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After.花図鑑

Aft10.福寿草

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 第十天、神々が暮らす光満ちる世界。
 心残り、執着、欲望、罪。それらをすっかり洗い流した魂たちが安息の中暮らす世界。

 虹色の雲の側に一隻の帆船が泊まった。黄金で造られた帆船は、天上の光を受け神々しく輝いている。パルシファーの綿毛で織られた真っ赤な帆が、乗り込む魂たちを歓迎するように柔らかく膨らんだ。
 数多の魂が巨大な帆船へと乗り込んでいく。船は全ての魂を乗せた後、赤い帆をはためかせながら下界へと旅立っていった。

 彩雲の上には薔薇の花が咲き誇り、そして一本の大樹があった。樹の幹からは絶えず光が生み出されている。淡い光は新たな魂となり、旅立ちの時を待つために雲の際を漂った。

 星が巡り、天が曙光に赤く染まる頃。生み出されたばかりの清らかな魂が、雲の際から下を覗き込んだ。下界の様子は分厚い雲に隠され一切窺うことはできなかったが、魂のもとに、ひとつの声が届いた。

 ――愛ゆえに人は生きる。愛ゆえに人は死ぬ。分からない。愛とは何なのだ? 俺が友や師、同胞に抱く感情とはまた別なのか?

 下界から少年の声が聞こえてくる。その声は魂と深く共鳴した。

 ――自分を突き動かす強い力が欲しい。何を賭してもこれだけは得たい、そんな風に思えるものが欲しい。

 魂は迎えの船に乗ることなく、いつまでもその声に耳を傾け続けた。

 声は日毎に強くなる。
 男の欲求が、感情が、恋が、呼応する魂を赤く染め上げていく。

 欲を覚えた魂はやがて、一人の女に姿を変えた。

 パルシファーの綿毛のような髪。紅玉の如き瞳。
 背が低く豊満な体型の女。少し鼻が低く、そばかすのある女。

 赤い髪の女は、雲の鏡に映る男をじっと見つめた。黒い肌と黒い髪を持つ男。女にとっての理想の男。
 魂を震わせ続けたその男は、青い目を潤ませながら女に向かって熱心に語りかけた。

 ――君に逢いたい。手を握りたい。声が聞きたい。その赤い髪に触れてみたいんだ。

「私もあなたに逢いたい。触れたい。手を繋ぎながらあなたと話してみたいわ……」

 ――君は俺が創った存在だ。だから俺が生きている世界には存在し得ない……。

「違う。私の姿が見えているでしょう? 私は確かにここにいる。あなたと同じ世界に生きているのよ」

 ――誰かを想い、喜んだり悲しんだりすること。自分が求めて止まなかった尊い感情。愛だ。これこそが愛なのだ。君が俺に教えてくれた。俺にその感情を植え付けたのだ。

「あなたの声を聞くたび嬉しくなる。でもそれと同じくらい切なくなるの。幸せな気持ちと悲しい気持ちが込み上げてきて止まらない。教えて、これが愛なのかしら?」

 ――ああ、どうして君は俺の生きる世界にいないのだ? 苦しい、苦しくてたまらない。俺の心の中から抜け出して、どうか隣に立ってくれないか……。

「……どうして」

 ――君の内面を知りたい。何を好んで、何を嫌うのか。君と話してみたいのだ。微笑みだけではなく、君が浮かべる様々な表情が見たい。きっとそれは色褪せた世界の中で、何よりも色付いて見えるだろう。

「どうして私の声が届かないの……?」

 女は雲の鏡に映る青年を見つめ涙を流した。

「そんな悲しそうな顔をしないで。叶うことなら、あなたを抱きしめてあげたいのに……」

 あの男の元へ行きたいと熱心に祈り続ける。
 だが、女の声が届くことはなかった。

 ――俺の運命なのです。彼女がいなければ俺は生きていけません。彼女を創り出したのは俺自身で、想像上の女に一生に一度の恋を捧げてしまったなど、誰もが俺をおかしいと言うでしょう! ですが……俺はもう、彼女を妄想の産物だとは思えないのです。彼女は生きています。俺を見て柔らかく微笑むのです。

「そうよ、私は生きているの。ここであなたを見ているの! あなたに笑いかけているのよ……?」

 ――彼女と俺は住んでいる世界が違う。このまま彼女に触れられないなんて耐えられない! 女神よ、どうかあなたの力で彼女をこの世界に連れてきて下さい。俺はあの女と話してみたい。そして契りたいのです。

