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キッドさんの四国上陸 その7

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第七話「決死のウドンデス!?」の巻



前回のあらすじ
四国八十八箇所の札所のうち七十九番天皇寺、八十四番屋島寺、そして八十五番八栗寺を回り、さらに初の讃岐うどんにも舌鼓を打った3名はいい気分でケーブルカーを降りた
そして晴れやかな空の下、改めて出発しようとしたそのとき……
ナゾのアンケートオバサンがあらわれた! 





朝倉がベンチに連れて行かれてアレコレ聞かれている間、平松と佐野はトイレを済ませて戻ってきた
まだ話は続いているようだ。結構細かく聞かれているようで、交通費から移動手段、その他諸々
何か薦められたり店に案内されそうになったら、即座に逃げようと警戒する佐野 
しかし話が終わったおばさんはおもむろにカバンから一枚の地図を取り出した

高松市内うどんMAPであった
おお!これは!! 
3名は疑念を撤回し、おばさんに深く感謝するのであった。 
おばさんは本当に観光関係の人だったのだ!疑り深い、邪念に染まってしまった我々を許してください
あんまり如才ない仕草だったもんで…ごめんなさい、そしてありがとう
謝りつつ、やっとこさ来ました「山田屋」
水曜どうでしょうや高松市内のイメージからして、もっと小さくて質素な店構えかと思いきや… 
観光バスは何台も止まるわ、遠方からのナンバーは見えるわ
岡山、広島、四国の他県、大阪などはザラである。さすがに我々よりも遠いナンバーは無かったようだけども
本当に料亭並みの店構え

昼時とあって店は大盛況。外人さん(アメリカ人らしい。美人!)や地元のいかにも偉そうなおっさんなども来るのだから、やっぱりすごくいい店なのだろう
店内も広く、待合室等が無い代わりか中庭があって、そこにベンチや石でできた椅子、江戸時代の茶店みたいな傘があったりで…さながら和風庭園である
ちなみに何故、入ってきたオッサンが偉い人だと思ったかというと… 
他の人(我々含む)はファミレスにもある帳面に名前や人数を書いて待っていたのに、そいつは来たそばから腰巾着風の男に 
「ささ、さささ…」 
などと言われつつ、奥の間みたいな部屋に通されたからだ
あれは社長か議員だ
もしくは島耕作のコスプレか。だとしたらフツーに横入りじゃねえか

しかし店の人もテキパキしていて驕りが無い
回転も速いので次々にお客が呼ばれていく
我々も30分と待たずに案内された

佐野が注文したのは 
「ざるぶっかけうどん280円也」 
である

ここの麺はコシが強い。噛み切るのに少々の力が必要なくらい。 
しかし硬すぎず、よく締まった麺はツユにも良く合う
ざるぶっかけ、なので、薬味やツユなどをぶっかけて食う
わかりやすいのだ

日頃から食事のたびにうだうだしている3名だが、今日ばかりは勝手が違う
食ったらすぐに店を出る
さっき託された高松うどんMAPで次のうどん屋を探す佐野
人間カーナビの本領発揮。次なるうどん屋「キリン」もさっそく探し当て案内する…
まあ実は若干道を間違い迷ったが…書かなければ読者には分からないので 
内緒にしておこう

この高松うどんMAPによれば、高松市内にはなんと
大小実に400以上のうどん屋さんがひしめき合っている
とのことである
これが過当競争にならず精進しあっているからこそ、高松のうどん屋さんはどこもおいしいのですねえ
次のキリンさんは、セルフスタイル。これも讃岐うどんではお馴染みのスタイルで、具財と麺の量や味付けなどをチョイスしてお会計。その後、食う。といった流れになっている
キリンさんが好きです。でもおウドンのほうが、もっと好きです

キリンの店内は明らかに元工場
高い天井、貨物用エレベーターとホイストの跡、薄緑色のツルツルした床、むき出しの鉄骨… 
たぶん、自動車の部品とかを作っていた工場だったと思う
そんな建物を外観はそのままにうどん屋にしてしまう讃岐パワー
まあ確かに駐車場も広く取れるし…中も広いし頑丈な造りだし、いいかも

セルフ初体験で多少戸惑いつつも注文
こういうお店はおばちゃんが元気で面白い
しっかりと一玉150円のウドンにエビの天ぷらを乗っける佐野
具は天ぷら類に加えて、その他に一品煮物やオデンなどが用意されている
ちなみに、エビの天ぷら一尾150円

そういえば、高松に限らずかも知れないけど…うどん屋さんには必ずオデンがあったな~
コレまで行ったお店も、それから、この後紹介するお店も、必ず
なんだろうねえ…でも讃岐うどんといえばダシも美味しいから、それがオデンにもよく合うのかもね
うどんが食えなくなるのでオデンは食ってないんだよね。惜しいことをした 

