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第591回。藤田屋の大あんまき
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あんまき、ってみんな知ってるんだろうか。
愛知県では知立(ちりゅう)市にある藤田屋の大あんまきが有名だ。
ロールケーキとどら焼きのあいのこみたいなもんで、ほんのり甘い生地であんこを巻いてるからあんまき。
生地は結構しっかりしていて、パンケーキに近い感じがする。ふわっともちっとしていて、結構ずっしりぎっしり入っているあんこを持っても反対側がしなってこない。
知立市というのは江戸時代の宿場町・池鯉鮒(読み方は同じ)として栄え、そこで近在でとれたアズキや小麦を使って作られたお菓子があんまきだった。とおじいちゃんが言っていた。
で、そのデッカイ版だから大あんまき。
何故デッカイのを作ったのか。
愛知県民はそういう県民性を持っているからだ。
派手、美味、高級、便利、巨大。なんでもいいから作ってみたい!と思ったら作ってしまうのだ。
だいたいこの大あんまきにしてもレギュラーメニューの
大あんまき黒(小豆オンリー)
大あんまき白(白あん)
大あんまき抹茶
大あんまきカスタード(あんこのなかにカスタードが)
大あんまきチーズ(同じくチーズが)
大あんまき栗(栗いりのあんこ)
に、なんと
大あんまきの天ぷら
というのもある。栗とか抹茶は定番のラインナップ、チーズやカスタードもわかる。
天ぷらて!
大あんまきの黒に衣をつけて揚げたもの、だそうな。
気になってたんで今回も買ってみた。
さらにここに限定メニューも加わる。
塩キャラメルあんまき
ごまあんまき
ゆずあんまき
ピーナッツあんまき
なんてのもある。美味しそうだがちょっと思いつかないというか、伝統とか歴史なんていうものに縛られているとこのチョイスには至らないだろう。
塩キャラメルとか明らかに流行ってる味を取り入れる柔軟さ、良い意味でミーハーなところが愛知県民のいいところ。
ありゃあうみゃあで入れてみるでぎゃあ!
である(ド偏見)
私は愛知県民だが東の豊橋市民なので名古屋の人ってちょっとまた別物に感じるのだけれど、愛知県の土着企業で栄えているところは、みんな似たようなメンタリティーを感じる。
さて、藤田屋の大あんまきにおけるこれら多彩なメニューを支えているのは、やはり伝統の味。
大あんまきの黒。
その甘すぎないあんこ、しっかりした生地である。
愛知県では他にもあんまきを売っているお店は数多く存在している。
豊橋には植田屋の大あんまきがあるし、さらに最近ではお亀堂さんが注目度を増しており
ブラックサンダーあんまき
なる合わせ技も繰り出して来た。あのユーラク製菓さんのブラックサンダーをあんまきにしました!という、これまた愛知県民特有の柔軟さとバカバカしいまでに真っすぐ突っ走る企業精神(褒めている)の賜物である。
だけど最終的なところでは「大あんまき」といえば藤田屋のもの、という結論になる。他の商品はいざ知らず、大あんまき=藤田屋!という図式は確固たる地位を築いているのだ
それはもうずっと、あの場所で大あんまきを作り続けていて、それが選ばれ続けてるからに他ならない。
私の母ミワコも、大あんまきと言えば色々あるけど一つ選ぶなら藤田屋のだな、と言っていた。
東海道、国道1号線にどーん!とドライブインを構える藤田屋では運が良ければ製造しているところも見ることが出来る。自動ラインと手作りの職人技を活かした味だ。
甘すぎないのは味の調和のためともう一つ。
もっとお砂糖を入れれば日持ちもするのだけれど、やはり一番おいしい出来立てを早めに食べてほしいということでこの甘さ、この量になっているのだそうな。
この連綿と積み重ねてきた伝統と歴史。
しかしそれに胡坐をかくことなく、むしろいい意味で挑戦したりブチ壊していくのが愛知県民のいいところ。
例えば変わった味を用意するところは伝統を破り、変えていくところだけど、あんまきはずっと木箱に入れて保存されている。あんまきは生ものなので通気性や余分な水分・熱を取り除くことを優先させているという。よくあるプラスチックのケースではダメなのだ。
そんな東海道伝統の味、今回はチーズ、カスタード、白、黒、そして天ぷらを購入。
抹茶も欲しかった。
お年寄りは大あんまきを平気で5本単位で買っていく。
一緒に行ったおじいちゃんはお土産として近所に配るのだそうな。
そういえば私も、よく親戚とか近所の人から頂いて食べてたなあ、大あんまき。
何しろ豊橋から知立は1号線で走ると結構な距離と時間になるので、充分お土産なのだ。
最近では豊橋駅のコンコースでも出店があるので出かけた帰りに買うことも出来るし便利な時代になった。
そしてこの大あんまき。豊橋市では大変喜ばれるお土産物となっている。
駅に出店があることでもわかる通り、ちょっと買って持っていくととても嬉しいし美味しい。
愛知県民はあんこが大好きでトーストにもパフェにもあんこを使うし、コーヒーにも入れるという説がある。こればっかりは実際に親戚が喫茶店で小倉トーストを供していたり、おじいちゃんが生前、よく小倉トーストと牛乳という組み合わせをこよなく愛していたというキッドさんでも未確認なんだけど、ホントに小倉コーヒーを飲んだことある人っているんだろうか。愛知県でもどの辺りではフツーなんだろうか。
世の中から小豆がなくなったら愛知県民はブチ切れて、
まっぺんやったろみゃあか関ヶ原!