「あなたと一緒になりたい。共に生きていきたい」

 ――赤い髪の姫君……。

「王子様、黒の王子様……。どうか私に気がついて」

 迎えの船には目もくれず、女は雲に映る男に向かってひたすら語りかけ続けた。黄金の船に乗ってしまったら、決して男のもとへは辿り着けない気がした。

「お願い。どうか、私をあのひとのもとに!」

 女の悲痛な祈りが続く。
 願いが重ねられる。

 そして四万の祈りの果て、天上を極光オーロラが包み込んだ。

 強い薔薇の香りが漂う。灰色の手が極光の帳を上げる。夜闇よりも昏く黒い瞳が女へと向けられる。その瞳の深淵に誘われるように、女は雲の際へと歩みを進めた。

「あなたは……?」

 極光の向こうから現れた灰の女神は、女に向けて慈愛の笑みを浮かべた。薔薇色に染まった女神の指から、一本の赤い糸が伸びていく。

 ――汝、花を咲かせよ。

 女の手首には、いつの間にか赤い糸が巻かれていた。
 糸は雲の下へと真っ直ぐに伸びている。女は赤い糸に導かれながら下界へと旅立った。




 ゼルドリックはゆっくりと目を開けた。
 己の腕の中でリアが眠っている。その安らかな寝顔に、思わず顔が綻ぶ。

「ここは?」

 辺りはひどく暗い。
 飲みこまれそうな暗闇の中、どこからか花の芳しい香りが漂う。

(薔薇の香り。それにしても、先程の光景は一体……?)

 虹色の雲も、黄金の船も、魂を生み出す大樹もない。
 暗闇の中で、薔薇の香りだけが強くなっていく。

 嗅いだ者に恍惚と酩酊を与えるような馥郁たる薔薇の香気。鼻を突くほどに強烈な薔薇の香りにゼルドリックが顔をしかめた時、一条の光が射し込んだ。眩しさに目を眇めながらも、彼は光の中から現れた存在をはっきりと捉えた。

 灰色の肌を持つ巨大な女。頭に赤い花冠を乗せた複腕の女。
 穏やかな微笑み、優しく閉じられた目、パルシファーの冠。いずれもゼルドリックにとってよく見覚えのあるものだった。

(まさか……。オーレリアか?)

 エルフが祖と崇め、そして自分がリアと巡り逢うために祈りを捧げ続けた愛の女神。
 蜘蛛のような八本の腕を広げ、オーレリアは光を背に美しく佇んだ。

 薔薇色に染まるオーレリアの指には幾つもの赤い糸が絡みついている。
 赤い糸は撚り合わさって天へと繋がる道を作り、ゼルドリックにある幻視を見せた。

「……あれは」

 赤き道の向こう。幾百か、あるいは幾千年先か。長命種が生きる果てなき未来においても、自分の隣にリアの姿がある。見知った友人たちに、愛しい子供たちに、またその家族に囲まれながらリアと自分が笑っている。

 糸の道が見せたのは、己の未来だった。
 契りを交わした妻が、自分の隣で花が咲くような笑みを浮かべている。ずっと、ずっと。

「リア……。リア……!」

 どこまでも幸せな光景にゼルドリックは涙を溢れさせた。
 褪せることのないリアの笑み。長い間求め続けてきた幸せが、道の先にあった。

 死、運命、眠り、苦悩、復讐、愛欲、争い、欺瞞、狂気、殺戮、偏執、破滅。全ての闇は、女神オーレリアから生み出されたのだと人智を超えた力で理解する。

 だがそれと同時に、オーレリアからは光も生み出されたのだとゼルドリックは感じた。祝福、希望、再生、自由、復活、豊穣、安息、美、幸福、奇跡、愛慕、未来……。女神がもたらした光が、二人を優しく照らす。ゼルドリックは歓喜の涙を流しながらリアを抱き寄せた。

 ――あなたと一緒になりたい。共に生きていきたい……。

 二人が重ね続けた祈りが女神に声を届けたのだ。
 女神はその祈りに応え、揺るぎなき幸福をもたらした。

 苦しむことがあったとしても、陰があろうとも、薔薇が生み出す狂気に蝕まれようとも。幸福が自分たち二人を包み込んでいる。これは確かに神聖なる祝福なのだ。女神がもたらした素晴らしい祝福なのだ。

 自分たちはオーレリアに見守られながら永遠を生きていく。契りの薔薇を胸に宿し、育み、決して離れることなく生きていく……。

 赤い薔薇からリアの愛が流れ込む。
 ゼルドリックはその温かさにうっとりと目を閉じた。

(俺たちは今度こそずっと一緒にいられる。愛と狂気を味わいながら生きていくのだ。これ以上の幸せはない)

 光が満ちる。薔薇の花びらが渦を巻き、二人を取り囲む。
 ゼルドリックはリアを抱き締めながら、天へと繋がる道を見つめ続けた。







「起きて、ゼル」

 くりくりとした赤い双眸が自分を覗き込んでいる。ゼルドリックはぼんやりとした目でそれを見つめ、リアの低い鼻をちょんとつついた。

「ぐっすり寝てたわね」

「ああ。ここは居心地がよくてな……。寝すぎてしまった気がする。俺はどれくらい寝てたんだ?」

「ちょうど半日くらい。よっぽど疲れていたのね? あなたを精神世界に連れてきてよかったわ。ここは時が経たないから休み放題よ」

 リアの小さな手を握る。
 指先に伝わる体温が、リアの存在を確かに伝えてくる。

「今まであまり眠れなかったんだ。俺が君より早く起きてたことに気がついてただろ? ずっと不安で寝付けなかった。隣に君がいるって確かめないとおかしくなりそうだったんだ。でも、もう大丈夫だ。これからはよく眠れると思う」

 妻の顔を見つめ、ゼルドリックは甘く微笑んだ。

「なあ、リア。君も俺のことが大好きだったんだな。ずっとずっと俺に逢いたいと思ってくれてたんだな」

「……? どうしたの、急に。当たり前じゃない」

「話したい、手を繋ぎたい、抱きしめたい、共に生きていきたい。俺たちの願い事は全部叶ったな!」

「ゼル……?」

 リアはきょとんとした顔でゼルドリックの顔を見つめた。夫の言わんとしていることが分からない、何も心当たりがないとでも言いたげなその顔に、ゼルドリックはくつくつと笑った。彼女は天上で過ごしていた時のこと、熱心に祈り続けていた時のことは一切覚えていないようだった。

「俺は孤独だった。妄想に恋するだなんておかしいと思ってたんだ。でも君に……。確かに君に声が届いていたと知ってとても嬉しかった。俺たちは同じだったんだ!」

 ゼルドリックは顔を蕩けさせながらリアの背に腕を回した。リアは夫のでれでれとした顔を訝しそうに見つめたが、照れ笑いしながら彼の胸に寄りかかった。

「何だかよく分からないけど、あなたが幸せそうで良かったわ」

「くくっ。可愛いな、リア。君から求められていたと思うと嬉しくて堪らない! 愛しい愛しい姫君、君と結ばれて本当に良かった!」

 キスの雨が降ってくる。リアはうっとりと目を細めながら夫の唇を受け入れた。

「リア……リア。幸せだな……」

 ゼルドリックの想いがリアの胸を震わせる。
 青い薔薇から伝わる溢れんばかりの幸福に、リアは満面の笑みを向けた。


 ――――――――――


 冬は終わり、花咲く季節がやってきた。

 桃華とうかの月のある日。
 ミーミスは屋根に寝転がりながら、ぽかぽかとした春の陽を存分に楽しんでいた。

「ふふふ、暖かい。まだ肌寒い日はあるが、それでも随分と暖かくなってきた。全く冬というものは嫌いだね。なんてったって全裸になれないからね」

 ふと、胸に宿った薔薇が小さく震える。ミーミスは溜息を吐き、恋人を喚び出す呪文を唱えた。寝転がるミーミスの隣にレグルスが現れる。彼は全裸のエルフを見て嫌そうな顔をした。

「みっともないぞ。外で裸になるなと何度も言っただろう」

「いいじゃないか、ちょっとくらい。せっかく春がやって来たのだよ? 裸になっても体調を崩さない季節がやってきたのだ。脱がない方が損じゃないか」

「被服は文明人の証だ。なぜわざわざ裸になりたがる? 俺には理解できない。やはりお前は頭がおかしい。恥じらいというものがない。人らしく服を着る気がないなら獣に化けておけ」

「はあぁ……。だからお前を喚びたくなかったのだ。口煩いから」

 ミーミスは仕方なく猫に化け、レグルスの膝に飛び乗った。彼の金色の三つ目が苛立たしそうに細められている。ミーミスはレグルスを見上げ、どうしてそんなに不機嫌なんだと尋ねた。

「賭けに負けた。お前の教え子とやらが薔薇に喰われるのを楽しみにしていたのに」

「お前が私との賭けに勝ったことなんてあったかな」

「気分が悪い! その涼しい顔が醜く歪んでいくところを見たかったのに!」

「はははっ! 残念だったね、意地悪レグルス」

 ミーミスはレグルスの腕に尻尾を絡みつかせ、にゃあと可愛らしく鳴いた。レグルスの大きな手にしなやかな背を撫でられ、彼女は気持ちよさそうに身体をくねらせた。

「不安ではあったが、教え子の狂気は彼の妻が無事に受け止めてみせた。教え子からはもう危うい匂いはしない。それにどうやら二人は、女神の寵愛を受けているようだからね。薔薇に喰われることなく生きていけるんじゃないか?」

「女神の寵愛だと? ろくなものではないな。オーレリアに目をつけられたら永遠に振り回されるぞ。生きていても、死んでいても、生まれ変わってもだ!」

 レグルスは鼻を鳴らし嫌そうに吐き捨てた。ミーミスは彼の言葉に頷き、それは違いないと呟いた。

「まあなんだ、あれからしばらく様子を見ていたが、教え子の魂は安定しているよ。ふふ……。顔を出すたびに二人の仲の良さを見せつけられてね、嬉しくはあるんだが、近頃は熱すぎて参ってきた。真面目で、飛び抜けて優秀だった教え子が、あんな風になるなんて想像できなかったね」

 勉強熱心なダークエルフの少年と、妻の前で顔を蕩けさせる筋骨隆々の男を交互に思い浮かべ、ミーミスはおかしそうに笑った。

「ああ、そうそう。教え子の娘がね、今度結婚式を挙げるのだ。何か贈り物を持っていかなくちゃいけないね」

「ほう? 骨で何か作ってやろうか。確かエルフの骨が余っていたはずだぞ。肋骨のクローゼットなんてどうだ? 頭蓋骨のランプも添えてな」

「いいや結構……。お前が作る家具は丈夫だが、少々冒涜的だからね」

 春の風がミーミスの鼻をくすぐる。
 胸が躍るような匂いと温かな空気をたっぷりと吸い込み、彼女は青空を見上げた。

(もうすぐで王都中に桜の雨が降る。今年こそ任務に邪魔されることなく、ゆっくり花見ができたらいいんだけどね。ああ……そういえば。二人が契りを交わしたのは、満開の桜が美しい日だったね。もうあれから随分経つのか)

 舞い散る桜の花びらを見ながらリアの決意を聞いた夜。彼女の指先で咲き誇るゼルドリックの青い薔薇。
 桃色の渦を巻き上げながら王都を発った二人。手を繋ぎ、幸せそうに笑い合う二人……。

 ミーミスは懐かしさに目を潤ませた。

「珍しい。お前が泣きそうになるなんて」

「ふふ、過去を思い出したんだ。悲しい訳じゃないよ。ただ、安心したんだ……」

 レグルスの優しい手の動きが眠気を誘う。
 ミーミスはひとつ欠伸をし、恋人の膝の上で微睡んだ。


 ――――――――――


 ディステルはゼルドリックの反対を意に介さず、ひたすら結婚式の準備を進めていた。ディステルは王都の大教会でヴィオラと契る計画を立てていたが、彼女は生まれ育った故郷で式を挙げることを望んだ。

「お母さんの式はとっても素敵だったってレントお兄さんから聞いたわ。私も同じように役場で式を挙げたいなあ……」

 ヴィオラは照れ笑いしながらリアの前でそう言った。

 娘の望みを叶えるために、ゼルドリックとリアは忙しい日々を過ごしていた。はずれの町にある教会は小さいので、式は役場の一室を借りて行うことにした。花婿と花嫁が歩く道を綺麗に整え、各所へ手紙を出し、ドレスや料理の用意をする。ゼルドリックは結婚式の準備に協力的だったが、いつも複雑そうな顔をしていた。

「はあ……。あと少しでヴィオラがあの眼鏡に嫁いでしまうのか……」

 憂鬱そうに溜息を吐く夫を見遣り、リアは彼の背を摩った。

「ねえ、ゼル。娘がいつか王子様のもとへ行く日がやってくるって分かってたでしょう? ディステルさんのこと、そろそろ認めてあげないと」

「ぐう……! 俺だって分かっている、こんな態度を取ってはヴィオラを悲しませてしまうと! だが、どうしてもあの眼鏡野郎が気に入らんのだ! あの気障な眼鏡、あの慇懃無礼な態度、あの長ったらしい髪、あの筋肉のなさそうな体型、そしてあの薔薇……。そう、あの薔薇を見たか!? あやつめ、ヴィオラをあの手この手で絡め取り、無理やり契りの薔薇を渡したに違いない! 危険な男だ。そんな奴に可愛いヴィオラを渡していいのか!?」

 かつて自分がした行動を棚に上げ、ゼルドリックはディステルを勢い良く貶した。

「私だってあの薔薇を見た時はびっくりしたわよ。でも知ってるでしょ? 契りの薔薇は心からの同意がなければ咲かないって。ヴィオラはディステルさんのことを愛しているのよ。ディステルさんも独自の方法で薔薇を創り出すくらいヴィオラのことを愛している。彼ならヴィオラをいつまでも大切にしてくれるわよ。私は、娘が望んだ相手と幸せになってほしいと思ってるわ」

「……くっ」

「ディステルさんが娘へと向ける気持ちがどれだけ強いか、薔薇を創り出したあなたなら解るでしょう。彼はヴィオラを捨てたりしないわ」

「…………」

「だからそんな顔をしないの。ヴィオラの新たな門出を楽しみに待ちましょう」

 リアの言葉に、ゼルドリックは渋々頷いた。


 ――――――――――


 夏の気配が近づき、はずれの町に緑が溢れる頃。

 ディステルとヴィオラの結婚式を三日後に控え、ゼルドリックの屋敷には子供たちが集まり始めていた。親切なエルフたちもまた、式の準備の手伝いをするためにはずれの町を訪れた。

「ゼルドリック! 貴様、また一回り大きくなったな! そんなに筋肉をつけてどうするつもりだ!」

 オリヴァーはゼルドリックの肩を叩き大声で挨拶をした。その声の大きさに、ゼルドリックの耳がじんじんと痺れる。ゼルドリックは急いで耳を塞ぎ、おかっぱ頭の友人から後ずさった。

「リアを守れるようにと鍛えているのだ。それにしてもオリヴァー、お前は相変わらず声が大きい……」

「私に言わせれば貴様の声が小さいのだ! 私に倣って腹から声を出してみろ! はきはき喋るのは気持ちがいいぞ!」

 オリヴァーが口を開くたびに窓がかたかたと振動する。声量の調整がとにかく苦手な友人にゼルドリックは眉を下げ、これは騒がしくなるなと呟いた。

「さてゼルドリック。私は式の手伝いをしてやろうとここに来たのだ。式場まで案内しろ!」

 ゼルドリックはオリヴァーを伴い、役場までの道をゆっくりと歩いた。オリヴァーは花で綺麗に飾られた道をきょろきょろと見渡し、やや大げさに溜息を吐いた。

「なんだこの道はァ! しっかりしろ町長! 随分と花が少ないではないか!」

「……少ないか? これでも花は増やしたんだぞ?」

「いいや足りぬ! 職務怠慢と言われても仕方ないぞゼルドリック! もっと町の景観に気を遣え! 待っていろ、この私がどうにかしてやるからな!」

 植物を操る魔法が得意なオリヴァーは、植わった薔薇や街路樹に片っ端から魔法を掛けていった。彼の魔法は波のように広がり、町中に色鮮やかな花々を咲かせた。山はなお緑に溢れ、樹は鈴なりの果物を実らせる。どこからか生えてきた蔓は美しいアーチを形作り、役場は大樹に囲まれた。

 ゼルドリックがほうと感嘆の息を漏らすと、オリヴァーは得意げに耳をひくつかせた。

「どうだゼルドリック! このオリヴァーの手にかかれば、この田舎町も楽園に早変わりだ! 素晴らしいだろう!」

「……驚いた。植物園のようだ。きっとヴィオラも喜んでくれるぞ! ありがとうな、オリヴァー」

「ふははははっ! 称賛を受けるのはいつだって良いものだな! もっと樹を増やしてやる!」

「ああ、待て! これ以上増やしたらこの町が森になる!」

 嬉しそうに呪文を唱えるオリヴァーを必死に止めつつ、ゼルドリックは役場前のベンチに腰掛けた。元同期との会話はそれなりに楽しいもので、二人は笑ったり驚いたりしながら会話を重ねた。ゼルドリックは弾んだ声で、妻や子どもたちのことをオリヴァーに話した。

「貴様の子供も、ここで式を挙げることになるとはな」

 オリヴァーは役場を見上げた。かつては自警団の事務所だったそれに、彼は懐かしき日を思い出した。パルシファーの綿毛が飛ぶ中、幸せそうに口づけを交わすゼルドリックとリアの姿が蘇る。

「良かったな、ゼルドリック。愛しい妻が戻ってきて、新たな家族もできて」

 新たな家族という言葉に、ゼルドリックはぴくりと耳を動かした。

「ふふっ、その反応。綿毛女から聞いていたが、貴様はディステルのことが気に食わんらしいな」

「………ああ」

「ディステルとは少し付き合いがあるが、あやつは真面目で仕事熱心な男だぞ! 大植物園の管理者という地位もあるし給金もいい! 娘を嫁がせるに足る男だと思うがな。それに……。ディステルは貴様と似ている。馬が合いそうだぞ? あやつと仲良くなってしまえばいいではないか!」

「に、似てるだと? あの眼鏡野郎が俺に!? 一体どこが似ているんだ!?」

「ああ、外見の話ではないぞ? まあ何が似ているのかは付き合っていくうちに解るだろう」

 オリヴァーは大きな笑い声を上げた。

「式が楽しみだな、ゼルドリック!」

「……そうだな」

 ゼルドリックは役場前の噴水を見つめながら、穏やかな顔で笑った。
 このダークエルフの友人は、随分柔らかい顔をするようになったとオリヴァーは感じた。彼の横顔にはかつての険しさも陰もない。ただこの幸福を、心から楽しんでいるような顔だった。





 リアはレントと共に、結婚式で出す料理の仕込みを進めていた。人数分のチーズとワインをあらかじめ小分けにし、日持ちのする菓子を焼いておく。リアはてきぱきと作業を進めながら、レントが持ってきた酒樽を見た。

「メルローちゃんから少し聞いたことがありましたが、レントさんってお酒が好きだったんですね」

「ええ! 特にワインには目がなくて。買っても買ってもすぐに無くなるものですから、近頃は自分で造るようにしているのです。今回僕が持ってきたワインは完璧ですよ。香り、味わい、外観。全ての指標において王家御用達のワインを凌駕している。皆さんにも喜んでもらえると思います」

 レントは胸を張った。彼自ら仕込んだワインが入っているという酒樽を見て、リアは面白そうに首を傾げた。

「神父様ってお酒を飲んでもいいんですか?」

「飲んでも全く問題ありませんよ、リアさん。この緑の国エリテバラントは多神教ですからね、酒を司る神もいる訳です。僕が酒を仕込んだり、酒を飲んで酔っ払うたびに神は喜ぶ。僕の行いは正しいのです!」

「そうかしら」

 リアはくすくすと笑った。聖職であることを示す白い服の袖は、よく見ると紫色に汚れている。芳しい葡萄の匂いを漂わせるレントに、この友人は今朝も酒の仕込みをしてきたのだろうかとリアは思った。

 ふと、リアは机の上からチーズが減っていることに気がついた。

 いつの間にか椅子にアンジェロが腰掛けている。もぐもぐと口を動かしながら片手を挙げる彼に、リアは苦笑いをした。

「久しぶりだな、リローラン殿」

 アンジェロはつまみ食いをしながらリアとレントに挨拶をした。音もなくキッチンの中に転移してきたアンジェロは、リアに大きな袋を差し出した。

「アンジェロ様、これは?」

「手土産だ。花の小道を入ったところにある菓子屋を覚えているだろう?」

「……わあ」

 袋の中にはブールドネージュがぎっしりと入っていた。リボンを付けた猫耳の獣人を思い出し、リアは懐かしさに顔を綻ばせた。

「ありがとうございます、アンジェロ様! このクッキー、私もゼルも大好きなんです」

「喜んでもらえて何よりだ」

 アンジェロは少しだけ口角を上げた。

「その菓子屋には結婚式のケーキも頼んでいてな。すみれの砂糖漬けがたっぷりと乗せられたケーキを用意してくれると言ったよ。よく食べる者が多いからできる限り大きくしてくれと伝えたが、果たしてどれくらいの大きさのものが来るかな」

「ははっ! 君はどんなに大きくたって、ケーキを全部平らげてしまうんだろうな」

 レントは笑い、こっそりとワインに口をつけた。

 アンジェロはレントから手渡されたワインを飲みつつ、キッチンを見渡した。かつてミーミスが建て直した広いキッチンは、小綺麗ながらも使い込まれ、すっかり生活感を放っている。セージのいたずら書き、イリスが集めた獣の頭蓋骨、ウィローが作った細工、マルティンが撮影した写真。過去を積み重ねたそれらを見つめ、アンジェロは微笑んだ。

「あなたとゼルドリック様が結ばれてから随分経ったのだな。リローラン殿、あなたの両親とマルティンも、天からヴィオラの結婚を祝福しているだろう」

「ええ、みんな天国から見守ってくれているでしょうね。ふふ……マルは大泣きしているかもしれません」

「彼は涙脆い男だからな。あなたが式を挙げた日、ずっと泣いていたのを覚えているよ」

 アンジェロはリアと会話を交わしながらもつまみ食いをし続けた。取り分けたチーズがあっという間に机の上から無くなっていく。レントは慌ててアンジェロを止めたが、アンジェロは心配要らないと言い指を鳴らした。彼の背後に大量のホールチーズが現れる。チーズだけではなく野菜や魚、肉までもがアンジェロの背後に溢れ出て、レントとリアは驚きに声を上げた。

「全員の腹を満たせるくらいの食材を用意した。料理の心得はないが、ヴィオラとその王子のために、私も手伝うぞ」

 アンジェロは朗らかに笑い、あっという間にワイングラスを空にした。





「あたしは結婚ってのがよく分かんねーけどさ、何かと入用なもんなんだろ? 少しでも助けになればと思って、皿だの化粧品だの服だのを揃えたけど、ヴィオラに喜んでもらえるかね」

 メルローは新郎新婦への贈り物をたくさん買い込んだ後、はずれの町へと向かった。

(はああ、時の流れってもんは早えな。リアちゃんが結婚して子供が生まれたと思ったら、今度はその子供が結婚するんだもんな。はは、ヴィオラのドレス姿が楽しみだ)

 幸せな結婚式の想像をしながら、メルローはゼルドリックの屋敷へと転移した。

「……ん?」

 何やら言い争う声が聞こえてくる。

 リリーとイリスが、屋敷の前でぎゃあぎゃあと騒いでいる。イリスは背中に大きな荷物を背負っていて、リリーはその荷物について口煩く注意をしているようだった。

「ねえ、いいでしょお姉ちゃん。この人は私のお友達で、親交を深めるために行動を共にし続けているの。離れる訳にはいかないの! ヴィオラの結婚もおめでとうって言ってくれてるんだよ? 私の部屋に招待してもいいでしょ! ね?」

「駄目だ、ミイラなんて家に持ち込むな! どんな古の呪いが込められているか分からないだろう! 大体それはどこで見つけてきたんだ!」

「博物館から引き取ってきたの。白波の国のかつての将軍様よ。丁重にもてなしてあげなくちゃ!」

「もてなすな! 返してこい馬鹿イリス! その頭に乗せたおかしな骨も取れ!」

「おかしな骨ですって!? ひっどぉい! これは私のコレクションの中でも一番イケてるなのよ? この魅力が分からないなんて、お姉ちゃんはセンスがないわ!」

(あはは、イリスは相変わらずだなあ)

 メルローは笑いながら二人に近づいた。

「おうおう、あんま喧嘩すんなよ」

「あっ、メルローのお姉ちゃん!」

「メルローさん……。恥ずかしいところを見せてしまいました」

 リリーはメルローを見てぺこりと頭を下げた。抱きついてくるイリスの頭を撫でながら、メルローはリリーにウィンクをした。

「リリー。今回だけはミイラを入れてやってくれねえか。こいつの友達には違いないんだ。あたしがイリスの部屋に一緒に泊まって、何も起きないように見張っておくからよ」

「あ……。でもあの骨だらけの部屋に、メルローさんを泊まらせるのは申し訳ないのですが」

「大丈夫大丈夫。あたしはこいつの部屋がどれくらい散らかってるのかよく知ってる。泊まらせてもらう礼に、イリスの部屋はしっかり片付けておくよ。さ、中に入ろうぜ。あんたたちが喜ぶと思って、王都で美味いものをたくさん買い込んできたんだ」

 メルローは白い歯を見せてにっと笑った。

「皆でヴィオラの結婚を盛大に祝おうぜ!」





 セージが屋敷に着いたのは夕暮れ時だった。出迎えた父の姿を見て、セージはぱちりと目を瞬いた。

「おう親父。何だかまたでかくなったか?」

「くくっ、オリヴァーにも同じようなことを言われたよ」

 ゼルドリックは息子をしっかり抱き締めた後、セージの部屋へ荷物を運んだ。二人は部屋でくつろぎながら、気楽に会話を交わした。

「セージ。ここに来るまでに危険はなかったか?」

「何も。傭兵は辞めちまって、今は気ままに旅をしてるだけだからな。それよりも親父、随分と優しい顔するようになったじゃねえか。お袋との生活が楽しくて仕方ないって顔してるぜ」

「ははっ! 分かるか?」

「ヴィオラの結婚が気がかりでまた痩せちまうかと思ったが、きっちり食ってるみてえだしよ。安心したぜ」

 セージはにやりと笑った。

「しっかしよ、屋敷に何人か泊まりに来るのは知ってたが、騒がしすぎねえか? 俺、ここでぐっすり眠れるかね……」

「……まあ、静かすぎるよりはいいだろう」

 階下から聞こえてくるオリヴァーの大声、レントがアンジェロのつまみ食いを注意する声、そしてリリーとイリスが言い合う声を耳にして二人は苦笑した。


 それからしばらくして、ウィローが屋敷に帰ってきた。ゼルドリックはもうひとりの息子も抱き締め、随分遅かったなと言った。

「心配掛けてごめん、父さん。ヴィオラとディステルさんと一緒に王城へ行ってきたんだ」

「王城? なぜ……」

「ファティアナ様がヴィオラのために新しいドレスを用意してくださってね。急だけど試着をしてきたんだ」

 ウィローは料理の用意をしていたリアを呼び、わくわくした様子で微笑んだ。

「父さんも母さんも驚くと思うよ。さ、二人とも! 見せてあげて!」

 ウィローが指を鳴らすと、正装に着替えたディステルとヴィオラが現れた。
 高貴さを感じさせるエルフ様式の、白と金を基調とした服を纏うディステル。薄紫色の薔薇柄のドレスを着て、頭にすみれの花かんむりを乗せているヴィオラ。その姿はどこまでも美しく、リアは何度も目を瞬かせて二人を見つめた。

 かつての自分たちと重なるその姿に、リアは涙を流し、ゼルドリックは息を呑んだ。

「二人ともばっちりだろう?」

 ウィローの問いにリアは頷いたが、ゼルドリックは何も返さなかった。

 少しの緊張が走る。
 ゼルドリックは何も言わないままディステルに近づき、その顔をじっと睨んだ。

(お父さん、やっぱりディステル様との結婚を認めてくれないのかな……)

 ヴィオラは不安そうにゼルドリックを見上げた。ダークエルフの強い視線にディステルは僅かにたじろいだが、ゼルドリックは花婿の手を握り込んで頭を下げた。

「ヴィオラを頼む。娘を幸せにしてやってくれ。王子の如く、姫君を大切にしてやってくれ」

「……はい、勿論です」

 ゼルドリックの言葉に、ウィローとヴィオラはほっとした笑みを浮かべた。
 ディステルはゼルドリックの黒い手を握り返し、しっかりと頷きを返した。


 ――――――――――


 ヴィオラの結婚式前夜、ゼルドリックとリアは寝室で睦み合いながら会話をしていた。

「とうとう明日だな」

「なんだかすごく緊張するわ。ずっとそわそわしちゃうの。ヴィオラとディステルさんが一番緊張しているはずなのにね」

「くくっ……そうだな、俺も緊張している」

 ゼルドリックはリアの髪を撫でながら、柔らかい笑みを浮かべた。

「あの二人、新婚旅行に白波の国を選んだと言っていたな。そういえば俺たちは旅行をしたことがなかったな」

「今からでもしてみる? 新婚旅行」

「ああ、ぜひやりたい。首枷が外されたら、君と世界一周してみたいな」

「いいわねそれ。あ、いつか家族旅行も行きたいわ! ディステルさんも入れて八人で。イリスとセージに案内してもらいながら諸国を巡るのは楽しそうね」

 二人は笑いながら、したいこと、やりたいことを次々に言い合った。

「リア、君としたいことはたくさんあるんだ。王都に行けるようになったら、またあの菓子屋に寄ってケーキをたくさん食べたいし、本屋で新しい恋愛小説も探したい」

「うふふっ、素敵ね! 私はあなたと満開の桜を見たいわ。レントさんの教会に遊びに行くのもいいわね。それからファティアナ様にご挨拶したいし、アンジェロ様のお屋敷にも行ってみたいわ。あ、ウィローの鍛冶場も覗いてみたいわね!」

「あの二人が働いている大植物園も行きたいし、オリヴァーの屋敷に顔を出すのもいいな。あといつも頑張っているリリーに家でも買ってやりたい。あ、それから……王都の仕立て屋で、君の服をたくさん揃えたいな」

「服?」

 ゼルドリックはリアの身体の曲線を愉しむように、彼女の腰から胸に手を這わせた。

「こんなに綺麗で、こんなに可愛いんだ。美しいドレスで姫君を飾り立ててやりたくなる」

「……もう」

 リアは顔を赤らめた。

 希望を語る夫の顔は明るい。蕩けていて、甘くて。
 大好きな「黒の王子様」の笑みを見つめ、リアは幸福に浸った。

(ゼル、あなたは本当に優しい顔をするようになったわね。この盛り上がった眉間も、段々と平らになっていくのかしらね)

 ゼルドリックと過ごしていくこれからの未来が楽しみだ。
 リアは黒い耳に口づけ、ゼルドリックを強く想った。

(幸せね。ずっとずっと愛してね、私の王子様……)

 リアの唇が優しく塞がれる。王子からのキスに、リアはうっとりと微笑んだ。
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