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5月5日大衆プロレス松山座観戦記 第7試合 後編
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めいんいべんと
男子六人タッグマッチ1/60
松山勘十郎座長
堀口元気選手
CHANGO選手
vs
スペル・シーサー選手
松山ポンポン選手
江利川祐選手
松山勘十郎座長を象徴する得意技であり最大の見せ場のひとつが眩暈坂だ
早い話がロープ渡りの勘十郎さんバージョンで、千両役者らしくリング下にいる選手やセコンドが蝶々をヒラヒラさせ、座長は扇子を片手に見栄を切ってから投げる
さらに跳ね起きて
参ったか!
と決めポーズ。座長がターゲットの手首をロックしてコーナーポストの方をキッと見る、もしくはもう
あっ、コレ座長、眩暈坂に入るぞ
の気配を感じた時点でもう客席が盛り上がり始めるから凄い
何度も書くが松山座のお客さんはプロレス界でも指折りの文化水準を誇っていると言える
今回はなんと、スペル・シーサー選手に技をかけて蝶々を堀口元気選手が持つという豪華版。あまたのプロレスラーの中でもロープ渡りを見せる選手は決して多くない
この技を日本で一躍広めたのは新崎人生選手であり、アメリカではジ・アンダーテイカーが得意としていた。またその後も旧姓・広田さくら選手や現役時代のGAMIさん、コマンド・ボリショイ選手らが得意にしていた名物的な伝統芸なのだ
いま書いてて思ったけど、座長はこの広田さん、GAMIさん、ボリショイさんのお三方と対戦経験があるんじゃなかろうか。GAMIさんの引退試合のバトルロイヤルにも出ていたし
ここから試合は混沌の様相を呈してゆく
シーサー選手を狙った堀口元気選手のゴムパッチン攻撃がCHANGO選手に誤爆。その時の座長の驚いた顔……!
またCHANGO選手とポンポン選手のマッチアップも実現
私としては大変興味深く、もっとじっくりゆっくり見ていたい組み合わせでした。生き生きと戦うお二人のコンディションの良さもさることながら、この必要以上に個性の濃い乱戦の中でもしっかりと見せ場を作り目立っていたのも凄い。ともすれば前の試合のインパクトや次の試合への期待も渦巻くプロレスの興行そのものというパッケージのなかのひとつの試合で自分をアピールしていくのは並大抵じゃないな、と改めて思うほどの大混戦。
スペル・シーサー選手は前回のアレハンドロックに続き今度はCHANGO選手にロメロ・スペシャルを決めつつカットに来た堀口元気選手も形を変えつつ(カベルナリアという技に近い形になった)同時に仕留めるというルチャ・リブレにおけるジャベ(複合関節技)の極意と奥義を垣間見せてくれました。座長はそのルチャ・リブレの芸術品とも言うべき複雑な人体オブジェを前にピースサインで写真に納まっていました
技をかけられていたお二人にバレれないといいのですが
その後は交代したポンポン選手のスモーピオンデスロックを座長がハリセン攻撃でカット。ハリセンが出てきたということは!?
とポンポン選手、江利川選手と順番に座長にハリセンを見舞うもご納得いかない様子の座長。散々ひっぱたかれている側にもかかわらず、かつての師範であるシーサー選手を指名するもやっぱり散々叩かれる。ならば! とマグロフォールに行くもこれも返される
ちなみにコレ(マグロフォール)を藤田あかね選手とか青木いつ希選手にやったときだけは
アンタなにしとるだん!!!!ワヤだでいかんわ!!!!!!!
と画面を前に三河弁で怒鳴りそうになった。会場にいたら幾ら座長であり先輩であるとはいえ何を言うか自分でもわからない。そのぐらいショッキングな技だ、ということだけはお伝えしておこう……ちなみに藤田あかね選手がマグロフォールを食らっているのを見た藤田選手と同じ団体に所属する仲間のテキーラ沙弥さんは思わず顔を覆って泣きそうになっていた
混戦の中、シーサー選手と江利川選手を背負ったポンポン選手のボディプレスを食らうものの見事なトペ・スイシーダで場外へ飛ぶ座長。椅子に乗って雄たけびをあげる図は珍しいな、と思った
そのまま試合が決着に向かって雪崩のように走り出し、最後は座長が江利川選手を仕留めて有終の美
細かい内容の気になる方はDVDを是非買って見てみよう!
