955 / 1,299
第879回。ペソ硬貨
しおりを挟む
昨日、メキシコの話をしててさ。
なんとなく部屋のなかを整理してたらペソ硬貨が出てきたヨ。
5ペソと10ペソと、あとペセタっていうペソより細かいやつ。よくお釣りで渡されるんだけどこれが細かすぎて使いにくいお金選手権で阿佐ヶ谷姉妹がシャバダバズビズバなもんで。
阿佐ヶ谷姉妹って、絶対もっと泥臭いところにいるのに不思議なオーラがあるよな。なんなんだろう。毒気を抜いても抜けきらない世知辛さとか間違っても大金持ちに見えないのが良いところでもあるのに安定はしててほしいというか。平和に暮らして欲しいな、って思うっていう。
ぼのぼの、とかに近いのかも知れない。
でペセタだよ。
日本で言うと銭ってことになるのかな、アメリカのセントとか。
でこれがチャラチャラ貯まっちゃってさ。お金が貯まってめんどくさがってるのも罰当たりなハナシだけどしょーがない。
そもそもお釣りをきちんと渡してくれるだけでも有難い話で、屋台のオバチャンだろうとバスの運転手だろうと
カンビオ・ポル・ファボール!
(お釣りくれ!)
ってきちんと言わないと知らん顔されたりする。でカンビオ・ポル・ファボール!をやったところでコレだ。そらキャッシュレス、電子マネーの時代も来るわな。
今日出てきたのは5ペソ硬貨だった。たぶん、いちばんお釣りとかでもらってたんだと思う。
寮の食事の準備をするのに買い出しに行くのは、近所の市場(メルカド)かメガマートでさ。
メルカドはmarketのスペイン語でmercadoという。
これは徒歩2分ぐらいのとこにあった。
でメガマートは寮を左に出てずーっと歩いていくと大通りに突き当たるんだけど、その大通りの歩道橋のたもとんとこにバス停があってさ。
ハチだったかバッタのマークを付けてるバスに乗って暫く行くと見えてくる。
バスっても日本の路線バスみたいのが来るわけじゃなくて、マイクロバスとかハイエースとかまちまちだ。タクシーみたいに個人事業主なのか毎回乗るたびに車種が違ってた。だから同じマークを目印にして乗るんだろう。
それぞれの路線を示すマークと、どんな車のどんな運転席にも飾ってあったマリア様が目印だ。
で、このバスの運賃が寮の最寄りのバス停からメガマートまでで5ペソだった。
乗り込むときに
メガマート・ポル・ファボール!
と元気よく告げると
シンコ・ペソス(5ペソだよ)
と言うんで(まあ返事はこの限りじゃないけど)チャールズ・ブロンソン似の運転手に直接運賃を手渡しにする。この時に10ペソ硬貨とかを出しちゃうとお釣りをくれなかったりするんで
カンビオ・ポル・ファボール!
が炸裂するというわけだ。
はいよ、と普通にくれるときもあれば、アツい舌打ちがオマケでついてくる時もある。
チャールズ・ブロンソンの方は温厚な人物だったのを書いてて思い出した。
なもんで予め5ペソを用意してバスを待ってたんだけど、暑いじゃんあの国わ。
でバス停の近くの歩道橋の影からスーっと出てくるんだよ。
BONICEのオバチャン。
紫っぽいブルーにピンクのツートンっていうブレット・ハートみたいな色合いの長袖長ズボンで肩からクーラーボックスを下げてて、この中にアイスキャンディーがギッシリ入ってる。
ロッテの「ギュギュっと」を二回りぐらいデカくしたやつで、お値段どれでもおひとつ2ペソ。
ジリジリジリジリ暑い。バスは来ない。定刻どころか時刻表すらない。
時間通りに来るバスなんてものがそもそもない。
ジリジリジリジリ暑い。バスは来ない。まだ来ない。
そこにアイスを下げたオバチャンがツインビーの救急車よろしくやってくる。
やでうでじや…と駆け寄ってアイスを買うわな。
はい3ペソのお釣り。
でバスに乗るのに10ペソ出して5ペソのカンビオ・ポル・ファボール!
こうして小銭が貯まっちゃったまま帰国したんだけど、お札はいいけど小銭は両替してもらえなかったんだ。外貨の両替なんて後にも先にも今のところあの時だけだったけど、普通の窓口じゃなく銀行の2階に通されてさ。そこで日本円に替えて貰ったっけな。
しかしまあこのBONICEの美味いこと。味が濃いうえあの暑さ、あじあじひはひは、となっているところに(なんか今日は椎名誠さんふうの表現が多いな)キンキンに冷えたアイスだぞ?
食うって。
味も色々選べるんだ。
ちょっと面白いのは日本だとリンゴ味って黄色とかじゃん?メキシコのリンゴ味は黄緑色なんだよね。青リンゴの色なのかしら。スペイン語ではマンサナという。メロンだと思ってパクっと行くとちょっと驚くぞ。
黄色はレモンとかマンゴーが多いかな…。
あと定番で言えばオレンジ(ナランハ)とブドウ(ウバ)もある。私はブドウ味がお気に入りだったんだけどそこはメキシコのオバチャン。
たまに
「ウバ・ポル・ファボール!」
と今にも干からびて死にそうなナメクジみたいな顔をしたこの日本人肥満児がカタコトのスペイン語でお願いしても
「今日はマンゴーしかない!」
と言われ、カパっと開けたクーラーボックスにはホントにマンゴー味がギッシリ、なんてこともあった。
マンゴー味も美味かったけどさ。しかしまあどういう仕入れをしたらそうなるんだよ!?
