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第457回。5150

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バンドを始めて何が困るかってとにかくお金がかかることだった。
スタジオ練習、機材、ちょっとしたものでもバカにならない。
練習は週に2回だったけど、自分ひとりでも練習したかったからホントに通い詰めていた。

機材のこととか、楽器ごとの音色のこととか、ぜーんぜんわからないけど、聞いた感じ・使ってみた感じを信じることにして色々買ってみた。
モンスターケーブルっていうぶっといシールドを買ってみた。
それまではもうちょいほっそいのを使ってたけど、それとは全然違う!…気がした。
試しに元のに戻してみると、やっぱり違う!…気がする。
んでまあ、そのまま元には戻せなくなるんで、今後シールドを買い足したりかい直すときは7千円がとこかかることになるのだ。ぜーんぶこの調子で、よくカメラや家電などお金のかかる趣味のことを

と呼ぶのが、私にもよくわかる。

なんといってもバンドをやっているのならライブに出たい。
このときに3人組のバンドを組んだのは、ギターの丸山君がお兄さんとそのお友達と組んでいたバンドを経て自分でもバンドを始めて、地元の納涼祭りで毎年開催される無料ライブステージに出てみたい、と思ったことが始まりだった。だから、初めからそのライブありきで結成したし、練習してみたら楽しかったのでそのまま活動していくことにしたのだ。
ちなみに無料ライブ本番当日は雷雨で、私らの出番の頃には通り過ぎてった雷雲が遠くの夜空でピカピカ光ってるのが地面の水たまりに反射してて、そこにセルベッサで酔っぱらったブラジル人のアミーゴたちが見守ってくれている…というカオスな状況で行われたのであった。

さて。継続も決まったし、さあやるぞ!と思ったはいいが、どうすればいいかわからない。
私は楽器は下手だが横のつながりを広げていくのが好きだったし人前に出て何かすることにもあまり照れ屋抵抗が無いタイプのデブなので、まずはミクシィで知り合った地元のバンドのライブを見に行ってみた。
ぶっちゃけピンキリで、すげえな!こんなカッコイイ人が地元にいるんだ!ってのと、まあそうでもないのと色々だった。
自分らは、まだスタートラインにも立っていないのでコレ以下だ。

なんでもいいが、こういうイベントは小さければ小さいほど取っつきにくいし入りにくいのは私だけだろうか。人前に出ることも横のつながりも好きだけど基本的に根暗のデブこと私から見ていると、盛り上がっているイベントごとほど、新しくそこに入るのにちょっと勇気がいる。
アレかなー、小学校のころ色んな理由で同じ学年に友達がホントに一人も居なくなって、遅れて学校に行って教室に入るときの、あの感覚。あれを思い出すのか、近いものがあるのか。
行けば楽しいんだけど、行く直前が一番行きたくなさのピークになるっていうの、あるあるだよな?

で、行ってCDやタオルなんか買ったりして物販でお話して、仲良くなってもらって、そうこうしているうちに自分らもライブに出れることになった。
チケットノルマなるシステムもこの時に知るのだが、何しろお客さんなんかいないバンドなので全額負担である。出るのにお金がかかる、というだけの話。
理屈としてはわかるしライブハウスからしたらそれでも苦しいのだろうけど、お金のない新人バンドには何しろこのチケットノルマという名の「出演料金」がキツかった。
バイトを掛け持ちしてやりくりしてたけど、まあ何しろ堪え性がないもんですぐにピンチになって、家に遭ったレコードやフィギュアなどを散々売り払ってお金を工面していた。

その日のスタジオ練習のお金を払うのにそんな風にしてたもんだから、部屋の中はスッカラカン。
ゲームも売ったなあ。
そうやってコレクションしたものを雑に処分しちゃうと、あとのものも芋づる式に興味が失せるんでそのジャンルをあきらめるときはそうする、って所ジョージさんが言ってた。のを伊集院さんがラジオで言ってた。まさにその通りで、あの頃売り払ったウルトラマンやゴジラのジオラマは、もう今になっても欲しいと思わない。売っちゃうときの、あの感覚を思い出すだけでもなんだかツライ。
いつか買い直そう!と思ってたけど、こないだ前を通ったら売った店の方がなくなっていた。
あの店の親父、態度悪かったなあ…ざまみろ!と思うのと、悔しいのとで…。

こないださ!
メカゴジラ、初代の、あの超合金板(鉄板みたいなもんか)をボルトで止めたスチームパンク風ゴジラが、沖縄の地底に作られた秘密基地に立ってるジオラマがあったんだよ。
超ほしいじゃん!でも、買っても、また、なあ…ってなって買わなくなった。

他にも色々あったんだよ。フィギュアからジオラマから。ちょっと大きいのに手を出したりもしてたから、まあ、強引にとはいえ引き際を迎えられたのは良かったのかも知れない。

バンドをやってるとお金がかかる、というお話でした。
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