副団長でもなくなったら......。
俺は、俺という一人の人間として、ゆいに好きになってもらえているのだろうか......。
俺が思考に耽って返事が遅れたせいで、クレアは勘違いをしたみたいだ。
「セドリック様、私をお疑いなのですね?では、私に口づけをなさってください。私はもう、絶対に吐いたりしません。我慢してみせますわ!」
「クレア、生理的に受け付けないものは、何年経ってもきっと無理だと思いますよ。だから俺たちは別れたのでしたよね?それに、俺には今、好きな女性がいるのです。だから、申し訳ありませんが、他を当たってくれませんか」
俺がそういうと、彼女は涙を流して言う。
「私のような醜女を、貰ってくれる男性は他にはいませんもの!あなただって、いくら好きな女性がいたって、その女性が本心から好きになってくれるなんて思ってはいないでしょう?結婚できたとしても、それはきっと形だけで、指一本触れさせてはくれませんわよ?そんな女性と結婚するよりも、私なら、あなたの好きにさせて差し上げますわ。きっと耐えきってみせますから!」
俺は彼女の言葉に、随分酷いこと言うなあ......、と第三者のような気持ちで聞いていた。
傷つくと言うより、この女性に半年間も入れ込んだ、昔の俺がバカみたいで可笑しかった。
「さあ、セドリック様、わたくしに口づけをしてくださいませ」
クレアはそう言って、俺ににじり寄ってきた。
俺はそれに合わせて後退する。
「~~~もうガマンできないです!!」
近くの茂みの中からゆいが飛び出して来た。
「ゆ、ゆい?!」
俺が驚いていると、ゆいはスカートをはためかせながら一直線に俺に向かって駆けて来た。
両手を俺に向けて伸ばしている。
思わずそれに反応して、俺は両手を広げ、しゃがんだ。
ぽすん。
ゆいは俺の首に腕を絡めて胸の中に収まった。
俺もゆいの背中に手を回し、しっかりと固定する。
「ゆい?どうして貴女がここに?」
俺が問うも、ゆいはそれには答えず俺に言った。
「セディ!そのヒトとキスしてはいやデス!セディのクチビルは、わたしのデス!だれにもあげたくないっ!!」
ゆいはぎゅーっと力を込めて俺を抱きしめた。
それと同時に、俺の胸もぎゅっと締め付けられた。
「ああ、もちろんだ、ゆい。俺の心も身体も、すべて貴女のものだから...... 」
俺が答えると、ゆいはにっこり微笑んで、
「うれしい...... 」
そう言って、俺の額にそっと唇をくっつけた。
「ゆい?!」
俺はいつになく大胆なゆいに焦りながら、ゆいの顔を見つめた。
ゆいは黒曜石のように美しい瞳を揺らめかせながら、
「このヒタイも、わたしの」と言った。
そして鼻筋にキスして
「このオハナも、わたしの」
次は頬に口付ける。
「このほっぺもわたしの」
そう言った後、ゆいは頬を染めて言った。
「のこったばしょは、セディからしてもらいたいデス......はじめてだから...... 」
ああっ!なんて愛らしいんだろう!
こんなにも俺を好きだと表現してくれる人はゆいしかいない!
「ゆい......本当にいいのか......?」
俺は最終確認をすると、
「セディ、だいすきです......」
そう言ってゆいは少し顔を上げ気味にして瞳を閉じた。
俺はゴクリと唾を飲み込む。
そしてゆっくりとゆいの顔に近づいて.....ためらいながらもそっと可愛らしい唇に自分の唇を当てた。
大丈夫か......?
俺は不安な気持ちでゆいを見つめる。
ゆいはそっと瞳を開けてはにかんだ。
「はずかしいけど、きもちよかったデス。もっといっぱいしてほしいデス」
ゆいは俺を悶え殺す気か?!