んなことしてるから余った小銭が今も手元に残ってる。
なんとなく部屋のなかを整理してたらペソ硬貨が出てきたヨ。
5ペソと10ペソと、あとペセタっていうペソより細かいやつ。よくお釣りで渡されるんだけどこれが細かすぎて使いにくいお金選手権で阿佐ヶ谷姉妹がシャバダバズビズバなもんで。
阿佐ヶ谷姉妹って、絶対もっと泥臭いところにいるのに不思議なオーラがあるよな。なんなんだろう。毒気を抜いても抜けきらない世知辛さとか間違っても大金持ちに見えないのが良いところでもあるのに安定はしててほしいというか。平和に暮らして欲しいな、って思うっていう。
ぼのぼの、とかに近いのかも知れない。
でペセタだよ。
日本で言うと銭ってことになるのかな、アメリカのセントとか。
でこれがチャラチャラ貯まっちゃってさ。お金が貯まってめんどくさがってるのも罰当たりなハナシだけどしょーがない。
そもそもお釣りをきちんと渡してくれるだけでも有難い話で、屋台のオバチャンだろうとバスの運転手だろうと
カンビオ・ポル・ファボール!
(お釣りくれ!)
ってきちんと言わないと知らん顔されたりする。でカンビオ・ポル・ファボール!をやったところでコレだ。そらキャッシュレス、電子マネーの時代も来るわな。
今日出てきたのは5ペソ硬貨だった。たぶん、いちばんお釣りとかでもらってたんだと思う。
寮の食事の準備をするのに買い出しに行くのは、近所の市場(メルカド)かメガマートでさ。
メルカドはmarketのスペイン語でmercadoという。
これは徒歩2分ぐらいのとこにあった。
でメガマートは寮を左に出てずーっと歩いていくと大通りに突き当たるんだけど、その大通りの歩道橋のたもとんとこにバス停があってさ。
ハチだったかバッタのマークを付けてるバスに乗って暫く行くと見えてくる。
バスっても日本の路線バスみたいのが来るわけじゃなくて、マイクロバスとかハイエースとかまちまちだ。タクシーみたいに個人事業主なのか毎回乗るたびに車種が違ってた。だから同じマークを目印にして乗るんだろう。
それぞれの路線を示すマークと、どんな車のどんな運転席にも飾ってあったマリア様が目印だ。
で、このバスの運賃が寮の最寄りのバス停からメガマートまでで5ペソだった。
乗り込むときに
メガマート・ポル・ファボール!
と元気よく告げると
シンコ・ペソス(5ペソだよ)
と言うんで(まあ返事はこの限りじゃないけど)チャールズ・ブロンソン似の運転手に直接運賃を手渡しにする。この時に10ペソ硬貨とかを出しちゃうとお釣りをくれなかったりするんで
カンビオ・ポル・ファボール!
が炸裂するというわけだ。
はいよ、と普通にくれるときもあれば、アツい舌打ちがオマケでついてくる時もある。
チャールズ・ブロンソンの方は温厚な人物だったのを書いてて思い出した。
なもんで予め5ペソを用意してバスを待ってたんだけど、暑いじゃんあの国わ。
でバス停の近くの歩道橋の影からスーっと出てくるんだよ。
BONICEのオバチャン。
紫っぽいブルーにピンクのツートンっていうブレット・ハートみたいな色合いの長袖長ズボンで肩からクーラーボックスを下げてて、この中にアイスキャンディーがギッシリ入ってる。
ロッテの「ギュギュっと」を二回りぐらいデカくしたやつで、お値段どれでもおひとつ2ペソ。
ジリジリジリジリ暑い。バスは来ない。定刻どころか時刻表すらない。
時間通りに来るバスなんてものがそもそもない。
ジリジリジリジリ暑い。バスは来ない。まだ来ない。
そこにアイスを下げたオバチャンがツインビーの救急車よろしくやってくる。
やでうでじや…と駆け寄ってアイスを買うわな。
はい3ペソのお釣り。
でバスに乗るのに10ペソ出して5ペソのカンビオ・ポル・ファボール!
こうして小銭が貯まっちゃったまま帰国したんだけど、お札はいいけど小銭は両替してもらえなかったんだ。外貨の両替なんて後にも先にも今のところあの時だけだったけど、普通の窓口じゃなく銀行の2階に通されてさ。そこで日本円に替えて貰ったっけな。
しかしまあこのBONICEの美味いこと。味が濃いうえあの暑さ、あじあじひはひは、となっているところに(なんか今日は椎名誠さんふうの表現が多いな)キンキンに冷えたアイスだぞ?
食うって。
味も色々選べるんだ。
ちょっと面白いのは日本だとリンゴ味って黄色とかじゃん?メキシコのリンゴ味は黄緑色なんだよね。青リンゴの色なのかしら。スペイン語ではマンサナという。メロンだと思ってパクっと行くとちょっと驚くぞ。
黄色はレモンとかマンゴーが多いかな…。
あと定番で言えばオレンジ(ナランハ)とブドウ(ウバ)もある。私はブドウ味がお気に入りだったんだけどそこはメキシコのオバチャン。
たまに
「ウバ・ポル・ファボール!」
と今にも干からびて死にそうなナメクジみたいな顔をしたこの日本人肥満児がカタコトのスペイン語でお願いしても
「今日はマンゴーしかない!」
と言われ、カパっと開けたクーラーボックスにはホントにマンゴー味がギッシリ、なんてこともあった。
マンゴー味も美味かったけどさ。しかしまあどういう仕入れをしたらそうなるんだよ!?
んなことしてるから余った小銭が今も手元に残ってる。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる