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第319回。夏の入院
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高校2年の夏に10日間ばかり入院してた。炎天下の甲子園球場で高校生が野球をやっている頃だった。
残念ながら包茎手術じゃなかったんだけど、あと腋の下の切開もしたかったけどそれもダメだった。
伊集院光さんのラジオ、黒歴史かるたに、ワキガの手術を受けたいと相談したら父親まで巻き込んで壮絶な親子げんかになった、って書いて送ったら採用していただいた、あの手術。今でも受けれるもんなら受けておきたいあの手術。イエス!高須クリニック!!
かっちゃん先生にお願いしよう!
で何の手術かというとね、実は私は学者でもありオートレーサーでもあり、武道の有段者でもあるため地球征服をたくらむ悪の秘密結社ショッカーに拉致されてバッタの改造人間にされる手術を…やめろぉ!ショッカー!!ぶっとばすぞお!!
ってそれは仮面ノリダーの方か。
みなさんのおかげでした、終わるんだってねえ。
ノリダーとかの頃は欠かさず見てたなあ。
いつの間にか食わず嫌い王決定戦とお買い物しかしなくなっちゃってたけど…。
細かすぎるモノマネの審査員に関根さんと有田さんがいるから、かなりディープな格闘技ネタでも笑いになっててうれしかった。
あの時間にテレビ見てる人に、ディック・フライやビターゼ・タリエルのモノマネを浴びせるなんて本家リングスばりに痛快じゃないか。
で何の手術かというとね、アレルギー性鼻炎。
大したことないんだ、ほんと。
というかね、この年の初めごろについにキッドさん蓄膿症になりまして。
元々アレルギーが酷くて病院に通ってたんだけど、それでもずーっと改善されないままでさ。
中学の頃がいちばんキツかったなあ。
毎日ポケットティッシュ使いまくってた。
部屋のごみ箱も、どっちで使ったんだかわからないぐらいティッシュが山盛りになってて、まあ比率的には7:3ぐらいなんだけど(えーそんなに!?)
そんで結局手術することになって近所の大きな古い病院に。
レントゲンを撮ったら鼻の中が真っ白。
医者が言うには、あーこりゃ蓄膿ですね、と。
鼻炎が酷くなって、鼻の中に色々溜まってるということで。
切開して骨を削って溜まったものを排出しやすくしましょう、と。
簡単に言うけどお前、そんな、鼻のとこペローンてめくって、骨を削って元に戻すって。
オレの顔はミニ四駆か!ついでにメッシュにして皮下脂肪も抜いて軽量化してくれりゃあいいのにと思うんでゲス。
(私、スピンアックス使ってた。みんなは何だった?ブーメラン10って知ってる?)
が、怖かったので当時我が家にいた新しいお父さんこと輝(てる)さんに相談してみた。
ちなみにワキガ手術の件で壮絶な喧嘩になったのもこの人だ。
輝さんも昔、ひどいアレルギーだったのを漢方薬で改善させたことがあったという。
そうして輝さんの実家近くにある薬局を紹介してもらい、行ってみるとそこの先生がとてもユニークでいい先生だった。いまだに、もう15年近く付き合いが続いているのだけれど、この時に人生で初めて漢方薬を本格的に飲み始めた。
するとどうだ、手術前のレントゲン撮影では鼻の中の白いのが綺麗さっぱりなくなっていた。
医者も驚いていたし手術もやめになった。だけど念のために、鼻の粘膜をレーザーで焼いて、再生させる手術だけは受けることになった。
切開だの削るだの、土木工事まがいの手術ではなくなったものの、鼻の中にレーザーを打つとかそんなよっぽどショッカーみてえな手術にもビビるキッドくん。
結局全身麻酔をキメてもらい、目が覚めると全部終わっていた。
この病院はとにかく色々タチ悪かったんだけど、そのうち一つがそこにいた看護師さん全員注射がド下手で、私の腕を裁縫道具のように滅多刺しにした挙句、目が覚めると手の甲にものすごい長い針がブッ刺さっていた。薄い皮膚の中をギラリと光る長い針が透けているのってすげえ気持ち悪いな。
アッタマ来たんで引っこ抜いて(超痛かったけど)そのままナースステーションに点滴のガラガラを引っ張って持ってった。針の中に血が逆流してて驚かれるやら怒られるやらだったけど、あの注射の顛末を話して、もうゴメンだ!と駄々をこねたら、抗生物質の錠剤に変えてくれた。
ホントにあの注射のヘタな連中、ケラケラ笑いながら3人ぐらいかわるがわる来ちゃ刺して、ダメねーやっぱりあははは!って言ってたからな。
もう生き死にの問題であっても、あの病院の世話にはならないと心に決めた17の夏。
