俺の最愛の妻は浮気性

花野はる

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最初で最後の男になりたい

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「信じられない......美春さん、初めてだったのですか......?」

 俺はベッドで、呆然と呟いた。


 やっと結婚届けを市役所に出した日、俺は美春さんを自分の部屋に誘った。まだ同居しているわけではないが、俺たちは戸籍上すでに夫婦だ。俺はそう言って、美春さんを俺のベッドに連れて行くと、美春さんは恥ずかしそうにしながらも素直に俺に身を任せてくれた。

 デートの時はまだ我慢していた、美春さんとの初めてのキス。美春さんはあまりにもぎこちなく、男慣れしているようには見えなかった。けれど何かで読んだことがある。

 ーー男遊びが好きな女ほど、うぶなふりをするのが上手いーー

 なるほど。非常にうぶなそぶりを見せてはいるが、美春さんの身体はとても反応が良く敏感で、初めてならこうはいかないだろうと俺は思った。

(全て、演技なのか? 俺以外の男でも、こんな風にするのか?)

 俺は切ない気持ちになりつつも、美春さんの心地よい身体に溺れた。美春さんは可愛いというよりセクシーな妖艶系美女だ。だから身体もとても魅力的で、俺は夢中になって美春さんを求めた。

 そして夫婦の契りを終えた時、俺は美春さんの足から流れる、純潔の証拠を見たのだった。



「ぁぁぁ、あの......たまたま? まだだったというか、タイミングが合わなくて出来なかった、といいいますか?」

 なぜか彼女は、顔を赤らめ目をキョドらせて、質問しているように答えた。

「ああ......っ、美春......俺は美春の初めての男になれたのか? 美春、愛してる......俺は美春の最初で最後の男になりたい......」

 俺は感無量で美春を抱きしめそう言った。美春は俺に応えるように手を回し、キュッと力を入れて呟いた。

「冬誠さん......それなら、私から目を離さないで。誰にも取られないように、ずっとずっと見張っていて......」



 そうして俺たちは、結婚式に向け付き合いを続けた。結婚式が済んだら、美春は俺の部屋に住む予定だ。けれどやはり、美春は目を離すとすぐに他の男を目で追ってしまう。俺はその度に、美春の顔を自分の方に向け、深い口づけをして耳元で愛を囁いた。



 
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