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『拳銃の悪霊』の一件から、一週間が過ぎた。
怜は日常へ戻り、ゴーストバスターの依頼と、学校生活をいつもの様に過ごしていた。
ゴーストバスターとしての依頼については、『死の呪い』や、『拳銃の悪霊』等の強敵相手の依頼は無く、楽な依頼ばかりだった。
むしろ、ここ数日が異常だったのだ。
学校生活では、まぁ、いつも通り辞めたがっていた。今でも――「ここに来て何を学ぶんだ?」と、本気で疑問に思っている。
周りには不良だらけ……バイクの音がうるさいし、ちょっとは静かに出来ないものかと注意したくなる。
けれど――
「怜、今日も依頼?」
「ん? 何だ姫美かー……ううんー、今日は……」
「ちょっと待って、何? 今の『何だ姫美か』って……私だったら悪い訳!?」
「そんな事言ってないだろー……」
姫美や。
「やっ、ほぉー!! 怜っちぃー!!」
「うおっ!」
「えへへぇー! おっぱい攻撃だぁー!」
「や、やめろってばー、末代さんー……」
「だぁーかぁーらぁー、イロノの事は彩乃って呼んでってぇ、言ってるでしょぉー? あの金髪の事はぁ、名前で呼んでるのにぃー、差別だ差別だぁー!」
等とブー垂れてる末代のお陰で、少しは学校生活も楽しくなって来たようだ。
「…………おい、今すぐ怜から離れろ、ガングロ雌豚女。発情期にはまだ早いわよ?」
「……あらぁ? 居たのぉ? 金髪ちゃぁーん……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
「な、何やら争い事の匂いがするー……仲良くしなよー……」
「「無理っ!!」」
「仲が良いのか、悪いのか……」
ここで怜がふと時計を見ると、「あ、やばー」と声を上げた。
「急いでるの? でも任務じゃないのよね?」
「まぁねー……今日は会議だよー、『六強』だけが集められる会議ー」
「『六強』……?」姫美は首を傾げる。
フフン! と大きく鼻を広げ、ドヤ顔で末代は言う。
「『六強』って言うのはぁ、怜っちや冥さんを含んだ、ゴーストバスターでトップの六人の事を表す言葉なんだよぉ? 知らないんだぁー、プププ! あ、冥さんって誰か知ってるぅー? 怜っちのお姉――」
「怜のお姉さんでしょ? 知ってるわよ、私――可愛がってもらってる、か、ら、ね!」
「な、何ですってぇ!? くぅぅー、じゃ、じゃあ! 剣一郎君は知ってるぅ?」
「え? だ、誰それ? 私知らないわ」
「はっはぁー! イ、ロ、ノ、の、か、ちぃー! ひゃっほぉーい!」
「…………じゃあ、あんた……天地ちゃんの事知ってる?」
「…………!? も、もももも勿論し、しし知ってるわよぉ……?」
「ふぅん……じゃあ、どんな人か言ってみてよ」
「え!? えぇーっとぉ……人体模型が好きなぁ……お、男の人でしょぉ……?」
「全然違うし……ていうか、人体模型が好きって……何?」
「何よぉ! 自分が知ってる人だけ上げてぇ、優越感に浸っちゃってぇ! あなたぁ! 見た目だけじゃなく、心の中まで冷たいのねぇ!」
「……先に言い始めたのはどっちよ……」
苦笑いで、その言い争いを聞いていた怜だったが、本当に急ぎの用の為、「じゃあねー!」と話を無理やり切って校門を駆け抜けた。
「それにしてもー……何であの二人ー、あんな仲悪いんだろー?」
怜が去った後も、暫く言い争いは続いたそうな。
そして怜は、『六強会議』に参加をした訳だが……
「前代未聞だろぉ? 何考えてんだぁ、お前……」
「えー……いきなりそんな事言うー? 命吉さんー」
会議が開催して早々、怜は命吉《めいきち》と呼ばれる先輩に問い詰められている。
「当たり前だろうがぁ! どこの世界に、『霊王に最も近い悪霊』を、一般人に融合させるゴーストバスターがいるんだぁ!? アホかぁ!!」
「……あー……もう、うるさいなぁー。うるさいのは学校のヤンキーだけで十分なのにー……」
