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第三部 最後の聖戦なり
5、インド亜大陸
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海帝国の大艦隊はマレー半島を北上している。この当時の航海はできるだけ陸地沿いを進む。船に危険が生じた場合、何時でも陸に避難できることが航海の安全につながるのだ。
沿岸の人々は、沖を進む見たことも無い大艦隊を目撃した。その威容を見たタイやビルマの王朝も海帝国に朝貢し冊封化に入ることになる。
ここまでは実に順調である。風に恵まれ、嵐に会うことも無かった。それも当然だ。この航海は人民解放軍がサポートしているのだ。人民解放軍の追跡船四隻が大艦隊の周囲に展開している。見かけはガレオン船だが、ディーゼル・エンジンを備え、内部には気象観測機器やレーダーを搭載している。緊急時には砲撃やミサイル攻撃も可能なのだ。
自衛隊は武器の使用を制限されているから、今回の出番は無い。それに、自衛隊の海外時空派遣法は中国に限定されていて、これを世界に広げるために国会で改正法案が審議中なのだ。民主主義というのは何事も時間がかかる。
艦隊の内部にも人民解放軍の兵士が乗組員に変装し入り込んでいる。変装は人民解放軍のお家芸で、完全に十七世紀に溶け込んでいる。追跡船とは無線で連絡を取り、艦隊の進路にアドヴァイスを与えるのだ。
研究者たちも艦隊に乗り込んでいる。碧海作戦からは近世西欧史を専門とする金庸建博士や社会学者の鄭孫明博士である。早くても二年はかかる長旅に志願した両博士には頭が下がる思いだ。たった一週間で音を上げた誰かさんとは大違いだ。
「先生、それいつまで言い続けるなりか?」
一生、言ってやる。おまえが許してくださいと言うまで言ってやる。
大艦隊はインド亜大陸にさしかかる。インド亜大陸はユーラシア大陸からインド洋に突き出た巨大な半島のようである。その半島の東の付け根に、明智家が商館を構えるコルカタの街があった。明智家はベンガル太守と交渉しコルカタの租借権を得ていたのだ。
インド東岸のマドラスを要塞化したイギリスに対抗するために、コルカタもまた周囲に堀を巡らせた要塞都市になっていた。
アグラを首都とするムガル帝国は北インドを掌握し全盛期を迎えつつあり、強力な武力を備えている。光秀の遺訓によって武力に力を注がなかった明智家は島津と手を組んで武装を強化した。インドで生き残るためには武力が必要である。
海外貿易の特許状を持つ二大勢力、明智家は島津と結び、浅井家は毛利と縁組している。実に興味深い現象だ。
コルカタでは島津豊久が大艦隊を出迎えた。台湾で共に戦った真田信繁は久々の再会に大喜びしている。
その夜の宴では、インドの宮廷料理がふるまわれた。カレーである。翌日も様々に趣向を変えて振る舞われたが、三食カレーである。さすがに閉口した石田三成が豊久と親しい真田信繁を呼び、「魚などが食したい」旨をそれとなく伝えるように仕向けた。信繁から三成の意を伝えられた豊久は、その夜の宴でシーフード・カレーを出したのだ。
「島津豊久のカレー好きはこの時から有名になったなりね。」
そうだ、カレー大将と呼ばれるようになる。
大艦隊に乗船していた異能の天才、諸葛超明は、このカレーに目を付けた。船内で保存食を美味しく食べる方法として香辛料の効いたカレーは素材の臭みを消して最適だというのである。この提言が、この航海において帝国水軍カレーを生み出すことになったのだ。
「みんな大好きインド・カレーなりよ。」
カレーは偉大な世界の文明である。
この当時、まだイギリス東インド会社の力は脆弱である。イギリスはアルマダの海戦においてスペインの無敵艦隊を打ち破り海軍国として頭角を現しつつあった。しかし未だアメリカ新大陸やアフリカに植民地を持つスペインや、前世紀からアジアに進出しているポルトガルに、その力は及んでいない。オランダとの東アジア進出競争にも後れを取り、ようやくインドに拠点を構えるようになったばかりである。インドはムガル帝国の全盛期であり、西欧諸国の介入を許す段階ではない。イギリスがインドを植民地化していくのは十八世紀になってからである。
石田三成はムガル帝国の皇帝に親書を渡すべく使者を送ることにした。使者に選ばれたのが愛新覚羅ヘカンである。彼はかつて織田信長の鉄砲隊の前に敗れたヌルハチの遺児である。ヘカンは頭を満州族伝統の辮髪に結い上げた大男である。信長はヌルハチに敬意を表し、瀋陽にヌルハチの廟を建てさせ、その一族である愛新覚羅氏に特別の保護を与えた。成長したヘカンは宮廷に仕え、石田三成にその豪胆さと的確な判断力を認められたのだ。
改変前の歴史ではヘカンはホンタイジと呼ばれている。ホンタイジとは皇太子のことであり、ホンタイジは清王朝の二代皇帝であった。
初めての重責に身を震わした若き愛新覚羅の若き当主は五百の騎兵を与えられ、インド亜大陸を西進しムガル帝国の首都アグラを目指した。島津豊久が百の騎兵を率い自ら先導役を買って出、共に首都アグラの宮殿にたどり着いた。この旅には約一か月を要している。
「あの赤い宮殿は、ラール・キラーなり!」
ラール・キラー、赤い城という意味である。
おまえ、行ったことがあるのか?
「学生時代に友達二人とバックパック背負って北インドを横断したのだ。」
なかなか行動力があるんだな。
「旅してるときは、こんなところに二度と来るか! と思ったなり。でも、帰ってくると、なんだかインドが懐かしくてたまらなくなったなり。」
ははは、インドにハマるってやつだな。
「でも、アグラではむかつくイギリス人に会ったなり。」
むかつくイギリス人?
「そうなり。デリーからアグラへ向かう電車の中でスコットというイギリス人に声をかけられたなり。アグラでハイヤーを予約しているから割り勘にしないかと持ち掛けられたのだ。」
もしかして、レイプ魔だったとか。
「違うなり。こっちは女の子だけど三人なりよ。あんな痩せっぽちのイギリス人には負けないなり。」
じゃあ、何がむかついたんだ。
「アグラではラール・キラーの他、ファティブル・シークリーとタージ・マハールに行ったなり。スコットが写真を撮ってくれと言うからカメラを預かったのだ。自分の背景にインド人がいなくなるのを待ってからシャッターを押せと言うなりよ。インド人を汚い物みたいに見てるのだ。」
戸部典子によると、スコットは東京の日本企業に勤めるイギリス人で、インド出張の合間に観光していたそうだ。スコットは流暢な日本語で日本人は「名誉白人」だと言ったという。
名誉白人、嫌な言葉だ。
「アグラの下町をハイヤーが通ったときには酷いことを言ったなり。」
何と言ったんだ。
「こんな汚いところでよく暮らせるな。」
戸部典子はスコットの憎々し気な口調を真似して言った。なんか嫌な感じだな。
「そのうえ、割り勘は人数割りされたなり。あたしたちが四分の三、支払ったなりよ。」
それは酷いな。けちな人種差別主義者レイシストだ。
「スコットは夕方には風邪をひいたみたいで辛そうにしてたなり。ざまーみろなのだ。」
李博士が口を抑えて笑っている。何でもオチをつければいいってものではないぞ。
「作り話じゃないなり。ホントのことなりよ!」
話ができすぎているからそう言っただけだ。誰も嘘などとは言っていない。
「わたくしの子供の頃の中国も改革開放が始まったばかりで、貧しさが残っていましたわ。今でも農村部に行くと中国は貧しいまま。スコットさんが見たら同じように言うかも知れませんわね。」
そうだ、李博士、いいことを言う。貧しさを蔑むスコットとかいう奴、許せん。
沿岸の人々は、沖を進む見たことも無い大艦隊を目撃した。その威容を見たタイやビルマの王朝も海帝国に朝貢し冊封化に入ることになる。
ここまでは実に順調である。風に恵まれ、嵐に会うことも無かった。それも当然だ。この航海は人民解放軍がサポートしているのだ。人民解放軍の追跡船四隻が大艦隊の周囲に展開している。見かけはガレオン船だが、ディーゼル・エンジンを備え、内部には気象観測機器やレーダーを搭載している。緊急時には砲撃やミサイル攻撃も可能なのだ。
自衛隊は武器の使用を制限されているから、今回の出番は無い。それに、自衛隊の海外時空派遣法は中国に限定されていて、これを世界に広げるために国会で改正法案が審議中なのだ。民主主義というのは何事も時間がかかる。
艦隊の内部にも人民解放軍の兵士が乗組員に変装し入り込んでいる。変装は人民解放軍のお家芸で、完全に十七世紀に溶け込んでいる。追跡船とは無線で連絡を取り、艦隊の進路にアドヴァイスを与えるのだ。
研究者たちも艦隊に乗り込んでいる。碧海作戦からは近世西欧史を専門とする金庸建博士や社会学者の鄭孫明博士である。早くても二年はかかる長旅に志願した両博士には頭が下がる思いだ。たった一週間で音を上げた誰かさんとは大違いだ。
「先生、それいつまで言い続けるなりか?」
一生、言ってやる。おまえが許してくださいと言うまで言ってやる。
大艦隊はインド亜大陸にさしかかる。インド亜大陸はユーラシア大陸からインド洋に突き出た巨大な半島のようである。その半島の東の付け根に、明智家が商館を構えるコルカタの街があった。明智家はベンガル太守と交渉しコルカタの租借権を得ていたのだ。
インド東岸のマドラスを要塞化したイギリスに対抗するために、コルカタもまた周囲に堀を巡らせた要塞都市になっていた。
アグラを首都とするムガル帝国は北インドを掌握し全盛期を迎えつつあり、強力な武力を備えている。光秀の遺訓によって武力に力を注がなかった明智家は島津と手を組んで武装を強化した。インドで生き残るためには武力が必要である。
海外貿易の特許状を持つ二大勢力、明智家は島津と結び、浅井家は毛利と縁組している。実に興味深い現象だ。
コルカタでは島津豊久が大艦隊を出迎えた。台湾で共に戦った真田信繁は久々の再会に大喜びしている。
