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第974回。立石だらり呑み
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麦原だいだい先生のマンガ、立石だらり呑みを読み終わりました。何度読んでも美味しそうだし、何度読んでも飲み過ぎてる。オビにはなぎら健壱さんがドーンと眩しいスマイル。
どうぞ隣の席が空いてます、と招かれるままページをめくる。
可愛らしくデフォルメされた「麦原だいだいさん」が今も残る立石のお店をふらりと訪れ、飲み食いした記憶と周囲の情景を描いた作品で、どのお店もヒトも料理も愛着を持って描かれています。
もっとも冒頭ではその今となっては現代とは少し違う雰囲気に圧倒され、排他的に見えるお客さんの視線や往来で嘔吐しているオッサンに恐れおののき自宅でクダをまくという最悪のスタート。
確かに地元ラブみたいな人の中には勝手にこっちを仮想敵にしてたり、地元への愛着と偏執を取り違えたような人もいるよなー、うんうんわかる。
とコッチがくだまいてる方に歩み寄った次のコマで読者はハシゴを外される。
2018年7月の麦原だいだい先生は、その立石で飲み歩くことが仕事であり楽しみになっていく。
最初はお店のルールとか、雰囲気に気おされる描写が多いけど、料理のおいしさやそこにいるヒトに触れてお互いに融和していく様子がとても興味深いです。
お店の雰囲気、聞こえてくる騒がしい音、逆にしんとしている様子、店内にこもる熱気や料理の熱さ、お客さんや店員さんの体温、空気のにおい、色んなものが伝わってくるようでした。
取っつきにくいお店に担当編集者さんと入る、注文するにもドギマギする、やっとありついたそのメニューの美味いこと!
という一連の流れは様式美みたいで、びびってる担当さんと、お構いなしに料理とお酒に夢中になる主人公・麦原さんの対照的な様子も面白いですし、麦原さんが料理のおいしさにだんだん心を奪われていく様子はたとえば立ち食いのお寿司屋さんでのシーンに顕著で、最初はとにかく抵抗を示す麦原さんですが意を決して一口ポーンと行った瞬間に世界が一変。
食べるたびにお寿司を掴む速さが増して、効果音と目の色が変わっていきます。
食事もお酒もグイグイ進む様子はこうやって表すのね、というお手本みたいで一番のお気に入りのシーンです。
あとやっぱり熱帯居酒屋、あの焼きそば…いや正直言うと暑がっていたお姉さんには是非お目にかかりたい…!!読んでる方も暑く感じるような描写が逆にお姉さんのエコ&エロさを浮き上がらせていて、汗や熱気のにおいが伝わってくるかのようでした。ビールが苦手な私でも、あれは美味しそうに思えますもの。
そしてこの本の山場は中盤、キャプテン翼でお馴染みの高橋陽一先生が登場する前後編。前半はイタリアンで、後半は高橋先生の同級生の方が経営するカラオケパブ・ブリっ子さんでの様子が描かれている。何気に、高橋先生のこういう一面は貴重なんじゃないでしょうか。やっぱり大御所作家のイメージでしたし、今でも地元とサッカーをこよなく愛するにこやかな紳士然とした描かれ方をしたことで作品についてもとっつきやすさが増したと思います。
ので、麦原だいだい先生の社会貢献度もかなり上がってます!大丈夫です!!
マンガが書き終わってからにしてくださいね、がフィクションであることを願うばかりです…(笑)
そういえば高橋先生の回で麦原だいだい先生の異様なこだわりが見えていたカラオケ。なんのこっちゃと思いきや、麦原だいだい先生はカラオケに関するマンガ
「私の異常なカラオケ愛」
も描かれていた!それもかなり崖っぷちな様子の…これがあって、立石だらり呑みに繋がったわけですね。なーるほど。
第1話の無職・兼マンガ家というのはそういう状況も踏まえてのもの…だからというだけではないでしょうが、やはりお財布にも心にも優しい立石の飲み屋さんは嬉しいものなのかもしれませんね。
ちなみに私もカラオケは立って歌うし、店員さんが来ても吹っ切れて歌うようにしています。元バンドマンだし人前で歌うのには変わらんだろ、という強引な理屈もあって平気になりました。キエエエエ!
ただ一人ハモり音源とか一人ご本人様登場ごっことか、さらに季節まで捻じ曲げての踏み台昇降運動まで…一連のアレは常識の範囲外にありました。世の中は広いですね…!微妙に歌詞を変えつつ何をどう歌っているのかがよくわかるあたりからも、その素晴らしさが伝わってきます。今もヒトに聞かれず秘密のままであることを願うばかりです…絶対そんな機会はないでしょうがうっかり聞いたら消されるなコレは。
第5話の続きはどこの密室だったんですかねえ(ゲスの勘ぐり)
立石だらり呑みはちょうどコレを載せてすぐの9月24日にも新作が公開されますし、「私の異常なカラオケ愛」は同じく麦原だいだい先生のページからご覧になれます。序盤の切羽詰まって、人間の尊厳を失いかけそうな麦原先生の表情からの、歌い終わったあとの清々しい笑顔に癒されること請け合いです。私は5話まで全部一気読みでした。
高橋先生の登場からまた落ち着いて、一風変わったお店や、商店街でお惣菜を買いこんでの外呑みと続きます。
私も大阪に行った時、飲み慣れている人と心斎橋の公園で飲んでみたことがありますがあれは夏でも楽しいですね。冬も良いと思います。が、確かに冷えるだろうなあ。
この本を読んでまず行きたくなったのは、あの
うさ耳だいだい先生
の写真があるであろうお店。
ページごとのコラムで補足&実感、イラストも可愛らしくて。
読み応えのある一冊でした。ガイドブックであり、だらりとした日常マンガとしても愛すべき作品だと思います。
どうぞ隣の席が空いてます、と招かれるままページをめくる。
可愛らしくデフォルメされた「麦原だいだいさん」が今も残る立石のお店をふらりと訪れ、飲み食いした記憶と周囲の情景を描いた作品で、どのお店もヒトも料理も愛着を持って描かれています。
もっとも冒頭ではその今となっては現代とは少し違う雰囲気に圧倒され、排他的に見えるお客さんの視線や往来で嘔吐しているオッサンに恐れおののき自宅でクダをまくという最悪のスタート。
確かに地元ラブみたいな人の中には勝手にこっちを仮想敵にしてたり、地元への愛着と偏執を取り違えたような人もいるよなー、うんうんわかる。
とコッチがくだまいてる方に歩み寄った次のコマで読者はハシゴを外される。
2018年7月の麦原だいだい先生は、その立石で飲み歩くことが仕事であり楽しみになっていく。
最初はお店のルールとか、雰囲気に気おされる描写が多いけど、料理のおいしさやそこにいるヒトに触れてお互いに融和していく様子がとても興味深いです。
お店の雰囲気、聞こえてくる騒がしい音、逆にしんとしている様子、店内にこもる熱気や料理の熱さ、お客さんや店員さんの体温、空気のにおい、色んなものが伝わってくるようでした。
取っつきにくいお店に担当編集者さんと入る、注文するにもドギマギする、やっとありついたそのメニューの美味いこと!
という一連の流れは様式美みたいで、びびってる担当さんと、お構いなしに料理とお酒に夢中になる主人公・麦原さんの対照的な様子も面白いですし、麦原さんが料理のおいしさにだんだん心を奪われていく様子はたとえば立ち食いのお寿司屋さんでのシーンに顕著で、最初はとにかく抵抗を示す麦原さんですが意を決して一口ポーンと行った瞬間に世界が一変。
食べるたびにお寿司を掴む速さが増して、効果音と目の色が変わっていきます。
食事もお酒もグイグイ進む様子はこうやって表すのね、というお手本みたいで一番のお気に入りのシーンです。
あとやっぱり熱帯居酒屋、あの焼きそば…いや正直言うと暑がっていたお姉さんには是非お目にかかりたい…!!読んでる方も暑く感じるような描写が逆にお姉さんのエコ&エロさを浮き上がらせていて、汗や熱気のにおいが伝わってくるかのようでした。ビールが苦手な私でも、あれは美味しそうに思えますもの。
そしてこの本の山場は中盤、キャプテン翼でお馴染みの高橋陽一先生が登場する前後編。前半はイタリアンで、後半は高橋先生の同級生の方が経営するカラオケパブ・ブリっ子さんでの様子が描かれている。何気に、高橋先生のこういう一面は貴重なんじゃないでしょうか。やっぱり大御所作家のイメージでしたし、今でも地元とサッカーをこよなく愛するにこやかな紳士然とした描かれ方をしたことで作品についてもとっつきやすさが増したと思います。
ので、麦原だいだい先生の社会貢献度もかなり上がってます!大丈夫です!!
マンガが書き終わってからにしてくださいね、がフィクションであることを願うばかりです…(笑)
そういえば高橋先生の回で麦原だいだい先生の異様なこだわりが見えていたカラオケ。なんのこっちゃと思いきや、麦原だいだい先生はカラオケに関するマンガ
「私の異常なカラオケ愛」
も描かれていた!それもかなり崖っぷちな様子の…これがあって、立石だらり呑みに繋がったわけですね。なーるほど。
第1話の無職・兼マンガ家というのはそういう状況も踏まえてのもの…だからというだけではないでしょうが、やはりお財布にも心にも優しい立石の飲み屋さんは嬉しいものなのかもしれませんね。
ちなみに私もカラオケは立って歌うし、店員さんが来ても吹っ切れて歌うようにしています。元バンドマンだし人前で歌うのには変わらんだろ、という強引な理屈もあって平気になりました。キエエエエ!
ただ一人ハモり音源とか一人ご本人様登場ごっことか、さらに季節まで捻じ曲げての踏み台昇降運動まで…一連のアレは常識の範囲外にありました。世の中は広いですね…!微妙に歌詞を変えつつ何をどう歌っているのかがよくわかるあたりからも、その素晴らしさが伝わってきます。今もヒトに聞かれず秘密のままであることを願うばかりです…絶対そんな機会はないでしょうがうっかり聞いたら消されるなコレは。
第5話の続きはどこの密室だったんですかねえ(ゲスの勘ぐり)
立石だらり呑みはちょうどコレを載せてすぐの9月24日にも新作が公開されますし、「私の異常なカラオケ愛」は同じく麦原だいだい先生のページからご覧になれます。序盤の切羽詰まって、人間の尊厳を失いかけそうな麦原先生の表情からの、歌い終わったあとの清々しい笑顔に癒されること請け合いです。私は5話まで全部一気読みでした。
高橋先生の登場からまた落ち着いて、一風変わったお店や、商店街でお惣菜を買いこんでの外呑みと続きます。
私も大阪に行った時、飲み慣れている人と心斎橋の公園で飲んでみたことがありますがあれは夏でも楽しいですね。冬も良いと思います。が、確かに冷えるだろうなあ。
この本を読んでまず行きたくなったのは、あの
うさ耳だいだい先生
の写真があるであろうお店。
ページごとのコラムで補足&実感、イラストも可愛らしくて。
読み応えのある一冊でした。ガイドブックであり、だらりとした日常マンガとしても愛すべき作品だと思います。
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