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第7章  獄窟

第21話  遠火

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 三人の宴はオリヴェルが浮かれてはしゃぎ。ノアがそれを煽りバリーにちょっかいをかける。

 バリーは終始しかめっ面だが何処か楽しそうな様子で夜遅くまで続けられた。




 ――――翌日。

 今日は皆とは別行動。ここは帝国との緩衝地帯。厳密には帝国領だが管理されていないのでグレーゾーン。尤もまばらに樹の生えた場所で近くにダンジョンがあるだけの場所だ。

(ノア。本気で駆けていい?)

(手心を加えてくれると助かるが。それとも別行動にするか?)

 騎獣代わりにトゥエアルの背を借りている。虎狼ころうでも大型の彼女は俺を乗せてもびくともしない。

 いずれはあの森に返して、聖獣として暮らしてもらいたいと思っている。

(ううん。一緒でいい。一緒がいいの)

 おっと。スピードが上がった。俺は慌ててしがみつく。

(やっほー)ワヲーン。

 風を追い抜き林の中を疾走する。今日の俺の目的は、この時期にしか咲かない花の採集だ。

 そして、釣り。渓流の魚を塩焼きで楽しむ予定なのだ。クランの皆にもお土産にできるといいな。

 林を抜けた先の急こう配の崖をトゥエアルは矢のように駆け上がった。

~~~

 薬華やくかの採集が終わり、釣りをしていたが、せっかちな俺は、埒が明かないので網を仕掛けて追い込み漁へと切り替えた。おかげで尺越えの魚が大量だ。

 アイテムボックスに放り込んで加工魔法で魚を処理。串打ちして焚火にかけた。遠火の強火ってね。美味しく焼くコツだ。

 トゥエアルの分は塩化粧しないで焼いてやらないと。……もうよだれ垂らしているから、先におやつ上げとくか。。。俺は牛骨を差し出した。

(これ好き~)ワフゥッ。

 それはなによりだよ。

 ツンツクとオナイギは、静かに枝に止まり、お互いを仲良く毛繕いしている。ツンツクは肉派、オナイギが魚派だ。まぁ。ツンツクも魚が嫌いってわけじゃないから、喜んで食べるけどさ。

 パチッ。弾ける薪を眺め、魚の焼ける特有の香ばしさに食欲を掻き立てる。


 ――――と。
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