入院っても麻酔が覚めたばかりの頃こそおもゆとお味噌汁の上澄みしか食べられなかったけどすぐに普通に食事になったし、別に手足もアタマも出来は悪いが不自由はない。
退屈で仕方がなかった。
当時ダイナマイト・キッドが自伝を出版していたので母親に頼んで買ってきてもらい、何度も何度も読み返した。新日本プロレスの棚橋弘至選手がこの本を
「8割イタズラで2割がステロイドのこと」
が書いてあると自著で語っていたけどその通りで、それまで私もあるならちょっとだけやってみようかと思ってたのを根底から改めようと思った本だった。で悪質極まりないイタズラには大爆笑した。
4人部屋だったけど周りはよぼよぼの爺さんばかりだったから、話し相手もいなくて、絵や詞を書いたり、屋上をうろうろ歩く以外にやることがなかった。
手術をした部分には、どこにこんな入ってたんだよ!!ってぐらいガーゼが詰め込まれていて、お前これに万国旗ぶら下げたら立派な手品だぞ!って感じで取り出してもらうと鼻の奥がスーッと楽になった。そりゃそうだ。で、それ以降しばらくは鼻が詰まりやすくなるけれど、その後は粘膜が再生するんで症状が改善される、とのこと。
漢方薬も並行して飲んでいたので、どっちがどう効いたのか定かじゃないけど、花粉症とか、鼻炎とか、むくみとかでしんどい時に漢方を飲むとスーっと楽になるし、それまで10年以上飲んでた耳鼻科の薬が結局効いたと思ったためしがないので、私には漢方薬があっていたようだ。
ある日、入院生活も残り数日といった夜。
急に鼻の奥、喉と鼻のあいだぐらいのところが急に苦しくなって
うっ!?なんかこれおかしいぞ!!
と思ってとりあえずトイレの洗面台に行ってせき込むと…
ちょっと汚いこというけどごめんね。
「見たことないぐらい巨大でどす黒い赤色をした、明らかに血の混じった半透明でゲル状の物体」
が、
がほっ。
と出てきた。
遊星からの物体Xか!?って感じの。
その後も数回、段々小さくなったけど同じようなものが出ていった。
アレ何だったんだろう。
本当に手術で何か埋め込まれてて、あれが出ていくことで本来の私の体が溶かされて宇宙生物に取り込まれ、排泄されたものがアレだったら…今これを書いている私は…一体だーれだ!?
がほっ。
残念ながら包茎手術じゃなかったんだけど、あと腋の下の切開もしたかったけどそれもダメだった。
伊集院光さんのラジオ、黒歴史かるたに、ワキガの手術を受けたいと相談したら父親まで巻き込んで壮絶な親子げんかになった、って書いて送ったら採用していただいた、あの手術。今でも受けれるもんなら受けておきたいあの手術。イエス!高須クリニック!!
かっちゃん先生にお願いしよう!
で何の手術かというとね、実は私は学者でもありオートレーサーでもあり、武道の有段者でもあるため地球征服をたくらむ悪の秘密結社ショッカーに拉致されてバッタの改造人間にされる手術を…やめろぉ!ショッカー!!ぶっとばすぞお!!
ってそれは仮面ノリダーの方か。
みなさんのおかげでした、終わるんだってねえ。
ノリダーとかの頃は欠かさず見てたなあ。
いつの間にか食わず嫌い王決定戦とお買い物しかしなくなっちゃってたけど…。
細かすぎるモノマネの審査員に関根さんと有田さんがいるから、かなりディープな格闘技ネタでも笑いになっててうれしかった。
あの時間にテレビ見てる人に、ディック・フライやビターゼ・タリエルのモノマネを浴びせるなんて本家リングスばりに痛快じゃないか。
で何の手術かというとね、アレルギー性鼻炎。
大したことないんだ、ほんと。
というかね、この年の初めごろについにキッドさん蓄膿症になりまして。
元々アレルギーが酷くて病院に通ってたんだけど、それでもずーっと改善されないままでさ。
中学の頃がいちばんキツかったなあ。
毎日ポケットティッシュ使いまくってた。
部屋のごみ箱も、どっちで使ったんだかわからないぐらいティッシュが山盛りになってて、まあ比率的には7:3ぐらいなんだけど(えーそんなに!?)
そんで結局手術することになって近所の大きな古い病院に。
レントゲンを撮ったら鼻の中が真っ白。
医者が言うには、あーこりゃ蓄膿ですね、と。
鼻炎が酷くなって、鼻の中に色々溜まってるということで。
切開して骨を削って溜まったものを排出しやすくしましょう、と。
簡単に言うけどお前、そんな、鼻のとこペローンてめくって、骨を削って元に戻すって。
オレの顔はミニ四駆か!ついでにメッシュにして皮下脂肪も抜いて軽量化してくれりゃあいいのにと思うんでゲス。
(私、スピンアックス使ってた。みんなは何だった?ブーメラン10って知ってる?)
