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第993回。松山座「田上百花繚乱」第三試合
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花園桃花選手
VS
めぃりぃ選手
VS
松山みゆき選手
ついにこの試合がやってきた。私の両隣のお客さんは、この後何が起こるかわかっている人たちだった。たとえるならばホラー映画通、松山座のお客さんはそんな気質がある。
松山みゆき選手は、怖い。
だけど、どこか可愛くて見られるとやっぱり嬉しい。
色んな意味で目が離せない選手であることは確かだ。
場外乱闘どころか縦横無尽の大暴れ、きっと往年のスタン・ハンセンやザ・シークもこうだったのだろう。私も中学1年生の時、レザー・フェイス(オリジナル)に電ノコをブンブンいわせながら追いかけ回されて暫く夢にまで見てうなされたことがある。この日のお子様ファンも、きっとそうであってほしい。それもまた一つ、沼のほとりに立つことでもあるから。
ホラー映画も「阿鼻叫喚の絶叫プロレスラー松山みゆき」も、入り口は同じだと思うんだ。
先に入場は花園桃花選手。デビューしたばかりだけど松山座でもさっそく定着。可愛いけれど油断ならない、気迫と機転の持ち主だ。
続いてめぃりぃ選手。そういえば、めぃりぃ選手を初めて見たのがココ田上だった。前回の田上公演でのことだった。
その時の入場曲は2002年ぐらいにバカみたくフラッシュアニメ見てた奴なら
コレ使うのwwwww
とひっくり返ったこと間違いなしの選曲。田上の皆さんの中にも、分かった人がいたかもしれないね…。
今回はキックボードなし、さっと登場して手を振る。めぃりぃ選手に出会って5年でもあるのかあ。全然変わらず今日も可憐で可愛らしいなあ…と思っていられるのもここまで。
味方リングアナウンサーからは注意を促す放送が流れ、めぃりぃ選手も花園選手もビビっている。レフェリーはアオーレ長井さんになってしまったらしい…アオーレ長井さんもビビっている。座長も姿を見せ、不測の事態に備えている。
落陽で影になった廃村で、サビついてすっかり壊れたスピーカーから突然サイレンが鳴り響くような。
そんなイメージが浮かぶ。
いよいよ松山みゆき選手の登場だ。
入場テーマ曲であるストロベリーソングオーケストラさんの「切断ダリア」が鳴り続けるが、どこから出てくるかわからない。いつまでたっても出てこない。
まさかリングの下から出てこないだろうな…と思っていたら、紅白の横断幕の下から這いずり出てきた!!
出た!松山みゆきだ!!
逃げろ!!!!!!
ふらふらとリングインした松山みゆき選手の、チェックをするにもマネキンの生首は持ってるし…
観客、対戦相手、レフェリーまでみんなビビりながら第三試合のゴングが鳴る。
場外で松山みゆき選手がフラついているスキに、試合を進めようとする花園選手とめぃりぃ選手。この試合は三つ巴で、先に誰かひとりが勝ち抜けばそれで試合終了なのだ。
花園選手「今のうちに、自己紹介を!」
とめぃりぃ選手に促し、お馴染みの自己紹介をさせておいて後ろから丸め込む。可愛い若手女子レスラーだと思っているとこういう味な真似をする。
微笑ましさとズル賢さが同居する不思議な丸め込みでした。
ちなみに
この間に場外の松山みゆき選手の写真を撮ってたら…
じっとこっちを見ている。
目が合った。
あの日のレザーフェイスを超えるとしたら松山みゆき選手かもしれん…。
リング上では怒っためぃりぃ選手が怒涛の反撃、が、しかし!
ロープに走ったところには松山みゆき選手が!
足を掴まれ場外に引きずり降ろされて、あとは阿鼻叫喚の地獄絵図。
お客さんは逃げ惑う、写真を撮ろうとするファンを座長はじめセコンドの皆さんが必死で遠ざける、椅子や荷物でケガをしないようにする、対応に追われてテンテコ舞い。
しかしやはり不測の事態に備え適切な人員で万全の態勢を整えて臨まなくてはならない。松山みゆき選手で学ぶ災害対策と経済政策は紙一重であり表裏一体である、というお話。
しかしてそんな悠長な能書きを垂れている場合ではない。
いつだったか、松山みゆき選手がぶっ飛んできて私は直撃を食らったことがあった。怖いやら驚くやら、下手に触れると反撃したとみなされるかもしれない。
で固まってたらセコンドの皆さんには
離れて!!!
と怒鳴られる始末。そりゃ離れられるもんなら離れたかったよ…!
あの恐怖がよみがえるが、しっかり写真は撮りました。
そして花園選手が松山みゆき選手を遂に捕らえ羽交い絞めに。
そこにエルボーを打ち込むめぃりぃ選手。
血を噴き出して悶絶する松山みゆき選手。
ギャーーーっという悲鳴。
花園選手もめぃりぃ選手も血飛沫を浴びて泣き叫んでいる。その間に松山みゆき選手が逃亡。会場中を縦横無尽に駆けずり回り恐怖のどん底の底が抜け、そのさらに奥の底が割れる。小さなお子様のギャン泣きが聞こえてくる。それがさらに松山みゆき選手を加速させる。
場外の養生シートには生々しい血痕が。
そうか、新潟プロレスさんのリングだから、マットじゃなく場外だったのか…?
そんなこと松山みゆき選手が考えてくれてるかどうかはわからないけど。
場外で暴れている間に試合に戻っためぃりぃ選手と花園選手。キャメルクラッチの掛け合いをしているあいだに松山みゆき選手が戻ってきてにじり寄る。
どちらが餌食になるのか!?
と思いきや協力して松山みゆき退治に。が、やはり反撃に遭い最後は戦慄の
二人まとめて鎌固め
で、恐怖と絶叫と痛みで二人同時にギブアップ。
松山みゆき選手は暴れるだけ暴れて、随所で技のキレと身体能力の高さを見せつけ、嵐のように去っていきました。
依り代となるハイビスカスみぃ選手が人気も実力も非常にハイクラスな選手であることも、幸か不幸か松山みゆき選手にフィードバックされていて手が付けられなくなっている。松山みゆき選手の次の餌食は…?
ちなみに5年前もめぃりぃ選手が、あの恐怖の顔面ドアップ鎌固めを食らってギブアップしていました。その瞬間の顔。ありゃ夢に出るどころか見たそばから石になってもおかしくない。
松山みゆき、おそるべし…!
VS
めぃりぃ選手
VS
松山みゆき選手
ついにこの試合がやってきた。私の両隣のお客さんは、この後何が起こるかわかっている人たちだった。たとえるならばホラー映画通、松山座のお客さんはそんな気質がある。
松山みゆき選手は、怖い。
だけど、どこか可愛くて見られるとやっぱり嬉しい。
色んな意味で目が離せない選手であることは確かだ。
場外乱闘どころか縦横無尽の大暴れ、きっと往年のスタン・ハンセンやザ・シークもこうだったのだろう。私も中学1年生の時、レザー・フェイス(オリジナル)に電ノコをブンブンいわせながら追いかけ回されて暫く夢にまで見てうなされたことがある。この日のお子様ファンも、きっとそうであってほしい。それもまた一つ、沼のほとりに立つことでもあるから。
ホラー映画も「阿鼻叫喚の絶叫プロレスラー松山みゆき」も、入り口は同じだと思うんだ。
先に入場は花園桃花選手。デビューしたばかりだけど松山座でもさっそく定着。可愛いけれど油断ならない、気迫と機転の持ち主だ。
続いてめぃりぃ選手。そういえば、めぃりぃ選手を初めて見たのがココ田上だった。前回の田上公演でのことだった。
その時の入場曲は2002年ぐらいにバカみたくフラッシュアニメ見てた奴なら
コレ使うのwwwww
とひっくり返ったこと間違いなしの選曲。田上の皆さんの中にも、分かった人がいたかもしれないね…。
今回はキックボードなし、さっと登場して手を振る。めぃりぃ選手に出会って5年でもあるのかあ。全然変わらず今日も可憐で可愛らしいなあ…と思っていられるのもここまで。
味方リングアナウンサーからは注意を促す放送が流れ、めぃりぃ選手も花園選手もビビっている。レフェリーはアオーレ長井さんになってしまったらしい…アオーレ長井さんもビビっている。座長も姿を見せ、不測の事態に備えている。
落陽で影になった廃村で、サビついてすっかり壊れたスピーカーから突然サイレンが鳴り響くような。
そんなイメージが浮かぶ。
いよいよ松山みゆき選手の登場だ。
入場テーマ曲であるストロベリーソングオーケストラさんの「切断ダリア」が鳴り続けるが、どこから出てくるかわからない。いつまでたっても出てこない。
まさかリングの下から出てこないだろうな…と思っていたら、紅白の横断幕の下から這いずり出てきた!!
出た!松山みゆきだ!!
逃げろ!!!!!!
ふらふらとリングインした松山みゆき選手の、チェックをするにもマネキンの生首は持ってるし…
観客、対戦相手、レフェリーまでみんなビビりながら第三試合のゴングが鳴る。
場外で松山みゆき選手がフラついているスキに、試合を進めようとする花園選手とめぃりぃ選手。この試合は三つ巴で、先に誰かひとりが勝ち抜けばそれで試合終了なのだ。
花園選手「今のうちに、自己紹介を!」
とめぃりぃ選手に促し、お馴染みの自己紹介をさせておいて後ろから丸め込む。可愛い若手女子レスラーだと思っているとこういう味な真似をする。
微笑ましさとズル賢さが同居する不思議な丸め込みでした。
ちなみに
この間に場外の松山みゆき選手の写真を撮ってたら…
じっとこっちを見ている。
目が合った。
あの日のレザーフェイスを超えるとしたら松山みゆき選手かもしれん…。
リング上では怒っためぃりぃ選手が怒涛の反撃、が、しかし!
ロープに走ったところには松山みゆき選手が!
足を掴まれ場外に引きずり降ろされて、あとは阿鼻叫喚の地獄絵図。
お客さんは逃げ惑う、写真を撮ろうとするファンを座長はじめセコンドの皆さんが必死で遠ざける、椅子や荷物でケガをしないようにする、対応に追われてテンテコ舞い。
しかしやはり不測の事態に備え適切な人員で万全の態勢を整えて臨まなくてはならない。松山みゆき選手で学ぶ災害対策と経済政策は紙一重であり表裏一体である、というお話。
しかしてそんな悠長な能書きを垂れている場合ではない。
いつだったか、松山みゆき選手がぶっ飛んできて私は直撃を食らったことがあった。怖いやら驚くやら、下手に触れると反撃したとみなされるかもしれない。
で固まってたらセコンドの皆さんには
離れて!!!
と怒鳴られる始末。そりゃ離れられるもんなら離れたかったよ…!
あの恐怖がよみがえるが、しっかり写真は撮りました。
そして花園選手が松山みゆき選手を遂に捕らえ羽交い絞めに。
そこにエルボーを打ち込むめぃりぃ選手。
血を噴き出して悶絶する松山みゆき選手。
ギャーーーっという悲鳴。
花園選手もめぃりぃ選手も血飛沫を浴びて泣き叫んでいる。その間に松山みゆき選手が逃亡。会場中を縦横無尽に駆けずり回り恐怖のどん底の底が抜け、そのさらに奥の底が割れる。小さなお子様のギャン泣きが聞こえてくる。それがさらに松山みゆき選手を加速させる。
場外の養生シートには生々しい血痕が。
そうか、新潟プロレスさんのリングだから、マットじゃなく場外だったのか…?
そんなこと松山みゆき選手が考えてくれてるかどうかはわからないけど。
場外で暴れている間に試合に戻っためぃりぃ選手と花園選手。キャメルクラッチの掛け合いをしているあいだに松山みゆき選手が戻ってきてにじり寄る。
どちらが餌食になるのか!?
と思いきや協力して松山みゆき退治に。が、やはり反撃に遭い最後は戦慄の
二人まとめて鎌固め
で、恐怖と絶叫と痛みで二人同時にギブアップ。
松山みゆき選手は暴れるだけ暴れて、随所で技のキレと身体能力の高さを見せつけ、嵐のように去っていきました。
依り代となるハイビスカスみぃ選手が人気も実力も非常にハイクラスな選手であることも、幸か不幸か松山みゆき選手にフィードバックされていて手が付けられなくなっている。松山みゆき選手の次の餌食は…?
ちなみに5年前もめぃりぃ選手が、あの恐怖の顔面ドアップ鎌固めを食らってギブアップしていました。その瞬間の顔。ありゃ夢に出るどころか見たそばから石になってもおかしくない。
松山みゆき、おそるべし…!
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