となるに違いない。小豆相場を動かそうと思ったら愛知の景気を良くするに限る。
そうしたら、みんな喫茶店で小倉トーストを食べるからだ。そして会社の成績が上がり、お給料が上がり、お小遣いが増えればお出かけも増え、お土産に藤田屋の大あんまきを買って行くことになるのだ。
そういう経済政策ってどうかね?
まあそれはともかく。
藤田屋の直売店は手前と奥に二か所ある。表の道路からも見える方はかなり立派な構えで混雑しているが、実は店の奥にもう一か所あって、そっちでもひっそり売っている。
私が行った時も細身で大人しそうな美人のお姉さんが一人で店番をしていた。
大あんまきの黒、白、栗、抹茶、カスタード、チーズ、天ぷらがショーケースに並んでいて、あとはちょっとしたお菓子やらせんべいなどの焼き菓子、そして申し訳程度にその辺でも売っているアイスがスジャータの冷凍ケースに入っているくらい。
混んでると買いにくいからもう一か所売り場を設ける、ってのも、あの国道1号線沿いにパチンコ屋とかガソリンスタンドよりデカい敷地があるから出来るワザであり、万事豪快なナゴヤ式の営業努力の現れである。その割には第二サテライトの方は閑散としていて、ショーケースの端っこには何故か飛行機のおもちゃとかが入っていた。社長の親戚の子供とかが入れといたもんだから出すに出せないんだろうか。
ずーっと変わらない味なようで、実は流行りや世の移り変わりを受けて柔軟な対応をしている。
伝統企業の鑑のような藤田屋さんにはこれからも是非とも美味しい大あんまきを作り続けてほしいと思います。
皆さんも愛知県に来たら是非どうぞ。
豊橋駅の改札を通って突き当りでも売ってます。
愛知県では知立(ちりゅう)市にある藤田屋の大あんまきが有名だ。
ロールケーキとどら焼きのあいのこみたいなもんで、ほんのり甘い生地であんこを巻いてるからあんまき。
生地は結構しっかりしていて、パンケーキに近い感じがする。ふわっともちっとしていて、結構ずっしりぎっしり入っているあんこを持っても反対側がしなってこない。
知立市というのは江戸時代の宿場町・池鯉鮒(読み方は同じ)として栄え、そこで近在でとれたアズキや小麦を使って作られたお菓子があんまきだった。とおじいちゃんが言っていた。
で、そのデッカイ版だから大あんまき。
何故デッカイのを作ったのか。
愛知県民はそういう県民性を持っているからだ。
派手、美味、高級、便利、巨大。なんでもいいから作ってみたい!と思ったら作ってしまうのだ。
だいたいこの大あんまきにしてもレギュラーメニューの
大あんまき黒(小豆オンリー)
大あんまき白(白あん)
大あんまき抹茶
大あんまきカスタード(あんこのなかにカスタードが)
大あんまきチーズ(同じくチーズが)
大あんまき栗(栗いりのあんこ)
に、なんと
大あんまきの天ぷら
というのもある。栗とか抹茶は定番のラインナップ、チーズやカスタードもわかる。
天ぷらて!
大あんまきの黒に衣をつけて揚げたもの、だそうな。
気になってたんで今回も買ってみた。
さらにここに限定メニューも加わる。
塩キャラメルあんまき
ごまあんまき
ゆずあんまき
ピーナッツあんまき
なんてのもある。美味しそうだがちょっと思いつかないというか、伝統とか歴史なんていうものに縛られているとこのチョイスには至らないだろう。
塩キャラメルとか明らかに流行ってる味を取り入れる柔軟さ、良い意味でミーハーなところが愛知県民のいいところ。
ありゃあうみゃあで入れてみるでぎゃあ!
