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第888回。夜店とライブとカミナリと

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私の住んでる豊橋市では、6月になると毎週末に夜店が出る。
金土日の夜だけ、決まった場所に屋台とかお化け屋敷とかそういうのがズラっと並んで、ヒマな人と青春したくてしないと死ぬガキとその予備軍のとりあえず屋台でモノを食いたい子供を連れたエグザイルと何代目ブラザーズのアクだけ煮〆たTHE田舎のチンピラと、その奥様がワラワラやってくる。
田舎でやることないし6月は特にイベントもねえから屋台出そうぜ!
ってことで、始めたらしい。ウチの曽祖父が。

20年ぐらい前まではギリギリそれを知ってる古株のテキ屋さんとかが私や祖母、母の顔を見ると食べ物くれたりしてた。最近はもう全然カンケーない。私も興味ない。暑いし。
雨降るかもしれないし、人多いし、また年々そーゆー場所ってバカが多くなってる気がして、もう疲れちゃうんだよな。コッチがお呼びじゃ無くて、そういうのも含めた雰囲気が楽しめる人が行けばいいんだけどね。

屋台の食べ物について今さらツイッターはじめネットだとかで色々言うけどさ、そんなものは昔からみんな言ってたことで知ろうが知るまいが買いたきゃ買って楽しめばいいんだろうけども。
私も好きだったなあ。
ガンダムの映画で見たグフ乗ってるお姉さんみたいな人、田舎の工藤静香って感じのお姉さんが焼いてるへにゃへにゃのクレープ。なんでクレープの屋台かったら、若いお姉ちゃんだからクレープ、って感じの。
あれなんであんな美味かったんだろう。ほっそーいタバコ吸ってそうな、金髪のロングヘアで愛想のカケラもないお姉ちゃんのクレープ。あれが人生初クレープだったらあと何処でどんなクレープ食ってもよっぽど美味いぞってぐらいなんだけど、無性にあのクレープが恋しい。なんならあのお姉ちゃんもセットでつけて欲しい。

今なんか景気は悪いわ原料は高いわ電気代もかかるし、もう儲からないんだろうなー。
みんなが儲かる時代にも儲けられなかった人とか儲け損ねてどうにかなっちゃった人とかいるんだろうけど、今みたいにもうごく一部しか儲からないシステムじゃ屋台の人も大変で。買うコッチも大変なんだから仕方がないけど、あの頃ガキで500円とか1000円しかなくて、カキ氷のシロップ入れたサイダーを買うか死ぬほど迷ってたのが折角オトナになってもまだ同じように悩んでるんじゃ救われないよな。

でね。
この夜店、今年もだけど毎年恒例のライブステージがあって。
地元の楽器屋さんがトラックで乗り付けてそのままそこがステージになるっていうものなんだけど申し込めばどんな形でも上がれるんだ。上がる方が参加費を払うだけで見るのは無料なので気軽なものだ。
ホントにどんな人でもたいがいは上げてくれて、二人組でギターとボーカルだけであとは打ち込みの人もいたし、仲間内で趣味でやってる人たちがちょっとした晴れ舞台として上がって身内が大勢応援に来てくれてたり。
地元で活動してるバンドもPRの場所としてライブをしてたりするし、そこで見たバンドがカッコ良くて次の有料ライブ見に行ったりミクシィで繋がったりして楽しかったな。
エイプスコールってバンドがカッコ良くて、メンバーも個性的でみんないい人たちだったな。
ちなみに私のハンドルネームでありラジオネームでもある
ダイナマイト・キッド
というのは、言うまでもなくイギリス出身の伝説のプロレスラーからとったものだけど、これを勝手に名乗るようになったきっかけは、エイプスコールのボーカルのムネタカさんからのアドバイスだったりする。

で、私の古い友人であり当時ベースとギターが弾けた丸山君が、自分もバンドを組んで出たいと言い出した。ので、私がベースとして加入させてもらって、彼に色々と教えて貰った。
初心者セットのアイバニーズを携えて、近所の貸しスタジオに通って練習する日々。結構新鮮で面白い。
アンプもヘッドもベースもエフェクターもよくわからない、なんだったら未だによくわからないままの機材も色々あるけど、とにかくベース弾いてるのは楽しかった。
ジーン・シモンズ御大はじめ廣瀬洋一さんとかゼノン石川和尚とか、元々ベースが好きだったのもあるので見よう見まねで動いてみたり、丸山君から叱咤激励と愛ある罵詈雑言を浴びつつ頑張って練習してました。面白いものでだんだん、ちょっとずつ音が音楽になるんだな。
べん、べん、ぼぼ、ぼん…
っておっかなびっくり弾いてたのが
べんべべんぼんぼぼぼべぼべ
ってメロディーになってく。これは面白い。
満を持して夜店ライブに出演することになったが、あいにくの雷雨。
丸山君と私は小学生の野外教育や修学旅行も雨だった。中学校の時は校舎に竜巻が直撃した。
まあ中学の竜巻は外にもっと素行不良の奴が居たんだろうが高校の修学旅行も全部雨。
お前が雨男だろう!
と実に科学的な議論を展開しつつ、自分らのステージが始まった。なんと夜店最終日の最後の時間。
大トリである。ウルトラマンレオである。
そこで弦楽器なんか弾いてたらオオトリ弦である。

いつの間にか雨がやみ、ぬかるんだ広場には私たちの仲間が集まってくれて、このエッセイでもたまに出る参謀が動画も撮ってくれていた。あとは祭りと音楽とセルベッサが好きなブラジル人のアミーゴたちもチラホラ。
雷がピカピカ光りながら遠ざかってゆく。
涼しい風が吹いて、そうこうしているうちに2曲目に入る。
そのタイトルはRainという。私がつけた。ついでに作詞も私だ。
作曲は丸山君だった。
生まれて初めて人前でスクリームという歌い方をした。

ライブの最後の方で調子に乗って、マイクスタンド兼雨よけテントの支柱をベースで叩き倒してしまってあとで楽器屋のおじさん(社長で、私が元居たガソリンスタンドの常連客だったので顔見知りだった)に平謝りしたのもいい思い出だ…社長すみませんでした。

ちなみに丸山君は私がスタンドを倒したことに気づいておらず、あとで参謀の動画を見てから怒っていた。参謀め…

長年の友人が今さら10年以上前のことで逆恨みされたところで、またあした。
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