その夜の宴では、インドの宮廷料理がふるまわれた。カレーである。翌日も様々に趣向を変えて振る舞われたが、三食カレーである。さすがに閉口した石田三成が豊久と親しい真田信繁を呼び、「魚などが食したい」旨をそれとなく伝えるように仕向けた。信繁から三成の意を伝えられた豊久は、その夜の宴でシーフード・カレーを出したのだ。
「島津豊久のカレー好きはこの時から有名になったなりね。」
そうだ、カレー大将と呼ばれるようになる。
大艦隊に乗船していた異能の天才、諸葛超明は、このカレーに目を付けた。船内で保存食を美味しく食べる方法として香辛料の効いたカレーは素材の臭みを消して最適だというのである。この提言が、この航海において帝国水軍カレーを生み出すことになったのだ。
「みんな大好きインド・カレーなりよ。」
カレーは偉大な世界の文明である。
この当時、まだイギリス東インド会社の力は脆弱である。イギリスはアルマダの海戦においてスペインの無敵艦隊を打ち破り海軍国として頭角を現しつつあった。しかし未だアメリカ新大陸やアフリカに植民地を持つスペインや、前世紀からアジアに進出しているポルトガルに、その力は及んでいない。オランダとの東アジア進出競争にも後れを取り、ようやくインドに拠点を構えるようになったばかりである。インドはムガル帝国の全盛期であり、西欧諸国の介入を許す段階ではない。イギリスがインドを植民地化していくのは十八世紀になってからである。
石田三成はムガル帝国の皇帝に親書を渡すべく使者を送ることにした。使者に選ばれたのが愛新覚羅ヘカンである。彼はかつて織田信長の鉄砲隊の前に敗れたヌルハチの遺児である。ヘカンは頭を満州族伝統の辮髪に結い上げた大男である。信長はヌルハチに敬意を表し、瀋陽にヌルハチの廟を建てさせ、その一族である愛新覚羅氏に特別の保護を与えた。成長したヘカンは宮廷に仕え、石田三成にその豪胆さと的確な判断力を認められたのだ。
改変前の歴史ではヘカンはホンタイジと呼ばれている。ホンタイジとは皇太子のことであり、ホンタイジは清王朝の二代皇帝であった。
初めての重責に身を震わした若き愛新覚羅の若き当主は五百の騎兵を与えられ、インド亜大陸を西進しムガル帝国の首都アグラを目指した。島津豊久が百の騎兵を率い自ら先導役を買って出、共に首都アグラの宮殿にたどり着いた。この旅には約一か月を要している。
「あの赤い宮殿は、ラール・キラーなり!」
ラール・キラー、赤い城という意味である。
おまえ、行ったことがあるのか?
「学生時代に友達二人とバックパック背負って北インドを横断したのだ。」
なかなか行動力があるんだな。
「旅してるときは、こんなところに二度と来るか! と思ったなり。でも、帰ってくると、なんだかインドが懐かしくてたまらなくなったなり。」
ははは、インドにハマるってやつだな。
「でも、アグラではむかつくイギリス人に会ったなり。」
むかつくイギリス人?
「そうなり。デリーからアグラへ向かう電車の中でスコットというイギリス人に声をかけられたなり。アグラでハイヤーを予約しているから割り勘にしないかと持ち掛けられたのだ。」
もしかして、レイプ魔だったとか。
「違うなり。こっちは女の子だけど三人なりよ。あんな痩せっぽちのイギリス人には負けないなり。」
じゃあ、何がむかついたんだ。
「アグラではラール・キラーの他、ファティブル・シークリーとタージ・マハールに行ったなり。スコットが写真を撮ってくれと言うからカメラを預かったのだ。自分の背景にインド人がいなくなるのを待ってからシャッターを押せと言うなりよ。インド人を汚い物みたいに見てるのだ。」
戸部典子によると、スコットは東京の日本企業に勤めるイギリス人で、インド出張の合間に観光していたそうだ。スコットは流暢な日本語で日本人は「名誉白人」だと言ったという。
名誉白人、嫌な言葉だ。
「アグラの下町をハイヤーが通ったときには酷いことを言ったなり。」
何と言ったんだ。
「こんな汚いところでよく暮らせるな。」
戸部典子はスコットの憎々し気な口調を真似して言った。なんか嫌な感じだな。
「そのうえ、割り勘は人数割りされたなり。あたしたちが四分の三、支払ったなりよ。」
それは酷いな。けちな人種差別主義者レイシストだ。
「スコットは夕方には風邪をひいたみたいで辛そうにしてたなり。ざまーみろなのだ。」
李博士が口を抑えて笑っている。何でもオチをつければいいってものではないぞ。
「作り話じゃないなり。ホントのことなりよ!」
話ができすぎているからそう言っただけだ。誰も嘘などとは言っていない。
「わたくしの子供の頃の中国も改革開放が始まったばかりで、貧しさが残っていましたわ。今でも農村部に行くと中国は貧しいまま。スコットさんが見たら同じように言うかも知れませんわね。」
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