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第718回。伊集院さんの「ヤギのバケモノの話」が大好きです。
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ちょっと前に私の大好きなラジオ番組
「月曜JUNK伊集院光 深夜の馬鹿力」
で、伊集院光さんが話していたヤギのバケモノの話。発端は伊集院光さんが出演しているNHKの「100分de名著」という番組で、SF小説のSolarisを取り上げたこと。
そのトークの中で伊集院さんは、自分もかつてスクールエスケイパーとなり、心に影が差した時期に
世の中の全てを巨大なヤギが食いつくしてしまえばいい
という妄想を抱いていたことをリスナーに告白する。
自分の過去を消したくて、子供のころの写真を荒川遊園地のヤギに次々と食べさせて、それが見つかって怒られてからは燃やしてしまって、だけどその時の強烈なインスピレーションがやがて伊集院さんの中に巨大なヤギのバケモノを産み出し
「このヤギが全てを食いつくして、何もかも無くなった世界で俺とヤギだけになったらどんだけ楽だろう」
と思った…というもの。
私はこの話が伊集院さんのトークの中でも五指に入るぐらい大好きで、オンラインでダウンロード販売とかしてくれたら即刻購入して時折思い出したら聞きたいと切に願っている。
そして伊集院さんの心の中で巨大に育ったヤギのようなものが、私の心の中にもハッキリ蠢いているのを今も感じている。私は、この人のこういうところに共感を覚えたし、暗く落ちこぼれた気分で生きていても、初めて深夜の馬鹿力を聞いたとき、伊集院さんだからじゃないけどまさに光が差した気持ちになった。
もっとも私の場合はもうちょっと具体的というか、在り物を借りている感じなのだけれど。
それはこれまた私の大好きなウルトラマンレオの第40話に登場する
円盤生物シルバーブルーメ
という、生き物なんだかUFOなんだかよくわからない巨大なバケモノ。
こいつはウルトラマンレオの中でも、いや下手をするとウルトラシリーズを通して最大にして最悪の大虐殺を行ったトンデモ怪獣でもあり、その悪行の数々はもはや伝説となっている。
始め透明なアタマ?に台座のようなものがついた円盤として地球防衛軍MACの基地に接近し、瞬く間に巨大化。基地を丸呑みにしようとした。中に居た隊員たちは(また折しも女性隊員のお誕生会なんかやってるんだこれが)一瞬で地獄絵図に叩きこまれ、次々に殉職していく。触手が基地の隔壁をブチ破り、丸っこい翼が可愛い赤い戦闘機マッキーに乗って脱出しようとした隊員たちは、そのマッキーごと飲み込まれてしまう。断末魔と悲鳴がこだまするMAC基地で、変身能力を失ったウルトラセブンことモロボシ・ダン隊長に一括され断腸の思いで脱出するウルトラマンレオ。
やがてシルバーブルーメは地球上に飛来し、都心のど真ん中に着陸。ビルも百貨店も地下道も破壊し尽くし、その場に居合わせた大勢の人々をも殺戮した。
その被害者の中には、ウルトラマンレオことおゝとりゲン隊員の恋人モモコさん、弟分でもあるタケシ、さらにこれまたゲンを兄のように慕う少年トオル君のたった一人の家族である妹のカオルちゃんまで含まれていたのだ。3人はちょうど揃って買い物をしているときにシルバーブルーメの襲撃を受け、一瞬で命を奪われてしまう。
このシーンの残酷さは段違いで、命からがら地上にやってきたゲンと合流したトオル君が一縷の望みを託して3人を捜索しているときに死亡者リストが張り出され、そこにモモコさん、タケシ、
ウ
メ
ダ
カ
オ
ル
の名前が映し出される。
この史上最大にして最悪の大惨事の背景には色んな大人の事情もあるのだがそれはともかく、私は子供のころ何も知らずにただウルトラマンレオが好きでレンタルビデオ店に通いつめ(当時まだ一本300円ぐらいして高かったのだ)コレをマトモに見てしまった。
シルバーブルーメというバケモノは最終的には真っ白いクラゲのようなアタマに真っ赤な胴体と長い触手を持つカタチになる。顔も目玉もなく、クラゲのように胴体の下に口があってそこからシュルシュルと触手を伸ばしている。
ギャースとかグエーとか鳴き声もなく、ヒューーンという飛行音?だけを響かせて、ただそこに佇んでいる。無表情どころかなんの感情も意思も見せず、破壊の限りを尽くしている恐るべき円盤生物シルバーブルーメ。
最後は学校に出現するも、怒りに燃えるウルトラマンレオによって内臓を引きずり出され倒された。
このときに内臓と一緒に引きずり出されたのが、あの赤い戦闘機マッキーだった。だがそれは溶解液らしき黄色い液体によってドロドロに溶かされており、無残な姿となっていた。
雷雨のなか、学校から避難した子供たちの無事を確認したレオの光線技を受けて爆発炎上するシルバーブルーメ。
だがシルバーブルーメは死んではいなかった。いつしか私の心の中にコイツが住み着いていたのだ。
イヤなことがあったり、辛いことがあると、視界の奥を、視神経の裏側を、シルバーブルーメがスイーっと横切って行った。まるであの触手と巨大な口で、全てを飲み込んで溶かしてしまおうとしているかのように。
シルバーブルーメは時折ひどく暴れまわり、肥大化し過ぎて手に負えないときもある。
だけど、私は間違いなく何度もコイツに命を救われているし、心を助けられている。
私一人ではどうにもできない、誰に話してもどうにもならない、そんなときに。
シルバーブルーメは何も言わず、鳴き声ひとつあげずにそこにいた。
私が元気で、コイツのことを忘れているとき、どこでどうしているのか今でもわからない。
だけど間違いなく、私の心の中の暗黒宇宙、ブラックスターの中でシルバーブルーメは今日も元気に?ふよふよ漂っているのだ。
これは一種のイマジナリーフレンドなのか?
高校生ぐらいまで、いや下手をするとつい最近まで心のなかにお友達がいたタイプのキッドさんにとっての、一種の破壊神みたいなもんなのだろうか。
いつか本当にどうしようもない、何もかも嫌になっていらなくなってしまったら。
シルバーブルーメは真っ先にどこに現れて、何を壊し、誰を殺してくれるのだろう。
私の枕元に現れて、私の心と体を壊し、私を殺してくれるのだろうか。
そうして辿り着いた暗黒宇宙で、私は私とシルバーブルーメ以外だあれも居なくなった世界で、一体なにを思うのだろう。
「月曜JUNK伊集院光 深夜の馬鹿力」
で、伊集院光さんが話していたヤギのバケモノの話。発端は伊集院光さんが出演しているNHKの「100分de名著」という番組で、SF小説のSolarisを取り上げたこと。
そのトークの中で伊集院さんは、自分もかつてスクールエスケイパーとなり、心に影が差した時期に
世の中の全てを巨大なヤギが食いつくしてしまえばいい
という妄想を抱いていたことをリスナーに告白する。
自分の過去を消したくて、子供のころの写真を荒川遊園地のヤギに次々と食べさせて、それが見つかって怒られてからは燃やしてしまって、だけどその時の強烈なインスピレーションがやがて伊集院さんの中に巨大なヤギのバケモノを産み出し
「このヤギが全てを食いつくして、何もかも無くなった世界で俺とヤギだけになったらどんだけ楽だろう」
と思った…というもの。
私はこの話が伊集院さんのトークの中でも五指に入るぐらい大好きで、オンラインでダウンロード販売とかしてくれたら即刻購入して時折思い出したら聞きたいと切に願っている。
そして伊集院さんの心の中で巨大に育ったヤギのようなものが、私の心の中にもハッキリ蠢いているのを今も感じている。私は、この人のこういうところに共感を覚えたし、暗く落ちこぼれた気分で生きていても、初めて深夜の馬鹿力を聞いたとき、伊集院さんだからじゃないけどまさに光が差した気持ちになった。
もっとも私の場合はもうちょっと具体的というか、在り物を借りている感じなのだけれど。
それはこれまた私の大好きなウルトラマンレオの第40話に登場する
円盤生物シルバーブルーメ
という、生き物なんだかUFOなんだかよくわからない巨大なバケモノ。
こいつはウルトラマンレオの中でも、いや下手をするとウルトラシリーズを通して最大にして最悪の大虐殺を行ったトンデモ怪獣でもあり、その悪行の数々はもはや伝説となっている。
始め透明なアタマ?に台座のようなものがついた円盤として地球防衛軍MACの基地に接近し、瞬く間に巨大化。基地を丸呑みにしようとした。中に居た隊員たちは(また折しも女性隊員のお誕生会なんかやってるんだこれが)一瞬で地獄絵図に叩きこまれ、次々に殉職していく。触手が基地の隔壁をブチ破り、丸っこい翼が可愛い赤い戦闘機マッキーに乗って脱出しようとした隊員たちは、そのマッキーごと飲み込まれてしまう。断末魔と悲鳴がこだまするMAC基地で、変身能力を失ったウルトラセブンことモロボシ・ダン隊長に一括され断腸の思いで脱出するウルトラマンレオ。
やがてシルバーブルーメは地球上に飛来し、都心のど真ん中に着陸。ビルも百貨店も地下道も破壊し尽くし、その場に居合わせた大勢の人々をも殺戮した。
その被害者の中には、ウルトラマンレオことおゝとりゲン隊員の恋人モモコさん、弟分でもあるタケシ、さらにこれまたゲンを兄のように慕う少年トオル君のたった一人の家族である妹のカオルちゃんまで含まれていたのだ。3人はちょうど揃って買い物をしているときにシルバーブルーメの襲撃を受け、一瞬で命を奪われてしまう。
このシーンの残酷さは段違いで、命からがら地上にやってきたゲンと合流したトオル君が一縷の望みを託して3人を捜索しているときに死亡者リストが張り出され、そこにモモコさん、タケシ、
ウ
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カ
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の名前が映し出される。
この史上最大にして最悪の大惨事の背景には色んな大人の事情もあるのだがそれはともかく、私は子供のころ何も知らずにただウルトラマンレオが好きでレンタルビデオ店に通いつめ(当時まだ一本300円ぐらいして高かったのだ)コレをマトモに見てしまった。
シルバーブルーメというバケモノは最終的には真っ白いクラゲのようなアタマに真っ赤な胴体と長い触手を持つカタチになる。顔も目玉もなく、クラゲのように胴体の下に口があってそこからシュルシュルと触手を伸ばしている。
ギャースとかグエーとか鳴き声もなく、ヒューーンという飛行音?だけを響かせて、ただそこに佇んでいる。無表情どころかなんの感情も意思も見せず、破壊の限りを尽くしている恐るべき円盤生物シルバーブルーメ。
最後は学校に出現するも、怒りに燃えるウルトラマンレオによって内臓を引きずり出され倒された。
このときに内臓と一緒に引きずり出されたのが、あの赤い戦闘機マッキーだった。だがそれは溶解液らしき黄色い液体によってドロドロに溶かされており、無残な姿となっていた。
雷雨のなか、学校から避難した子供たちの無事を確認したレオの光線技を受けて爆発炎上するシルバーブルーメ。
だがシルバーブルーメは死んではいなかった。いつしか私の心の中にコイツが住み着いていたのだ。
イヤなことがあったり、辛いことがあると、視界の奥を、視神経の裏側を、シルバーブルーメがスイーっと横切って行った。まるであの触手と巨大な口で、全てを飲み込んで溶かしてしまおうとしているかのように。
シルバーブルーメは時折ひどく暴れまわり、肥大化し過ぎて手に負えないときもある。
だけど、私は間違いなく何度もコイツに命を救われているし、心を助けられている。
私一人ではどうにもできない、誰に話してもどうにもならない、そんなときに。
シルバーブルーメは何も言わず、鳴き声ひとつあげずにそこにいた。
私が元気で、コイツのことを忘れているとき、どこでどうしているのか今でもわからない。
だけど間違いなく、私の心の中の暗黒宇宙、ブラックスターの中でシルバーブルーメは今日も元気に?ふよふよ漂っているのだ。
これは一種のイマジナリーフレンドなのか?
高校生ぐらいまで、いや下手をするとつい最近まで心のなかにお友達がいたタイプのキッドさんにとっての、一種の破壊神みたいなもんなのだろうか。
いつか本当にどうしようもない、何もかも嫌になっていらなくなってしまったら。
シルバーブルーメは真っ先にどこに現れて、何を壊し、誰を殺してくれるのだろう。
私の枕元に現れて、私の心と体を壊し、私を殺してくれるのだろうか。
そうして辿り着いた暗黒宇宙で、私は私とシルバーブルーメ以外だあれも居なくなった世界で、一体なにを思うのだろう。
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