「うるさいけど、命吉の意見には私も賛同……何血迷ってるの怜……あんたらしくもない……」と、サイドテールの女性が話に割り込んだ。
「見舞さんまでー……」
「……私達の仕事は、一般人を守る事……けれど決して、一般人を、化け物にしてまで生き長らえさせるのは……違うと思う……その子はあなたが守れなかった一般人……死んだのなら、現実を受け入れるべきだった……違う?」
その見舞《みまい》と呼ばれる女性は、そう諭す様に言った。
「うーん……! オイラは別に良いと思うけどなー! それだけ、その人の事を助けたかったって事っしょー? 良いじゃんそれくらい!」剣一郎はどうやら、怜の意見に賛成のようだ。
「うるさい……剣一郎には聞いてない」
「へーい」
見舞が睨み付けると、剣一郎はすごすごと引き下がった。
黙る怜の代わりに天地が答える。
「でもね見舞さん、怜はあの時、その人に命を救われているの……だからこそ、あの大逆転を起こせたの。その人が命を懸けて怜を助けてなかったら、ウチらは多分全滅してて……きっと新しい『霊王』が生まれていたと思う……その人はウチらの命の恩人なの――だからこそ、怜は生き返らせるっていう決断をしたんだと思う……」
すると命吉がはぁーっと、大きな溜息を吐き落胆した様子で……「仮にも、この中でNo.1、No.2扱いされてるお前らが居て、一般人に命を救われただとぉ!? むしろ、それが一番情けねぇだろうがぁ!!」
「そうね……」見舞が頷く。
「その人が命を懸けて救わなくちゃいけない、と思う程……あんた達が追い込まれたのがそもそもの原因でしょ? あんた達の弱さが、その人を殺したのよ……? それを、まるで美談みたいに……恥ずかしいと思わないの?」
と、見舞は、冷たい目で言い切った。
弱さが――その人を殺した――この言葉に天地はムッとした。
「お言葉ですがお二人共……『拳銃の悪霊』の強さは、ウチらの想定を遥かに超えていました――……そんな相手を、怜は最後に圧倒しました……意図も容易く、一人で倒してしまいました――そんな彼が、弱いと言うんですか?」
「まぁ、追い詰められる迄本気を出せねえコイツも悪いし、何より、周りのお前らが弱い、特に――」命吉は、一番奥の中央の席に座る、冥を睨み付けた。
「冥――お前が居て、何故こんな無様な事になってんだぁ?」
ここに来て、やっと私に話が回って来たか、と言わんばかりに冥が笑った。
「『拳銃の悪霊』が想定を遥かに上回る力を持っていた……そして私達が未熟だった。それだけの話ね」
「おぅおぅ……天下の冥が弱気な発言だなぁ、情けねぇ!!」命吉がオラついて言う。
「……あんたは、少なくとも今は、私達の頭《トップ》――恥ずかしい真似は、しないで欲しい」矢継ぎ早に、見舞も冥を睨み付ける。
冥はそれらを笑って受け止める。「あらまぁ……もしかして貴方達が居たのなら、『拳銃の悪霊』もあっさりと倒す事が出来たのかしら?」
「当たり前だぁ」「当然……」と、二人は即答した。
「そっ」と冥はニヤリと笑う。
「でも……口だけなら、何とでも言えるのよねぇ……」
「何だとぉ!?」「…………!」
「だから、貴方達には是非とも――その力を本番で見せて欲しいわ……そうよね? 怜……」
冥から話を振られた怜は頷く「うんー、まー、そうだよねー」
「上等だぁ……!」昂る命吉。
片や「私達に何をさせようって言うの……?」と冷静に問い掛ける見舞。
冥は答える。
「怜は、その子を生き返らせる時……ある条件を出したの、それはご存知かしら?」
「条件……?」「何だそりゃ?」
「やはり、お聞きになっていないか……分かりましたお話しましょう、怜がその子を生き返らせる引き換えに出した条件は――
『怜とその子の二人で――霊王を一体倒す事』」
「「はぁ!?」」これには、命吉と見舞だけでなく、その場にいなかった剣一郎も声を上げた。
「二人で……『霊王』を倒すだぁ!?」
「馬鹿げてるわ……そんなの無理に決まって……」
「うっわぁ……思い切った事言ったねぇー……怜ってばー」
