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第132回。好きなカキ氷のシロップは
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掲載日2017年 06月16日 01時00分
レモン!!!!!!!!!!!!
終わり!!!!!!!!!!!!
我が家のはす向かいに昔ながらの小さな駄菓子屋さんがあった。
木造2階建ての黒っぽい建物は築何年ぐらい経ってたんだろう。
うちの爺さんが死んだときに、隣に住んでたおじさんがその昔撮影したというひい爺さんの葬式の写真が出てきたのだが、あの当時で50年以上前の白黒写真にもしっかり写ってた。
その駄菓子屋さんはおじいさんとおばあさんの二人でやってて、毎度おなじみの、よくある駄菓子が小さな間口に並んでて、夏はアイスとカキ氷もやってた。あとお好み焼き・焼きそば・たこ焼きなんかもあって、ここのたこ焼きは結構デカい玉が3つ串に刺さってて1本100円だったかな…。かなり食べ応えがあるうえ美味しいんでよく買ってた。
このお店のカキ氷も良心的で、よくあるペンギンが書いてあるような発泡スチロールのカップに先ず山盛り入れてくれる。その上から一旦シロップをかけて、そっからもうひと盛り。でシロップ。
プラス50円で練乳とかカルピスの原液をかけてくれたっけな。
これで300円。子供には有難いプライス。
500円もらってカキ氷を買って、残りで駄菓子も買うというのが夏休みにおけるゴールデンプランのひとつだった。
店にあるシロップはメロン、イチゴ、レモン、ブルーハワイ、みぞれ、だった気がする。
私は専らレモンだった。その頃から黄色が好きだった。
ちなみに近所にはココのほかにもう一か所老舗があって、ちょっと歩くけど大きな公園の横にあるんで今でもたまに行く。
ここのは缶詰のオレンヂ(原文ママ)を乗せてくれたり、店で売ってるソフトクリーム(コレがまた美味しいと評判で)を乗せてくれたりと自由自在。
昔からあるお店で、近在の人はみんな愛してやまない。
我が家のはす向かいのほうのお店は、20年ぐらい以上前におじいさんが先に亡くなってしまって。その後はおばあさんが一人で続けてくれてたけど、それも15年ぐらい前にやめてしまった。暫くずっとおばあさんも見かけなかったが、ある朝ひょっこり顔を合わせたことがあった。
思いのほか元気そうで、挨拶をして家に入ってしまった。そのまた少し後で隣の隣のオバチャンに聞くと、思いの外どころかピンピンしており、今も何処かのホテルで厨房の皿洗いの仕事をしているそうだ。
流石に建物は古すぎるし高齢になったこともあり、おばあさんは娘さんのところへ引っ越してしまった。
あのお店も取り壊されて駐車場になった。
お店を閉めてしばらくしたとき、店の前に見慣れない車が停まった。車いすマークのあるその車には、障害のある男の子が座っていた。運転席を出て店の前で所在をなくしていた女性は彼のお母さんだった。この店は少し前に閉まったよ、と教えてあげた。
お子さんは生まれつき体が不自由だったがこのお店はいつでも気兼ねなく食事が出来て助かっていた、と、お母さんは残念そうに言った。
そういえば前から、たまにお店の中で食事をしている人がいるのを見かけることがあった。
あのお店は、なかなか外食を楽しむことが難しい人にとってとてもありがたいお店でもあったのだろう。
子供の頃、障害のある人と行く日帰りキャンプに参加したことがあった。
あの時に思ったことをもう一度思い出す。
普通にみんなと一緒にご飯を食べることも難しいのは寂しいな…。
だからこそ、自分の近所でお気に入りで顔見知りのお店がそういう場所だったのはなんだか嬉しかったし誇らしかった気がする。あのときは、そんな深く考えもしなかったけれど、今にして思えば、おばあさんも優しい人だったし彼らも楽しかっただろうな。
今は影も形も無くなってしまったけど、あの大盛りのカキ氷は忘れられないな。
そろそろ店先に氷、の小さな目印が出る頃なので書いてみた。
レモン!!!!!!!!!!!!
終わり!!!!!!!!!!!!
我が家のはす向かいに昔ながらの小さな駄菓子屋さんがあった。
木造2階建ての黒っぽい建物は築何年ぐらい経ってたんだろう。
うちの爺さんが死んだときに、隣に住んでたおじさんがその昔撮影したというひい爺さんの葬式の写真が出てきたのだが、あの当時で50年以上前の白黒写真にもしっかり写ってた。
その駄菓子屋さんはおじいさんとおばあさんの二人でやってて、毎度おなじみの、よくある駄菓子が小さな間口に並んでて、夏はアイスとカキ氷もやってた。あとお好み焼き・焼きそば・たこ焼きなんかもあって、ここのたこ焼きは結構デカい玉が3つ串に刺さってて1本100円だったかな…。かなり食べ応えがあるうえ美味しいんでよく買ってた。
このお店のカキ氷も良心的で、よくあるペンギンが書いてあるような発泡スチロールのカップに先ず山盛り入れてくれる。その上から一旦シロップをかけて、そっからもうひと盛り。でシロップ。
プラス50円で練乳とかカルピスの原液をかけてくれたっけな。
これで300円。子供には有難いプライス。
500円もらってカキ氷を買って、残りで駄菓子も買うというのが夏休みにおけるゴールデンプランのひとつだった。
店にあるシロップはメロン、イチゴ、レモン、ブルーハワイ、みぞれ、だった気がする。
私は専らレモンだった。その頃から黄色が好きだった。
ちなみに近所にはココのほかにもう一か所老舗があって、ちょっと歩くけど大きな公園の横にあるんで今でもたまに行く。
ここのは缶詰のオレンヂ(原文ママ)を乗せてくれたり、店で売ってるソフトクリーム(コレがまた美味しいと評判で)を乗せてくれたりと自由自在。
昔からあるお店で、近在の人はみんな愛してやまない。
我が家のはす向かいのほうのお店は、20年ぐらい以上前におじいさんが先に亡くなってしまって。その後はおばあさんが一人で続けてくれてたけど、それも15年ぐらい前にやめてしまった。暫くずっとおばあさんも見かけなかったが、ある朝ひょっこり顔を合わせたことがあった。
思いのほか元気そうで、挨拶をして家に入ってしまった。そのまた少し後で隣の隣のオバチャンに聞くと、思いの外どころかピンピンしており、今も何処かのホテルで厨房の皿洗いの仕事をしているそうだ。
流石に建物は古すぎるし高齢になったこともあり、おばあさんは娘さんのところへ引っ越してしまった。
あのお店も取り壊されて駐車場になった。
お店を閉めてしばらくしたとき、店の前に見慣れない車が停まった。車いすマークのあるその車には、障害のある男の子が座っていた。運転席を出て店の前で所在をなくしていた女性は彼のお母さんだった。この店は少し前に閉まったよ、と教えてあげた。
お子さんは生まれつき体が不自由だったがこのお店はいつでも気兼ねなく食事が出来て助かっていた、と、お母さんは残念そうに言った。
そういえば前から、たまにお店の中で食事をしている人がいるのを見かけることがあった。
あのお店は、なかなか外食を楽しむことが難しい人にとってとてもありがたいお店でもあったのだろう。
子供の頃、障害のある人と行く日帰りキャンプに参加したことがあった。
あの時に思ったことをもう一度思い出す。
普通にみんなと一緒にご飯を食べることも難しいのは寂しいな…。
だからこそ、自分の近所でお気に入りで顔見知りのお店がそういう場所だったのはなんだか嬉しかったし誇らしかった気がする。あのときは、そんな深く考えもしなかったけれど、今にして思えば、おばあさんも優しい人だったし彼らも楽しかっただろうな。
今は影も形も無くなってしまったけど、あの大盛りのカキ氷は忘れられないな。
そろそろ店先に氷、の小さな目印が出る頃なので書いてみた。
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