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第三章 「俺たちの仕事って、それが誇りでしょ」
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Ⅰ
あれから、数日後――。
アチラは建物内の長い長い廊下を歩いていた。大理石でできている建物内は、歩けばよく靴音が響いた。その中を、大鎌を担いだ状態でアチラは我が物顔で歩いているのであった。
――アチラが歩いている建物は、現代と黄泉の国の狭間にある、「転生局」と呼ばれる物であった。
現代にある、市役所や町役場のようなものと考えて貰えれば良い。
その建物の中に、通称「通るべき者」と呼ばれている、転生者との話し合いの場に使われる部屋が用意されているのであった。
アチラは迷うことなく廊下を歩いていき、ある部屋の前で立ち止まった。その部屋の扉の上には、こう記載されていた。
――転生局局長室。
アチラは本日、自身の上司に呼ばれてここまで来たのである。
まだ、この後も仕事は山積みであった。今日は忙しいらしく、みっちり仕事が入っている。転生者の面接から、書類仕事からとありとあらゆる仕事をこれでもかと詰め込まれているのだ。
だが、自身の上司に呼ばれたとあっては無視するわけにもいかず。一旦仕事に区切りがついたところで、一度赴くことにしたのである。
アチラは扉をノックして、返事を待つことなく勢いよく扉を開けた。
「こちらは死神のアチラです。呼び出しを受けて参上――うわっ、と!」
「返事を待てといつも言っているだろう、馬鹿者!」
アチラが扉に顔を覗かせた瞬間、アチラの目前には鋭い銀色が迫っていた。間一髪で避けたアチラの口からは、思わず驚きの声が飛び出る。だが、それを掻き消すかのように、部屋の奥からは怒号が飛んできた。
アチラは顔を青ざめさせつつ、空いている右手を自身の胸の位置にかざした。
よ、良かったー、心臓は動いている……。心拍数は異常値だけど……。
自身に当たってはいないものの、やはり自分が無事であるかは確認したくて。アチラは自分の心臓が動いていることを確認してほっとすると、部屋の向かいにある壁へと歩み寄った。
扉の向かいの壁には、先ほどアチラを狙っていた武器が刺さっていた。鋭くキラリと輝きを放っているのは、小刀で。しかも、よく手入れされているそれは、上司の愛用の武器であった。
アチラはそれを回収するために小刀に手を伸ばす。慣れた手つきで壁から引き抜き、手元で弄んだ。
――小刀を投げられた回数は、すでに一〇万回を超えているだろう。
なおも記録は更新中である。
部屋に再度足を踏み入れたアチラを見て、上司は一つ息をつきつつ、自身の席に座り直した。
「まったく、貴様の態度が改善される兆しはないのか」
「ないでしょ。だって、俺は俺だし」
アチラは気にすることなく、バッサリと切り捨てた。その返答に、上司は眉間を指で揉む。顔を上げれば、自然と長く綺麗に手入れをしてある金髪が、輝きを強調して揺れた。
アチラはそれを眺めつつ、小刀を投げて寄越す。上司はそれを難なく指で挟んで受け止めた。ひとかすりもせず、指を傷つけることもなく主人の手に戻ったそれを、自身の机の引き出しに収める。なんでも、そこにはアチラ対策にと用意された武器がたくさん仕込まれている、とか何とか……。
「というかさー、相手が俺じゃなかったらどうすんの? 完全に相手が怪我してるんじゃない?」
「ノック後に返答も聞かずに入ってくるのは貴様ぐらいだ。間違えるはずもない」
「何その絶対的な自信」
アチラは部屋の中に入って扉を閉める。それから、扉の目の前で上司に向けて優雅に一礼してみせた。
「お久しぶりです。先日の電話以来ですね――、レイ局長」
アチラがニヤリと笑って見せれば、上司――レイはフンとそっぽを向くのであった。
Ⅱ
――転生局局長、レイ。
彼女は、アチラたち転生者の審判をする者たちの直属の上司であった。
アチラたち同様、名前の表記はカタカナであるものの、本来の表記は「礼」だと聞いたことがあった。
アチラたちの世界では、基本的に名前はカタカナ表記であった。
転生者と区別するために漢字表記はせず、しかも苗字や名前の区別はしないというルールになっている。まあ、基本的には仕事場で呼び合うだけなので、名前の代わりになるものであればなんでも良い、というのが転生局全体の見解であった。
アチラは自身の上司と机を挟んで向かい合う。アチラが立ったまま向かい合っているので、自然と上司であるレイを見下ろす形となっていた。
レイは盛大にため息をつきつつ、口を開く。
「久しぶり、というほどでもないだろう。お前を呼び出した回数は、ほかの者より圧倒的に多いのだからな」
「あらまー。俺のせいです? 俺のせいだけじゃない気がするなー」
「貴様以外にいないだろうが、馬鹿者」
おっと、お怒りだ。
アチラはレイの言葉を聞いて口を閉ざすことにした。
レイは基本的に淡々と話す者であるため、怒っているのかいないのか、機嫌が良いのか悪いのか、分かりにくかったり、感情が伝わりづらかったりする。だが、付き合いが長くなってくると、ほんの些細なことではあるが、怒っているかどうかを判断できる唯一の指標があった。
――それが、相手の呼び方である。
レイが相手を「お前」と呼べば通常運転、つまり怒りも何もないということになる。だが、相手を「貴様」と呼べば苛立っている、もしくは怒り心頭である場合ということになるのだ。
アチラは今彼女と話していて、すぐに「貴様」呼びになったことを聞き逃さなかった。つまり、今はすこぶる機嫌が悪いということになる。
これは、何かほかにも嫌なことがあった、ということかなー……?
アチラは余計なことを言うべきではないと判断した。触らぬ神に祟りなし、とはまさにこのことである。
――アチラは締まらない青年ではあるが、意外と馬鹿ではないのである。
小さく横に首を振ってから、アチラはレイに向き直ることにした。
「……で、今日はどういったご用件で?」
アチラが尋ねてみれば、レイは静かに机の上で手を組んだ。厳しく目が細められるものの、困り果てたといった雰囲気を醸し出している。
アチラは思わず目を瞬いた。珍しいな、そう思いつつも、先を促すようなことはしない。藪をつついて蛇を出すようなことはしないのである。
しばしの沈黙後、レイはようやく口を開いた。
「どうもこうもあるか。お前が好き放題やるから、私の元には苦情ばかりが集まるのだ」
「心外だなー。仕事を真面目にやっているだけなのに」
「真面目に仕事をやっている奴の元に、苦情が集まるわけないだろうが」
レイが睨みを効かせる中、アチラはやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。
上司であるレイとは、仲が悪いわけではなかった。むしろ、馬が合うとも言えるぐらいだろう。なんだかんだと二人の付き合いは長い。今さらお互いのことで問題になる箇所なんてなく、何かあったとしても「あー、またか」と納得するレベルにまで到達しているほどであった。
だが、アチラの思惑とは裏腹に、レイは頭を抱える。
「……お前が相手をしている転生者たちが、一筋縄ではいかない奴ばかりだということは、私も重々承知している。それに関しては、私も申し訳ないと思っている次第だ」
「あれ、殊勝な態度ですね、意外だ」
アチラはわざと茶化してみた。だが、レイはそれをバッサリと切り捨てる。
「茶化すな、黙って聞け。……だが、お前はどうにもやり過ぎるんだ。先日の少女相手にしてもだな――」
「いや、あれは俺のせいじゃないでしょ。だいぶ大変だと思うよー、誰が相手をしたとしても、ね」
アチラはレイの言葉を遮りつつ、自身の考えを述べる。
アチラは先日の少女のことを思い浮かべた。
自らが向き合った転生者で、「悪役令嬢」と呼んでいた少女。親に似たのか、生きてきた環境のせいなのか。なかなかに問題児、現代の言葉で表すなら「ヤバい」と一言で言えてしまうほどの者であった。二度と相手にはしたくない者である。
アチラは自分で思い出して気分が悪くなった。苦虫を噛み潰したような表情をするアチラを他所に、レイは頭を抱えて深くため息をつく。
「分かっている、分かってはいるんだが……、何も恐怖を植え付けるほどにまで追い込むことはないだろう! 貴様、本当に何をしたんだ!」
「お、そこまでいった? マジで? それは俺も見たかったなー」
怒りを露わにする上司の言葉に対して、アチラは目を輝かせた。面白そうなおもちゃを見つけた子どものように蒼い瞳をキラキラと輝かせている。
その姿を見て、レイは完全に引いていた。「こいつ、マジか」とでも言いたそうな、死んだ魚のような目をしている。おそらく、自身の部下がこんな問題児であったかどうかと自問自答しているところであろう。
だが、アチラはそんなことを気にもとめずに、うんうんと満足そうに頷く。
「いやいや、俺の仕事は流石だね。それにしても、どうなったのかは興味があるなー。ね、ちょっと様子見に行ってきて良い?」
「良いわけあるか、馬鹿者!」
レイは強く言い返すと同時に、アチラの頭にかかと落としを食らわす。そして、そのままアチラの頭を踏みつけた。アチラの口からは痛みを訴える長い悲鳴が部屋中に響き渡っている。
それを気にすることなく、扉からノックする音が聞こえてきた。
レイはその状態のまま、部屋に入ることを了承した。それに次いで、扉が開く音がして、さらに第三者の声がアチラの耳に届く。
「――失礼します」
アチラは机に顔面をめり込ませたまま、はたと気がつく。
その声には聞き覚えがあった。
Ⅲ
「あ、の……、どういった状況ですか?」
困惑に動揺も滲ませた声で、入ってきた人物が問いかける。
「制裁だ、気にするな」
「それは、無理だと思います……」
第三者の問いかけに淡々と答えるレイ。アチラを踏みつけている足の力を、ギリギリと強くした。アチラの口からは自然と悲鳴が出てくる。
第三者はしばらく乾いた笑いでやり過ごしていたが、やがて見かねたのかレイに声をかけた。
「で、できれば、その辺で……!」
「……まったく」
レイがようやく足をどかした。小さく聞こえたのは、確実に舌打ちであった。
だが、アチラはそれどころではなかった。すぐに机から顔を引き剥がし、顔全体を撫で回す。とりあえず、顔のパーツすべてがあることを確認でき、アチラはほっとした。同時に力が抜け、ズルズルと落ちた後に床にぺたりと倒れ込んでしまう。
すると、足音が聞こえてすぐに第三者の声がかけられた。
「大丈夫か?」
アチラが顔を上げれば、彼は手を伸ばしてくれていた。
やっぱり……。
アチラはそう思いつつ、彼の手に向けて手を伸ばす。
「助かったよ、『勇者』」
「勇者」と呼ばれた青年は苦笑して見せた。
――アチラの目の前にいたのは、彼の同僚であると同時に聖剣使い、通称「勇者」の名で知れ渡っている者。
彼の名は、ユウと言った。
呼ばれた「勇者」――ユウは苦笑しつつ、手を伸ばしたまま佇む。
「そんな堅苦しく呼ばないでくれ。俺とアチラの仲だろう」
「それもそうだ。サンキュ、ユウ」
アチラはユウの手を掴むと、彼に手を引いてもらって立ち上がる。
ユウは体幹を鍛えているのか、難なくアチラを立たせると、そのままレイに向き直った。
「お久しぶりです、局長。お元気そうで何より」
「ああ。……お前たちに集まってもらったのは、理由があってな」
レイが頷くのを見つつ、アチラはあれと疑問に思った。
俺が来たのはたまたまこのタイミングだったのに……。
そう、アチラがここに来たタイミングは、仕事に区切りがついたからで。何時に集合、なんて言われたわけではなかった。
アチラはその疑問を解消するべく、先に口を開く。
「ストップ。……ユウ、お前はここにこの時間に来るようにって言われていたのか?」
急な問いかけに、ユウは戸惑いつつも頷いて見せた。
「まあ……。少し早いぐらいだったが……」
「時間を言ったところで、アチラ、お前は言うことを聞かないだろう。どうせ、仕事に区切りがついたところで来るだろうと思ったからな、お前が来た瞬間に連絡しておいたんだ」
ユウが答えた後に、レイが間髪入れずに答えた。アチラはそれを聞いて目を瞬く。
いつの間に……。
アチラは驚いた。レイが連絡した瞬間を見ていなかったのである。
それと同時に――。
まさか、俺の行動がそこまで読まれているとは……。長い付き合いっていうのは恐ろしいねえ……。
アチラが恐れを成している中、さらにレイは続けた。
「ちなみに、お前に小刀を投げた後に連絡した。お前が知らないのも無理はないだろう」
「……恐れ入りました」
アチラは降参の意を示すために、両手を上げた。
だが、そんな話にはすでにキリをつけ、本題である話は進もうとしている。アチラが視線をユウに向ければ、彼もこちらを見ていて。一度顔を見合せてから、レイに向き直って話を聞くことにした。
レイは気を取り直して口を開く。
「……最近の転生者は、野蛮な者も多い。それは、現代で日々更新されているニュースの内容からも見て取れるだろう。情報管理部からも、傾向の変化が見て取れると、情報が回ってきた。……今後も、対応する転生者が厄介になってくることだろう。特に、お前たち二人に負担がかかってくることが目に見えている」
レイがそう言い切ったのを合図に、アチラとユウは目配せをした。
――アチラたち審判者の実力は、五人とも基本的に同等であった。
飛び抜けている者がいるわけではない。だが、担当は細かく分けており、しかも転生者の危険度に伴い、階層分けがされていた。
その中でも、通称「勇者」であるユウと、通称「死神」であるアチラは危険度が高い階層を担当している。特に、アチラは最後の砦となっており、もっとも危険視されているとされる転生者を相手にするわけであった。
つまり、伊達に「勇者」と「死神」の名を賜っていないというわけである。
悪を斬り捨てる、聖剣使い、通称「勇者」。
絶対的な立ち位置で生死を決める、大鎌使い、通称「死神」。
彼ら以上の審判者は、他にはいないのである――。
レイが二人の様子を見つめている。心配しているのであろう、口は悪くとも彼らの上司だ。負担が大きいのであれば、それ相応の対処を考えていることだろう。
だが、アチラはやれやれと肩を落とすだけであった。
「相変わらず、考えすぎだよね、局長」
「何……」
局長は眉間に皺を寄せる。怪訝そうな顔をする上司を見ても、アチラは淡々と答えるだけであった。
「俺たちの仕事って、それが誇りでしょ。特に、『死神』である俺と、『勇者』であるユウは。俺たちはもとより覚悟ができている。いつでもどんな奴でも回してよ」
「アチラの言う通りです。俺たちは俺たちの仕事をするだけです。負担なんて、気にしないでください」
二人はハッキリと断言した。
ニッと自信満々に笑っている二人を見て、局長であるレイは目を見開く。やがて、軽く息をつくと、肩の力を抜いてから苦笑して見せた。
「……そう、だな。私は考えすぎたのかもしれない。……お前たちに、任せる」
局長の言葉に、アチラもユウも深く、力強く頷くのであった。
Ⅳ
「それにしても、現代って怖いよねえ。俺、驚いたもん」
アチラが思い出したかのように告れば、レイはそれに頷いてから返答する。
「……世界がいつまでも同じように進むことはない。だが、今は何かしら壊れているのかもしれないな」
「確かに、聖剣を振るう回数も、以前より格段に増えた気がします。アチラもかい?」
「激しく同意ー。一日に何回振るっているかなんて、数えたくもないよねえ」
三人は三者三様に思い出しつつ答える。情報共有も兼ねて交わされる言葉に、レイは眉間に皺を深く刻んでいた。現場にいない自分には知り得なかった情報もたくさんある。こういう時は、部下頼りになってしまうことが情けなく感じた。
レイはその様子を表に出すことなく、二人へと声をかける。
「何かまた傾向が掴めたら共有しよう。情報管理部にも伝えておく。その間は任せるぞ」
「はーい」
「はい、分かっております」
アチラとユウは二人一緒に、局長室を退室した。
その頼もしい背中に、レイは再度祈るように声をかけるのであった。
「本当に、頼んだぞ、二人とも……!」
あれから、数日後――。
アチラは建物内の長い長い廊下を歩いていた。大理石でできている建物内は、歩けばよく靴音が響いた。その中を、大鎌を担いだ状態でアチラは我が物顔で歩いているのであった。
――アチラが歩いている建物は、現代と黄泉の国の狭間にある、「転生局」と呼ばれる物であった。
現代にある、市役所や町役場のようなものと考えて貰えれば良い。
その建物の中に、通称「通るべき者」と呼ばれている、転生者との話し合いの場に使われる部屋が用意されているのであった。
アチラは迷うことなく廊下を歩いていき、ある部屋の前で立ち止まった。その部屋の扉の上には、こう記載されていた。
――転生局局長室。
アチラは本日、自身の上司に呼ばれてここまで来たのである。
まだ、この後も仕事は山積みであった。今日は忙しいらしく、みっちり仕事が入っている。転生者の面接から、書類仕事からとありとあらゆる仕事をこれでもかと詰め込まれているのだ。
だが、自身の上司に呼ばれたとあっては無視するわけにもいかず。一旦仕事に区切りがついたところで、一度赴くことにしたのである。
アチラは扉をノックして、返事を待つことなく勢いよく扉を開けた。
「こちらは死神のアチラです。呼び出しを受けて参上――うわっ、と!」
「返事を待てといつも言っているだろう、馬鹿者!」
アチラが扉に顔を覗かせた瞬間、アチラの目前には鋭い銀色が迫っていた。間一髪で避けたアチラの口からは、思わず驚きの声が飛び出る。だが、それを掻き消すかのように、部屋の奥からは怒号が飛んできた。
アチラは顔を青ざめさせつつ、空いている右手を自身の胸の位置にかざした。
よ、良かったー、心臓は動いている……。心拍数は異常値だけど……。
自身に当たってはいないものの、やはり自分が無事であるかは確認したくて。アチラは自分の心臓が動いていることを確認してほっとすると、部屋の向かいにある壁へと歩み寄った。
扉の向かいの壁には、先ほどアチラを狙っていた武器が刺さっていた。鋭くキラリと輝きを放っているのは、小刀で。しかも、よく手入れされているそれは、上司の愛用の武器であった。
アチラはそれを回収するために小刀に手を伸ばす。慣れた手つきで壁から引き抜き、手元で弄んだ。
――小刀を投げられた回数は、すでに一〇万回を超えているだろう。
なおも記録は更新中である。
部屋に再度足を踏み入れたアチラを見て、上司は一つ息をつきつつ、自身の席に座り直した。
「まったく、貴様の態度が改善される兆しはないのか」
「ないでしょ。だって、俺は俺だし」
アチラは気にすることなく、バッサリと切り捨てた。その返答に、上司は眉間を指で揉む。顔を上げれば、自然と長く綺麗に手入れをしてある金髪が、輝きを強調して揺れた。
アチラはそれを眺めつつ、小刀を投げて寄越す。上司はそれを難なく指で挟んで受け止めた。ひとかすりもせず、指を傷つけることもなく主人の手に戻ったそれを、自身の机の引き出しに収める。なんでも、そこにはアチラ対策にと用意された武器がたくさん仕込まれている、とか何とか……。
「というかさー、相手が俺じゃなかったらどうすんの? 完全に相手が怪我してるんじゃない?」
「ノック後に返答も聞かずに入ってくるのは貴様ぐらいだ。間違えるはずもない」
「何その絶対的な自信」
アチラは部屋の中に入って扉を閉める。それから、扉の目の前で上司に向けて優雅に一礼してみせた。
「お久しぶりです。先日の電話以来ですね――、レイ局長」
アチラがニヤリと笑って見せれば、上司――レイはフンとそっぽを向くのであった。
Ⅱ
――転生局局長、レイ。
彼女は、アチラたち転生者の審判をする者たちの直属の上司であった。
アチラたち同様、名前の表記はカタカナであるものの、本来の表記は「礼」だと聞いたことがあった。
アチラたちの世界では、基本的に名前はカタカナ表記であった。