「けど、怜は自分の犯した事の重大さをちゃんと理解してるからこそ……このような、超高難易度の条件を提示したのよ。私は、その意見を尊重したからこそ、蘇生を許したの……」冥はここでニヤリと笑う。
「そ、れ、でぇ――
都合の良いタイミングで、『霊王』が関わっているであろう依頼が一件、ここにあるのよねぇ」
冥はそう言って、一枚の紙をペラペラと指で挟み靡かせながら続ける。
「本当は、怜とその子に条件をクリアさせる為、私と天地、剣一郎がサポートしつつ、二人で倒させるつもりでいたんだけどね……そこまで言うなら、命吉と見舞の口だけじゃない所も見てみたいなー……的な?」
「……つまり……オレと見舞も、その依頼を手伝えという事かぁ? 上等だぁ! やってやろうじゃねぇかぁ!!」
「上等……怜とそいつに出番がないくらい、圧倒してやる……」
命吉と見舞は物凄くノリノリで承諾して来た。
冥がニヤっと笑う。
「なら、こうしましょう――怜とその子のチーム、対、命吉と見舞チーム――より早く、その『霊王』を仕留められた方が勝ち……それでどうかしら?」
「乗ってやろうじゃねぇかぁ!!」
「面白い」
二人が、目の前の机を思いっ切り叩きながら立ち上がった。怜を睨み付ける。
「覚悟は出来てんだろうなぁ? 怜ぃ!」
「そっちが負けたら……その子は処分……それで良いわね?」
二人の問に、怜は真面目な表情で答える。
「…………良いよー」
こうして、争いが始まった。
美永姫美――彼女の、生死を賭けた争いが……
怜は強気でこう返答し、この話は終わりとなった。
「絶対、ボクが『霊王』を倒すからー、覚悟しといてねー」
次の倒すべき相手は――【霊王】だ。
【ゴーストバスター幽野怜】了
第2章【ゴーストバスター幽野怜Ⅱ~霊王討伐編~】に続く。
↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/871924221
怜は日常へ戻り、ゴーストバスターの依頼と、学校生活をいつもの様に過ごしていた。
ゴーストバスターとしての依頼については、『死の呪い』や、『拳銃の悪霊』等の強敵相手の依頼は無く、楽な依頼ばかりだった。
むしろ、ここ数日が異常だったのだ。
学校生活では、まぁ、いつも通り辞めたがっていた。今でも――「ここに来て何を学ぶんだ?」と、本気で疑問に思っている。
周りには不良だらけ……バイクの音がうるさいし、ちょっとは静かに出来ないものかと注意したくなる。
けれど――
「怜、今日も依頼?」
「ん? 何だ姫美かー……ううんー、今日は……」
「ちょっと待って、何? 今の『何だ姫美か』って……私だったら悪い訳!?」
「そんな事言ってないだろー……」
姫美や。
「やっ、ほぉー!! 怜っちぃー!!」
「うおっ!」
「えへへぇー! おっぱい攻撃だぁー!」
「や、やめろってばー、末代さんー……」
「だぁーかぁーらぁー、イロノの事は彩乃って呼んでってぇ、言ってるでしょぉー? あの金髪の事はぁ、名前で呼んでるのにぃー、差別だ差別だぁー!」
等とブー垂れてる末代のお陰で、少しは学校生活も楽しくなって来たようだ。
「…………おい、今すぐ怜から離れろ、ガングロ雌豚女。発情期にはまだ早いわよ?」
「……あらぁ? 居たのぉ? 金髪ちゃぁーん……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
「な、何やら争い事の匂いがするー……仲良くしなよー……」
「「無理っ!!」」
「仲が良いのか、悪いのか……」
ここで怜がふと時計を見ると、「あ、やばー」と声を上げた。
「急いでるの? でも任務じゃないのよね?」
「まぁねー……今日は会議だよー、『六強』だけが集められる会議ー」
「『六強』……?」姫美は首を傾げる。
フフン! と大きく鼻を広げ、ドヤ顔で末代は言う。
「『六強』って言うのはぁ、怜っちや冥さんを含んだ、ゴーストバスターでトップの六人の事を表す言葉なんだよぉ? 知らないんだぁー、プププ! あ、冥さんって誰か知ってるぅー? 怜っちのお姉――」
