375 / 403
第7章 獄窟
第10話 紹介
しおりを挟む
ギルドを後にした俺は早速エステラとクラーラを拠点へと案内する。手続きも済んで、文字通り我が家になっているはずだ。
「――もしかすると友人がいるかもしれないから、居たら紹介するよ」
「――ん」
「ノアさんは家を貸し出しているのですか?」
「そうじゃないんだけど。訳ありでね。協力関係というか……」
そうこうする内に家に着いた。中へ二人を招き入れて、靴を脱ぐように説明する。
予想通り、リビングには寛ぐサイネさんと神武さんが居た。
「あっ! ノア。お帰り随分かかったね」
「お帰りなさいませ。ノアさん」
「えぇ。戻りました。家の使い心地はどうですか?」
「いつも通り最高よ。神武とゲームも楽しんでいるわ」
「あっ! 私の仲間を紹介します。エステラとクラーラです」
俺は連れの二人を紹介した。
「……女の子」
エステラが言い淀む。彼女は結構、人見知り気味だったしね。初対面だと言葉に詰まりがちだ。
「クラーラです。初めまして宜しくお願いします」
クラーラが元気に挨拶をした。
「――エステラ。……」
「あたしはサイネ。彼は神武よ。宜しくね。――家主も戻ったし、今日はお暇するわ」
「あっ! ちょっと待って下さい。――例の物が完成したので、最終調整をさせて下さい」
今回の旅に出る前から設計していた魔道具を取り出す。彼女達の特徴的な黒髪と整った顔立ちは否応なく目立ってしまう。もちろん。その独特な格好もだが。
漆黒のシックなドレスと片や紫の袴だからね。でも、まぁ。衣装は神武さんが変更できるそうだ。
二人に揃いの指輪を渡す。
「――左手の薬指に嵌めてみて下さい」
俺からのちょっとしたお呪いも込めた悪戯だ。言われた通り二人は指に嵌めた。
「これは『変装くん』という魔道具です。指輪に魔力を通して下さい」
サイネさんが魔力を通すと漆黒の髪が良くある青黒の髪色に変化し、深緋の瞳がグレーへと変ずる。そして顔は凡庸に映り意識に残らなくなった。
神武さんも同じ髪と瞳へと色を変えた。
サイネさんは、彼を案内することを望んだ。その彼女への拠点を旅立つ前のプレゼントだ。
「――もしかすると友人がいるかもしれないから、居たら紹介するよ」
「――ん」
「ノアさんは家を貸し出しているのですか?」
「そうじゃないんだけど。訳ありでね。協力関係というか……」
そうこうする内に家に着いた。中へ二人を招き入れて、靴を脱ぐように説明する。
予想通り、リビングには寛ぐサイネさんと神武さんが居た。
「あっ! ノア。お帰り随分かかったね」
「お帰りなさいませ。ノアさん」
「えぇ。戻りました。家の使い心地はどうですか?」
「いつも通り最高よ。神武とゲームも楽しんでいるわ」
「あっ! 私の仲間を紹介します。エステラとクラーラです」
俺は連れの二人を紹介した。
「……女の子」
エステラが言い淀む。彼女は結構、人見知り気味だったしね。初対面だと言葉に詰まりがちだ。
「クラーラです。初めまして宜しくお願いします」
クラーラが元気に挨拶をした。
「――エステラ。……」
「あたしはサイネ。彼は神武よ。宜しくね。――家主も戻ったし、今日はお暇するわ」
「あっ! ちょっと待って下さい。――例の物が完成したので、最終調整をさせて下さい」
今回の旅に出る前から設計していた魔道具を取り出す。彼女達の特徴的な黒髪と整った顔立ちは否応なく目立ってしまう。もちろん。その独特な格好もだが。
漆黒のシックなドレスと片や紫の袴だからね。でも、まぁ。衣装は神武さんが変更できるそうだ。
二人に揃いの指輪を渡す。
「――左手の薬指に嵌めてみて下さい」
俺からのちょっとしたお呪いも込めた悪戯だ。言われた通り二人は指に嵌めた。
「これは『変装くん』という魔道具です。指輪に魔力を通して下さい」
サイネさんが魔力を通すと漆黒の髪が良くある青黒の髪色に変化し、深緋の瞳がグレーへと変ずる。そして顔は凡庸に映り意識に残らなくなった。
神武さんも同じ髪と瞳へと色を変えた。
サイネさんは、彼を案内することを望んだ。その彼女への拠点を旅立つ前のプレゼントだ。
0
お気に入りに追加
1,583
あなたにおすすめの小説
オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)
こばやん2号
ファンタジー
どこにでもいそうなごくごく平凡な男「小橋 大和(こばし やまと)」が
唯一の趣味と言っていいバーチャルオンラインゲームをプレイしている最中に
突然別の世界に飛ばされてしまう
いきなりのことに戸惑う男だったが
異世界転生ものの小説やマンガ・アニメの知識と
やりこんできたRPGゲームの経験を活かし
その世界で奮闘する大和と
その世界で出会った仲間たちとともに
冒険をしていくうちに
気付けば【勇者】として崇められ
魔王討伐に向かわなければならない始末
そんな大和の活躍を描いた
ちょっぴり楽しくちょっぴりエッチでちょっぴり愉快な
異世界冒険活劇である
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
辺境伯令嬢に転生しました。
織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。
アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。
書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。
チートがん積みで転生したけど、英雄とか興味ないので異世界をゆるっと旅行して楽しみます!~ところで《放浪の勇者》って誰のことですか?~
メルメア
ファンタジー
チートがん積みで異世界に転生した元社畜のクロは、冒険者協会で働くエリスと出会う。
元の世界では叶えられなかった世界を旅してまわるという夢をエリスに語ったクロは、ちょうど各地の冒険者協会を視察しに行こうとしていたエリスの旅に用心棒として同行することに。
いろいろな観光名所を楽しんだり、その土地のグルメを楽しんだり、正体を隠して各地の問題をチート活かし解決したり……。
遊び半分、仕事半分の旅を楽しみながら、2人の関係もどんどん深まっていく。
そしていつしか、ピンチの時に現れるチート級に強い《放浪の勇者》がいるなんて噂が出始めて……?
でも英雄とか興味ないです。有名になっちゃったら、落ち着いて旅ができないから。
そんなマインドでクロは、エリスと一緒に異世界をゆるっと旅してまわるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる