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第二〇章 「困ったご時世だねえ」
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Ⅰ
本日、アチラはたくさんの転生者と向かい合っていた。
ここしばらくたくさんの出来事があって、普段の転生者の対応が滞っていたが、本日はようやくしっかりと向き合うことができたのである。
一人送り出して、また一人対応して。その繰り返しではあるが、先ほどからアチラが送る者すべて「奈落」、「奈落」、「奈落」……と、「奈落」行きのオンパレードである。理由はその者の行いによって様々なので一概には言えないが、強盗、詐欺、殺人など、物騒なものばかりが出揃っていた。すでに、細かく内容も覚えていないし、大鎌を振るった回数も覚えていない。何十回、下手したら何百回のレベルに到達しているかもしれなかった。
それにしても、異常だよねえ、ここ最近は特に……。
アチラは新たに一人「奈落」行きにしてからしみじみと思う。
現代のテレビや新聞で取り上げられるニュースでも、毎日何かしらの事件や事故は起こっていると聞いたことがあった。
アチラも多少なりとも情報は仕入れているものの、現代のことに関してはさして興味がなく。仕事に使えそうな情報――例えば、殺人事件だったり、闇バイトと称されるものだったりの事件や事故絡み――は頭に叩き込んでおくものの、そうでなければ取り込むことはない。耳や目にすら、その情報を入れないようにと徹底していた。それは、仕事に関係ない現代の情報を頭に入れるぐらいなら、転生局の現状や全体の情報を頭の中に叩き込んだほうが有効活用できるとアチラが考えていたからであった。
本日、スマートフォンの通知が鳴り止む気配はない。次から次へと転生者の情報が送られてきている。確実に一人ずつ対応して減らしているはずなのに、一向に終わりが見えないのだ。この状態なら、きっとユウたちも追い込まれているに違いない。
とりあえず、俺は何とかなるにせよ、ユウとシノビの状況確認は必須かなあ。特にユウは潰れていそうだしね。最終的にはヘルプに回るのも必要かあ……。
アチラはスマートフォンを操作しながら一度頭の中を整理する。ユウやシノビも整理しながら対応していることだろうが、二人は特に抱えやすいだろう。カズネは何とかなるだろうとアチラは踏んでいた。
次の転生者の情報を軽く頭に入れ、ゆっくりと歩き始める。転生者を探すべく、ここ、通称「通るべき者」を散策するのだ。
大鎌を抱えて数分歩けば、小さく人の姿を発見する。ゆっくりと歩いて近寄っていき、その背中にアチラは目を留めた。
だが――。
あれ、珍しい……。
アチラは距離を多少置いたまま、その姿を見て首を傾げる。アチラの担当している転生者にしては珍しい光景で、不可思議な現象のように感じてしまったのは無理もないだろう。
というのも、アチラが担当する転生者のほとんどは成人した男性や女性だからである。先ほどまで「奈落」行きにしていた転生者たちも、基本的に成人している者であった。老若男女問わず対応しているものの、アチラの担当する転生者の経歴は基本真っ黒に染まっている。
だからこそ、子どもを担当することはそうそうないのだ。あるとするなら、ユウやシノビのヘルプに入って彼らの担当を任せられた時ぐらいである。先日行った子どもたちの担当は異例中の異例であった。
アチラが自身の担当区域で一番若かった者は、大学生ぐらい。
――今回はそれをさらに下回る、中学生の少女で。
アチラは彼女に近づく前に再度スマートフォンを操作して情報を確認する。
間違ってはいない、か……。まさか、俺に回ってくるとはねえ……。もしかしたら、それなりの理由があるってことかあ。
先ほど軽く入れた内容を見逃していたのかもしれない。アチラはスマートフォンを操作して再度情報を頭に入れ直す。大体の情報を叩き込み納得してからようやく彼女に背後から声をかけて。
「ごめん、ごめん、待たせたね」
「だ、誰っ……!?」
アチラの声に驚いたらしく、勢いよく振り返る少女はどこか怯えたように見えて。
アチラはそれに優しく笑いかけてやる。警戒している少女の目を受け止めつつ、お決まりの挨拶を口にする。
「こちらは死神のアチラです。あちらに行くのにあなたが相応しいか、判断しにコチラに伺いました」
少女は目を点にし、「は?」と問い返してくる。その声はどこか冷めていて、怪しげな者を見るような目を向けてきた。
アチラはやれやれと首を振る。
確実に思春期です、って言われるような顔してるねえ……。
そうは思いつつ、それには触れずにアチラは口を開く。
「君はもしかしたら記憶にないのかもしれない。けど、君は命を失ってここにいる。君が次の人生を歩めるかどうかを判断するために、俺は君の元に来たんだよ」
「え……」
少女は言葉を零す。その目には絶望が映っていて。アチラがさらに何かを言うよりも早くに、少女は問いかける。
「わ、私っ……、し、死んじゃったの……?」
震える声で問いかけてくる少女を見ながら、アチラは一つ頷く。
「端的に言えばそうだねえ。……まあ、とりあえずこうしていても仕方がないし、君も整理する時間が必要でしょ。話をしようよ」
アチラは指をパチンと鳴らし、椅子を二つ取り出す。一つは豪奢なアチラ専用の椅子、もう一つは学校にありそうな木の椅子である。
少女はアチラの言葉に、恐る恐る頷く。
何か言いたげな視線に、アチラは気がつきながらも何も言わなかったのであった。
Ⅱ
少女の名は、小紫仁織と言った。中学二年生だったらしい。
アチラと向かい合って座っている少女は何故か異様に縮こまっている。緊張しているのか、それとも何か隠したい理由でもあるのか、妙に落ち着きがなかった。
いずれにせよ――。
こっちは、事情を知っているんだよねえ、どんなに隠そうとしても、さ。
アチラはスマートフォンを操作しつつ、まずはとばかりに転生の条件やこちらのルールを簡単に説明した。少女の反応を見るに、転生に少しばかり期待しているようだが、何やら引っかかっている様子。
アチラはそれを見て、次の話へと話題を振ることにした。
「えっとー……、君は事故でってことのようだね。転生の話は先ほどした通りだ、君の前世の行いによって決まる。それで、さっきから俺は気になっていたんだけど……、君の様子を見るに何か気になることでもありそうだねえ?」
アチラがチラリと視線を送れば、少女はビクリと大袈裟に身体を震わせる。図星なのだろう、だがそれを隠そうとしているのか平静を装って答える。
「な、何でもないです……」
だが、その声は妙に小さくて。
アチラは「あっそ」と肩を竦めた。
少女はそれにホッとしたように胸を撫で下ろす。
だが、次のアチラの言葉にすぐに顔を曇らせることとなる。
「俺は気になっているんだけどねえ。例えば……、SNSのこと、とか」
アチラは蒼い目を細める。
少女は捉えられ、アチラの視線に耐えられずに目を逸らした。思い当たる節があるのだろう、顔色が良くない。
アチラはそれを見ながら、さらに続ける。
「君の前世の行いは、すべてここに記されている。ウチの情報屋は優秀でねえ、隅から隅まで調べ尽くしてくれるんだ、関係のあることはすべて」
「……」
少女は黙り込んだ。顔を俯かせて身動きすらしない。もしかしたら、絶望しているのかもしれない。
あるいは、頭を必死に働かせて言い訳を考えているのかもしれない。
だが、アチラからすれば、どちらでも変わらないこと。
アチラは肩を竦める。
「……とは言っても、実は俺はSNSには詳しくない。使い方もよく知らないし、俺は使ったことがないからねえ。まあ、何が悪くて、何が良いのかぐらいは知ってるけどさ」
――アチラが話した内容は、事実である。
SNSはアチラたちが担当する転生者の九割近くが使用している。現代なら、ほぼ一〇割近いのだろうとアチラは思っていた。それも、若い世代なら尚更なのだろうと考えていた。
だが、アチラはそれがどういうものなのか、表面所は情報として知っていても、実際に使ったことはないから、はっきり言ってにわかもいいところである。
……情報としては知っていても、俺の認識としては薄い。表面を知っているだけのようなもの。だけど、彼女が手を出してはいけないことに手を出してしまったことだけは、俺ですら理解している。
アチラのスマートフォンには、文章がこれでもかと言わんばかりにぎっしり並べられていて。すべて情報屋もとい情報管理部が記してくれたものであった。
その文章の中に、「無断転載」という言葉が記されている。
――無断転載。
他人の著作物を著作者の許可なく利用すること。よくあるケースは、イラストを著作者本人の許可なく、自身のアカウントに掲載しているというものである。最近は、「無断転載禁止」の言葉が記されていても、そんな事例が起こっている。
アチラも耳にしたことはある。とは言っても詳しくはない。情報として仕入れただけだ。実際に見たこともないし、SNS自体触ったことがない。
「……こういうのってさ、君たちからしたら悪いこと? それとも、良いこと?」
アチラは少女に向かって問いかけた。わざとである。
単純に考えてみれば、著作者本人ではない者が、著作者本人の許可も得ずに自身のアカウントに掲載していれば、他人の評価を自身のものにしているということ。乗っ取られたと言われてもおかしくないだろう。何せ、本来得られる評価を横取りされているのだから。また、他人から騙していると言われても仕方のない行動だとアチラは思う。
まあ、掲載しているのを見かけたフォロワーが、著作者本人に教えている、なんて話を聞いたこともあるけどねえ。優しい人ばかりじゃないのも、事実。
アチラは聞いた話を思い出す。
聞いたもとい収集した情報では、著作者本人が止めて欲しいと懇願しても、それを止めようとしなかったり、悪気がないと言わんばかりに他の著作者の物まで載せていることもあるという。時にはアカウントを削除している場合もあるようだが……。
一応、SNSには「通報」なんて制度もあるようだけど、どこまで影響があるのか……。
アチラはふとそう考え、すぐに考えを打ち消した。今はそれを考えている場合じゃないからである。
さて、彼女の場合はどうなのか……。
アチラは蒼い瞳を細める。鋭くなる視線を少女に向け、彼女の言葉をただ待つのであった。
Ⅲ
アチラの言葉から、仁織はしばらく黙り込んでいた。顔を俯かせてじっとしていたが、何を思ったのか急に顔を上げて腕を組み、フンとそっぽを向く。
アチラは思わず目を瞬いた。急な豹変ぶりに、予想外だったのである。
アチラが呆然としていれば、彼女は先ほどの震えた様子はどこに行ったのやら、強めの口調で答える。
「別にー、私がその人の作品を有名にしているだけだし! 何も悪いことしてないじゃん!」
アチラはその言葉に目を鋭くさせた。蒼い瞳に、怒りの炎が過ぎる。
「……だけど、それは君のアカウントなんだろう。なら、それは著作者本人の評価ではなく、君の評価となってしまう。それは悪くないことなのか」
アチラが強めに言葉を紡いでも、少女は悪びれる様子もなく。
「勝手に載せるのが悪いって言うけど、保存できるんだから――」
「――著作権、って知ってるよねえ?」
アチラは少女の言葉を遮って伝える。蒼い瞳は鋭くて、まるで刀のように光を放っていた。
少女はビクリと身体を震わせ、口を噤む。アチラのあまりの怖さに、鋭すぎる気配に、それ以上の言葉を紡ぐことができなかったようであった。
アチラはそんなことお構い無しに続けた。
「君ぐらいの歳なら、そういうことを習っていてもおかしくはない。知らない、と言わないところを見る限り、理解はしているはずだ」
「……」
「……俺はさ、よく分からなんだよねえ」
アチラは唐突にそう告げた。
目の前の彼女は、なんのことだか理解できないとばかりに首を傾げている。だが、急かす様子はないらしい。
アチラは肘掛けに右肘を置くと、そこに頭を預ける。それから、視線を冷たく少女に向けて続けた。
「……SNSの機能にはさ、『いいね』と呼ばれるものがあるんでしょ? それが欲しいばかりに危険な目に遭ったり、人に迷惑をかけたりまでして投稿する意味が、さ。承認欲求の話だけで済むとは思えない。……君のそれすらも、そうじゃないの?」
アチラは目を細める。
――SNSが悪い、とは一概には言えない。
それは以前、地獄の王や天使長にも話したことが該当してくる。一言で善し悪しを計れるものは、現在少ないのだ。
良いこともあるし、悪いこともある。
メリットがあって、デメリットがある。
ネット上での友人ができることは良いことだし、繋がりが増えることだって喜ばしいことだろう。
だが、一歩使い方を間違えれば、道具は危険なものとなる。良いものだったはずが、悪いものへと姿を変えてしまうのだ。
SNSで言うのなら、「闇バイト」と呼ばれるものや、詐欺などが該当してくるのだろう。いじめも、誹謗中傷も行われているのが現状だ。
つまり、使い方を間違えれば、凶器となるのである。
アチラは目線で少女を捉える。
「……俺には理解できねえけど、それが必要な人は世の中に多いんだろうねえ。だけど、それは自分が作ったものや描いたものの場合の話だ。自分のしていないことを自分がしたように見せて、人の栄光を奪って良いってわけじゃねえだろ」
アチラの声は氷のように冷たく、刃物のように鋭い。少女へ向ける視線も、まさにそれである。
少女はゴクリと息を呑んだ。
アチラはやれやれと首を振る。
なるほど、だから俺の元に来たってわけだ……。
反省の色がまったく見えない。
自分がしてきたことが正しいと、何も間違っていないと、信じている様子である。
確かに、SNSは画像を保存することもできる。だが、それには「無断転載禁止」の名目が記載されているのもあるし、明確なルールもあるはずだ。保存した画像をどこで使って良いのか、暗黙のルールとなりつつあるルールがきちんと存在している。
それが、彼女からは抜けているのだろう……。教えて貰えなかったにせよ、調べることぐらいはできたはず。それをしなかったのは、彼女自身。
アチラは椅子からゆっくりと立ち上がる。そして、椅子に預けていた大鎌を手にした。
少女が、小さく悲鳴を上げる。
「……ひっ!」
「……どうしても評価や反応が欲しかったなら、自分の力で、自分の投稿で認めて貰うべきだ。人のものを利用することなく。それが分からなかったから、てめえはここにいる」
――そう、第五階層を任せられている、アチラの元に。
アチラはさらに続けた。
「最初は何でかなあと不思議だった。だけど、てめえと話をしてようやく理解できたよ。……てめえには、行かなければいけない場所がある」
アチラは手にした大鎌を構え、鋭く閃かせたのであった――。
Ⅳ
少女を「奈落」に行かせ、情報屋もとい情報管理部にメールを送ると、アチラは自身の椅子にドカリと腰掛けた。そう疲れたわけではないのに、力が抜けていく。深く深くため息をつき、何もない天井を見上げた。
「……困ったご時世だねえ。まさか、あんな少女までもが俺の元に来るようになったとは」
自分は間違っていない、そのスタンスがアチラの元へと行かされたのだろう。まあ、それだけではなく「無断転載」のこともあったからだからだと思うが。それに、SNSに関してはもっと酷いものもある。
アチラからすれば、今回の件はそう大したことはない。アチラが普段相手にしているのは、誹謗中傷などの心にくるものだからだ。だが、今回の件でも、実際に苦しんでいる者が存在している。
「……必死に努力して描いたものが、知らない奴に使われているなんて、許せないよねえ」
アチラが思い浮かべるのは、著作者のことで。
きっと絵を描くのに、必死に努力して、必死に時間をかけて、必死に納得のいくものを描いたに違いない。
だが、それが気に入られたからと言って、別のものに勝手に使われて、勝手に掲載されて、勝手に栄光を取られてしまっては、たまったものじゃないだろう。
……俺たちができるのは、その行動を見た瞬間に止めることじゃない。行ってきた行動を悔い改めさせること。そして、転生に繋げること。著作者には申し訳ないけど、それ以上のことはできない。
アチラはやれやれと首を振る。
「使い方を間違えなければ、もっと良いものとなるだろうに」
最近聞いた話では、何でも動画として撮られ、証拠として写真に残され、それが投稿される。そして、炎上する事態にもなるらしい。
確かに、動画も写真も証拠にはなるけど、ねえ……。
アチラは右腕を自身の目元に置き、独り言を告げる。
「……まあ、俺の知ったことではないけど。審判する者としては、あまり嫌な使い方はしないで欲しいところかなあ」
アチラは椅子にしばらく力無く沈み込み、休憩が取れたら立ち上がった。自分と先ほどまで使っていたもう一つの椅子を立ち上がると、大鎌を担ぎ上げて歩き始める。
まだ、仕事は終わっていない。
まだ、次の転生者が第二の人生を待っている。
まだ、何も終わっていない――。
アチラは気持ちを切り替える。
次の転生者と、しっかり向き合わなければいけないのだから――。
本日、アチラはたくさんの転生者と向かい合っていた。
ここしばらくたくさんの出来事があって、普段の転生者の対応が滞っていたが、本日はようやくしっかりと向き合うことができたのである。
一人送り出して、また一人対応して。その繰り返しではあるが、先ほどからアチラが送る者すべて「奈落」、「奈落」、「奈落」……と、「奈落」行きのオンパレードである。理由はその者の行いによって様々なので一概には言えないが、強盗、詐欺、殺人など、物騒なものばかりが出揃っていた。すでに、細かく内容も覚えていないし、大鎌を振るった回数も覚えていない。何十回、下手したら何百回のレベルに到達しているかもしれなかった。
それにしても、異常だよねえ、ここ最近は特に……。
アチラは新たに一人「奈落」行きにしてからしみじみと思う。
現代のテレビや新聞で取り上げられるニュースでも、毎日何かしらの事件や事故は起こっていると聞いたことがあった。
アチラも多少なりとも情報は仕入れているものの、現代のことに関してはさして興味がなく。仕事に使えそうな情報――例えば、殺人事件だったり、闇バイトと称されるものだったりの事件や事故絡み――は頭に叩き込んでおくものの、そうでなければ取り込むことはない。耳や目にすら、その情報を入れないようにと徹底していた。それは、仕事に関係ない現代の情報を頭に入れるぐらいなら、転生局の現状や全体の情報を頭の中に叩き込んだほうが有効活用できるとアチラが考えていたからであった。
本日、スマートフォンの通知が鳴り止む気配はない。次から次へと転生者の情報が送られてきている。確実に一人ずつ対応して減らしているはずなのに、一向に終わりが見えないのだ。この状態なら、きっとユウたちも追い込まれているに違いない。
とりあえず、俺は何とかなるにせよ、ユウとシノビの状況確認は必須かなあ。特にユウは潰れていそうだしね。最終的にはヘルプに回るのも必要かあ……。
アチラはスマートフォンを操作しながら一度頭の中を整理する。ユウやシノビも整理しながら対応していることだろうが、二人は特に抱えやすいだろう。カズネは何とかなるだろうとアチラは踏んでいた。
次の転生者の情報を軽く頭に入れ、ゆっくりと歩き始める。転生者を探すべく、ここ、通称「通るべき者」を散策するのだ。
大鎌を抱えて数分歩けば、小さく人の姿を発見する。ゆっくりと歩いて近寄っていき、その背中にアチラは目を留めた。
だが――。
あれ、珍しい……。
アチラは距離を多少置いたまま、その姿を見て首を傾げる。アチラの担当している転生者にしては珍しい光景で、不可思議な現象のように感じてしまったのは無理もないだろう。
というのも、アチラが担当する転生者のほとんどは成人した男性や女性だからである。先ほどまで「奈落」行きにしていた転生者たちも、基本的に成人している者であった。老若男女問わず対応しているものの、アチラの担当する転生者の経歴は基本真っ黒に染まっている。
だからこそ、子どもを担当することはそうそうないのだ。あるとするなら、ユウやシノビのヘルプに入って彼らの担当を任せられた時ぐらいである。先日行った子どもたちの担当は異例中の異例であった。
アチラが自身の担当区域で一番若かった者は、大学生ぐらい。
――今回はそれをさらに下回る、中学生の少女で。
アチラは彼女に近づく前に再度スマートフォンを操作して情報を確認する。
間違ってはいない、か……。まさか、俺に回ってくるとはねえ……。もしかしたら、それなりの理由があるってことかあ。
先ほど軽く入れた内容を見逃していたのかもしれない。アチラはスマートフォンを操作して再度情報を頭に入れ直す。大体の情報を叩き込み納得してからようやく彼女に背後から声をかけて。
「ごめん、ごめん、待たせたね」
「だ、誰っ……!?」
アチラの声に驚いたらしく、勢いよく振り返る少女はどこか怯えたように見えて。
アチラはそれに優しく笑いかけてやる。警戒している少女の目を受け止めつつ、お決まりの挨拶を口にする。
「こちらは死神のアチラです。あちらに行くのにあなたが相応しいか、判断しにコチラに伺いました」
少女は目を点にし、「は?」と問い返してくる。その声はどこか冷めていて、怪しげな者を見るような目を向けてきた。
アチラはやれやれと首を振る。
確実に思春期です、って言われるような顔してるねえ……。
そうは思いつつ、それには触れずにアチラは口を開く。
「君はもしかしたら記憶にないのかもしれない。けど、君は命を失ってここにいる。君が次の人生を歩めるかどうかを判断するために、俺は君の元に来たんだよ」
「え……」
少女は言葉を零す。その目には絶望が映っていて。アチラがさらに何かを言うよりも早くに、少女は問いかける。
「わ、私っ……、し、死んじゃったの……?」
震える声で問いかけてくる少女を見ながら、アチラは一つ頷く。
「端的に言えばそうだねえ。……まあ、とりあえずこうしていても仕方がないし、君も整理する時間が必要でしょ。話をしようよ」
アチラは指をパチンと鳴らし、椅子を二つ取り出す。一つは豪奢なアチラ専用の椅子、もう一つは学校にありそうな木の椅子である。
少女はアチラの言葉に、恐る恐る頷く。
何か言いたげな視線に、アチラは気がつきながらも何も言わなかったのであった。
Ⅱ
少女の名は、小紫仁織と言った。中学二年生だったらしい。
アチラと向かい合って座っている少女は何故か異様に縮こまっている。緊張しているのか、それとも何か隠したい理由でもあるのか、妙に落ち着きがなかった。
いずれにせよ――。
こっちは、事情を知っているんだよねえ、どんなに隠そうとしても、さ。
アチラはスマートフォンを操作しつつ、まずはとばかりに転生の条件やこちらのルールを簡単に説明した。少女の反応を見るに、転生に少しばかり期待しているようだが、何やら引っかかっている様子。
アチラはそれを見て、次の話へと話題を振ることにした。
「えっとー……、君は事故でってことのようだね。転生の話は先ほどした通りだ、君の前世の行いによって決まる。それで、さっきから俺は気になっていたんだけど……、君の様子を見るに何か気になることでもありそうだねえ?」
アチラがチラリと視線を送れば、少女はビクリと大袈裟に身体を震わせる。図星なのだろう、だがそれを隠そうとしているのか平静を装って答える。
「な、何でもないです……」
だが、その声は妙に小さくて。
アチラは「あっそ」と肩を竦めた。
少女はそれにホッとしたように胸を撫で下ろす。
だが、次のアチラの言葉にすぐに顔を曇らせることとなる。
「俺は気になっているんだけどねえ。例えば……、SNSのこと、とか」
アチラは蒼い目を細める。
少女は捉えられ、アチラの視線に耐えられずに目を逸らした。思い当たる節があるのだろう、顔色が良くない。
アチラはそれを見ながら、さらに続ける。
「君の前世の行いは、すべてここに記されている。ウチの情報屋は優秀でねえ、隅から隅まで調べ尽くしてくれるんだ、関係のあることはすべて」
「……」
少女は黙り込んだ。顔を俯かせて身動きすらしない。もしかしたら、絶望しているのかもしれない。
あるいは、頭を必死に働かせて言い訳を考えているのかもしれない。
だが、アチラからすれば、どちらでも変わらないこと。
アチラは肩を竦める。
「……とは言っても、実は俺はSNSには詳しくない。使い方もよく知らないし、俺は使ったことがないからねえ。まあ、何が悪くて、何が良いのかぐらいは知ってるけどさ」
――アチラが話した内容は、事実である。
SNSはアチラたちが担当する転生者の九割近くが使用している。現代なら、ほぼ一〇割近いのだろうとアチラは思っていた。それも、若い世代なら尚更なのだろうと考えていた。
だが、アチラはそれがどういうものなのか、表面所は情報として知っていても、実際に使ったことはないから、はっきり言ってにわかもいいところである。
……情報としては知っていても、俺の認識としては薄い。表面を知っているだけのようなもの。だけど、彼女が手を出してはいけないことに手を出してしまったことだけは、俺ですら理解している。
アチラのスマートフォンには、文章がこれでもかと言わんばかりにぎっしり並べられていて。すべて情報屋もとい情報管理部が記してくれたものであった。
その文章の中に、「無断転載」という言葉が記されている。
――無断転載。
他人の著作物を著作者の許可なく利用すること。よくあるケースは、イラストを著作者本人の許可なく、自身のアカウントに掲載しているというものである。最近は、「無断転載禁止」の言葉が記されていても、そんな事例が起こっている。
アチラも耳にしたことはある。とは言っても詳しくはない。情報として仕入れただけだ。実際に見たこともないし、SNS自体触ったことがない。
「……こういうのってさ、君たちからしたら悪いこと? それとも、良いこと?」
アチラは少女に向かって問いかけた。わざとである。
単純に考えてみれば、著作者本人ではない者が、著作者本人の許可も得ずに自身のアカウントに掲載していれば、他人の評価を自身のものにしているということ。乗っ取られたと言われてもおかしくないだろう。何せ、本来得られる評価を横取りされているのだから。また、他人から騙していると言われても仕方のない行動だとアチラは思う。
まあ、掲載しているのを見かけたフォロワーが、著作者本人に教えている、なんて話を聞いたこともあるけどねえ。優しい人ばかりじゃないのも、事実。
アチラは聞いた話を思い出す。
聞いたもとい収集した情報では、著作者本人が止めて欲しいと懇願しても、それを止めようとしなかったり、悪気がないと言わんばかりに他の著作者の物まで載せていることもあるという。時にはアカウントを削除している場合もあるようだが……。
一応、SNSには「通報」なんて制度もあるようだけど、どこまで影響があるのか……。
アチラはふとそう考え、すぐに考えを打ち消した。今はそれを考えている場合じゃないからである。
さて、彼女の場合はどうなのか……。
アチラは蒼い瞳を細める。鋭くなる視線を少女に向け、彼女の言葉をただ待つのであった。
Ⅲ
アチラの言葉から、仁織はしばらく黙り込んでいた。顔を俯かせてじっとしていたが、何を思ったのか急に顔を上げて腕を組み、フンとそっぽを向く。
アチラは思わず目を瞬いた。急な豹変ぶりに、予想外だったのである。
アチラが呆然としていれば、彼女は先ほどの震えた様子はどこに行ったのやら、強めの口調で答える。
「別にー、私がその人の作品を有名にしているだけだし! 何も悪いことしてないじゃん!」
アチラはその言葉に目を鋭くさせた。蒼い瞳に、怒りの炎が過ぎる。
「……だけど、それは君のアカウントなんだろう。なら、それは著作者本人の評価ではなく、君の評価となってしまう。それは悪くないことなのか」
アチラが強めに言葉を紡いでも、少女は悪びれる様子もなく。
「勝手に載せるのが悪いって言うけど、保存できるんだから――」
「――著作権、って知ってるよねえ?」
アチラは少女の言葉を遮って伝える。蒼い瞳は鋭くて、まるで刀のように光を放っていた。
少女はビクリと身体を震わせ、口を噤む。アチラのあまりの怖さに、鋭すぎる気配に、それ以上の言葉を紡ぐことができなかったようであった。
アチラはそんなことお構い無しに続けた。
「君ぐらいの歳なら、そういうことを習っていてもおかしくはない。知らない、と言わないところを見る限り、理解はしているはずだ」
「……」
「……俺はさ、よく分からなんだよねえ」
アチラは唐突にそう告げた。
目の前の彼女は、なんのことだか理解できないとばかりに首を傾げている。だが、急かす様子はないらしい。
アチラは肘掛けに右肘を置くと、そこに頭を預ける。それから、視線を冷たく少女に向けて続けた。
「……SNSの機能にはさ、『いいね』と呼ばれるものがあるんでしょ? それが欲しいばかりに危険な目に遭ったり、人に迷惑をかけたりまでして投稿する意味が、さ。承認欲求の話だけで済むとは思えない。……君のそれすらも、そうじゃないの?」
アチラは目を細める。
――SNSが悪い、とは一概には言えない。
それは以前、地獄の王や天使長にも話したことが該当してくる。一言で善し悪しを計れるものは、現在少ないのだ。
良いこともあるし、悪いこともある。
メリットがあって、デメリットがある。
ネット上での友人ができることは良いことだし、繋がりが増えることだって喜ばしいことだろう。
だが、一歩使い方を間違えれば、道具は危険なものとなる。良いものだったはずが、悪いものへと姿を変えてしまうのだ。
SNSで言うのなら、「闇バイト」と呼ばれるものや、詐欺などが該当してくるのだろう。いじめも、誹謗中傷も行われているのが現状だ。
つまり、使い方を間違えれば、凶器となるのである。
アチラは目線で少女を捉える。
「……俺には理解できねえけど、それが必要な人は世の中に多いんだろうねえ。だけど、それは自分が作ったものや描いたものの場合の話だ。自分のしていないことを自分がしたように見せて、人の栄光を奪って良いってわけじゃねえだろ」
アチラの声は氷のように冷たく、刃物のように鋭い。少女へ向ける視線も、まさにそれである。
少女はゴクリと息を呑んだ。
アチラはやれやれと首を振る。
なるほど、だから俺の元に来たってわけだ……。
反省の色がまったく見えない。
自分がしてきたことが正しいと、何も間違っていないと、信じている様子である。
確かに、SNSは画像を保存することもできる。だが、それには「無断転載禁止」の名目が記載されているのもあるし、明確なルールもあるはずだ。保存した画像をどこで使って良いのか、暗黙のルールとなりつつあるルールがきちんと存在している。
それが、彼女からは抜けているのだろう……。教えて貰えなかったにせよ、調べることぐらいはできたはず。それをしなかったのは、彼女自身。
アチラは椅子からゆっくりと立ち上がる。そして、椅子に預けていた大鎌を手にした。
少女が、小さく悲鳴を上げる。
「……ひっ!」
「……どうしても評価や反応が欲しかったなら、自分の力で、自分の投稿で認めて貰うべきだ。人のものを利用することなく。それが分からなかったから、てめえはここにいる」
――そう、第五階層を任せられている、アチラの元に。
アチラはさらに続けた。
「最初は何でかなあと不思議だった。だけど、てめえと話をしてようやく理解できたよ。……てめえには、行かなければいけない場所がある」
アチラは手にした大鎌を構え、鋭く閃かせたのであった――。
Ⅳ
少女を「奈落」に行かせ、情報屋もとい情報管理部にメールを送ると、アチラは自身の椅子にドカリと腰掛けた。そう疲れたわけではないのに、力が抜けていく。深く深くため息をつき、何もない天井を見上げた。
「……困ったご時世だねえ。まさか、あんな少女までもが俺の元に来るようになったとは」
自分は間違っていない、そのスタンスがアチラの元へと行かされたのだろう。まあ、それだけではなく「無断転載」のこともあったからだからだと思うが。それに、SNSに関してはもっと酷いものもある。
アチラからすれば、今回の件はそう大したことはない。アチラが普段相手にしているのは、誹謗中傷などの心にくるものだからだ。だが、今回の件でも、実際に苦しんでいる者が存在している。
「……必死に努力して描いたものが、知らない奴に使われているなんて、許せないよねえ」
アチラが思い浮かべるのは、著作者のことで。
きっと絵を描くのに、必死に努力して、必死に時間をかけて、必死に納得のいくものを描いたに違いない。
だが、それが気に入られたからと言って、別のものに勝手に使われて、勝手に掲載されて、勝手に栄光を取られてしまっては、たまったものじゃないだろう。
……俺たちができるのは、その行動を見た瞬間に止めることじゃない。行ってきた行動を悔い改めさせること。そして、転生に繋げること。著作者には申し訳ないけど、それ以上のことはできない。
アチラはやれやれと首を振る。
「使い方を間違えなければ、もっと良いものとなるだろうに」
最近聞いた話では、何でも動画として撮られ、証拠として写真に残され、それが投稿される。そして、炎上する事態にもなるらしい。
確かに、動画も写真も証拠にはなるけど、ねえ……。
アチラは右腕を自身の目元に置き、独り言を告げる。
「……まあ、俺の知ったことではないけど。審判する者としては、あまり嫌な使い方はしないで欲しいところかなあ」
アチラは椅子にしばらく力無く沈み込み、休憩が取れたら立ち上がった。自分と先ほどまで使っていたもう一つの椅子を立ち上がると、大鎌を担ぎ上げて歩き始める。
まだ、仕事は終わっていない。
まだ、次の転生者が第二の人生を待っている。
まだ、何も終わっていない――。
アチラは気持ちを切り替える。
次の転生者と、しっかり向き合わなければいけないのだから――。
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