が、怖かったので当時我が家にいた新しいお父さんこと輝(てる)さんに相談してみた。
ちなみにワキガ手術の件で壮絶な喧嘩になったのもこの人だ。
輝さんも昔、ひどいアレルギーだったのを漢方薬で改善させたことがあったという。
そうして輝さんの実家近くにある薬局を紹介してもらい、行ってみるとそこの先生がとてもユニークでいい先生だった。いまだに、もう15年近く付き合いが続いているのだけれど、この時に人生で初めて漢方薬を本格的に飲み始めた。
するとどうだ、手術前のレントゲン撮影では鼻の中の白いのが綺麗さっぱりなくなっていた。
医者も驚いていたし手術もやめになった。だけど念のために、鼻の粘膜をレーザーで焼いて、再生させる手術だけは受けることになった。
切開だの削るだの、土木工事まがいの手術ではなくなったものの、鼻の中にレーザーを打つとかそんなよっぽどショッカーみてえな手術にもビビるキッドくん。
結局全身麻酔をキメてもらい、目が覚めると全部終わっていた。
この病院はとにかく色々タチ悪かったんだけど、そのうち一つがそこにいた看護師さん全員注射がド下手で、私の腕を裁縫道具のように滅多刺しにした挙句、目が覚めると手の甲にものすごい長い針がブッ刺さっていた。薄い皮膚の中をギラリと光る長い針が透けているのってすげえ気持ち悪いな。
アッタマ来たんで引っこ抜いて(超痛かったけど)そのままナースステーションに点滴のガラガラを引っ張って持ってった。針の中に血が逆流してて驚かれるやら怒られるやらだったけど、あの注射の顛末を話して、もうゴメンだ!と駄々をこねたら、抗生物質の錠剤に変えてくれた。
ホントにあの注射のヘタな連中、ケラケラ笑いながら3人ぐらいかわるがわる来ちゃ刺して、ダメねーやっぱりあははは!って言ってたからな。
もう生き死にの問題であっても、あの病院の世話にはならないと心に決めた17の夏。
入院っても麻酔が覚めたばかりの頃こそおもゆとお味噌汁の上澄みしか食べられなかったけどすぐに普通に食事になったし、別に手足もアタマも出来は悪いが不自由はない。
退屈で仕方がなかった。
当時ダイナマイト・キッドが自伝を出版していたので母親に頼んで買ってきてもらい、何度も何度も読み返した。新日本プロレスの棚橋弘至選手がこの本を
「8割イタズラで2割がステロイドのこと」
が書いてあると自著で語っていたけどその通りで、それまで私もあるならちょっとだけやってみようかと思ってたのを根底から改めようと思った本だった。で悪質極まりないイタズラには大爆笑した。
4人部屋だったけど周りはよぼよぼの爺さんばかりだったから、話し相手もいなくて、絵や詞を書いたり、屋上をうろうろ歩く以外にやることがなかった。
手術をした部分には、どこにこんな入ってたんだよ!!ってぐらいガーゼが詰め込まれていて、お前これに万国旗ぶら下げたら立派な手品だぞ!って感じで取り出してもらうと鼻の奥がスーッと楽になった。そりゃそうだ。で、それ以降しばらくは鼻が詰まりやすくなるけれど、その後は粘膜が再生するんで症状が改善される、とのこと。
漢方薬も並行して飲んでいたので、どっちがどう効いたのか定かじゃないけど、花粉症とか、鼻炎とか、むくみとかでしんどい時に漢方を飲むとスーっと楽になるし、それまで10年以上飲んでた耳鼻科の薬が結局効いたと思ったためしがないので、私には漢方薬があっていたようだ。
ある日、入院生活も残り数日といった夜。
急に鼻の奥、喉と鼻のあいだぐらいのところが急に苦しくなって
うっ!?なんかこれおかしいぞ!!
と思ってとりあえずトイレの洗面台に行ってせき込むと…
ちょっと汚いこというけどごめんね。
「見たことないぐらい巨大でどす黒い赤色をした、明らかに血の混じった半透明でゲル状の物体」
が、
がほっ。
と出てきた。
遊星からの物体Xか!?って感じの。
その後も数回、段々小さくなったけど同じようなものが出ていった。
アレ何だったんだろう。
本当に手術で何か埋め込まれてて、あれが出ていくことで本来の私の体が溶かされて宇宙生物に取り込まれ、排泄されたものがアレだったら…今これを書いている私は…一体だーれだ!?
がほっ。
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