である(ド偏見)
私は愛知県民だが東の豊橋市民なので名古屋の人ってちょっとまた別物に感じるのだけれど、愛知県の土着企業で栄えているところは、みんな似たようなメンタリティーを感じる。
さて、藤田屋の大あんまきにおけるこれら多彩なメニューを支えているのは、やはり伝統の味。
大あんまきの黒。
その甘すぎないあんこ、しっかりした生地である。
愛知県では他にもあんまきを売っているお店は数多く存在している。
豊橋には植田屋の大あんまきがあるし、さらに最近ではお亀堂さんが注目度を増しており
ブラックサンダーあんまき
なる合わせ技も繰り出して来た。あのユーラク製菓さんのブラックサンダーをあんまきにしました!という、これまた愛知県民特有の柔軟さとバカバカしいまでに真っすぐ突っ走る企業精神(褒めている)の賜物である。
だけど最終的なところでは「大あんまき」といえば藤田屋のもの、という結論になる。他の商品はいざ知らず、大あんまき=藤田屋!という図式は確固たる地位を築いているのだ
それはもうずっと、あの場所で大あんまきを作り続けていて、それが選ばれ続けてるからに他ならない。
私の母ミワコも、大あんまきと言えば色々あるけど一つ選ぶなら藤田屋のだな、と言っていた。
東海道、国道1号線にどーん!とドライブインを構える藤田屋では運が良ければ製造しているところも見ることが出来る。自動ラインと手作りの職人技を活かした味だ。
甘すぎないのは味の調和のためともう一つ。
もっとお砂糖を入れれば日持ちもするのだけれど、やはり一番おいしい出来立てを早めに食べてほしいということでこの甘さ、この量になっているのだそうな。
この連綿と積み重ねてきた伝統と歴史。
しかしそれに胡坐をかくことなく、むしろいい意味で挑戦したりブチ壊していくのが愛知県民のいいところ。
例えば変わった味を用意するところは伝統を破り、変えていくところだけど、あんまきはずっと木箱に入れて保存されている。あんまきは生ものなので通気性や余分な水分・熱を取り除くことを優先させているという。よくあるプラスチックのケースではダメなのだ。
そんな東海道伝統の味、今回はチーズ、カスタード、白、黒、そして天ぷらを購入。
抹茶も欲しかった。
お年寄りは大あんまきを平気で5本単位で買っていく。
一緒に行ったおじいちゃんはお土産として近所に配るのだそうな。
そういえば私も、よく親戚とか近所の人から頂いて食べてたなあ、大あんまき。
何しろ豊橋から知立は1号線で走ると結構な距離と時間になるので、充分お土産なのだ。
最近では豊橋駅のコンコースでも出店があるので出かけた帰りに買うことも出来るし便利な時代になった。
そしてこの大あんまき。豊橋市では大変喜ばれるお土産物となっている。
駅に出店があることでもわかる通り、ちょっと買って持っていくととても嬉しいし美味しい。
愛知県民はあんこが大好きでトーストにもパフェにもあんこを使うし、コーヒーにも入れるという説がある。こればっかりは実際に親戚が喫茶店で小倉トーストを供していたり、おじいちゃんが生前、よく小倉トーストと牛乳という組み合わせをこよなく愛していたというキッドさんでも未確認なんだけど、ホントに小倉コーヒーを飲んだことある人っているんだろうか。愛知県でもどの辺りではフツーなんだろうか。
世の中から小豆がなくなったら愛知県民はブチ切れて、
まっぺんやったろみゃあか関ヶ原!
となるに違いない。小豆相場を動かそうと思ったら愛知の景気を良くするに限る。
そうしたら、みんな喫茶店で小倉トーストを食べるからだ。そして会社の成績が上がり、お給料が上がり、お小遣いが増えればお出かけも増え、お土産に藤田屋の大あんまきを買って行くことになるのだ。
そういう経済政策ってどうかね?
まあそれはともかく。
藤田屋の直売店は手前と奥に二か所ある。表の道路からも見える方はかなり立派な構えで混雑しているが、実は店の奥にもう一か所あって、そっちでもひっそり売っている。
私が行った時も細身で大人しそうな美人のお姉さんが一人で店番をしていた。
大あんまきの黒、白、栗、抹茶、カスタード、チーズ、天ぷらがショーケースに並んでいて、あとはちょっとしたお菓子やらせんべいなどの焼き菓子、そして申し訳程度にその辺でも売っているアイスがスジャータの冷凍ケースに入っているくらい。
混んでると買いにくいからもう一か所売り場を設ける、ってのも、あの国道1号線沿いにパチンコ屋とかガソリンスタンドよりデカい敷地があるから出来るワザであり、万事豪快なナゴヤ式の営業努力の現れである。その割には第二サテライトの方は閑散としていて、ショーケースの端っこには何故か飛行機のおもちゃとかが入っていた。社長の親戚の子供とかが入れといたもんだから出すに出せないんだろうか。
ずーっと変わらない味なようで、実は流行りや世の移り変わりを受けて柔軟な対応をしている。
伝統企業の鑑のような藤田屋さんにはこれからも是非とも美味しい大あんまきを作り続けてほしいと思います。
皆さんも愛知県に来たら是非どうぞ。
豊橋駅の改札を通って突き当りでも売ってます。
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