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稀人様の専属護衛になりたい!〜セディ視点

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俺はセドリック・ローランド18歳。父・ジルベール・ローランドはこの騎士団の団長で、俺は副団長をしている。

俺は公爵家の嫡男だが、王家の血を引いている。王家の血筋の者からは、時折先祖返りでとてつもなく醜い者が生まれるのだが、まさに俺がそれなのだ。

そのせいで、小さい頃からいろいろ苦労が絶えないが、俺は結構前向きに生きている。

なせがというと、俺の曽祖父に当たるアレクシス・ローランドがまさに先祖返りだったのだが、異世界から来た乙女に一途に愛されて、幸せな一生を送ったと祖父から聞いていたからだ。

祖父はいつも俺に言って聞かせた。

「セディ。お前の事を、いろいろ悪く言う奴や、蔑む奴もたくさんいるかもしれない。だが、お前の方から人を憎んではいけないよ。ジィジの父上が、お前に瓜二つの容姿だったんだが、清く正しく生きていた事で、異世界からの稀人であった母上に、それはもう一途に愛され幸せな一生を送られたのだ。セディも人に優しく、親切に生きていれば、きっと女神がお前に相応しい伴侶を寄越して下さるからね」

俺は小さい頃からそう言われて育ったので、勉強や剣も頑張ったし、友達作りも頑張った。

曽祖父は仮面で顔を隠していたらしいが、俺は周りの人たちに慣れてもらおうと思って、この醜い顔を晒している。

初めは眉を顰めても、よく俺を知ってくれたら友達になってくれた奴も少ないけれどいるのだから。

残念ながら、女性陣には皆目受け入れられないが、騎士団の女性たちは一応俺が副団長って事で、目線をずらす程度で接してくれる。

そんな非モテの俺だが、希望は捨てていない。この広い世界にひとりくらいは俺でも良いと言ってくれる女性がいるはず!諦めたら終わりだ。

俺は醜いながらも、身なりは清潔に保ち、言葉遣いも暗くならないよう努めている。自分がこんな容姿なのだから、贅沢は言わない。可愛くなくていいから、優しい彼女が欲しいなぁ。

俺はそんな事を考えながら騎士団の書類仕事をこなしていた。

すると、先祖返りのものにだけ授かるという、俺の神力が反応した。

女神が眠る、禁足の地に何者かが侵入している!

俺は急いで団長の元へ走った。

「団長!禁足の地に何者かが侵入しています。すぐに騎士たちを向かわせて下さい」

「わかった。禁足の地は、団長である私が行かねばならない事になっているから、お前はここを頼むぞ。もしも賊なら捕らえるだけだが、万が一稀人様だったなら、王宮から沙汰があるまで、お前に世話を任せるから心しておけ」

「分かりました!」

俺は敬礼をして団長を見送った。


◇◇◇

俺は異世界からの乙女だったらいいな~と期待しながら仕事を再開させていた。

祖父の話では、曽祖父の顔を始めて見た乙女が、全く顔をしかめる事なく受け入れたという。

もしも稀人様だったなら、俺の容姿も嫌がらず接して下さるかもしれない!そうであって欲しい!俺は勝手に期待して団長の帰りを待った。

「セドリック!帰ったぞ!」

団長の声だ!お出迎えしなくては。

俺は走って玄関に向かった。

団長はひとりの女性を連れている。

(やった!稀人様だ!)

俺は心でガッツポーズをしながら女性を見た。

涼やかな目元が可憐な美少女だ。柔らかそうでふくよかな身体がとてもセクシー。目眩がしそうな程、素敵過ぎる。

「団長お帰りなさいませ。そちらのお方は稀人様でいらっしゃいますね?」

俺は団長に確認した。

「まず間違いないとは思うが、言葉が通じないので参っている。調書が取れる程度には言葉を教えねばなるまい。お前がそれをやってくれ。よいな?」

「了解です!」

俺は不安そうにしている美少女に、出来るだけ明るく挨拶し、握手をしようと手を差し出した。

彼女は俺の顔を見たとたん、その涼やかな目元を大きく見開き、顔を俯かせてしまった。

残念だが、曽祖父のように、初対面でこの顔は受け入れてはもらえないか。仕方ない。握手も嫌だろうから諦めよう。

俺がそう思って手を降ろしたのだが、少し遅れて彼女の方から手を差し出して来た。見ると手が微かに震えている。

彼女は俺の容姿に恐怖を覚えながらも、俺の挨拶を受け入れようとしてくれているみたいだ。なんて良い娘なんだ!俺、稀人様の専属護衛になりたい!王宮から連絡があるまでに、少しでも稀人様と仲良くなれるよう頑張ろう!


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