67 / 70
見知らぬ土地で
第67話
しおりを挟む
二人が向かったのは静流のマンション。真司が何事も無かったように笑顔で挨拶すると、静流は申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん……僕のほうから出向かなきゃならなかったのに」
「今日はそのことじゃな」
真司が言いかけたところで、紫苑が登場。故意にかどうかは知らないが、やたらと静流にベタベタする。 静流は真司や要の目を気にして嫌がるが、お構いなしだ。
「そう……高校へ。やっぱり将来何をするにしても、高校は出ておいて損はないからね」
そう話す静流は、少し安心しているようにも見えた。
「――本当に真司には何て言えばいいか……」
話も一段落したころ、静流がもう一度最初の話に戻す。真司は微笑んで首を振った。
「静流さんは、僕の叶えられない願いを叶えたんです……祝福してます」
そんな真司を見て、静流は遠慮がちに話し出した。
「人間同士には、いろんなスレ違いが生まれると思うんです。……僕がえらそうに言えた立場じゃないんですが、一度、晃司君に会ってみたら……?」
「――できないよ」
ぽつりと真司が呟いた。そして次に狂ったように喚き散らした。
「もういやだ! 拒絶されたくないんだ、捨てられるのはもうイヤなんだ――」
顔を覆って首を横に振る真司に、静流は優しく諭すように話しかけた。
「晃司君は、真司を『捨てた』のではないかもしれない――僕はそう思うんだ。もちろん次にまた拒絶されるのは恐いけど……」
そこまで言ってちらりと紫苑のほうを見る。
「行動を起こさなければ――努力しなければ、叶う願いも叶わない――そうでしょう?」
「ごめん……僕のほうから出向かなきゃならなかったのに」
「今日はそのことじゃな」
真司が言いかけたところで、紫苑が登場。故意にかどうかは知らないが、やたらと静流にベタベタする。 静流は真司や要の目を気にして嫌がるが、お構いなしだ。
「そう……高校へ。やっぱり将来何をするにしても、高校は出ておいて損はないからね」
そう話す静流は、少し安心しているようにも見えた。
「――本当に真司には何て言えばいいか……」
話も一段落したころ、静流がもう一度最初の話に戻す。真司は微笑んで首を振った。
「静流さんは、僕の叶えられない願いを叶えたんです……祝福してます」
そんな真司を見て、静流は遠慮がちに話し出した。
「人間同士には、いろんなスレ違いが生まれると思うんです。……僕がえらそうに言えた立場じゃないんですが、一度、晃司君に会ってみたら……?」
「――できないよ」
ぽつりと真司が呟いた。そして次に狂ったように喚き散らした。
「もういやだ! 拒絶されたくないんだ、捨てられるのはもうイヤなんだ――」
顔を覆って首を横に振る真司に、静流は優しく諭すように話しかけた。
「晃司君は、真司を『捨てた』のではないかもしれない――僕はそう思うんだ。もちろん次にまた拒絶されるのは恐いけど……」
そこまで言ってちらりと紫苑のほうを見る。
「行動を起こさなければ――努力しなければ、叶う願いも叶わない――そうでしょう?」
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
人の恋路を邪魔しちゃいけません。
七賀ごふん
BL
この学校には恋仲を引き裂く悪魔がいる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
男子校に転入した智紀は優しいクラスメイト、七瀬と出会う。しかし会った初日に、彼の裏の顔とゲスい目的を知ってしまい…。
天真爛漫転校生×腹黒で強気な生徒会長。
会長の弟くんの話は別作品で公開中。
表紙:七賀ごふん
温厚寮長をやっていますがこの度プッチンします。
するめ烏賊
BL
全寮制男子校の寮長を務めている伊部銀次郎(いべぎんじろう)は、編入生のマリモの日々の付きまとい行為と寮内で起こす問題にほとほと困っていた。
その件のせいで生徒指導部や理事長、各種委員会に始末書の提出や報告をしなければならず、趣味に没頭すら出来ない日々。
そんなある日、マリモが舎監室に飾っていた大切な写真を壊し───────
───────プッチンしました。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
元会計には首輪がついている
笹坂寧
BL
【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。
こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。
卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。
俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。
なのに。
「逃げられると思ったか?颯夏」
「ーーな、んで」
目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。
交わらない心
なめめ
BL
(小説大賞用に改正)
高校一年の初夏、千晃は校内一の美女に振られた現場をゲイで美形なクラスメイトの優作に目撃された。それ以来、好奇心で近づきすぎず離れすぎずな友人関係を築いてきた。
高校三年を迎えたある日、優作は2つ下の下級生に恋心を抱き始めたのを知り、千晃は次第に嫉妬している自分に気づきはじめ·····。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる