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意思疎通は難しい。
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「花」
「あにゃ」
「は、な」
「は、にゃ」
「な」
「な」
「は、な」
「は、にゃ」
「は、な」
「は、な」
私が上手く発音できると、セディさんはうんうんと笑って頷いてくれる。
私は今、セディさんに連れられて、
騎士団の庭の花壇を見ている。
剣の訓練の後で、セディさんが私に言葉を教えてくれようとしているみたいだ。
疲れてないのかな?と思うけれど、騎士様だから、体力もあるのかにこにこしながら教えてくれる。
私はまだ恥ずかしくて、セディさんの顔は時折ちらっと表情を伺うけれど、基本目線をそらして話すようにしている。
私は頂いたノートに花の絵を書き、〈はな〉と異世界の読みかたを書いた。
セディさんは、私が書いた絵を見て、
「じょうず」
と言った。
「じょうじゅ」
「ず」
「じゅ」
なんとなく聞き取れはするのだけど、舌の動かし方が違うみたいで、なかなか思うように発音できない。
それでもセディさんはイラついた様子を見せず、ゆっくりと私のペースで教えてくれる。
「はな、きれい」
「はな、ちれい」
「おれ、ブサイク」
「セディさん、ぶしゃいく?」
セディさんは自分を指差して、明るく笑って言う。
なんだろう、花は綺麗で、セディさんは超美形って言ったのかな?
「はな、ちれい。セディさん、ぶしゃいく」
私は繰り返して言った。
セディさんは笑って頷くと、私を指差して言った。
「ゆい、きれい」
私はセディさんがお世辞で言ってくれたのが、凄く恥ずかしくて、ブンブンと首を横に振った。
「きれい、ない」
否定の時は「ない」で伝わるみたいなので、そう言った。
セディさんはまた、
「ゆい、きれい。俺、ブサイク」
と言ってニカッと笑った。
私は、ゆいは綺麗で俺は超美形、と言ったのだと思い、
「ゆい、きれいない。セディさん、ぶしゃいく、ぶしゃいく」
私はきれいじゃないけど、セディさんは超・超美形と伝えたくて、2回繰り返して〈ブサイク〉を言った。
セディさんはあははと笑って、
「セディさん」首を横にふる。
「セディ」うんうんと首を縦に振って見せた。
さんをつけずに呼べってこと?
「セディさん、ない?セディ、良い?」
私が確認すると、セディさんはうんうんと頷いた。
こうして私は、超美形をブサイクと間違えてノートに書いてしまったのだった。
「あにゃ」
「は、な」
「は、にゃ」
「な」
「な」
「は、な」
「は、にゃ」
「は、な」
「は、な」
私が上手く発音できると、セディさんはうんうんと笑って頷いてくれる。
私は今、セディさんに連れられて、
騎士団の庭の花壇を見ている。
剣の訓練の後で、セディさんが私に言葉を教えてくれようとしているみたいだ。
疲れてないのかな?と思うけれど、騎士様だから、体力もあるのかにこにこしながら教えてくれる。
私はまだ恥ずかしくて、セディさんの顔は時折ちらっと表情を伺うけれど、基本目線をそらして話すようにしている。
私は頂いたノートに花の絵を書き、〈はな〉と異世界の読みかたを書いた。
セディさんは、私が書いた絵を見て、
「じょうず」
と言った。
「じょうじゅ」
「ず」
「じゅ」
なんとなく聞き取れはするのだけど、舌の動かし方が違うみたいで、なかなか思うように発音できない。
それでもセディさんはイラついた様子を見せず、ゆっくりと私のペースで教えてくれる。
「はな、きれい」
「はな、ちれい」
「おれ、ブサイク」
「セディさん、ぶしゃいく?」
セディさんは自分を指差して、明るく笑って言う。
なんだろう、花は綺麗で、セディさんは超美形って言ったのかな?
「はな、ちれい。セディさん、ぶしゃいく」
私は繰り返して言った。
セディさんは笑って頷くと、私を指差して言った。
「ゆい、きれい」
私はセディさんがお世辞で言ってくれたのが、凄く恥ずかしくて、ブンブンと首を横に振った。
「きれい、ない」
否定の時は「ない」で伝わるみたいなので、そう言った。
セディさんはまた、
「ゆい、きれい。俺、ブサイク」
と言ってニカッと笑った。
私は、ゆいは綺麗で俺は超美形、と言ったのだと思い、
「ゆい、きれいない。セディさん、ぶしゃいく、ぶしゃいく」
私はきれいじゃないけど、セディさんは超・超美形と伝えたくて、2回繰り返して〈ブサイク〉を言った。
セディさんはあははと笑って、
「セディさん」首を横にふる。
「セディ」うんうんと首を縦に振って見せた。
さんをつけずに呼べってこと?
「セディさん、ない?セディ、良い?」
私が確認すると、セディさんはうんうんと頷いた。
こうして私は、超美形をブサイクと間違えてノートに書いてしまったのだった。
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