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クラスメイト
第30話
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で、みっち、彼女は?」
人の気も知らず、屈託のない笑顔を向ける樹。
「いないよ」
「なんでー? みっちこんなカワイイのにな」
こわごわ真司は尋ねてみた。
「い、樹は……?」
「ふふふ……よくぞ聞いてくれました」
いたずらっぽく、邪悪に笑って見せる樹は、晃司とだぶった。樹はよほど彼女の自慢をしたかったらしく、頼んでもいないのに二人で撮った写真を取り出しては語っている。
それを見ていた一人が、ぽつりと言った。
「この子……みっちに似てない?」
真司が愕然としているのをよそに、樹は得意になって喋っている。
「だろ? 俺も初めびっくりしたもん。双子かと思ったって」
だから……俺が彼女に似てるから、あんなにやさしかったの――?
真司は無言のまま教室を出た。
それからと言うもの、真司は樹につらくあたった。それは周りから見ても明らかだった。今までずっと一緒だった二人が行動を共にしなくなったのだから。
「小林、移動頼んでいい?」
最近では樹と一番仲のいい、小林に何でも頼むようになっていた。
「いいけど……樹と何かあったん?」
「……別に」
「こんなこと言いたくねーけどさ、樹ってみっちのこといっつも一番心配してて……」
「わかってるよ」
「……けっこう傷ついてるみたいよ」
小林も辛そうだった。
小林の言う通りだ。樹は何も悪くない。一人では何もできないくせに、 えらそうにつっぱっている自分は間違っていると思うけど、今まで通り接することなんてできない。
彼女の代わりにされていたなんて……。
人の気も知らず、屈託のない笑顔を向ける樹。
「いないよ」
「なんでー? みっちこんなカワイイのにな」
こわごわ真司は尋ねてみた。
「い、樹は……?」
「ふふふ……よくぞ聞いてくれました」
いたずらっぽく、邪悪に笑って見せる樹は、晃司とだぶった。樹はよほど彼女の自慢をしたかったらしく、頼んでもいないのに二人で撮った写真を取り出しては語っている。
それを見ていた一人が、ぽつりと言った。
「この子……みっちに似てない?」
真司が愕然としているのをよそに、樹は得意になって喋っている。
「だろ? 俺も初めびっくりしたもん。双子かと思ったって」
だから……俺が彼女に似てるから、あんなにやさしかったの――?
真司は無言のまま教室を出た。
それからと言うもの、真司は樹につらくあたった。それは周りから見ても明らかだった。今までずっと一緒だった二人が行動を共にしなくなったのだから。
「小林、移動頼んでいい?」
最近では樹と一番仲のいい、小林に何でも頼むようになっていた。
「いいけど……樹と何かあったん?」
「……別に」
「こんなこと言いたくねーけどさ、樹ってみっちのこといっつも一番心配してて……」
「わかってるよ」
「……けっこう傷ついてるみたいよ」
小林も辛そうだった。
小林の言う通りだ。樹は何も悪くない。一人では何もできないくせに、 えらそうにつっぱっている自分は間違っていると思うけど、今まで通り接することなんてできない。
彼女の代わりにされていたなんて……。
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