秘密の仕事

3.頭痛

大山けんとの部屋



「痛い…」

また、頭痛が襲ってきた。

昨日はライブがあって、真っ直ぐに家に帰ってきた。
社長が冨田と言う男を連れてきて、会った事がないはずなのに、僕はこいつを知っていた。

何故だ…何故だろう…



【朝8時】




頭痛がするから、お薬を飲んでソファーで寝る事にした。

僕の家は港区にあるタワマン。
35階に住んでいる。間取りは3LDK
物はほとんどない。
優一くつろげる場所としたら、ソファーだ。

子供の頃から実家にあったソファーを持ってきた。

僕はここでまた一眠りする事にした。


…………




「冷たい」

私は森の中に埋められていた。

まだ生きてるのに…苦しいっっ

「お母さん！お母さん！会いたいよ！」

土の中で息が出来ない中、意識がどんどん遠のいていく…

「どうして、こうなったの？私は何をしていたの…思い出せない…」

苦しいっ苦しいっ…助けて…

「冨田さんとお母さんが話をしていた。私はCMに出られるようになった。うん？なったのかなあ…」

くっくっはあはあはあ、きっきっきっ

………

悔しい！悔しい…騙された…騙された…

死ぬ…私…死んでしまう…はぁ…死ぬ…


悔しい！！！！！！！！！！


思い出せ！思い出せ！思い出せ！！！


だめだ…思い出せない…うっっっ


「呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる。
呪呪呪…呪ってやる。ノロってやる…！」




土の中なのに涙が溢れてくる。

はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ






「お母さん、ごめんなさい」






….………………………

マンションの一室。


ガバッ！！！

汗がびっしょり…

「はあはあはああ…何だ今の夢は…」

変な夢を見た…変な夢を見た…


「呪ってやる…」


僕はこの子を知っている。


芦田みく…15歳…

僕は…僕は…芦田みくの生まれ変わり…とでも言いたいのかっ！？


「うっぷ」

僕は吐いた。こんな事初めてだ。

だが、ソファーが汚れるようなヘマはしない。もちろん、床に吐いた。

その時、割れるように痛かった頭痛がとまり、気持ちがすっーと楽になるような気がした。



「ははははははは！何だ！！何だ！！僕はあの子の生まれ変わりかあ！！！そうなのかっ！芦田みく！！そう言いたいのか？？ははははははははははは」


愉快になってきた。

「あー楽しい！楽しいじゃないか！」


だから、冨田の事も知っていた。
ただ、あいつは…詐欺師！？

冨田は詐欺師で人殺しなのかっ！！？


まだ、記憶が鮮明ではないが、僕は生まれ変わりという非科学的なこの出来事を受け入れた。

今まで、あまり感情というものがよく分からず過ごした子供時代。

いろんなフリは出来た。だから、みんなとそれなりに紛れて楽しくやっている芝居はした。そんな時アイドルのスカウトをされた。
アイドルかっ…何が楽しいのか、分からないが人間が熱狂するアイドルに興味があった。
だから、引き受けた。
でも普通だった。



だが、そんな僕にもモアモアする事があった。


ダサい奴が大嫌い。

ダサいダサいダサいダサい！！

裏切り、傲慢、浮気、いじめ、

とにかく筋の通らない頭の悪い奴が嫌いなのだ。


いつもは感情が揺れ動かないのに、人の事なんでどうでも良いのに…


何故…か…

成敗したくなる！



でも、これでやっと分かった！


僕の中にもう1人女の子がいる。

僕は。。

芦田みくの生まれ変わりだ！！！


呪い…


面白い…！！
この人生と共に芦田みくの復讐！

俺様！大山けんとが引き受けようじゃないかっ！！！！



……………


森の中


私は死んだ。
芦田みくは死んだのだ。
呪いの怨念を誰かに宿す。




「自分を殺した奴。誰だ…今、しっかりと思い出して、恨みを持って死んでいく。思い出せーっっっ！！！！！！！わたしーっ！！！！！！」