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初デートのお誘い
しおりを挟む「カスミ、やっと仕事がひと段落つきそうなんだ」
アレクシス様は突然言った。
今は夕飯を終えて、お茶をふたりで飲んでいるところだ。
「引き継ぎとかいろいろ大変ですよね、お疲れ様です」
私が労いの言葉をかけたのだけれど、アレクシス様はどこか上の空。
「アレクシス様?」
「……今まで仕事が忙しかった分、カスミに何もしてやれなかった。それで、今度の休みなんだが、カスミを街に連れて行ってやろうかと思うのだが」
ちょっと照れくさそうにアレクシス様が言った。
私は瞳を輝かせて聞いた。
「もしかして、それってデートのお誘いですか?」
アレクシス様は、コホン、とひとつ咳払いをして言った。
「まあ、そんなところだ。今までカスミに婚約者として贈り物ひとつしてやれなくて、すまなかった。明日は何でも買ってやる」
「アレクシス様……!私、貴方と居られるだけで十分なんです、でも、貴方とデートできるなんて、やっぱり嬉しい……!ありがとうございます!」
お礼を言う私を優しい目で見つめ、アレクシス様は言う。
「これからは、騎士団の仕事はかなり減るから、もっとそなたに楽しめることをしてやるつもりだ。結婚式の準備も共にしよう。やりたいことがあれば、遠慮なく言ってくれ」
こんなにも、私のことを考えてくれて……。嬉しい……。
私は瞳を潤ませて言った。
「アレクシス様、そのお言葉だけで私は十分幸せです。私、アレクシス様と婚約できて、本当に良かったです…… 」
「まだ何もしていないのに、そんなに喜んで。欲のない奴だな」
アレクシス様は私の頭を撫でながら笑った。
「いいえ、私はとても欲が深いですよ。アレクシス様とデートするなら、やりたいことがたくさんあります」
「ほう?例えば?」
「えっと、アレクシス様と手を繋いで綺麗な遊歩道を散歩したり、腕を組んでお店を見たり、ご飯をあーんして食べさせ合いっこしたり、膝枕でお昼寝もいいですね~、とにかくイチャイチャしたいです!」
私は欲望を隠しもせずに並べ立てた。
アレクシス様は少し頬を染めて言った。
「そ、そうか……。ちょっと照れてしまいそうなことばかりだが、そんなことでカスミが喜んでくれるなら、いくらでも付き合ってやろう」
私は嬉しくて、思わずアレクシス様に飛びついてしまった。
「大好き!アレクシス様!そんなに優しいと、チュウしちゃいますよ~っ!」私は抱きついたまま、唇をんーっと尖らせて見せた。
「……望むところだ」
アレクシス様は私の顎を捕まえ、優しく口付けた。
(ああっ!デート楽しみだ~っ!)
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