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第656回。トイザらスのはなし。
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皆さんこんばんは!!
ダイナマイト・キッドです。
最近はアマゾンでも楽天でもNLSでもおもちゃの通販で何でも揃うし、家電量販店でもおもちゃコーナーが充実。テレビゲームもズラリ。
便利な世の中になりました。
私キッドが子供のころはギリギリ、おもちゃ屋さんやゲームショップの小さなお店が普通に存在する時代でした。近所には間口の小さなファミコンショップ、とか、個人経営のおもちゃ屋さんがあって。
たまごっちとかぎゃおっぴが流行った時にアコギな商売してやがった店もあったな。その後すぐ潰れたけど。
ああいう時に本性が出るって言うか命運が決まるって言うか、遅かれ早かれ閉店するにもやっぱり長続きしなかったり辞め方にも影響が出るんだよね…。
でね、テレビゲームのチェーン店が出たり電気屋さんでもゲームを売りだしたりし始めた頃。
我が町とよはしにもトイザらスがやってきた。
多分私は中学生くらいのころだったと思う。
これまでにない規模で、ゲームもおもちゃも何でも揃うお店だった。
新しく商業施設として開発された地域の目玉で、ホームセンターやスーパーマーケット、インテリアの量販店が軒を連ねる一角にでーん!とオープンした。
それはそれは賑わって、すぐ近所のおもちゃのバンバンをソッコーで閉店に追い込み、そこいら中のゲームショップ、おもちゃ屋さんも次々なくなった。多分、トイザらスのせいだけじゃなく色々と時期が重なったのもあったと思う。代替わりしなかったりとか、景気も悪かったりとか…。
でトイザらス。
行ってみるとまず入り口と出口が別。出口側から入ろうとしてもドアが開かないでやんの。
んでゲートを通ると映画ブルースブラザーズでジェイクとエルウッドがカーチェイスしてるみたいなひろーい店内にたかーい天井。おもちゃの棚も頭の遥か上まである。
しかも安い。チラシには、他店より高かったら相談してくれ、とまで書いてある。
999円とか1399円とかちょっと下がってるっぽい半端な値段が付いてて、端数も切り詰めてます感が出ていた。
ゲームの棚もデカくて長くて種類も多かった。けどやっぱり売れ筋商品が多くて、自分の欲しいようなものや好みのものはあまりなかった。ドラクエとか大々的にやってて、そういう場所だった。
買う時もトイザらスは大きい商品と高額商品はチケットをレジに持って行って引換券をもらって、それを商品お渡しカウンターで受け取るようになっていた。
でまあ、この受け取りカウンターにいる店員がモノの見事に不愛想で、私はここであまりゲームやおもちゃを買わないようになっていた。そうはいっても品ぞろえはやっぱりいいんで、ここじゃないとすぐに手に入らなかったりはしたんだけども。
何となくガソリンスタンドを辞めようと思った矢先に求人誌を見たらこのトイザらスがバイトを募集していたので応募してみた。
外資系企業らしくキッチリした面接をして、当時の店長だったかサービスカウンター担当のマネージャーだったかと、こっちは応募して来た高校生3人で話をした。
ちょうど今ぐらいの時期で、即決で採用だった。理由は簡単。
クリスマスと正月は戦場になるから、マトモそうならなんでもいいんで人手が欲しい。
そういうわけで私は、あの不愛想なお兄さんのいたお渡しカウンター担当になった。重たい商品も多いので男は大概ここに回される。
行ってみると接客をするよりも裏方業務が多く、トラックいっぱいに積んだおもちゃを倉庫に運び入れたり、自転車の組み立てを延々やったり、御砂場セットの砂場と砂20キロを運んだりとそんな仕事が多かった。そら愛想のいい人はそんなおらんわな。
ちなみに、私が不愛想だなと思ったお兄さんはその頃まだいて、話してみるとボソボソ話す面白いお兄さんだった。イマイズミさんだったかな。ぬぼーっとしてて背が高い、見た目ちょっと怖いけど優しいひとだった。
このお渡しカウンターにはゲームが好きな人とか、オタクのお兄さんも多かった。
華やかで派手にやっているイメージのトイザらスにしちゃ暗いというか大人しいというか、当時はパプワ君に出てきたマジック総統みたいな真っ赤な制服だったんだけど、それが似合わないことおびただしいお兄さんがいた。私も体はずんぐりむっくりだけど性格はネクラなのでそう言う意味ではラクだった。
ホントに繁忙期は死ぬほど忙しく、目が回るような仕事ぶりだった。
延々と裏で自転車を組み立てている人から、私のように重い荷物をお客さんの車まで運び続けてておもちゃ屋さんで働いてる感じが全くしないヤツから、駐車場や店の中でもトラブルがあればマネージャーがすっ飛んで行ってと。上を下への大騒ぎ。
これがヒマな時期になるとお客より店員のが多いくらいの有様で、シフトも週に1日か2日、3時間ぐらい入ればいい方だった。10月とかホントそんなんで、聞けば繁忙期に1年通しての利益のほとんどを出しているのだという。
結局私はメキシコにわたる直前まで働いていて、その後もたまに買い物に行っていた。
ただマネージャーも店長も異動が多いので、そのうち知ってる人も少なくなって足が遠のいていた。
また周辺の道路が物凄く混みあうので、車やバイクで行くのも億劫だった。
そうこうしているうちにベビーザらスと合併し、店舗の半分が育児グッズになっていた。
むしろ、この店の中にギッチリ全部おもちゃだったのが今更ながら驚きだった。
結構隙間も空いていたというか、閉店するちょっと前はもうだいぶ商品の数も減っていた。
私と一緒に面接を受けた高校生のうちの一人が女の子で、後年その子が私の元バイト先のガソリンスタンドのお兄さんと結婚し、その人から閉店を聞かされた。
これだけ通販がある世の中で、あれだけの店舗を、あんな交通事情の悪いところで維持するのは確かに難しかっただろう。
自転車やゲームの保証書に書いてある住所が、ホントに遠くの山を幾つかこえた辺りに住んでる人もいて。お休みや里帰りの時にトイザらスに来るのが一大イベントだったんだろうな、という。
町のおもちゃ屋さんを駆逐したと思ったら、トイザらスも淘汰されて。
今やこれですらも、懐かしい話になったんだなあ。
ダイナマイト・キッドです。
最近はアマゾンでも楽天でもNLSでもおもちゃの通販で何でも揃うし、家電量販店でもおもちゃコーナーが充実。テレビゲームもズラリ。
便利な世の中になりました。
私キッドが子供のころはギリギリ、おもちゃ屋さんやゲームショップの小さなお店が普通に存在する時代でした。近所には間口の小さなファミコンショップ、とか、個人経営のおもちゃ屋さんがあって。
たまごっちとかぎゃおっぴが流行った時にアコギな商売してやがった店もあったな。その後すぐ潰れたけど。
ああいう時に本性が出るって言うか命運が決まるって言うか、遅かれ早かれ閉店するにもやっぱり長続きしなかったり辞め方にも影響が出るんだよね…。
でね、テレビゲームのチェーン店が出たり電気屋さんでもゲームを売りだしたりし始めた頃。
我が町とよはしにもトイザらスがやってきた。
多分私は中学生くらいのころだったと思う。
これまでにない規模で、ゲームもおもちゃも何でも揃うお店だった。
新しく商業施設として開発された地域の目玉で、ホームセンターやスーパーマーケット、インテリアの量販店が軒を連ねる一角にでーん!とオープンした。
それはそれは賑わって、すぐ近所のおもちゃのバンバンをソッコーで閉店に追い込み、そこいら中のゲームショップ、おもちゃ屋さんも次々なくなった。多分、トイザらスのせいだけじゃなく色々と時期が重なったのもあったと思う。代替わりしなかったりとか、景気も悪かったりとか…。
でトイザらス。
行ってみるとまず入り口と出口が別。出口側から入ろうとしてもドアが開かないでやんの。
んでゲートを通ると映画ブルースブラザーズでジェイクとエルウッドがカーチェイスしてるみたいなひろーい店内にたかーい天井。おもちゃの棚も頭の遥か上まである。
しかも安い。チラシには、他店より高かったら相談してくれ、とまで書いてある。
999円とか1399円とかちょっと下がってるっぽい半端な値段が付いてて、端数も切り詰めてます感が出ていた。
ゲームの棚もデカくて長くて種類も多かった。けどやっぱり売れ筋商品が多くて、自分の欲しいようなものや好みのものはあまりなかった。ドラクエとか大々的にやってて、そういう場所だった。
買う時もトイザらスは大きい商品と高額商品はチケットをレジに持って行って引換券をもらって、それを商品お渡しカウンターで受け取るようになっていた。
でまあ、この受け取りカウンターにいる店員がモノの見事に不愛想で、私はここであまりゲームやおもちゃを買わないようになっていた。そうはいっても品ぞろえはやっぱりいいんで、ここじゃないとすぐに手に入らなかったりはしたんだけども。
何となくガソリンスタンドを辞めようと思った矢先に求人誌を見たらこのトイザらスがバイトを募集していたので応募してみた。
外資系企業らしくキッチリした面接をして、当時の店長だったかサービスカウンター担当のマネージャーだったかと、こっちは応募して来た高校生3人で話をした。
ちょうど今ぐらいの時期で、即決で採用だった。理由は簡単。
クリスマスと正月は戦場になるから、マトモそうならなんでもいいんで人手が欲しい。
そういうわけで私は、あの不愛想なお兄さんのいたお渡しカウンター担当になった。重たい商品も多いので男は大概ここに回される。
行ってみると接客をするよりも裏方業務が多く、トラックいっぱいに積んだおもちゃを倉庫に運び入れたり、自転車の組み立てを延々やったり、御砂場セットの砂場と砂20キロを運んだりとそんな仕事が多かった。そら愛想のいい人はそんなおらんわな。
ちなみに、私が不愛想だなと思ったお兄さんはその頃まだいて、話してみるとボソボソ話す面白いお兄さんだった。イマイズミさんだったかな。ぬぼーっとしてて背が高い、見た目ちょっと怖いけど優しいひとだった。
このお渡しカウンターにはゲームが好きな人とか、オタクのお兄さんも多かった。
華やかで派手にやっているイメージのトイザらスにしちゃ暗いというか大人しいというか、当時はパプワ君に出てきたマジック総統みたいな真っ赤な制服だったんだけど、それが似合わないことおびただしいお兄さんがいた。私も体はずんぐりむっくりだけど性格はネクラなのでそう言う意味ではラクだった。
ホントに繁忙期は死ぬほど忙しく、目が回るような仕事ぶりだった。
延々と裏で自転車を組み立てている人から、私のように重い荷物をお客さんの車まで運び続けてておもちゃ屋さんで働いてる感じが全くしないヤツから、駐車場や店の中でもトラブルがあればマネージャーがすっ飛んで行ってと。上を下への大騒ぎ。
これがヒマな時期になるとお客より店員のが多いくらいの有様で、シフトも週に1日か2日、3時間ぐらい入ればいい方だった。10月とかホントそんなんで、聞けば繁忙期に1年通しての利益のほとんどを出しているのだという。
結局私はメキシコにわたる直前まで働いていて、その後もたまに買い物に行っていた。
ただマネージャーも店長も異動が多いので、そのうち知ってる人も少なくなって足が遠のいていた。
また周辺の道路が物凄く混みあうので、車やバイクで行くのも億劫だった。
そうこうしているうちにベビーザらスと合併し、店舗の半分が育児グッズになっていた。
むしろ、この店の中にギッチリ全部おもちゃだったのが今更ながら驚きだった。
結構隙間も空いていたというか、閉店するちょっと前はもうだいぶ商品の数も減っていた。
私と一緒に面接を受けた高校生のうちの一人が女の子で、後年その子が私の元バイト先のガソリンスタンドのお兄さんと結婚し、その人から閉店を聞かされた。
これだけ通販がある世の中で、あれだけの店舗を、あんな交通事情の悪いところで維持するのは確かに難しかっただろう。
自転車やゲームの保証書に書いてある住所が、ホントに遠くの山を幾つかこえた辺りに住んでる人もいて。お休みや里帰りの時にトイザらスに来るのが一大イベントだったんだろうな、という。
町のおもちゃ屋さんを駆逐したと思ったら、トイザらスも淘汰されて。
今やこれですらも、懐かしい話になったんだなあ。
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