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第951回。#リプで来たものについて語る 体操服
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体操服。いいですねえ。
良くねえよ。
私はアトピー肌なので、体育の時間が憂鬱だった。夏でも足はすね毛のうえにアトピーなので自分でも見てて気持ち悪いのがすげえわかる。でも学校と言うところは普段は精神論だの根性論だの人の気持ちを考えろだの言うくせに、こういう気持ちにはわざとやってるのかってぐらい無神経で鈍感だ。だから行かなくなるんだけどね。夏場でも長ズボンのジャージ履いたっていいじゃんね。橋本真也さんだってそうじゃん。あれはパンタロンか。
そういうわけで体操服っても自分が着るぶんには何にもいい思い出なんかない。腋の下のシミとか汗臭いのとか、ホントイヤだった。
柔道着だってイヤで、試合や練習前にはデオドラントスプレーを欠かさなかった。それもそれで怒られるんだよ、そんなことするなって。だから流行らないんだよ。汗臭くて徒弟制度ガッチガチでエラソーな先輩が幅きかせてるとこに好き好んで入ってくるバカが一体世の中にどれだけいてくれると思っててあんなもんが残ってるんだかわからねえ。
でね。
そんな私のアトピー肌とは裏腹に、中学んときに制服のシャツをポロシャツにしようって言い出した奴がいた。どこの馬鹿だかは忘れた。せっかく買った高いシャツも着れなくなるわけじゃなかったと思うが、それでも私はなんだかイヤだった。
全校集会を開いて意見交換をするっていうんで、全校生徒が体育座りするなか、体育館で何か意見のある人はいますか?と生徒会の伊藤ケンゴ君が言った。で、私は挙手をしてこう言った
「自分はアトピー肌で、服に血がついてしまうこともよくある。みんなが思っているほど、この件を喜んでない人ってのは少ないわけじゃない。みんなはいいかもしれないが、そう言う奴もいるってことをわかってほしい、肌に触れるもので自分で選べるからってそれが良いとは限らないんだ」
先生方からは好評だった。柔道部のプロレスマニアの乱暴者にしては真っ当な意見だったと思う。でも、それに異を唱えたサカキバラという痩せた男の言い草はこうだった
「みんながイイって言ってるんだから個人の意見でそんなこと言うな」
これがパーリーピーポーの民主主義だ。そういうもんだ。そして見事にポロシャツは採用されたが、シャツと併用可能となった。私はポロシャツ着なかったと思う。フツーにサイズがないんで高いシャツ買ってたんだよ。昔からやってる学生服のお店で。ボンタンとか売ってたよそこ。もうないけど。
そうそうボンタンも履いたなあ。別に私がツッパリバリバリそこんとこヨロシク的リーゼント男になったわけじゃなく、その昔そういうバリバリだったキッドさんのお父ちゃんこと輝さんに借りたのだ。別にそういうのに憧れてたとかじゃなく、当時飼ってたネコがボケちゃって、私の学生服のズボンに放尿しちゃったんで物凄い臭くって、仕方がないんで借りて履いてった。
したら来るねえ、ガッコの不良。ボンタン狩りってお前、ビーパップ何スクールだよって。でも私と同い年の矢野君(怪獣みたいに喧嘩が強い)とか、同じ小学校からグレた奴もイッコ上にいたので、そいつらがイイって言うんで不問だった。
なんなんだろうな不良の上下関係って。ある意味、武道とか芸事とかよりわけわかんないよな、そういうのがイヤでグレてんのに先にグレた奴には服従するっていう。あれは結局ルールを自分で選びたいっていうか、そっちに帰属したいってことなんかね。クラスの数人に威張りたくて別の数人にペコペコするっていうのがもうすでにアッタマ悪いっていうか。
でもまあボンタンなので(矢野君は渡り40って言ってたかな)先生には流石に注意されたし、事情はわかるがコレはなあ…と困っちゃってた。私もすね毛で困らされたので、まあ御相子だろう。
ちなみにそのボンタンは、当の矢野君に差し上げた。輝さんもいらないって言ってたし。矢野君は不良である前に友達なので、穿いてもらえる人に差し上げたまでのこと。矢野君が別の不良の先輩とやらに取られちゃってなければいいけど。
元気かな矢野君。
ホントに体操服に関してロクな思い出がねえなあ…そういえば私が子供の頃は、もうブルマじゃなくハーフパンツだったよ。体操パンツ、略してタイパンって呼んでたかな。だから深夜の馬鹿力とかでブルマ泥棒の話とか出てもピンと来なかったな。ブルマっていうものが、もうエロ本とか漫画でしか見ないものになってたから…。あんな昔のテリー・ファンクみたいなものよく穿かせてたよな、今思えば。自分が親だったらヤだけど、やっぱりあれしかない時代には疑問を持ったりしないんだろうか。選択肢の少ない時代に考えることそのものをやめさせるってのは大事ね。だから体操服とか季節感のある洋服とかってのは刷り込まれているんだろうね、感覚として。そういうもの、だと思っておけばしんどくないし。
考えて選んでってしてると大変じゃん。今だったら政治からスマホから家電製品から、何でもそうだけどさ。
さあ!これが最適です!!うちが選んでおきました!!!って言われたら、まあそうかなって思うもんな。携帯電話なんか最初そうしなきゃ売ってもらえなかったわけだし。私なんか不器用なうえに学も無いんで、まあそうかな、と思って買うしかなくてさ。格安スマホとかそういうの、わけわかんないもん。
ほらまた体操服のこと書いてない…しかもこのまま終わりです…すみませんねえ。
良くねえよ。
私はアトピー肌なので、体育の時間が憂鬱だった。夏でも足はすね毛のうえにアトピーなので自分でも見てて気持ち悪いのがすげえわかる。でも学校と言うところは普段は精神論だの根性論だの人の気持ちを考えろだの言うくせに、こういう気持ちにはわざとやってるのかってぐらい無神経で鈍感だ。だから行かなくなるんだけどね。夏場でも長ズボンのジャージ履いたっていいじゃんね。橋本真也さんだってそうじゃん。あれはパンタロンか。
そういうわけで体操服っても自分が着るぶんには何にもいい思い出なんかない。腋の下のシミとか汗臭いのとか、ホントイヤだった。
柔道着だってイヤで、試合や練習前にはデオドラントスプレーを欠かさなかった。それもそれで怒られるんだよ、そんなことするなって。だから流行らないんだよ。汗臭くて徒弟制度ガッチガチでエラソーな先輩が幅きかせてるとこに好き好んで入ってくるバカが一体世の中にどれだけいてくれると思っててあんなもんが残ってるんだかわからねえ。
でね。
そんな私のアトピー肌とは裏腹に、中学んときに制服のシャツをポロシャツにしようって言い出した奴がいた。どこの馬鹿だかは忘れた。せっかく買った高いシャツも着れなくなるわけじゃなかったと思うが、それでも私はなんだかイヤだった。
全校集会を開いて意見交換をするっていうんで、全校生徒が体育座りするなか、体育館で何か意見のある人はいますか?と生徒会の伊藤ケンゴ君が言った。で、私は挙手をしてこう言った
「自分はアトピー肌で、服に血がついてしまうこともよくある。みんなが思っているほど、この件を喜んでない人ってのは少ないわけじゃない。みんなはいいかもしれないが、そう言う奴もいるってことをわかってほしい、肌に触れるもので自分で選べるからってそれが良いとは限らないんだ」
先生方からは好評だった。柔道部のプロレスマニアの乱暴者にしては真っ当な意見だったと思う。でも、それに異を唱えたサカキバラという痩せた男の言い草はこうだった
「みんながイイって言ってるんだから個人の意見でそんなこと言うな」
これがパーリーピーポーの民主主義だ。そういうもんだ。そして見事にポロシャツは採用されたが、シャツと併用可能となった。私はポロシャツ着なかったと思う。フツーにサイズがないんで高いシャツ買ってたんだよ。昔からやってる学生服のお店で。ボンタンとか売ってたよそこ。もうないけど。
そうそうボンタンも履いたなあ。別に私がツッパリバリバリそこんとこヨロシク的リーゼント男になったわけじゃなく、その昔そういうバリバリだったキッドさんのお父ちゃんこと輝さんに借りたのだ。別にそういうのに憧れてたとかじゃなく、当時飼ってたネコがボケちゃって、私の学生服のズボンに放尿しちゃったんで物凄い臭くって、仕方がないんで借りて履いてった。
したら来るねえ、ガッコの不良。ボンタン狩りってお前、ビーパップ何スクールだよって。でも私と同い年の矢野君(怪獣みたいに喧嘩が強い)とか、同じ小学校からグレた奴もイッコ上にいたので、そいつらがイイって言うんで不問だった。
なんなんだろうな不良の上下関係って。ある意味、武道とか芸事とかよりわけわかんないよな、そういうのがイヤでグレてんのに先にグレた奴には服従するっていう。あれは結局ルールを自分で選びたいっていうか、そっちに帰属したいってことなんかね。クラスの数人に威張りたくて別の数人にペコペコするっていうのがもうすでにアッタマ悪いっていうか。
でもまあボンタンなので(矢野君は渡り40って言ってたかな)先生には流石に注意されたし、事情はわかるがコレはなあ…と困っちゃってた。私もすね毛で困らされたので、まあ御相子だろう。
ちなみにそのボンタンは、当の矢野君に差し上げた。輝さんもいらないって言ってたし。矢野君は不良である前に友達なので、穿いてもらえる人に差し上げたまでのこと。矢野君が別の不良の先輩とやらに取られちゃってなければいいけど。
元気かな矢野君。
ホントに体操服に関してロクな思い出がねえなあ…そういえば私が子供の頃は、もうブルマじゃなくハーフパンツだったよ。体操パンツ、略してタイパンって呼んでたかな。だから深夜の馬鹿力とかでブルマ泥棒の話とか出てもピンと来なかったな。ブルマっていうものが、もうエロ本とか漫画でしか見ないものになってたから…。あんな昔のテリー・ファンクみたいなものよく穿かせてたよな、今思えば。自分が親だったらヤだけど、やっぱりあれしかない時代には疑問を持ったりしないんだろうか。選択肢の少ない時代に考えることそのものをやめさせるってのは大事ね。だから体操服とか季節感のある洋服とかってのは刷り込まれているんだろうね、感覚として。そういうもの、だと思っておけばしんどくないし。
考えて選んでってしてると大変じゃん。今だったら政治からスマホから家電製品から、何でもそうだけどさ。
さあ!これが最適です!!うちが選んでおきました!!!って言われたら、まあそうかなって思うもんな。携帯電話なんか最初そうしなきゃ売ってもらえなかったわけだし。私なんか不器用なうえに学も無いんで、まあそうかな、と思って買うしかなくてさ。格安スマホとかそういうの、わけわかんないもん。
ほらまた体操服のこと書いてない…しかもこのまま終わりです…すみませんねえ。
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