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第833回。ジャンルを信じ、己の推しを信じよう。というはなし。

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2019年5月5日はかねてより開催が決まっていた
大衆プロレス松山座生野公演に行ってきました。その名も
大衆プロレス松山座
座長・松山勘十郎十五周年記念公演
「龍の松山を得る如し」
龍と松山、つまり松山勘十郎座長とその師匠ウルティモ・ドラゴン校長のことを思わせるサブタイトルが付いていました。しかし残念ながら校長は参戦ならず。
この時点で正直がっくり来ていましたが、いちばん落ち込んでいたのは外ならぬ座長のはず。
実際に対戦カードが発表させるまでいつもより時間がかかっていた気がしますし、その間にも人気者の3Lグレ子選手が戦闘不能で欠場になるというアクシデントも…。

しかし私は座長を信じていました。こういう時こそ面白いのがプロレスであり、そのプロレスの世界で着々と育っている松山勘十郎座長の世界なのです。
13年前、メキシコで同じ寮、同じ部屋でお世話になっているときからいつも一歩も二歩も先に、深くプロレスのことを考えていたのが松山勘十郎さんでした。
それは帰国後に大阪に定着し、自らの団体を旗揚げし毎回さまざまな趣向を凝らしてきたことでより進化および深化を遂げておりました。その一つの集大成であり大きな通過点となる15周年記念公演。
どんな形で開催されようと、それは最高の公演であると約束されたようなもの。
そしてその約束は1枚のチケットによって結ばれ、この日を心待ちにしていた次第です。

もう一つ正直に言えば、普通にプロレスを見るってだけだったらよっぽどのことじゃないとゴールデンウイークの終盤も終盤に大混雑間違いなしの、それも国内外からマグマの如く観光客が押し寄せる大阪のど真ん中(ど真ん中と聞くとマグマのたぎる困った性癖の持ち主)になんか行かないと思う。
松山勘十郎座長の周年であり校長降臨の期待から早々にチケットを購入した次第です。校長参戦は叶わない、それならばむしろ松山勘十郎の世界にどっぷり沈んでみよう。
座長ご自身の周年と執念、校長というある意味の縛りが解けたモードに切り替えよう。葛藤と無念。そのうえでさらなる期待をはらんだ対戦カード。
最初はピンと来ない気がして、その魅力に近づけずにいました。しかし校長不在という無念に囚われているから見えなかった部分が如何に多かったか。如何に自分が安定を求め冒険心を失っていたか。
プロレスとは本来、そういうものでは無いんじゃないのか。この選手とこの選手がぶつかったら、どうなるのか。どんな戦いになるのか。それも楽しみの一つではなかったのか。
贔屓の選手が居る、推しの選手が居るのは勿論の事、そのうえで様々な組み合わせや結果を想像するのが楽しいんじゃないか。そして私はもう何年も松山勘十郎座長を「推し」ているにも関わらず、自分のプロレスに関するスタンスや長年のマニアであるということに慢心していたのではないか。

自らが猛烈なプロレス愛好家であり頑固なプレイヤーでもある松山勘十郎座長がご自身の周年記念公演を作り出すにあたってそこに抜かりがあるわけがない。きっと何か目論見があるはずだ。そしていつも座長は私ごときの想像など遥かに超えて、より高度で素晴らしいプロレスを見せてくれていたじゃないか。
私は目先の疲れと混雑というものに足を取られ、プロレス本来の楽しみまで見失うところでした。
自分が好きでずっと楽しんで来たのだから、どんな時もそのジャンルを信じ、そしてまた己の推しを信じようではないか。辛い時も苦しい時もそれが合って乗り越えられた。ならば推しがピンチの時こそ逆にそっちに賭けてみようではないか。自分も一緒に戦えばいいじゃないか。
私は既に座長を推しているのだ、であるならば後は座長を、そしてプロレスを信じよう。信じて何も考えず、あとは身を任せよう。場外乱闘のときはちゃんと逃げよう。特に松山みゆき選手からは。
思いを新たに前日も仕事を片付け、4日の夜に大阪着。新幹線で爆睡。名古屋駅のビックカメラを見て瞬きをしたら京都を出ていた。
新大阪から御堂筋線で梅田駅へ。そこで見事に迷い、谷町線に乗りたかったのに目の前には四ツ橋線の改札口。西梅田駅と東梅田駅でヨソから来てそれぞれ別の地下鉄が通ってるとかアリかよ!維新とかサミットとかの前にやることあるだろ!?ちょっと考えたらわかりますやんか!!もうほんまそーゆうてウワーキレとったらオッサン来よって…とすべらない話っぽく声高にがなる人、みたいになりながらスゴスゴと東梅田駅へ。
懐かしいなー。泉の広場とナスキーホールがあったころからホワイティモールだのなんだの、あの時も松山勘十郎特別公演を見に来てココで迷ってたんだなあ。まあ今回は生野区民センターだからまたさらに別の場所ではあるんだけど…大阪来るたびに歩いて迷っていたんだなあ。簡単なことだけど本当に新幹線と地下鉄に乗って出かけてくるだけで迷子になったり知らない道を歩けるのだから、やっぱりちょっと踏み出すことすら億劫になっていたこれまでの数年間は異常だったのだろうな。ぬるま湯こそ真の地獄で、後に何も残さない不毛の時間なのだろう。
私はここ数年の自分の生活に区切りをつけるべくそれはそれで考えていたことが、連休真っ只中の人込みの中で右も左も自分の事なんか地下道のタイルの色ほども気にしてない人たちに埋もれながらじわじわと確信に変わっていくのを感じていました。

明日から、試合前のひと時や肝心の試合についてもつらつらと書かせていただきます。
どうぞお楽しみに…。

いや本来もうここで第一試合まで書いてる予定だったんだけど、気が付いたら試合までの心持ちや自分の思いなんかが1400文字ぐらい出ちゃってて、もう前置きにしちゃ長いんでいっそのこと全部書ききってからにしようと思いまして…。ホットなうちに書いて公開したかったけどさ。でも、まあ、こういう気持ちがあったうえで見てきたヨ、ということでひとつ…。
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