176 / 1,299
第184回。メガネっ子大賞。
しおりを挟む
掲載日2017年 08月07日 01時00分
8月1日。
今年はなんだかあっという間に梅雨明けを迎え、日に日に真夏の陽射しがぎらつきを増しつつあった。夕方の幾分かげった時間帯にも真昼のぼわんとした熱気を残したまま、まとわりつくような湿度と流れ落ちて冷えた汗の不快さが尚の事、夏なんて早く終われ、と思わせる。
冷房の効いた車内から往来をゆく人々を見ていると、みんな汗をかいて不快そうにしているように思う。
暑くても寒くても結局元気な子供たちはとうに家路につき、自転車の高校生は前も見ずに手元の端末に夢中でいるうちに車に跳ね飛ばされていた。泣き叫びながら老婆が運転席を飛び出し、なにやらわめいている。
とある交差点で信号待ちをしている間に、駐車場から自転車が出てきて左折して去っていった。
一瞬のことだった。私の車の助手席側の窓の外を、滑るように漕いで行った。
それは白と黒のチェックのベストに半袖の白いシャツと黒いスカートの、何処にでもいる平凡な事務員ルックをした若い女性だった。おそらく22歳か23歳くらいの、大卒ホヤホヤといったところか。眼鏡をかけていて、肩の辺りまで伸びたつやつやの黒い髪を束ねて、汗ばんで赤らんだ顔をハンケチで拭いながら走り去る彼女を見て私は思った。
最高。
顔たちは地味ながらも整っていて美しく、眼が少しツンとしているのが特にいい。
充分に細身だが恐らく彼女自身はもう少し痩せたいと思っているであろう体型も素晴らしい。スカートから伸びた足は太すぎず細すぎず。
つまるところとても平凡に見えるが、それが何より美しい。
まさか自転車で通り過ぎた事にも気づかないような乗用車の中でこんなにアレコレ思案されているとは夢にも思うまい。そのぐらい育ちのよさそうな女性だった。
コレがその通りの大変お優しい世界で育ったひとであればそれでいい。
真逆の人間性を持っていても、それはそれでいい。
つまるところ美人だとか、可愛いと自分で思う人はそんなもんだ。
私は長年いろんな女の子に惚れてはフラれ、珍しく好かれては幻滅されてを繰り返してきた。いやそれ自体は悲しいし死にたくなるし思い出したって
「佐野君がそんな人だと思わなかった。別れ・・・よ?」
って言われたのは痛恨の極みですけど!?良かったとか成長できたとか、微塵も思いませんよ!!!んな心にもないこと言ってりゃ済むんなら幾らでも言うさ!
でね。
いろんな惚れた女の子、可愛いなと思う女の子の傾向をかえりみるに、私けっこう釣り目の子が好きらしい。髪の毛が黒だとなおよし!
なんだろう、キツネに憑かれたような顔じゃなくてもいいけど、どっちかってーとツンとした目つきが好きらしい。
中学の柔道部で一緒だった同級生の女子は二人居て、一人は天然ボケでおっとり系で可愛いカナちゃん(けどお父さんが近在じゃ有名な柔道の猛者でカナちゃんも超強かった)と、もう一人が色白でカッコいい系のユキノちゃんだった。このユキノちゃんがツンとした感じの顔で、凛々しい美人だった。
男子の常として、女子が二人居ればどっちが好きかという話になる。
取っつきやすい(実際分け隔てなく接してくれる優しい子だった)カナちゃんが人気だったが、私と後輩のホソダくんはユキノちゃん派だった。彼はわかっている。素晴らしい。今度会ったら何かご馳走してあげようっと。
それから中3の夏まで死ぬほど好きだったMさん、20の時付き合ってたトモカちゃんも、あの子もこの子も…みんな結構ツンとした意志の強そうな目だ。あとイニシャルがMの子が多い。モモヨちゃんとか。
あの通り過ぎただけの事務員であろう女性もそんな感じの顔だった。
若くて瑞々しい頬と汗に、きりっとした眼差しが美しかった。
どこの誰どころか一瞬の出来事だったけどよく覚えているのは、いま一生懸命思い出してるから。だから今度いつか実際にまた会っても、同じようには思わないかもしれないな。
喫茶店のコーヒーみたいなもんで、美味しい美味しいと思い込んでたお店に久しぶりに行くと、案外その味のクセが鼻についたりするじゃん。
え?コメダ行くからわかんない?
テメエらコメダ行くのはいいけど喫茶店行った気になってんじゃねえぞ!!!!
あれはコメダコーヒー店っていうお店であって喫茶店じゃない。
喫茶店を模したファミレスとかそういうのだ。
喫茶店ってのはもっと違うんだよ。
個人経営で、近所の常連が居て、外から知らずにはいるのは面倒だったり億劫だったりするけど入ると意外と美味しいものがあったりハズレたりする。
それを全部すっ飛ばしてコーヒーにモーニング文化だけくっ付けたのがコメダ!!!
悪いんじゃない、勘違いをしないで頂きたい。
キッドさんは親類が昔から喫茶店をやっているので、そっちのタイプのお店の方が好きなだけ。
コメダのソフトクリームも美味しいし何処にでもあって同じ味だから便利だけど、あれを喫茶店とは思わない。
じゃあアンタは対価を支払って出張してもらうだけの関係の女性を彼女と呼ぶのか?
やわらかい言い方だとわかんない人も居るか。
デリヘルの女の子に彼氏気取りしてる馬鹿な男っているじゃん?
