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キッドさんの四国上陸 その0

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プロローグ「愛すべき男たちが動き出した」

高校時代の同級生である
平松(実質リーダー)
朝倉(まとめ役)
佐野(この物語の書き手。デブ)
の三人組が万障繰り合わせて行う毎度お騒がせ的おバカ旅のはじまりである
今回の目的地は四国・香川県高松市だ
全員一致で「うどんが食いたい」という唯それだけの目的で、3人は勇躍スバル・レガシィ(朝倉くん所有)に乗り込んだ

そもそも今回のように明確かつ他人にも伝わる目的があるだけ良いというのがおかしい 
これよりさらに前の「石川上陸・日本海タッチの旅」は、ただ太平洋沿岸に住む三人は日本海を見たことがないので日本海に触れる、という企画だった。 しかも無事日本海に触れるどころか目的地の金沢市につく前から福井県を国道8号線でほぼフル横断。日本海もとっくに見飽きてしまうという有様

そのさらに前、琵琶湖一周のときはもっとひどい
その前に平松と佐野があまりにヒマなので突如思い立ち、深夜に愛知県豊橋市から滋賀県の大津市近郊の琵琶湖岸まで 
「ただ行って帰ってきた」 
という話をしたら、朝倉が
「ずるい! 俺もつれてけ!」
とダダをこね出したので、
「じゃあーついでだしぐるっと回ってみっか」 
と相成り旅立ったわけである
そんなワケで毎回毎度の目的や目標などは無く、ただ行きたいから行っていた
そして、なんのかんの言いながらも下道だけで目的地に到達し、罵り合い、馬鹿笑いしながら、そして帰り道ではしんみりしながら、ケナゲに続けてきた不定期行事なのだ
これは、そんな或る旅の記憶の切れ端である。

2007年(たぶん)
11月2日午後21時半
愛知県豊橋市 佐野家 

朝倉から仕事が終わったと連絡がくる。佐野は前日から地図のまとめにかかっていて、その電話を合図に支度を始める。朝倉は平松にも電話していたようで、佐野は平松に迎えに来てもらうため連絡待ちとなった
黒地にストライプのスーツに着替えて、髪型もスプレーを使いオールバックにガッチリ決めた
これがユニフォームだ。別に意味はない。佐野は高校生の頃からオールバックとストライプ柄の背広が好きなのだ

一見すると田舎のチンピラ予備軍といったところか
で、そのままの姿で1時間半経過。平松から連絡が来ない
心配&頭カチカチにセットしたまま軽く汗だくになった佐野が電話をかけると
「……寝てた」 
まさかの寝坊
そのまま家を出ることにしてもらい、佐野も再度身支度を整え迎えを待つ

そしてついに11月2日23時過ぎ、平松の迎えが到着する
朝倉宅到着がそれから約10分後(近所なのだ)。早速スバル・レガシィに荷物を積み込む
寒くなるので毛布やタオルケットは必須だ。それにお泊りセット。すべてが積み終わり修理に出したので若干明るくなったレガシィのヘッドライトが旅路を照らし出した

さあ、冒険だ!!
(おっ、和田アキ子?)


3人の中で一番運転が得意なのは、当然車の持ち主たる朝倉であろう。平松はクレジットカードなどで経済的なサポートも行い、今回は 
「(朝倉曰く遅刻による)罪の意識」 
も手伝って積極的に運転した 

佐野は3名のうちでは最も車の運転が下手であるため、主にナビ役を務めた
そのため朝倉は所有車の走行距離がトップ
平松は稼働時間と経済貢献がトップ
佐野は地図読みと不眠記録でトップに立った
なんせまったく見知らぬ土地を走るため、琵琶湖一周の時から佐野の不眠ナビも恒例化?し、現在まで行き帰り共にほぼ不眠で貫いてきたのだ。カーナビ?そんな洒落たものは無い
てか、まだこの頃はスマホもないし、携帯電話の地図サイトも不便極まりなかった時代。マップルの分厚い地図帳が役に立った
佐野の祖父はカーマニアでドライブが趣味だったんだけど、年を取ってあんまクルマ乗らなくなってからはルーペで地図帳を読んで
バーチャルドライブのすげえアナログなやつ
を楽しんで居た。ので、私もそれに倣ってか地図が好きで子供の頃から地図帳をじーっと読んでられた
行きもしないのに知らない土地のページを読んでるとそれだけで楽しいし、今でもグーグルマップやストリートビューを覗いてはニヤニヤしている
気味の悪い奴だ

まずは愛知県内で給油。そして佐野が買ってきた栄養ドリンク「リポビタン2000」を飲み記念撮影。これも何故か恒例になっているのである。理由は特に無い。イニシエーションとはそういうものなのかも知れない

さて、旅は早くも試練を迎えていた
滋賀県、石川県と西にばかり走っているため大津までは通りなれてしまっている。早い話が、かったるいのだ。突如として外気温予想クイズ大会が始まる。道路脇に立っている温度計の数値=外気温を予想し、鈴鹿峠を超えた時点での温度を当てた奴が勝ち。 ただ、それだけだ
真剣に予想する一同
負けた罰ゲームも買った勝利者賞も決めないまま、とにかく 
佐野=4℃ 
平松=8℃ 
朝倉=6℃ 
と予想。結果は後ほど

鈴鹿峠ももうおなじみの道だ
琵琶湖一周、石川の帰りでも通過している
この日もお化けバイパスは不気味に佇んでいる
(2007年当時は、これが後の新名神になるとは思いもよらなかったなあ) 
トンネルを抜けると滋賀県だった
そして外気温は

6℃

朝倉、大当たり~~
本気で喜ぶ朝倉。そして本気で悔しがるほか2名。途中の温度計を見ては一喜一憂していた3名。しかし気温は三重県の時点で早々と6℃を下回り、一度は4℃まで冷え込んだものの、朝倉、ここでまさかの逆転優勝! 

まあ、それだけだった
ホントにヒマだったんだもん

さて、西へ行くなら必ず立ち寄るのが恒例のセブンイレブンがある。滋賀県の湖南市辺りだったと思うけれど、このセブンイレブンは記念すべき第一回目の琵琶湖一周よりも前、佐野と平松だけの琵琶湖行きの際に立ち寄ったとき、店員さん(確か大原さん、といった)がほんとに美人で優しくて気立ての良い人だったんであれから毎回立ち寄っているのだ。当然、もうとっくに大原さんは居なくなってるんだろうけどね
てか、2020年にもなってあの時のことを思い出して書いてみると…改めて長い年月が経ったんだなと思うよね。どうしてるかね、大原さん。幸せに暮らしているといいな
セブンイレブンを出てから大津に入るまで、突発的英語禁止トーク大会が始まる
が、イージーミスを連発する3人。もう数えてもいられない。口数が明らかに減る一同。特にいつもうるさい佐野が黙り込むと目立つのか「喋れ。佐野!」としきりに話を振られる。促されて喋るとつい墓穴を掘る佐野。結局そのまま乱痴気騒ぎは続き、若干の空腹を覚えた3名は甲賀市でマクドに入る

朝倉はマックラップのエビ
平松はマックポーク2ヶ
佐野はマックラップのチキンとダブルチーズバーガーとチーズバーガーとフィレオフィッシュのLセット
しかし会計後に気がつく。やけに安い
ドライブスルーで手渡された袋には案の定、フィレオフィッシュが入ってなかった
佐野、大激怒
「ぐちゃぐちゃ言うな!」
「もう出ちゃったんだから仕方ないだろ!」とたしなめる朝倉&平松
憮然とする佐野
仕方が無いので四国のうどんに集中することにして、フィッシュは諦める。金取られたわけじゃないし。 そして、気を取り直して第一回ジャンケン大会(負けたら今食ったマクドのごみ捨て)が開催される。朝倉は外気温当てクイズで最初に正解したため今回は免除。思わぬところで特典を得て上機嫌の朝倉を尻目に、真剣なまなざしで構える助手席の平松、後部座席の佐野

最初はグー、…じゃんけんぽい! 
あいこである
最初はグー、……じゃんけんぽい!! 
佐野の負け。寒風吹きすさぶ中、とぼとぼとゴミ箱を目指す佐野。侘しいんだコレがまた。なんだってハンバーガーを忘れられた挙句に……
さあ、改めて出発!
まだ半分どころか滋賀県も出ていないじゃないか。焦りと不安が襲う…そして眠気にも襲われた平松は後部座席へ移動し毛布をかぶっておやすみなさい
真っ暗の中を走り続けて気がついたら京都府に入っていた。少し疲れた朝倉の休憩のためコンビニに入る。平松は熟睡。佐野も体を伸ばしながら外へ出る…もう白々と夜が明けそうだ。まだ京都…もう京都…先は長い

車に乗り込んで、再び走り出して数十分
とうとう、夜明けがやってきた
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