転生者と区別するために漢字表記はせず、しかも苗字や名前の区別はしないというルールになっている。まあ、基本的には仕事場で呼び合うだけなので、名前の代わりになるものであればなんでも良い、というのが転生局全体の見解であった。
アチラは自身の上司と机を挟んで向かい合う。アチラが立ったまま向かい合っているので、自然と上司であるレイを見下ろす形となっていた。
レイは盛大にため息をつきつつ、口を開く。
「久しぶり、というほどでもないだろう。お前を呼び出した回数は、ほかの者より圧倒的に多いのだからな」
「あらまー。俺のせいです? 俺のせいだけじゃない気がするなー」
「貴様以外にいないだろうが、馬鹿者」
おっと、お怒りだ。
アチラはレイの言葉を聞いて口を閉ざすことにした。
レイは基本的に淡々と話す者であるため、怒っているのかいないのか、機嫌が良いのか悪いのか、分かりにくかったり、感情が伝わりづらかったりする。だが、付き合いが長くなってくると、ほんの些細なことではあるが、怒っているかどうかを判断できる唯一の指標があった。
――それが、相手の呼び方である。
レイが相手を「お前」と呼べば通常運転、つまり怒りも何もないということになる。だが、相手を「貴様」と呼べば苛立っている、もしくは怒り心頭である場合ということになるのだ。
アチラは今彼女と話していて、すぐに「貴様」呼びになったことを聞き逃さなかった。つまり、今はすこぶる機嫌が悪いということになる。
これは、何かほかにも嫌なことがあった、ということかなー……?
アチラは余計なことを言うべきではないと判断した。触らぬ神に祟りなし、とはまさにこのことである。
――アチラは締まらない青年ではあるが、意外と馬鹿ではないのである。
小さく横に首を振ってから、アチラはレイに向き直ることにした。
「……で、今日はどういったご用件で?」
アチラが尋ねてみれば、レイは静かに机の上で手を組んだ。厳しく目が細められるものの、困り果てたといった雰囲気を醸し出している。
アチラは思わず目を瞬いた。珍しいな、そう思いつつも、先を促すようなことはしない。藪をつついて蛇を出すようなことはしないのである。
しばしの沈黙後、レイはようやく口を開いた。
「どうもこうもあるか。お前が好き放題やるから、私の元には苦情ばかりが集まるのだ」
「心外だなー。仕事を真面目にやっているだけなのに」
「真面目に仕事をやっている奴の元に、苦情が集まるわけないだろうが」
レイが睨みを効かせる中、アチラはやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。
上司であるレイとは、仲が悪いわけではなかった。むしろ、馬が合うとも言えるぐらいだろう。なんだかんだと二人の付き合いは長い。今さらお互いのことで問題になる箇所なんてなく、何かあったとしても「あー、またか」と納得するレベルにまで到達しているほどであった。
だが、アチラの思惑とは裏腹に、レイは頭を抱える。
「……お前が相手をしている転生者たちが、一筋縄ではいかない奴ばかりだということは、私も重々承知している。それに関しては、私も申し訳ないと思っている次第だ」
「あれ、殊勝な態度ですね、意外だ」
アチラはわざと茶化してみた。だが、レイはそれをバッサリと切り捨てる。
「茶化すな、黙って聞け。……だが、お前はどうにもやり過ぎるんだ。先日の少女相手にしてもだな――」
「いや、あれは俺のせいじゃないでしょ。だいぶ大変だと思うよー、誰が相手をしたとしても、ね」
アチラはレイの言葉を遮りつつ、自身の考えを述べる。
アチラは先日の少女のことを思い浮かべた。
自らが向き合った転生者で、「悪役令嬢」と呼んでいた少女。親に似たのか、生きてきた環境のせいなのか。なかなかに問題児、現代の言葉で表すなら「ヤバい」と一言で言えてしまうほどの者であった。二度と相手にはしたくない者である。
アチラは自分で思い出して気分が悪くなった。苦虫を噛み潰したような表情をするアチラを他所に、レイは頭を抱えて深くため息をつく。
「分かっている、分かってはいるんだが……、何も恐怖を植え付けるほどにまで追い込むことはないだろう! 貴様、本当に何をしたんだ!」
「お、そこまでいった? マジで? それは俺も見たかったなー」
怒りを露わにする上司の言葉に対して、アチラは目を輝かせた。面白そうなおもちゃを見つけた子どものように蒼い瞳をキラキラと輝かせている。
その姿を見て、レイは完全に引いていた。「こいつ、マジか」とでも言いたそうな、死んだ魚のような目をしている。おそらく、自身の部下がこんな問題児であったかどうかと自問自答しているところであろう。
だが、アチラはそんなことを気にもとめずに、うんうんと満足そうに頷く。
「いやいや、俺の仕事は流石だね。それにしても、どうなったのかは興味があるなー。ね、ちょっと様子見に行ってきて良い?」
「良いわけあるか、馬鹿者!」
レイは強く言い返すと同時に、アチラの頭にかかと落としを食らわす。そして、そのままアチラの頭を踏みつけた。アチラの口からは痛みを訴える長い悲鳴が部屋中に響き渡っている。
それを気にすることなく、扉からノックする音が聞こえてきた。
レイはその状態のまま、部屋に入ることを了承した。それに次いで、扉が開く音がして、さらに第三者の声がアチラの耳に届く。
「――失礼します」
アチラは机に顔面をめり込ませたまま、はたと気がつく。
その声には聞き覚えがあった。
Ⅲ
「あ、の……、どういった状況ですか?」
困惑に動揺も滲ませた声で、入ってきた人物が問いかける。
「制裁だ、気にするな」
「それは、無理だと思います……」
第三者の問いかけに淡々と答えるレイ。アチラを踏みつけている足の力を、ギリギリと強くした。アチラの口からは自然と悲鳴が出てくる。
第三者はしばらく乾いた笑いでやり過ごしていたが、やがて見かねたのかレイに声をかけた。
「で、できれば、その辺で……!」
「……まったく」
レイがようやく足をどかした。小さく聞こえたのは、確実に舌打ちであった。
だが、アチラはそれどころではなかった。すぐに机から顔を引き剥がし、顔全体を撫で回す。とりあえず、顔のパーツすべてがあることを確認でき、アチラはほっとした。同時に力が抜け、ズルズルと落ちた後に床にぺたりと倒れ込んでしまう。
すると、足音が聞こえてすぐに第三者の声がかけられた。
「大丈夫か?」
アチラが顔を上げれば、彼は手を伸ばしてくれていた。
やっぱり……。
アチラはそう思いつつ、彼の手に向けて手を伸ばす。
「助かったよ、『勇者』」
「勇者」と呼ばれた青年は苦笑して見せた。
――アチラの目の前にいたのは、彼の同僚であると同時に聖剣使い、通称「勇者」の名で知れ渡っている者。
彼の名は、ユウと言った。
呼ばれた「勇者」――ユウは苦笑しつつ、手を伸ばしたまま佇む。
「そんな堅苦しく呼ばないでくれ。俺とアチラの仲だろう」
「それもそうだ。サンキュ、ユウ」
アチラはユウの手を掴むと、彼に手を引いてもらって立ち上がる。
ユウは体幹を鍛えているのか、難なくアチラを立たせると、そのままレイに向き直った。
「お久しぶりです、局長。お元気そうで何より」
「ああ。……お前たちに集まってもらったのは、理由があってな」
レイが頷くのを見つつ、アチラはあれと疑問に思った。
俺が来たのはたまたまこのタイミングだったのに……。
そう、アチラがここに来たタイミングは、仕事に区切りがついたからで。何時に集合、なんて言われたわけではなかった。
アチラはその疑問を解消するべく、先に口を開く。
「ストップ。……ユウ、お前はここにこの時間に来るようにって言われていたのか?」
急な問いかけに、ユウは戸惑いつつも頷いて見せた。
「まあ……。少し早いぐらいだったが……」
「時間を言ったところで、アチラ、お前は言うことを聞かないだろう。どうせ、仕事に区切りがついたところで来るだろうと思ったからな、お前が来た瞬間に連絡しておいたんだ」
ユウが答えた後に、レイが間髪入れずに答えた。アチラはそれを聞いて目を瞬く。
いつの間に……。
アチラは驚いた。レイが連絡した瞬間を見ていなかったのである。
それと同時に――。
まさか、俺の行動がそこまで読まれているとは……。長い付き合いっていうのは恐ろしいねえ……。
アチラが恐れを成している中、さらにレイは続けた。
「ちなみに、お前に小刀を投げた後に連絡した。お前が知らないのも無理はないだろう」
「……恐れ入りました」
アチラは降参の意を示すために、両手を上げた。
だが、そんな話にはすでにキリをつけ、本題である話は進もうとしている。アチラが視線をユウに向ければ、彼もこちらを見ていて。一度顔を見合せてから、レイに向き直って話を聞くことにした。
レイは気を取り直して口を開く。
「……最近の転生者は、野蛮な者も多い。それは、現代で日々更新されているニュースの内容からも見て取れるだろう。情報管理部からも、傾向の変化が見て取れると、情報が回ってきた。……今後も、対応する転生者が厄介になってくることだろう。特に、お前たち二人に負担がかかってくることが目に見えている」
レイがそう言い切ったのを合図に、アチラとユウは目配せをした。
――アチラたち審判者の実力は、五人とも基本的に同等であった。
飛び抜けている者がいるわけではない。だが、担当は細かく分けており、しかも転生者の危険度に伴い、階層分けがされていた。
その中でも、通称「勇者」であるユウと、通称「死神」であるアチラは危険度が高い階層を担当している。特に、アチラは最後の砦となっており、もっとも危険視されているとされる転生者を相手にするわけであった。
つまり、伊達に「勇者」と「死神」の名を賜っていないというわけである。
悪を斬り捨てる、聖剣使い、通称「勇者」。
絶対的な立ち位置で生死を決める、大鎌使い、通称「死神」。
彼ら以上の審判者は、他にはいないのである――。
レイが二人の様子を見つめている。心配しているのであろう、口は悪くとも彼らの上司だ。負担が大きいのであれば、それ相応の対処を考えていることだろう。
だが、アチラはやれやれと肩を落とすだけであった。
「相変わらず、考えすぎだよね、局長」
「何……」
局長は眉間に皺を寄せる。怪訝そうな顔をする上司を見ても、アチラは淡々と答えるだけであった。
「俺たちの仕事って、それが誇りでしょ。特に、『死神』である俺と、『勇者』であるユウは。俺たちはもとより覚悟ができている。いつでもどんな奴でも回してよ」
「アチラの言う通りです。俺たちは俺たちの仕事をするだけです。負担なんて、気にしないでください」
二人はハッキリと断言した。
ニッと自信満々に笑っている二人を見て、局長であるレイは目を見開く。やがて、軽く息をつくと、肩の力を抜いてから苦笑して見せた。
「……そう、だな。私は考えすぎたのかもしれない。……お前たちに、任せる」
局長の言葉に、アチラもユウも深く、力強く頷くのであった。
Ⅳ
「それにしても、現代って怖いよねえ。俺、驚いたもん」
アチラが思い出したかのように告れば、レイはそれに頷いてから返答する。
「……世界がいつまでも同じように進むことはない。だが、今は何かしら壊れているのかもしれないな」
「確かに、聖剣を振るう回数も、以前より格段に増えた気がします。アチラもかい?」
「激しく同意ー。一日に何回振るっているかなんて、数えたくもないよねえ」
三人は三者三様に思い出しつつ答える。情報共有も兼ねて交わされる言葉に、レイは眉間に皺を深く刻んでいた。現場にいない自分には知り得なかった情報もたくさんある。こういう時は、部下頼りになってしまうことが情けなく感じた。
レイはその様子を表に出すことなく、二人へと声をかける。
「何かまた傾向が掴めたら共有しよう。情報管理部にも伝えておく。その間は任せるぞ」
「はーい」
「はい、分かっております」
アチラとユウは二人一緒に、局長室を退室した。
その頼もしい背中に、レイは再度祈るように声をかけるのであった。
「本当に、頼んだぞ、二人とも……!」
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