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そしたらあれできめてくださいよ
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前回、アメリカ・ロシア旅行記を読んで大変素晴らしかったと書いた、善良な市民ことライターで編集者の
明智真理子さん
の本、実は二冊同時に出ていて。どちらも明智さん自ら発行したものを、通販で入手しました。
今回ご紹介するのは外国のプロレスを舞台にした短編小説。
「そしたらあれできめてくださいよ」
メキシコとアメリカの中間ぐらいの雰囲気かな。登場人物はスパニッシュ系、客層や生活様式もなんとなく、カラッとした場所のイメージが湧く。
行ったことないけどティファナとか、テキサスのメヒコに近い方なのかもしれない。
明智さんはルチャリブレ評論家を自称するだけあって、細かな雰囲気やキャラのクセなんかがとても掴みやすく、今すぐYouTubeやスカパーを点ければそこに居そうな選手や実況席の面々が登場する。
今風というよりは、80年代の米南部マットっぽい雰囲気もムィ・ビエンだ。
私は80年代コッテリテカテカ、蛍光カラーのコスチュームで目がチカチカする、コクしかない、あの筋肉モリモリマッチョプロレスが大好きなのだ。
主人公は若手イケメン善玉レスラーのミカエルと、そのパートナーで人気悪役レスラーのリサルド。プロレスが好きでレスラーの道を選び、今また新たにチャレンジをしたい!新しい自分を見せたいと血気盛んなミカエルと、そんな彼を優しく厳しく導きつつ悪党修行をさせるリサルド。
経験豊富なベテランと期待の若手を組ませることは、あのリック・フレアーも推奨する売り出しの王道だが、ここではミカエル自らが会社やファンの後押しを振り切ってリサルドの元へ走る。リサルドはそれに乗っかり、二人で団体内を引っ掻き回す痛快なストーリー。
二人の人気は上昇、荒っぽい試合や流血戦を経て揃いのコスチュームを作る。
街へ繰り出し、買い物をして、遊園地に行って……まるで仲の良い父子か、トシの離れた兄弟みたいにひと時を楽しんだ。そしてタッグのタイトルマッチが近づき、団体の製作するPR番組に出演したミカエルとリサルド。ミカエルは悪党っぷりを発揮した後、突然リサルドの昔話を始める……こっからアツいんだ!
けど、私が書くのはここまで。
ANDALEというのは明智真理子さんのブログの名前でもあった気がする。意味は知らない。まだ調べてない。
プロレスを題にとったフィクションは私も何度もチャレンジしてて、でも半端にもならない些末な経験が邪魔をして中々進まなかった。
このお話の世界にほど近い、メキシコ・ナウカルパン市ハルディンの街角にあったプロレスラー養成学校に、高校卒業後の私が居た。2005年の話だから、もうずいぶん前だ。
私は田舎住まいで、毎週の週刊誌や試合の中継、そしてレンタルビデオ、たまに出る新刊や中古屋さんを何件も回って探した中古の書籍ぐらいが頼りだった。
衛星放送もない、あっても見れない。グッズやビデオは高くて買えない。プロレスは1年か2年にいっぺん来る。そんなところで、いつも情報に飢えながらプロレスマニアをやっていた。
あんなに憧れた世界、あんなに夢見たマットを、私は踏むことなく帰国した。
プロレスラーになりたかった男、として、今日もプロレスについて素人文章を書いている日々だ。
だから、この手の作品は、正直苦手なものも多い。自分が出来なかったことを、絵空事の世界で果たすとしたら、それは自分の手で、自ら書き上げなくてはならないと、私は内心ずっと思っているからだ。
だけど、何度も書き始めては失敗して。最近やっと、短いものを幾つか書き上げることが出来た。
そうこうしている間に、プロレスをテーマにした漫画や小説は世に数多と溢れているし、その中には面白いものもあれば、私の好みには合わないものもあって。
この「そしたらあれできめてくださいよ」は、とてもいい温度で、本当に心の底から、面白かった。この二人のタッグをもっと見たいと思ったし、続きが気になって。
ここで終わりなのが正直、物足りない。この作品に注文を付けるところがあるとすれば、そこだけだ。
ミカエルとリサルドのタッグが何処まで行くのか。
この団体がテキサスのビッグプロモーションだとすれば、WCW的な団体に移籍するとか。WCW的なポジションだとすれば、WWF的な競合団体へ電撃移籍か。それとも日本やカナダ、ヨーロッパなどの海外へ出るのか。
想像は尽きない。
渋いオッサンと意気軒昂な若者の組み合わせも良かったし、混じりッケなし、ストレートな展開も良かった。素直に進む物語を、素直に楽しむことが出来ました。
あの頃の私にコレを見せても、きっと顔をしかめたと思う。自分で自分の挫折を飲み込めてないうちは、きっとそれが邪魔して楽しめなかった。
流石に今はそんなこともなくなってきて、キャラの良さやお話の素敵さ、勢いがあって洒落の効いたフレーズも相まったこの物語を受け止めて
背中できちんとバンプが取れた
そう思って、決して分厚くはないけれど濃密な、この本を閉じました。
2冊とも買ってよかった!
とてもいいものを、読ませていただきました。
明智真理子さん、改めてありがとうございます。
この物語に大仰なタイトルや、如何にも青春なフレーズ、プロレスを連想させやすい(如何にもそれっぽい)モノを付けず
「そしたらあれできめてくださいよ」
と名付けた、そのセンスが物凄く好きです!!
