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第743回。松山座観戦記 第三試合 3Lグレ子選手 VS 藤田ミノル選手
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第三試合
3Lグレ子選手vs藤田ミノル選手
試合前から不穏な雰囲気が醸し出されたこの試合。
藤田ミノル選手といえばデスマッチから正統派まで幅広くこなし、どんな試合でも受けて立ついわば仕事人。数々の国と団体を渡り歩いた今や大ベテラン。
デビュー当時は線が細かったが幾多の激闘を繰り広げ、修羅場をくぐってきた今は堂々たる風格を身に着けた…のだが、流石の藤田ミノル選手も今回ばかりはカード決定時にちょっとナーバスになってそうな感じがした。
それもそのはず。
対戦相手の3Lグレ子(さんえるぐれこ、と読む)選手は松山座に出場するたびに選手だろうがレフェリーだろうがおカマいなしに襲撃するという男喰いの猛者。そっちの修羅場は果たしてどうなのか!?がかなり大きな焦点となるのは確実視されていた。
実は松山座においては3Lグレ子選手初のシングルマッチだったりするので、彼の真の実力に密かな期待を抱いていた人も多いのではないだろうか。いつもは新潟プロレスのシマ重野選手(二枚目の男前)やレフェリーのフルスイング岩田さん(爽やか好青年タイプ)に襲い掛かり、試合になれば独特のムーブで相手を煙に巻くが…実は強豪・藤田ミノル選手を向こうに回しても一歩も引けを取らず激闘を繰り広げ…るかと思いきやそれはやはりこっちの勝手な想像で。
序盤からグレ子ワールド全開、逆に戸惑う藤田ミノル選手をとことん翻弄してゆく。
藤田ミノル選手、実はこの日の入場時にいつも被っている紙袋を目玉のとこだけ穴あけたやつをソックリ作った小さなお子様のファンがいて。
流石にそんな少年の前で思いっきり成人指定の試合は出来ないと躊躇していた。
ウルトラマンレオがシルバーブルーメと戦うのに、近くに小学校があるため光線技を放つのを躊躇していたのと似ている。
あのふてぶてしい藤田ミノル選手が3Lグレ子選手には敬語だったもの。
そしてそんなことさえおカマい無しで試合?を進めるグレ子選手。
散々カラダをまさぐり、挑発を繰り返し、ショルダータックルは回転して受け流す。
このクルクル、パッが出ると拍手喝采。松山座のお客さんは鍛えられている。
何しろ普段から松山みゆき選手だの現WWEのASUKA選手が華名だった頃の化身だの萌え萌えワールドのメイドさんだの色んな意味で個性が濃すぎて煮凝りになったような現場にいる人たちだ。
現在でも半流動的でありながらクオリティは毎度一級品という信頼と、3Lグレ子選手に対する期待が試合前から出来上がっていた。今日はじめて松山座を、そしてプロレスを見たという人は、流石に物凄いものを見ちゃったなと思うけど…ここで試合を見たらもうどこで何を見ても平気だと思う。血みどろのデスマッチとかそういうのはまた別かも知れないけど。
そしてここで3Lグレ子選手から爆弾発言。というか試合中にもかかわらずマイクを要求し訥々と話し始める。藤田選手も小さく
「し、試合中ですけど…」
と思わず呟いてしまうが構わず話すグレ子選手。いわく
ホントは藤田ミノル選手がタイプじゃなかったのだが、段々好きになってしまった…ので、私が勝ったら付き合ってくれ、と。
は?
は??
と、さらに混迷を極める藤田ミノル選手。
が、さらに追い打ちをかけるように問い詰めるグレ子選手。
「勝てばいいんじゃないの?」
とトドメの一言で遂に藤田選手が説得(脅迫?)に応じた瞬間に奇襲攻撃。目標が定まった以上は手段を選んでなどいられない。これまでにないパワフルな攻めでガンガン向かって行くグレ子選手。
野太い声で雄叫びを上げ、マスク越しの眼光が鋭く藤田選手をとらえる。全身にパワーを漲らせ、己の欲望に向かって一直線。これはわかりやすい。
しかし、このゴリゴリの力押しはかえって藤田選手に反撃の機会を与えてしまうことにもなった。何度も書くが藤田ミノル選手は本当に色んな団体・国で色んな選手と戦ってきたのだ。
試合中にもかかわらず自分に向かって求愛してくる選手は稀だったかもしれないが、パワーファイターなら数えきれないほどいたはず。かえってやりやすかったのではないだろうか。
結局それほど長続きせず元通りのキャラに戻ったグレ子選手だったが、今度は強引に唇を奪いにいく。こうなったら勝敗とか付き合うとかも度外視して狙いはただ一つ。どこまで書いて大丈夫なのやら。
しかしそこは修羅場を潜ってきたインディーマットの仕事人。
豪快な雪崩式フランケンシュタイナーの大技を繰り出しペースを掌握。
なおも馬乗りになってグレ子選手に迫られるも、下から電光石火の金的蹴りを閃光一発。
これぞ早業、いざという時の裏技、まさにキャリアの為せる業。
悶絶するグレ子選手を押さえ込んでのフォール勝ち。
あんなに興奮してるところを思い切り蹴られたら、そりゃ痛かろう…。男性諸君は我が身に置き換えて想像して頂きたい。
終わってみれば潜った修羅場の違いと言うか、3Lグレ子選手のキャラの強さはもちろん、藤田ミノル選手のレスラーとしての年輪の厚さが際立った試合だった。
