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第7章  獄窟

第1話  秘儀

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 ――――王都

 ルルの執務室へ挨拶に来たイーディセルへ彼女は平坦な眼を向ける。それに気付かずに彼には珍しいテンションで自慢げに話をしだした。

「素晴らしい場所だったぞ。世界樹の祠と同じ静謐で濃密な空間じゃった。まさに聖地。精霊も喜び舞い踊っておった」

 そう言って撮ってきた写真を見せる。呆れを多分に含んだ口調でルルが返す。

「――早い戻りだったな。数日は留まるかと思っていたぞ」

「そうしたいのは山々だが、聖地の申請を急がんとな。それであの場所へ訪れる者も増やせる。仲間からもせっつかれておってな」

「御使いのしるべ? だったか。ノア君はノア君だ。それ以上でも敬い奉る者でもないぞ」

「然り。御使い以上でも以下でもない」

「――長老席のお前が軽々に動くと影響が大きい。自重を頼むぞ。その権利で秘儀をねじ込むとは……」

「その甲斐あってあの森のゴブリンとは繋がりが出来た。ノアさんの望む結果だ。里から物資を投入できるようになる。最良の方法じゃよ」

 イーディセルが決めたことはルルでも止められない。あるいは祖父ならとも思うが、その祖父も『御使いのしるべ』の会員だという。

 騒ぎ立てると隠れてしまうと言っていたのは誰かと問いたいルルであった。


§


 王都を出て街道を避けるように三人は進む。

 フードを目深に被るのは、パオラとウェン。そして――ベリリだ。

「リンカーべリリ師。お手間を取らせて申し訳ありません。わざわざお付き合い頂き」

 パオラが申し訳なさそうにそう言う。

「――問題ない」

 言葉少ないベリリだが、不機嫌というわけではなく。いつもこの調子だ。

「パオラ。気にするな。こちら側で決めたことだわ。それだけ、貴女の功績を認めているということなの」

 ウェンが朗らかにそう伝える。

「はい。ありがとうございます。――それで何処へ向かっているのでしょうか?」

「フフフ。王家は知っている秘密があるのよ。貴方が王族で助かったわ。ノアにも話していないの」

 尤も知っいてもエルフしか使えないけどとウェンは呟くように声を潜めた。

(――多分? ノアだとそう付け加えないといけないけどね)

 案外、使えてしまうかもしれない。ウェンは内心を思いクスリと笑う。

 森に到着した三人は人気ひとけがないのを確認して、視線を合わせた。

「――ベリリ。大丈夫よね」

「――ああ。大丈夫だ」

 ウェンが手をかざし、広やかな声で祝詞のりとつむぐ。


 ――と。


 前方の樹が陽炎の如く揺らめき広がる。そして二本の幹に光の文様もんようが浮かび上がった。

「エルフの秘儀――世界樹のゲートよ」
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