キリンのうどんは少し柔らかめ
お盆に乗せたうどんに調味料・薬味などを振り掛けて席に着く
畳のお座敷スタイルだが、ちゃんと子供用の椅子も用意されている
それを見て迷わず座る平松、負けずに座ろうとして全力で止められる佐野

キリンも食べ終わって、まだ食えると次を目指す3名
次なるお店は「かすが町市場」というお店
地場モノのお野菜なども販売している、文字通り市場風のお店だ
と、その前に給油だ
ガソリンスタンドを探しつつ、かすが町市場を目指していると…なんと出光セルフ(3名が考える最も望ましいガソリンスタンド)があるではないか
そして、その目の前に、かすが町市場があるではないか!
いやはやタイミングの良いことである

給油して、すぐ向かいのお店に入る。ここもセルフ
うどんもガソリンもセルフ、話が早いのだ

佐野ははじめて「釜揚げ」を注文…釜揚げは文字通り釜から揚げたばかり。つまりお水にさらして麺をしめないため非常にやわらかく、熱い
「かまたま」といって釜揚げに卵が絡んでいるの注文。そこに好物の海老天とイモ天を乗せて、約300円ナリ

釜揚げはお湯もかなり残っているので、専用の濃い目にしたツユが置かれている
これがまた美味い。熱いけど美味い
麺は柔らかで、口の中でダシがふわあっ、と広がる感じ
天ツユにも最適である

大満足でお店を出たところで、カブに乗ったおばちゃんに声をかけられる
おばちゃん「あれっ、アンタらさっきの店にもおったよねえ」
どうやら「キリン」さんと「かすが町市場」さんは同じ系列のお店らしい

佐野「えっ、じゃあ同じ系列を回ってるって事は、オバちゃんはオーナーさん?」 
オバちゃん「違う違う、オーナーはあそこでうどん食べてる人」 
…オーナーも店にいたんかい!のんきな店である 
佐野「じゃあオーナー婦人!?」 
オバちゃん「違うっちゅうねん!!」 
佐野「オーナーの娘さん!?」 
オバちゃん「聞けっちゅうに!」 
ボケ倒す佐野にしっかりツッコミを入れるオバちゃんパワーに感服しつつ、遠い町から来た男3人組は店を後にした
結局、オバちゃんはこの系列会社のパートさんだったらしい

残る時間も僅か
そこで、最後のお寺とウドンに取り掛かる事にした
朝倉はまだまだ余裕のようだったが、平松と佐野はお腹がいっぱいになってきた
膨れたお腹を抱えつつ、次のうどん屋を目指す

そこそこ大きな通りに出て進んでいくと、全国チェーンの「はなまるうどん」が見える
ココまで来て流石にナア、と思って通過した瞬間、目指したうどん屋が…! 
思いがけず小さなお店で、駐車場もなかった…マップには大きく出ていたんだけど
仕方が無いので、八十三番一宮寺近くのお店を探す
案外土日休みや昼時だけの営業も多いため、注意が必要だ… 

一宮寺はなんとなんと、表通りから一歩入った普通の住宅街にあった
まわりには田んぼと民家と地元の高校。なんとものどかな風情である
そんななか、駐車場から多少の道のりを悪ノリで歩く奴がひとり

旅は道連れ世は情け、かたつむり、枝に這い、 
すべてこの世は事もなし。ふうむ
と哲学的にしんみりする振りをして、朝倉に写メールをお願いした佐野であった。いやしかし写メールって言葉もすさまじいものがあるな 

一宮寺にもお遍路さんが多数
今回最後のお寺とあって、お参りも若干長めに
アチコチのお寺で、じっと黙って合掌して立っている坊やとも、四国とも、別れのときがやってきた。
その前に!最後のおウドンが待っている
黒田屋さんというこじんまりした店。冷たいかけうどんを頼み、掻っ込むように食う
なぜ冷たいウドンかといえば、その方が満腹中枢とニューロンの徒競走に挑むのに有利だからだ

ココのうどんはカイワレ大根とワカメが入っていて、ダシもあっさりめ
うーん非常にヘルシー
ツルツルと食い終わって、もう佐野のお腹はパンパン
パンパンやで
(byオール巨人) 
いま元からパンパンと言った奴は誰だ! 

さて、最後のうどんを全員が食べ終わってしまった
朝倉は、まだ食べられるといっているが…時間が… 
もう、香川には、高松にはいられない
行かなくちゃ、もう行かなくちゃ…
あとは高速道路で淡路島まで一気に突っ走り、大阪を抜けて愛知県に帰るだけだ

帰るだけだ



最終回につづく







!!!!最終回予告!!!! 
感動のクライマックス!? 
都市高速の非常な現実!! 


佐野「なんでこんなもんがわからねえんだ!!?」 
荒れ狂う佐野!その理由は!!? 
そしてレガシィにも異変が
夜空に輝くバイパスに乗ってバカ三人が走る 

夜景、淡路島、明石海峡大橋、すべてしばらく見納めだ
さよなら、四国
次回、堂々の完結編!お楽しみに! 
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