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ローランド様のメイドをします
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ローランド様の部屋の前。
私は居ずまいを正して扉をノックする。
「入れ」
低くて素敵な声を聞いて顔が綻ぶ。
「失礼します」
ベッドで上半身を起こしているローランド様は、やっぱり仮面を付けている。
人が来るたびこうして付けているんだろうな。なんか切ないよ。
「おはようございます、ローランド様。カーテンを開けさせていただきますね」
そう言う私にローランド様は
「本当にメイドをやるんだな……」と小さく呟いていたが、聞こえないフリをした。
私はカーテンを開け、小窓を開けて換気する。
「ローランド様。お茶を用意いたしますね」
「ああ。……頼む」
私はいそいそとワゴンを部屋に入れ、紅茶をカップに注いだ。ベッド脇の小テーブルに乗せる。
「ローランド様、この後朝食をご用意しますが、あの、私もこの部屋でご一緒してもいいですか?あ、もちろん私はよそを向いて食べますので」
ローランド様は少し間を置いて、諦めたように
「主人と食事を一緒にさせてくれと申し出るメイドは初めてだよ」と笑った。
私たちは背を向けあって朝食を取る。
「ローランド様、この後はいかがなさいますか?私はローランド様のお部屋の掃除と、シーツを変えようと思っているのですが」
「なら私は庭で剣の素振りでもしているよ」
「わかりました。後はローランド様の衣類の洗濯をしますので、着替えたら取りに来ますね」
「え、洗濯までするのか?それは他の者に任せてくれないか」
「何故です?」
「それは、その……、下着とか、も、あるし……」
「ああ、それでしたら大丈夫です。私、おじいちゃんのぱんつだって洗っていましたから」
「パ……ッ‼︎ 頼む、それだけはやめてくれ……‼︎」
「そうですか?そんなにお嫌なら諦めますけど……そんなにお気になさらなくてもいいのに」
私はそう言って、ローランド様のぱんつを洗うところを想像してしまった。きっと、高級なぱんつなんだろうな。
食後私は掃除とシーツ交換を、ローランド様は剣の鍛錬をなさって、その後は邸の庭で花を見ながらふたりでお茶を楽しんだ。
やはり背を向けあってであるが。
いつかローランド様が仮面を取ってくれて、同じ景色を見ながらティータイムを過ごせたら、もっともっと楽しいのにな、と思った。
こうしていつもくっついて、世話を焼きたがる私なのである。
私は居ずまいを正して扉をノックする。
「入れ」
低くて素敵な声を聞いて顔が綻ぶ。
「失礼します」
ベッドで上半身を起こしているローランド様は、やっぱり仮面を付けている。
人が来るたびこうして付けているんだろうな。なんか切ないよ。
「おはようございます、ローランド様。カーテンを開けさせていただきますね」
そう言う私にローランド様は
「本当にメイドをやるんだな……」と小さく呟いていたが、聞こえないフリをした。
私はカーテンを開け、小窓を開けて換気する。
「ローランド様。お茶を用意いたしますね」
「ああ。……頼む」
私はいそいそとワゴンを部屋に入れ、紅茶をカップに注いだ。ベッド脇の小テーブルに乗せる。
「ローランド様、この後朝食をご用意しますが、あの、私もこの部屋でご一緒してもいいですか?あ、もちろん私はよそを向いて食べますので」
ローランド様は少し間を置いて、諦めたように
「主人と食事を一緒にさせてくれと申し出るメイドは初めてだよ」と笑った。
私たちは背を向けあって朝食を取る。
「ローランド様、この後はいかがなさいますか?私はローランド様のお部屋の掃除と、シーツを変えようと思っているのですが」
「なら私は庭で剣の素振りでもしているよ」
「わかりました。後はローランド様の衣類の洗濯をしますので、着替えたら取りに来ますね」
「え、洗濯までするのか?それは他の者に任せてくれないか」
「何故です?」
「それは、その……、下着とか、も、あるし……」
「ああ、それでしたら大丈夫です。私、おじいちゃんのぱんつだって洗っていましたから」
「パ……ッ‼︎ 頼む、それだけはやめてくれ……‼︎」
「そうですか?そんなにお嫌なら諦めますけど……そんなにお気になさらなくてもいいのに」
私はそう言って、ローランド様のぱんつを洗うところを想像してしまった。きっと、高級なぱんつなんだろうな。
食後私は掃除とシーツ交換を、ローランド様は剣の鍛錬をなさって、その後は邸の庭で花を見ながらふたりでお茶を楽しんだ。
やはり背を向けあってであるが。
いつかローランド様が仮面を取ってくれて、同じ景色を見ながらティータイムを過ごせたら、もっともっと楽しいのにな、と思った。
こうしていつもくっついて、世話を焼きたがる私なのである。
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