俺はグッと力を入れてゆいを抱きしめた。
「ああ、俺ももっとたくさんしたい。だけどここには何人か見ている奴がいるようだ。残念だが、続きは後にしよう」
「ひえ?!わ、わたしっ......?は、はずかしいっ......!!」
ゆいは顔どころか耳まで真っ赤にして俺の胸に顔を隠した。
俺はゆいを抱いたまま、クレアに向かって言った。
「クレア、俺はもう、この人しか愛せない。申し訳ないが帰ってくれ」
クレアは青ざめた顔で立っている。
「マリエル。そこにいるんだろ?彼女を馬車までお送りしてくれ。それからアラン、俺は仕事が終わったから、ゆいをこのまま連れて屋敷へ帰るから。後はよろしく頼む」
茂みに隠れていた二人は、バツが悪そうに姿を現して敬礼をしたーー。
俺は彼女の言葉を聞きながら、2年前の自分の愚かさを痛感していた。
青い顔をしながらも、俺と一緒にデートしてくれ、ハンカチで口を押さえながら俺と会話してくれた彼女を健気だと思ったのだ。家のためとはいえ、俺を拒まずいてくれたから、いつかは俺の内面に目を向けてくれ、容姿にも慣れて好きになってくれるかもしれない、と必死で彼女に尽くした俺は本当にバカだった。
彼女は最初から、俺の内面など見ようとはしていなかった。
彼女が我慢してでも手に入れたかったのは、公爵家の妻という立場だ。
俺が後継を辞退した途端、彼女はその場で俺から去っていくことだろう。
そう思った時、ふと、ゆいのことが頭に浮かんだ。
ゆいは?ゆいはどうだろう......。
俺がもし、公爵家の後継でもなく、騎士団の副団長でもなくなったら......。
俺は、俺という一人の人間として、ゆいに好きになってもらえているのだろうか......。
俺が思考に耽って返事が遅れたせいで、クレアは勘違いをしたみたいだ。
「セドリック様、私をお疑いなのですね?では、私に口づけをなさってください。私はもう、絶対に吐いたりしません。我慢してみせますわ!」
「クレア、生理的に受け付けないものは、何年経ってもきっと無理だと思いますよ。だから俺たちは別れたのでしたよね?それに、俺には今、好きな女性がいるのです。だから、申し訳ありませんが、他を当たってくれませんか」
俺がそういうと、彼女は涙を流して言う。
「私のような醜女を、貰ってくれる男性は他にはいませんもの!あなただって、いくら好きな女性がいたって、その女性が本心から好きになってくれるなんて思ってはいないでしょう?結婚できたとしても、それはきっと形だけで、指一本触れさせてはくれませんわよ?そんな女性と結婚するよりも、私なら、あなたの好きにさせて差し上げますわ。きっと耐えきってみせますから!」
俺は彼女の言葉に、随分酷いこと言うなあ......、と第三者のような気持ちで聞いていた。
傷つくと言うより、この女性に半年間も入れ込んだ、昔の俺がバカみたいで可笑しかった。
「さあ、セドリック様、わたくしに口づけをしてくださいませ」
クレアはそう言って、俺ににじり寄ってきた。
俺はそれに合わせて後退する。
「~~~もうガマンできないです!!」
近くの茂みの中からゆいが飛び出して来た。
「ゆ、ゆい?!」
俺が驚いていると、ゆいはスカートをはためかせながら一直線に俺に向かって駆けて来た。
両手を俺に向けて伸ばしている。
思わずそれに反応して、俺は両手を広げ、しゃがんだ。
ぽすん。
ゆいは俺の首に腕を絡めて胸の中に収まった。
俺もゆいの背中に手を回し、しっかりと固定する。
「ゆい?どうして貴女がここに?」
俺が問うも、ゆいはそれには答えず俺に言った。
「セディ!そのヒトとキスしてはいやデス!セディのクチビルは、わたしのデス!だれにもあげたくないっ!!」
ゆいはぎゅーっと力を込めて俺を抱きしめた。
それと同時に、俺の胸もぎゅっと締め付けられた。
「ああ、もちろんだ、ゆい。俺の心も身体も、すべて貴女のものだから...... 」
俺が答えると、ゆいはにっこり微笑んで、
「うれしい...... 」
そう言って、俺の額にそっと唇をくっつけた。
「ゆい?!」
俺はいつになく大胆なゆいに焦りながら、ゆいの顔を見つめた。
ゆいは黒曜石のように美しい瞳を揺らめかせながら、
「このヒタイも、わたしの」と言った。
そして鼻筋にキスして
「このオハナも、わたしの」
次は頬に口付ける。
「このほっぺもわたしの」
そう言った後、ゆいは頬を染めて言った。
「のこったばしょは、セディからしてもらいたいデス......はじめてだから...... 」
ああっ!なんて愛らしいんだろう!
こんなにも俺を好きだと表現してくれる人はゆいしかいない!
「ゆい......本当にいいのか......?」
俺は最終確認をすると、
「セディ、だいすきです......」
そう言ってゆいは少し顔を上げ気味にして瞳を閉じた。
俺はゴクリと唾を飲み込む。
そしてゆっくりとゆいの顔に近づいて.....ためらいながらもそっと可愛らしい唇に自分の唇を当てた。
大丈夫か......?
俺は不安な気持ちでゆいを見つめる。
ゆいはそっと瞳を開けてはにかんだ。
「はずかしいけど、きもちよかったデス。もっといっぱいしてほしいデス」
ゆいは俺を悶え殺す気か?!
俺はグッと力を入れてゆいを抱きしめた。
「ああ、俺ももっとたくさんしたい。だけどここには何人か見ている奴がいるようだ。残念だが、続きは後にしよう」
「ひえ?!わ、わたしっ......?は、はずかしいっ......!!」
ゆいは顔どころか耳まで真っ赤にして俺の胸に顔を隠した。
俺はゆいを抱いたまま、クレアに向かって言った。
「クレア、俺はもう、この人しか愛せない。申し訳ないが帰ってくれ」
クレアは青ざめた顔で立っている。
「マリエル。そこにいるんだろ?彼女を馬車までお送りしてくれ。それからアラン、俺は仕事が終わったから、ゆいをこのまま連れて屋敷へ帰るから。後はよろしく頼む」
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