明智真理子さん
の本、実は二冊同時に出ていて。どちらも明智さん自ら発行したものを、通販で入手しました。
今回ご紹介するのは外国のプロレスを舞台にした短編小説。
「そしたらあれできめてくださいよ」
メキシコとアメリカの中間ぐらいの雰囲気かな。登場人物はスパニッシュ系、客層や生活様式もなんとなく、カラッとした場所のイメージが湧く。
行ったことないけどティファナとか、テキサスのメヒコに近い方なのかもしれない。
明智さんはルチャリブレ評論家を自称するだけあって、細かな雰囲気やキャラのクセなんかがとても掴みやすく、今すぐYouTubeやスカパーを点ければそこに居そうな選手や実況席の面々が登場する。
今風というよりは、80年代の米南部マットっぽい雰囲気もムィ・ビエンだ。
私は80年代コッテリテカテカ、蛍光カラーのコスチュームで目がチカチカする、コクしかない、あの筋肉モリモリマッチョプロレスが大好きなのだ。
主人公は若手イケメン善玉レスラーのミカエルと、そのパートナーで人気悪役レスラーのリサルド。プロレスが好きでレスラーの道を選び、今また新たにチャレンジをしたい!新しい自分を見せたいと血気盛んなミカエルと、そんな彼を優しく厳しく導きつつ悪党修行をさせるリサルド。
経験豊富なベテランと期待の若手を組ませることは、あのリック・フレアーも推奨する売り出しの王道だが、ここではミカエル自らが会社やファンの後押しを振り切ってリサルドの元へ走る。リサルドはそれに乗っかり、二人で団体内を引っ掻き回す痛快なストーリー。
二人の人気は上昇、荒っぽい試合や流血戦を経て揃いのコスチュームを作る。
街へ繰り出し、買い物をして、遊園地に行って……まるで仲の良い父子か、トシの離れた兄弟みたいにひと時を楽しんだ。そしてタッグのタイトルマッチが近づき、団体の製作するPR番組に出演したミカエルとリサルド。ミカエルは悪党っぷりを発揮した後、突然リサルドの昔話を始める……こっからアツいんだ!
けど、私が書くのはここまで。
ANDALEというのは明智真理子さんのブログの名前でもあった気がする。意味は知らない。まだ調べてない。
プロレスを題にとったフィクションは私も何度もチャレンジしてて、でも半端にもならない些末な経験が邪魔をして中々進まなかった。
このお話の世界にほど近い、メキシコ・ナウカルパン市ハルディンの街角にあったプロレスラー養成学校に、高校卒業後の私が居た。2005年の話だから、もうずいぶん前だ。
私は田舎住まいで、毎週の週刊誌や試合の中継、そしてレンタルビデオ、たまに出る新刊や中古屋さんを何件も回って探した中古の書籍ぐらいが頼りだった。
衛星放送もない、あっても見れない。グッズやビデオは高くて買えない。プロレスは1年か2年にいっぺん来る。そんなところで、いつも情報に飢えながらプロレスマニアをやっていた。
あんなに憧れた世界、あんなに夢見たマットを、私は踏むことなく帰国した。
プロレスラーになりたかった男、として、今日もプロレスについて素人文章を書いている日々だ。
だから、この手の作品は、正直苦手なものも多い。自分が出来なかったことを、絵空事の世界で果たすとしたら、それは自分の手で、自ら書き上げなくてはならないと、私は内心ずっと思っているからだ。
だけど、何度も書き始めては失敗して。最近やっと、短いものを幾つか書き上げることが出来た。
そうこうしている間に、プロレスをテーマにした漫画や小説は世に数多と溢れているし、その中には面白いものもあれば、私の好みには合わないものもあって。
この「そしたらあれできめてくださいよ」は、とてもいい温度で、本当に心の底から、面白かった。この二人のタッグをもっと見たいと思ったし、続きが気になって。
ここで終わりなのが正直、物足りない。この作品に注文を付けるところがあるとすれば、そこだけだ。
ミカエルとリサルドのタッグが何処まで行くのか。
この団体がテキサスのビッグプロモーションだとすれば、WCW的な団体に移籍するとか。WCW的なポジションだとすれば、WWF的な競合団体へ電撃移籍か。それとも日本やカナダ、ヨーロッパなどの海外へ出るのか。
想像は尽きない。
渋いオッサンと意気軒昂な若者の組み合わせも良かったし、混じりッケなし、ストレートな展開も良かった。素直に進む物語を、素直に楽しむことが出来ました。
あの頃の私にコレを見せても、きっと顔をしかめたと思う。自分で自分の挫折を飲み込めてないうちは、きっとそれが邪魔して楽しめなかった。
流石に今はそんなこともなくなってきて、キャラの良さやお話の素敵さ、勢いがあって洒落の効いたフレーズも相まったこの物語を受け止めて
背中できちんとバンプが取れた
そう思って、決して分厚くはないけれど濃密な、この本を閉じました。
2冊とも買ってよかった!
とてもいいものを、読ませていただきました。
明智真理子さん、改めてありがとうございます。
この物語に大仰なタイトルや、如何にも青春なフレーズ、プロレスを連想させやすい(如何にもそれっぽい)モノを付けず
「そしたらあれできめてくださいよ」
と名付けた、そのセンスが物凄く好きです!!
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