「怜のお姉さんでしょ? 知ってるわよ、私――可愛がってもらってる、か、ら、ね!」
「な、何ですってぇ!? くぅぅー、じゃ、じゃあ! 剣一郎君は知ってるぅ?」
「え? だ、誰それ? 私知らないわ」
「はっはぁー! イ、ロ、ノ、の、か、ちぃー! ひゃっほぉーい!」
「…………じゃあ、あんた……天地ちゃんの事知ってる?」
「…………!? も、もももも勿論し、しし知ってるわよぉ……?」
「ふぅん……じゃあ、どんな人か言ってみてよ」
「え!? えぇーっとぉ……人体模型が好きなぁ……お、男の人でしょぉ……?」
「全然違うし……ていうか、人体模型が好きって……何?」
「何よぉ! 自分が知ってる人だけ上げてぇ、優越感に浸っちゃってぇ! あなたぁ! 見た目だけじゃなく、心の中まで冷たいのねぇ!」
「……先に言い始めたのはどっちよ……」
苦笑いで、その言い争いを聞いていた怜だったが、本当に急ぎの用の為、「じゃあねー!」と話を無理やり切って校門を駆け抜けた。
「それにしてもー……何であの二人ー、あんな仲悪いんだろー?」
怜が去った後も、暫く言い争いは続いたそうな。
そして怜は、『六強会議』に参加をした訳だが……
「前代未聞だろぉ? 何考えてんだぁ、お前……」
「えー……いきなりそんな事言うー? 命吉さんー」
会議が開催して早々、怜は命吉《めいきち》と呼ばれる先輩に問い詰められている。
「当たり前だろうがぁ! どこの世界に、『霊王に最も近い悪霊』を、一般人に融合させるゴーストバスターがいるんだぁ!? アホかぁ!!」
「……あー……もう、うるさいなぁー。うるさいのは学校のヤンキーだけで十分なのにー……」
「うるさいけど、命吉の意見には私も賛同……何血迷ってるの怜……あんたらしくもない……」と、サイドテールの女性が話に割り込んだ。
「見舞さんまでー……」
「……私達の仕事は、一般人を守る事……けれど決して、一般人を、化け物にしてまで生き長らえさせるのは……違うと思う……その子はあなたが守れなかった一般人……死んだのなら、現実を受け入れるべきだった……違う?」
その見舞《みまい》と呼ばれる女性は、そう諭す様に言った。
「うーん……! オイラは別に良いと思うけどなー! それだけ、その人の事を助けたかったって事っしょー? 良いじゃんそれくらい!」剣一郎はどうやら、怜の意見に賛成のようだ。
「うるさい……剣一郎には聞いてない」
「へーい」
見舞が睨み付けると、剣一郎はすごすごと引き下がった。
黙る怜の代わりに天地が答える。
「でもね見舞さん、怜はあの時、その人に命を救われているの……だからこそ、あの大逆転を起こせたの。その人が命を懸けて怜を助けてなかったら、ウチらは多分全滅してて……きっと新しい『霊王』が生まれていたと思う……その人はウチらの命の恩人なの――だからこそ、怜は生き返らせるっていう決断をしたんだと思う……」
すると命吉がはぁーっと、大きな溜息を吐き落胆した様子で……「仮にも、この中でNo.1、No.2扱いされてるお前らが居て、一般人に命を救われただとぉ!? むしろ、それが一番情けねぇだろうがぁ!!」
「そうね……」見舞が頷く。
「その人が命を懸けて救わなくちゃいけない、と思う程……あんた達が追い込まれたのがそもそもの原因でしょ? あんた達の弱さが、その人を殺したのよ……? それを、まるで美談みたいに……恥ずかしいと思わないの?」
と、見舞は、冷たい目で言い切った。
弱さが――その人を殺した――この言葉に天地はムッとした。
「お言葉ですがお二人共……『拳銃の悪霊』の強さは、ウチらの想定を遥かに超えていました――……そんな相手を、怜は最後に圧倒しました……意図も容易く、一人で倒してしまいました――そんな彼が、弱いと言うんですか?」
「まぁ、追い詰められる迄本気を出せねえコイツも悪いし、何より、周りのお前らが弱い、特に――」命吉は、一番奥の中央の席に座る、冥を睨み付けた。
「冥――お前が居て、何故こんな無様な事になってんだぁ?」