ああいう男にはなりたくねえな(コメダの話どこいったんだよ)
8月1日。
今年はなんだかあっという間に梅雨明けを迎え、日に日に真夏の陽射しがぎらつきを増しつつあった。夕方の幾分かげった時間帯にも真昼のぼわんとした熱気を残したまま、まとわりつくような湿度と流れ落ちて冷えた汗の不快さが尚の事、夏なんて早く終われ、と思わせる。
冷房の効いた車内から往来をゆく人々を見ていると、みんな汗をかいて不快そうにしているように思う。
暑くても寒くても結局元気な子供たちはとうに家路につき、自転車の高校生は前も見ずに手元の端末に夢中でいるうちに車に跳ね飛ばされていた。泣き叫びながら老婆が運転席を飛び出し、なにやらわめいている。
とある交差点で信号待ちをしている間に、駐車場から自転車が出てきて左折して去っていった。
一瞬のことだった。私の車の助手席側の窓の外を、滑るように漕いで行った。
それは白と黒のチェックのベストに半袖の白いシャツと黒いスカートの、何処にでもいる平凡な事務員ルックをした若い女性だった。おそらく22歳か23歳くらいの、大卒ホヤホヤといったところか。眼鏡をかけていて、肩の辺りまで伸びたつやつやの黒い髪を束ねて、汗ばんで赤らんだ顔をハンケチで拭いながら走り去る彼女を見て私は思った。
最高。
顔たちは地味ながらも整っていて美しく、眼が少しツンとしているのが特にいい。
充分に細身だが恐らく彼女自身はもう少し痩せたいと思っているであろう体型も素晴らしい。スカートから伸びた足は太すぎず細すぎず。
つまるところとても平凡に見えるが、それが何より美しい。
まさか自転車で通り過ぎた事にも気づかないような乗用車の中でこんなにアレコレ思案されているとは夢にも思うまい。そのぐらい育ちのよさそうな女性だった。
コレがその通りの大変お優しい世界で育ったひとであればそれでいい。
真逆の人間性を持っていても、それはそれでいい。
つまるところ美人だとか、可愛いと自分で思う人はそんなもんだ。
私は長年いろんな女の子に惚れてはフラれ、珍しく好かれては幻滅されてを繰り返してきた。いやそれ自体は悲しいし死にたくなるし思い出したって
「佐野君がそんな人だと思わなかった。別れ・・・よ?」
って言われたのは痛恨の極みですけど!?良かったとか成長できたとか、微塵も思いませんよ!!!んな心にもないこと言ってりゃ済むんなら幾らでも言うさ!
でね。
いろんな惚れた女の子、可愛いなと思う女の子の傾向をかえりみるに、私けっこう釣り目の子が好きらしい。髪の毛が黒だとなおよし!
なんだろう、キツネに憑かれたような顔じゃなくてもいいけど、どっちかってーとツンとした目つきが好きらしい。
中学の柔道部で一緒だった同級生の女子は二人居て、一人は天然ボケでおっとり系で可愛いカナちゃん(けどお父さんが近在じゃ有名な柔道の猛者でカナちゃんも超強かった)と、もう一人が色白でカッコいい系のユキノちゃんだった。このユキノちゃんがツンとした感じの顔で、凛々しい美人だった。
男子の常として、女子が二人居ればどっちが好きかという話になる。
取っつきやすい(実際分け隔てなく接してくれる優しい子だった)カナちゃんが人気だったが、私と後輩のホソダくんはユキノちゃん派だった。彼はわかっている。素晴らしい。今度会ったら何かご馳走してあげようっと。
それから中3の夏まで死ぬほど好きだったMさん、20の時付き合ってたトモカちゃんも、あの子もこの子も…みんな結構ツンとした意志の強そうな目だ。あとイニシャルがMの子が多い。モモヨちゃんとか。
あの通り過ぎただけの事務員であろう女性もそんな感じの顔だった。
若くて瑞々しい頬と汗に、きりっとした眼差しが美しかった。
どこの誰どころか一瞬の出来事だったけどよく覚えているのは、いま一生懸命思い出してるから。だから今度いつか実際にまた会っても、同じようには思わないかもしれないな。
喫茶店のコーヒーみたいなもんで、美味しい美味しいと思い込んでたお店に久しぶりに行くと、案外その味のクセが鼻についたりするじゃん。
え?コメダ行くからわかんない?
テメエらコメダ行くのはいいけど喫茶店行った気になってんじゃねえぞ!!!!
あれはコメダコーヒー店っていうお店であって喫茶店じゃない。
喫茶店を模したファミレスとかそういうのだ。
喫茶店ってのはもっと違うんだよ。
個人経営で、近所の常連が居て、外から知らずにはいるのは面倒だったり億劫だったりするけど入ると意外と美味しいものがあったりハズレたりする。
それを全部すっ飛ばしてコーヒーにモーニング文化だけくっ付けたのがコメダ!!!
悪いんじゃない、勘違いをしないで頂きたい。
キッドさんは親類が昔から喫茶店をやっているので、そっちのタイプのお店の方が好きなだけ。
コメダのソフトクリームも美味しいし何処にでもあって同じ味だから便利だけど、あれを喫茶店とは思わない。
じゃあアンタは対価を支払って出張してもらうだけの関係の女性を彼女と呼ぶのか?
やわらかい言い方だとわかんない人も居るか。
デリヘルの女の子に彼氏気取りしてる馬鹿な男っているじゃん?
ああいう男にはなりたくねえな(コメダの話どこいったんだよ)
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる