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第852回。#ふぁぼ毎に自分の世界観に影響与えた作品をバラす 前編

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12いいねありがとうございます。
12個もあるかな…影響を受けた作品と、作者とか人物の元ネタも込みってことでひとつ…。


立川談志さんのトーク。
正確にどの作品っていうものじゃないんだけど、落語に入る前の枕の部分で言っていた
「常識なんてのは学習によって無理して縛っているものであって、それが解き放たれた状態こそが正常である。いま普通にしているつもりの状態は異常であり無理してそういう形になっているだけだ」
という話。これは大変に影響されました。自然体とか、あるがままとか、そういう言葉は一見美しいけれど。だけどそういう状態に自らを縛り付けているということでもあり、それは非常に不自然だ。
世の中に不条理や不思議はあっても、不自然というのはやはりいただけない。
世の中にゴマンといるイケ好かない連中のなかで、不自然に楽しそうだったり不自然に「何かを満喫している様子」ばかりをやたらアピールしている連中ってのは、結局のところそういう自分に酔っている一方で縛られているのだろう。そんなサガミオリジナルより薄い人生から降りるに降りれなくなったときに連中のツラを拝んでやりたいね。


椎名誠さんの「アド・バード」「武装島田倉庫」「パタゴニア」「長く素晴らしく憂鬱な一日」「哀愁の街に霧が降るのだ」「あやしい探検隊海で笑う」
などなど。
椎名誠さんは私が文章を書く上での根幹になる部分に影響を及ぼした人であり、この人が居なかったら私は小説を読んだり自分で書いたりなんか絶対にしなかったと思う。椎名誠さんの本があったから私は小学校5年から6年にかけての、新日本プロレスばりの超ド暗黒時代を乗り越えられた。
学校行っても教室に入らずに屋上に繋がる階段に直行して、家から持ってきた椎名誠さんの文庫本を読んで過ごしてた。
おバカエピソードからSF、青春、喧嘩、旅、空想妄想なんでもありだ。小学4年のときに母親が勧めてくれたのが「あやしい探検隊海で笑う」で、そこからぐいぐい読んでいった。
椎名さんのどこかぶっきらぼうで薄暗くて憂鬱な文章が特に好きで、自分の小説でもよく真似している。あと、ここでもそうだけど
○○なのだ
とかも椎名誠さんの真似なのだ。


伊集院光さんの「のはなし」シリーズ。
今のところ4巻まで出ている伊集院光さんのエッセイ。
このキッドさんといっしょ。を始めるきっかけにもなった人である私の姉さん(最近「母さん」になったそうな。祝)が
お前はもっと色んな人のエッセイを読め
とアドバイスをくれたので、それならとラジオでも随分影響されている伊集院光さんのエッセイを買って読んでいる。何度も、何度も読み返している。
エッセイの伊集院光さんは、なんというか
「言葉にしづらい、気持ちの中のぼんやりと部分の話」
をしてくれることが多い。
こんなとき、何て言えばいいのかな?と考えていることを、そのまま文章にするのって物凄く難しいと思うんだけど、それをやっている。
簡単に言えることをわざわざ自虐や下ネタ、珍言妄言を交えて幾らでも喋ってられるラジオの伊集院さんと違って、簡単なことを簡単に。素直に書いている。
ここでの私の文章は深夜ラジオのつもりで書いているけど、そんな中でもたまに出る伊集院さんの子供の頃の話とか、落語家時代の話とか、ニッポン放送時代の話とか、奥さんやご家族の話をするときに出る、あの朴訥な語り口の方が本当は好きなんだと思う。


魔夜峰央さんの「パタリロ!」
これは性癖ごと曲げられたし、何と言ってもあの背景や小物のセンス。ウネウネうにょうにょクネクネゴチャゴチャしているあの独特の模様がたまらなく好きだ。
あと読んでて落語を聞いてると、あっ!このネタ落語なんだ、ってのがかなりある。それもストーリーから細かいギャグまで。
例えばタマネギ部隊が二人いて、部屋番号とか抽選番号を読み上げるのに
「えーと、への九番」
「へんな番号だな」
っていうこのくだりも、明烏という噺の中に出てくる。
あの人もギャグからSFから恋愛、アクションとなんでも来いだ。バンコランという無敵キャラが居て、それに輪をかけて強烈かつ無敵のパタリロというキャラが居る。私のなかでカッコイイ男といえばバンコランで、子供のころは少佐って階級にも憧れたものだ。


手塚治虫さんの「七色いんこ」
これはアトムとかブラックジャックに比べるとあんまり有名じゃないかもしれないけど、小学校の図書コーナーにあったんで読んでみたら面白かった。代演専門の流浪の舞台役者いんこ。しかし彼は実は大泥棒で…芝居に絡んだお話が色々出てくるが、その変装術やトリックなんかに毎度感心していた。
あと玉サブローという犬も可愛い。
何故か最終回は、この玉サブローが人間の居なくなった世界でどこか遠い海に出ていくサイレント回だったような記憶がある。いんこ本人のドラマもかなり濃いし、あの救いのなさからの影響もかなりある。


テリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」
映画の話でも書いたばかりだけど、私はギリアムの映画ではこれが一番好きで気に入っている。
成長、性徴、田舎、閉塞感と開放感が隣り合わせの荒野。
世間を知らず夢見がちな少女と、体だけ大人になってしまった男。
取り残されるその母。
何もかも狂っているけど、何もかも儚い。あんなおかしな映画は無い。


同じくテリー・ギリアムから「未来世紀ブラジル」
これは頭クルクルパー小説を書くのに欠かせない映画。あれを見てると細かいことなんかどうでもいいし、もっと画面の中を縦横に埋め尽くすダクトや小物を見ていたくなって、自分の頭の中にもやがてダクトが一本走って、次々と繋がって止まらなくなる。
いい映画であることも間違いないけど、それ以上にいい作品、いい風景の連続なんだ。
巨大な建物、役所、ズラっと並ぶタイプライターと、そこを走り回る小僧、スーツを着た役人。
これらすべてに意味がある。そして結末に救いもある。
何度見ても面白い。

後編につづく!
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