ここに来て、やっと私に話が回って来たか、と言わんばかりに冥が笑った。
「『拳銃の悪霊』が想定を遥かに上回る力を持っていた……そして私達が未熟だった。それだけの話ね」
「おぅおぅ……天下の冥が弱気な発言だなぁ、情けねぇ!!」命吉がオラついて言う。
「……あんたは、少なくとも今は、私達の頭《トップ》――恥ずかしい真似は、しないで欲しい」矢継ぎ早に、見舞も冥を睨み付ける。
冥はそれらを笑って受け止める。「あらまぁ……もしかして貴方達が居たのなら、『拳銃の悪霊』もあっさりと倒す事が出来たのかしら?」
「当たり前だぁ」「当然……」と、二人は即答した。
「そっ」と冥はニヤリと笑う。
「でも……口だけなら、何とでも言えるのよねぇ……」
「何だとぉ!?」「…………!」
「だから、貴方達には是非とも――その力を本番で見せて欲しいわ……そうよね? 怜……」
冥から話を振られた怜は頷く「うんー、まー、そうだよねー」
「上等だぁ……!」昂る命吉。
片や「私達に何をさせようって言うの……?」と冷静に問い掛ける見舞。
冥は答える。
「怜は、その子を生き返らせる時……ある条件を出したの、それはご存知かしら?」
「条件……?」「何だそりゃ?」
「やはり、お聞きになっていないか……分かりましたお話しましょう、怜がその子を生き返らせる引き換えに出した条件は――
『怜とその子の二人で――霊王を一体倒す事』」
「「はぁ!?」」これには、命吉と見舞だけでなく、その場にいなかった剣一郎も声を上げた。
「二人で……『霊王』を倒すだぁ!?」
「馬鹿げてるわ……そんなの無理に決まって……」
「うっわぁ……思い切った事言ったねぇー……怜ってばー」
「けど、怜は自分の犯した事の重大さをちゃんと理解してるからこそ……このような、超高難易度の条件を提示したのよ。私は、その意見を尊重したからこそ、蘇生を許したの……」冥はここでニヤリと笑う。
「そ、れ、でぇ――
都合の良いタイミングで、『霊王』が関わっているであろう依頼が一件、ここにあるのよねぇ」
冥はそう言って、一枚の紙をペラペラと指で挟み靡かせながら続ける。
「本当は、怜とその子に条件をクリアさせる為、私と天地、剣一郎がサポートしつつ、二人で倒させるつもりでいたんだけどね……そこまで言うなら、命吉と見舞の口だけじゃない所も見てみたいなー……的な?」
「……つまり……オレと見舞も、その依頼を手伝えという事かぁ? 上等だぁ! やってやろうじゃねぇかぁ!!」
「上等……怜とそいつに出番がないくらい、圧倒してやる……」
命吉と見舞は物凄くノリノリで承諾して来た。
冥がニヤっと笑う。
「なら、こうしましょう――怜とその子のチーム、対、命吉と見舞チーム――より早く、その『霊王』を仕留められた方が勝ち……それでどうかしら?」
「乗ってやろうじゃねぇかぁ!!」
「面白い」
二人が、目の前の机を思いっ切り叩きながら立ち上がった。怜を睨み付ける。
「覚悟は出来てんだろうなぁ? 怜ぃ!」
「そっちが負けたら……その子は処分……それで良いわね?」
二人の問に、怜は真面目な表情で答える。
「…………良いよー」
こうして、争いが始まった。
美永姫美――彼女の、生死を賭けた争いが……
怜は強気でこう返答し、この話は終わりとなった。
「絶対、ボクが『霊王』を倒すからー、覚悟しといてねー」
次の倒すべき相手は――【霊王】だ。
【ゴーストバスター幽野怜】了
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/871924221
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/376506010/134920398
上記URLもしくは、上記タグ『ゴーストバスター幽野怜シリーズ』をクリックし、順番通り読んでいただくことをオススメします。
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