私にとって勝敗などすでに気にならなくなってしまっていた
このまま永遠に続けばいいとすら思った
試合後に思いの丈を吐露する座長
その呼びかけでリングに揃う全選手
怨霊選手の穿いてたズボンがやけに可愛かった
さらに座長のイキな計らいでこの日に限っては会場の子供たちもリングに上がってもらい記念撮影。将来のエストレージャがこの中にいるかもしれない
そしてリングの下には、そのエストレージャに憧れて座長と3か月くらいの間だけ同じ寮に入ってた私が居た
記念撮影タイムが終わった後、リングにリッキー・フジ選手がいたのでついマットを(軽く)バンバン叩いてしまった。あれがFMWだったらきっとみんなバンバンやってたはずだ
座長がリングを降りてきた
私は思わず駆け寄っていた。何も考えてなかったし、何も思っていなかった
ただ座長に駆け寄って口から自然と出た言葉だけを後になっても覚えていた
あなたが先輩で良かったです!!
色々思った。色々思い出した
けど言いたいことは、たぶんそれだけだった
外に出ても、まだ明るかった
日ごろの疲れや不満や迷いと悩みも消え失せて、私の顔も明るかったと思う
そして会社を辞めようと改めて決めた
連休明けにどうやって伝えようかな、とそっちにアタマを切り替えた
新しいことをしよう、と今年の目標を決めていた。それが一つ決まった
5年前、新潟まで松山勘十郎さんを追いかけて試合を見に行った。その時に入ってた会社を、5年後の新潟公演の前にやめようと決めたのも妙な巡り合わせだな
きっと他のスポーツでも映画でも音楽でもどんなジャンルでも、人生の節目に大切なものが心の支えになってくれるということはとても心強く、素晴らしいことだと思った
私の場合は、やっぱりそれはプロレスでありプロレスラー・松山勘十郎だった
それはこれまでも、これからも変わらない
今日が松山座5月5日生野公演シリーズ最終回
2020年5月10日の松山座生野公演を勝手に応援しようと
去年の5月公演の模様を起こした記事を載せてきました
皆さんも是非会場でご体感ください
きっと初めての方も、愛好家の方もご満足いただけるかと思います
男子六人タッグマッチ1/60
松山勘十郎座長
堀口元気選手
CHANGO選手
vs
スペル・シーサー選手
松山ポンポン選手
江利川祐選手
松山勘十郎座長を象徴する得意技であり最大の見せ場のひとつが眩暈坂だ
早い話がロープ渡りの勘十郎さんバージョンで、千両役者らしくリング下にいる選手やセコンドが蝶々をヒラヒラさせ、座長は扇子を片手に見栄を切ってから投げる
さらに跳ね起きて
参ったか!
と決めポーズ。座長がターゲットの手首をロックしてコーナーポストの方をキッと見る、もしくはもう
あっ、コレ座長、眩暈坂に入るぞ
の気配を感じた時点でもう客席が盛り上がり始めるから凄い
何度も書くが松山座のお客さんはプロレス界でも指折りの文化水準を誇っていると言える
今回はなんと、スペル・シーサー選手に技をかけて蝶々を堀口元気選手が持つという豪華版。あまたのプロレスラーの中でもロープ渡りを見せる選手は決して多くない
この技を日本で一躍広めたのは新崎人生選手であり、アメリカではジ・アンダーテイカーが得意としていた。またその後も旧姓・広田さくら選手や現役時代のGAMIさん、コマンド・ボリショイ選手らが得意にしていた名物的な伝統芸なのだ
いま書いてて思ったけど、座長はこの広田さん、GAMIさん、ボリショイさんのお三方と対戦経験があるんじゃなかろうか。GAMIさんの引退試合のバトルロイヤルにも出ていたし
ここから試合は混沌の様相を呈してゆく
シーサー選手を狙った堀口元気選手のゴムパッチン攻撃がCHANGO選手に誤爆。その時の座長の驚いた顔……!
またCHANGO選手とポンポン選手のマッチアップも実現
私としては大変興味深く、もっとじっくりゆっくり見ていたい組み合わせでした。生き生きと戦うお二人のコンディションの良さもさることながら、この必要以上に個性の濃い乱戦の中でもしっかりと見せ場を作り目立っていたのも凄い。ともすれば前の試合のインパクトや次の試合への期待も渦巻くプロレスの興行そのものというパッケージのなかのひとつの試合で自分をアピールしていくのは並大抵じゃないな、と改めて思うほどの大混戦。
スペル・シーサー選手は前回のアレハンドロックに続き今度はCHANGO選手にロメロ・スペシャルを決めつつカットに来た堀口元気選手も形を変えつつ(カベルナリアという技に近い形になった)同時に仕留めるというルチャ・リブレにおけるジャベ(複合関節技)の極意と奥義を垣間見せてくれました。座長はそのルチャ・リブレの芸術品とも言うべき複雑な人体オブジェを前にピースサインで写真に納まっていました
技をかけられていたお二人にバレれないといいのですが
その後は交代したポンポン選手のスモーピオンデスロックを座長がハリセン攻撃でカット。ハリセンが出てきたということは!?
とポンポン選手、江利川選手と順番に座長にハリセンを見舞うもご納得いかない様子の座長。散々ひっぱたかれている側にもかかわらず、かつての師範であるシーサー選手を指名するもやっぱり散々叩かれる。ならば! とマグロフォールに行くもこれも返される
ちなみにコレ(マグロフォール)を藤田あかね選手とか青木いつ希選手にやったときだけは
アンタなにしとるだん!!!!ワヤだでいかんわ!!!!!!!
と画面を前に三河弁で怒鳴りそうになった。会場にいたら幾ら座長であり先輩であるとはいえ何を言うか自分でもわからない。そのぐらいショッキングな技だ、ということだけはお伝えしておこう……ちなみに藤田あかね選手がマグロフォールを食らっているのを見た藤田選手と同じ団体に所属する仲間のテキーラ沙弥さんは思わず顔を覆って泣きそうになっていた
混戦の中、シーサー選手と江利川選手を背負ったポンポン選手のボディプレスを食らうものの見事なトペ・スイシーダで場外へ飛ぶ座長。椅子に乗って雄たけびをあげる図は珍しいな、と思った
そのまま試合が決着に向かって雪崩のように走り出し、最後は座長が江利川選手を仕留めて有終の美
細かい内容の気になる方はDVDを是非買って見てみよう!
私にとって勝敗などすでに気にならなくなってしまっていた
このまま永遠に続けばいいとすら思った
試合後に思いの丈を吐露する座長
その呼びかけでリングに揃う全選手
怨霊選手の穿いてたズボンがやけに可愛かった
さらに座長のイキな計らいでこの日に限っては会場の子供たちもリングに上がってもらい記念撮影。将来のエストレージャがこの中にいるかもしれない
そしてリングの下には、そのエストレージャに憧れて座長と3か月くらいの間だけ同じ寮に入ってた私が居た
記念撮影タイムが終わった後、リングにリッキー・フジ選手がいたのでついマットを(軽く)バンバン叩いてしまった。あれがFMWだったらきっとみんなバンバンやってたはずだ
座長がリングを降りてきた
私は思わず駆け寄っていた。何も考えてなかったし、何も思っていなかった
ただ座長に駆け寄って口から自然と出た言葉だけを後になっても覚えていた
あなたが先輩で良かったです!!
色々思った。色々思い出した
けど言いたいことは、たぶんそれだけだった
外に出ても、まだ明るかった
日ごろの疲れや不満や迷いと悩みも消え失せて、私の顔も明るかったと思う
そして会社を辞めようと改めて決めた
連休明けにどうやって伝えようかな、とそっちにアタマを切り替えた
新しいことをしよう、と今年の目標を決めていた。それが一つ決まった
5年前、新潟まで松山勘十郎さんを追いかけて試合を見に行った。その時に入ってた会社を、5年後の新潟公演の前にやめようと決めたのも妙な巡り合わせだな
きっと他のスポーツでも映画でも音楽でもどんなジャンルでも、人生の節目に大切なものが心の支えになってくれるということはとても心強く、素晴らしいことだと思った
私の場合は、やっぱりそれはプロレスでありプロレスラー・松山勘十郎だった
それはこれまでも、これからも変わらない
今日が松山座5月5日生野公演シリーズ最終回
2020年5月10日の松山座生野公演を勝手に応援しようと
去年の5月公演の模様を起こした記事を載せてきました
皆さんも是非会場でご体感ください
きっと初めての方も、愛好家の方もご満足いただけるかと思います
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