DVDになったら是非永久保存版としてじっくり見返したい。
3Lグレ子選手vs藤田ミノル選手
試合前から不穏な雰囲気が醸し出されたこの試合。
藤田ミノル選手といえばデスマッチから正統派まで幅広くこなし、どんな試合でも受けて立ついわば仕事人。数々の国と団体を渡り歩いた今や大ベテラン。
デビュー当時は線が細かったが幾多の激闘を繰り広げ、修羅場をくぐってきた今は堂々たる風格を身に着けた…のだが、流石の藤田ミノル選手も今回ばかりはカード決定時にちょっとナーバスになってそうな感じがした。
それもそのはず。
対戦相手の3Lグレ子(さんえるぐれこ、と読む)選手は松山座に出場するたびに選手だろうがレフェリーだろうがおカマいなしに襲撃するという男喰いの猛者。そっちの修羅場は果たしてどうなのか!?がかなり大きな焦点となるのは確実視されていた。
実は松山座においては3Lグレ子選手初のシングルマッチだったりするので、彼の真の実力に密かな期待を抱いていた人も多いのではないだろうか。いつもは新潟プロレスのシマ重野選手(二枚目の男前)やレフェリーのフルスイング岩田さん(爽やか好青年タイプ)に襲い掛かり、試合になれば独特のムーブで相手を煙に巻くが…実は強豪・藤田ミノル選手を向こうに回しても一歩も引けを取らず激闘を繰り広げ…るかと思いきやそれはやはりこっちの勝手な想像で。
序盤からグレ子ワールド全開、逆に戸惑う藤田ミノル選手をとことん翻弄してゆく。
藤田ミノル選手、実はこの日の入場時にいつも被っている紙袋を目玉のとこだけ穴あけたやつをソックリ作った小さなお子様のファンがいて。
流石にそんな少年の前で思いっきり成人指定の試合は出来ないと躊躇していた。
ウルトラマンレオがシルバーブルーメと戦うのに、近くに小学校があるため光線技を放つのを躊躇していたのと似ている。
あのふてぶてしい藤田ミノル選手が3Lグレ子選手には敬語だったもの。
そしてそんなことさえおカマい無しで試合?を進めるグレ子選手。
散々カラダをまさぐり、挑発を繰り返し、ショルダータックルは回転して受け流す。
このクルクル、パッが出ると拍手喝采。松山座のお客さんは鍛えられている。
何しろ普段から松山みゆき選手だの現WWEのASUKA選手が華名だった頃の化身だの萌え萌えワールドのメイドさんだの色んな意味で個性が濃すぎて煮凝りになったような現場にいる人たちだ。
現在でも半流動的でありながらクオリティは毎度一級品という信頼と、3Lグレ子選手に対する期待が試合前から出来上がっていた。今日はじめて松山座を、そしてプロレスを見たという人は、流石に物凄いものを見ちゃったなと思うけど…ここで試合を見たらもうどこで何を見ても平気だと思う。血みどろのデスマッチとかそういうのはまた別かも知れないけど。
そしてここで3Lグレ子選手から爆弾発言。というか試合中にもかかわらずマイクを要求し訥々と話し始める。藤田選手も小さく
「し、試合中ですけど…」
と思わず呟いてしまうが構わず話すグレ子選手。いわく
ホントは藤田ミノル選手がタイプじゃなかったのだが、段々好きになってしまった…ので、私が勝ったら付き合ってくれ、と。
は?
は??
と、さらに混迷を極める藤田ミノル選手。
が、さらに追い打ちをかけるように問い詰めるグレ子選手。
「勝てばいいんじゃないの?」
とトドメの一言で遂に藤田選手が説得(脅迫?)に応じた瞬間に奇襲攻撃。目標が定まった以上は手段を選んでなどいられない。これまでにないパワフルな攻めでガンガン向かって行くグレ子選手。
野太い声で雄叫びを上げ、マスク越しの眼光が鋭く藤田選手をとらえる。全身にパワーを漲らせ、己の欲望に向かって一直線。これはわかりやすい。
しかし、このゴリゴリの力押しはかえって藤田選手に反撃の機会を与えてしまうことにもなった。何度も書くが藤田ミノル選手は本当に色んな団体・国で色んな選手と戦ってきたのだ。
試合中にもかかわらず自分に向かって求愛してくる選手は稀だったかもしれないが、パワーファイターなら数えきれないほどいたはず。かえってやりやすかったのではないだろうか。
結局それほど長続きせず元通りのキャラに戻ったグレ子選手だったが、今度は強引に唇を奪いにいく。こうなったら勝敗とか付き合うとかも度外視して狙いはただ一つ。どこまで書いて大丈夫なのやら。
しかしそこは修羅場を潜ってきたインディーマットの仕事人。
豪快な雪崩式フランケンシュタイナーの大技を繰り出しペースを掌握。
なおも馬乗りになってグレ子選手に迫られるも、下から電光石火の金的蹴りを閃光一発。
これぞ早業、いざという時の裏技、まさにキャリアの為せる業。
悶絶するグレ子選手を押さえ込んでのフォール勝ち。
あんなに興奮してるところを思い切り蹴られたら、そりゃ痛かろう…。男性諸君は我が身に置き換えて想像して頂きたい。
終わってみれば潜った修羅場の違いと言うか、3Lグレ子選手のキャラの強さはもちろん、藤田ミノル選手のレスラーとしての年輪の厚さが際立った試合だった。
DVDになったら是非永久保存版としてじっくり見返したい。
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