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まいにゅーへあ
しおりを挟む7月1日に頭を丸坊主にしまして。
ここ数年、特に2019年頃から、頭髪の薄さがのっぴきならないところまで来てるなという自覚から目を背けられなくなり。もっとさかのぼれば二十代の終わりぐらいからその辺は意識していて。
それでもまあ、まだ、そんなに…などと自分を誤魔化しながら美容室に通っていました。
が、事態は思わぬところから急展開を見せる。
二十歳の時いっしょにバイトしてた縁で、以来10年以上お世話になっていた美容師さんが寿退社することになったのだ。じゃあ、もう、そろそろいっそ……。
と、ジョーシン電機にバリカンを買いに行って来まして。
帰って充電して、そのまま剃り上げました。
今後は小さめの武藤敬司とか山本小鉄さんみたいに、ツルツル頭で身体を鍛えている。そういう感じで行こうかと。
それにしても、いやーー快適、快適。
アタマが軽い。でも汗をせき止めるものがなくなったので、ヘルメット被って作業してると以前の数倍、汗が垂れる。あと寝起きの頭皮が脂っぽい気がして、なんだかベタベタする。
それに小まめに手入れをしないと結構モサモサしてきて気持ちが悪い。
まだ残り少ないとはいえそれなりに毛も生えているので黒っぽくて、地肌の見えているところがマダラで見苦しい。ならば、とカミソリでさらに剃ってみたが、今度はエアコンが冷えるわ生えかけの後頭部にシャツやタオルが引っ掛かって首を持っていかれるわ、どのみちマダラは解消されないわで……結局、数日にいっぺん1ミリのアタッチメントでジージージョリジョリすることにした。
でまあ、そんなことがあったことを誰にも言わずに過ごして来た。
すると、急に丸坊主になった状態でお会いするのでみんなのリアクションが面白くて。
あまり面識のない人には戸惑われ、何度かお会いしている人には驚かれ、長い付き合いの松山勘十郎さんにも「佐野……だよなあ?」と戸惑われ。
ただ概ね、会社でも私生活でも好評なので、楽だし評判もいいし、こんなことならもっと早くしておくのだった。
で、急に丸坊主にしたもんだから理由を訪ねて下さる方もいるのですが、もうこれは正直に
「ハゲてきて、みっともないんで剃りました!」
と答えている。いやーハハハハ、ぐらいにして曖昧に濁すことも出来るのだが、考えてみれば自分より他人のがアタマの薄いのなんか気が付くもんだし。気にするかどうかは別として。それに私の場合、もう何年も自覚があり、その前からじわじわと覚悟を決め、漸く実行出来ただけなので結構そのへんハッキリ言ってしまえたのだった。
でまあ、これで私としては自分の体の中で理想より遥かに背が低いことと、ちんちんが小さいことに続いて三つ目の諦めが付いたことになる。
背が低いのなんか中学ぐらいでもう、ああコレ以上もう伸びないなと思った時はショックで。190センチぐらい欲しかったし、今でもやっぱり時々それがぶり返すのか、背の高いキャラクターを作ることが多い。プロレスの週刊誌に載ってる通販グッズで、背を伸ばすサプリと電動ストレッチャーみたいのを本気で買おうと思ってたぐらい。
何しろ理想の男性像は吉井和哉さんにもうちょい筋肉をつけた感じ、もしくは顔が郷秀樹で身体が帰ってきたウルトラマン、とか。ないものねだりの極致である。
ニンゲンはそんな風にしていづれ青かったのが老けていき、自分にも人生にも社会にも、良くも悪くも白んでゆく。すると諦めもつくし、その中でどうやって生きるか。自分を活かすか。または他に強みや楽しみを見出すかということを考えられるようになる。
そして、人の悩みに付け込む奴等のことを猶更、軽蔑するようになる。私もまだ枯れきることは出来ないでいるのだろう。
オイ、LINEの上んとこの広告に出て来る一般社団法人憧輝堂!!
お前んことのあのバナーの文言、あれ考えた奴とGO出した奴、糞だな!
何が「生えへんぞ?」だ。無残になった頭部の写真に、煽るような言葉。
目につくんじゃなく、こういうのは目障りというのだ。反省しろ。丸坊主にするとか。
〇〇な人、絶対やって!
とか、逆に絶対やめて!とか、あの早回しで早口でペチャクチャ喋る動画広告も鬱陶しいよな。
椎名誠のアド・バードに出て来る、広告まみれで押しつけがましいサービスを提供(強制)される代わりに安く泊まれる無人ホテルみたい(全部の広告をオフにすると法外な値段になるらしい)になって来てて、いやあね。
もう何年も、ふと鏡を見たらオデコどころか頭頂部まで髪の毛が抜けている夢を見たりとか、子供の頃には家庭不和のストレスでデッカイ円形脱毛症になったとか、髪の毛に関して本当にストレスを感じていた。だから、そこを煽られるようなことにはまだ過敏になっているのかも知れないし、諦めたとはいえ傷は癒えていないのかも。
ケディバシュカンさんにお邪魔した時、私から丸坊主の理由を聞いたカツミさんが
「心は楽になられましたか」
と驚きながらも気遣ってくれた。世の中みんながそういう人では無いにしても、私には
「ええ、とても」
と答えることで自分で自分に裏付けられたのかも知れないし、髪の毛を剃ったぐらいで軽くなるコンプレックスなら安いものだ。
何しろ私の体は、まだ100キロぐらいある。髪の毛の重さだけでは、まだまだ軽くはならない。
デブに諦めがつくか、デブの方が私を諦めるか。
コンプレックスとの戦いは続く。
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