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美の化身がいました。
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目が覚めたら、美の化身が隣に横たわっていました。
<カッコいい>などという表現を超えた、崇拝レベルの美です。
私は神々しいまでのご尊顔に、恐る恐る触れました。
「うん……?」
美の化身は、色気たっぷりの声を漏らしてまつ毛を震わせ、碧の瞳を開きました。呼吸を忘れるくらいの美しさです。
その碧の瞳と視線が合った途端、その人の顔が恐怖に歪みました。
夢の中のローランド様が、見ないでくれと叫んでいる姿が頭を過ぎりました。
私は思わず、安心してもらいたくて顔中にキスしてしまいました。
普段の私には絶対できない行為だけれど、美に酔いしれて感覚が麻痺していたし、ふたりでベッドの中という非現実的な状況だったから、自然に出来てしまいました。
その後はローランド様に激しく口づけられて息も絶え絶えになりましたが、何とか意識を飛ばさず耐えました。
私が朦朧としていると、ローランド様はハッと我に返ったようで、
「すまない」と小さくおっしゃって、サッと起き上がってベッドから距離を取りました。
手にしていた仮面を被ろうとしたので、急いで止めました。
「私の予想をはるかに超えた、美しいご尊顔でした。もう二度と、私の前で仮面は被らないで下さい」
仮面の騎士様も気に入っていたけど、この美しさを隠すなんて私の人生の大損害です。
ずっと眺めさせて下さい。
ローランド様は目を見開いて、驚いているみたいだったけど、「わかった」とぽつりと答えました。
「ふふ。これで、これからずっと一緒にご飯が食べられます。嬉しい」
私は最高の笑顔を作って、ローランド様に贈りました。
後で気づいたのだけれど、私が感じていた不安や焦燥感はすっかり無くなっていました。
不足したらおかしくなるなんて、ローランド様は麻薬みたいだ、なんてふと思いました。
<カッコいい>などという表現を超えた、崇拝レベルの美です。
私は神々しいまでのご尊顔に、恐る恐る触れました。
「うん……?」
美の化身は、色気たっぷりの声を漏らしてまつ毛を震わせ、碧の瞳を開きました。呼吸を忘れるくらいの美しさです。
その碧の瞳と視線が合った途端、その人の顔が恐怖に歪みました。
夢の中のローランド様が、見ないでくれと叫んでいる姿が頭を過ぎりました。
私は思わず、安心してもらいたくて顔中にキスしてしまいました。
普段の私には絶対できない行為だけれど、美に酔いしれて感覚が麻痺していたし、ふたりでベッドの中という非現実的な状況だったから、自然に出来てしまいました。
その後はローランド様に激しく口づけられて息も絶え絶えになりましたが、何とか意識を飛ばさず耐えました。
私が朦朧としていると、ローランド様はハッと我に返ったようで、
「すまない」と小さくおっしゃって、サッと起き上がってベッドから距離を取りました。
手にしていた仮面を被ろうとしたので、急いで止めました。
「私の予想をはるかに超えた、美しいご尊顔でした。もう二度と、私の前で仮面は被らないで下さい」
仮面の騎士様も気に入っていたけど、この美しさを隠すなんて私の人生の大損害です。
ずっと眺めさせて下さい。
ローランド様は目を見開いて、驚いているみたいだったけど、「わかった」とぽつりと答えました。
「ふふ。これで、これからずっと一緒にご飯が食べられます。嬉しい」
私は最高の笑顔を作って、ローランド様に贈りました。
後で気づいたのだけれど、私が感じていた不安や焦燥感はすっかり無くなっていました。
不足したらおかしくなるなんて、ローランド様は麻薬みたいだ、なんてふと思いました。
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