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第四章

4-17 整理してみる

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 雨都うと家に戻ってきたはるか鈴心すずねを振り返りながら大きく息を吐いた。
 
「やー、しかし、リンも危ない橋渡るよねえ」
 
「事前に相談もせずに申し訳ありませんでした」
 
 鈴心は軽く頭を下げて反省の意を示した。
 
「うん、まあ結果オーライかな。でも思いつきで動くのはライくんだけで勘弁して欲しいなあ」
 
「ああ……ライと同等のことをしてしまうとは」
 
「まあ、直前にウラノス計画の話をしてたのが良くなかったよね!しかし、僕らも運が良くてよかったよかった」
 
「恐れ入ります」
 
 軽く諌めはしたが、永は全く怒っていない。むしろ鈴心の機転のおかげで眞瀬木ませき瑠深るみから重要な情報を引き出せた。
 
「瑠深さんの調子じゃ、僕じゃあそこまで踏み込めなかった。上出来だよ、リン」
 
「有難きお言葉……」
 
「かたいなあ」
 
 鈴心は反省しきりでいるので永は苦笑する。蕾生らいおと同等に見られたのがショックだったようだ。

 
 蕾生と梢賢しょうけんが未だ帰らないので、永は再び編み物を始めた。
 
「ハル様、大丈夫ですか?」
 
「うん。疲れたらすぐ止めるから。祭まで日もないし」
 
「はあ……」
 
 心配そうにしている鈴心を他所に、永は編みながら瑠深から聞いた話を整理していく。
 
「しかし、あれだね。眞瀬木のぬえ信者って誰だろうね」
 
「そうですね……あの口ぶりでは瑠深さんではないとは思いますが」
 
「僕らが知ってる眞瀬木の人は、墨砥ぼくとさんとけいさんぐらいだもんなあ」
 
 永の手元を注視しながら鈴心はもう一人の人物を思い出していた。
 
八雲やくもという人も眞瀬木の系列ですが、なんと言うかそういう派閥に関わるようなタイプには見えませんね」
 
「ザ・職人!って感じだったもんね」
 
 二人が抱く八雲の印象は、さながら芸術家のようなものであり、派閥と言われるような浮世のものとは遠いイメージだった。
 
「まだ眞瀬木には会ってない方もいるんでしょうね」
 
「そうだねえ……瑠深さんの「もういない」っていう言い方が気になるんだよなあ」
 
「最近までは確実に一人いた、ということでしょうか」
 
「それが誰なのか、何故いなくなったのか……」
 
 永は考えながらも着実にレースを編み上げていく。鈴心もその側で瑠深の言葉をもう一度思い出していた。







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