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第6章  罪咎

第79話  飛鳥

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 ――ゴブリンの集落

 俺は一ヶ月の交流をしたホブゴブリンの村長と最後の打ち合わせをしていた。送別のえんに振舞う料理はエステラとクラーラに任せて、シルビニオンを隣に確認をする。

「以前にも提案しましたが、王国はゴブリンやホブゴブリンと友好協調方針です。今後人間と交流を取るつもりはありませんか?」

 村長は渋い表情で決まった答えを口にする。

「すまんがその話は受け入れられない。もちろん。お前達のように心を隣に置ける人間もいるだろう。だが、全ての人間を信用は出来ない。話のあったエルフの里のように庇護を受ける存在がここにはいない。我らの重ねた歴史は、それを簡単に受け入れる程浅くないのだ」

 まぁ。そうだよね。そうなると思っていた。

「私やシルビニオンとの取引は許可頂けますか?」

「友の子とお前とは友誼を交えた。恩には恩を。信には信を。いつでもここに来てくれ」

 俺は緩く微笑んで頷く。そして、感謝を伝えた。

「ありがとうございます。明日には出発しますので今日がお別れの挨拶となります」

 ちょうどゴブリンから歓声が上がる。子供達が嬉しそうに腰を振っている。感情が高まると振るのが可愛らしい。

「――ノア。仕上がったよ」

 クラーラが作った蜂蜜飴をゴブリンの口に放り込んでいた。口を開けて並んだ様子は親を待つ雛のようだ。

「「「「「あまぁ~!」」」」

 そう叫んで腰を振る。びゅんびゅん。腰が外れる程の勢いで振っている。

 今日エステラに頼んだ料理は、ここで手に入る最善。シュラスコとヴルスト。――まぁ。ウィンナーだ。――森の山菜や木の実を片っ端から試してレシピ化したものだ。

 その作り方から全てゴブリンに伝えている。唯一森で手に入らない塩は、巨大な岩塩を俺が保有していたから提供した。

 レシピ化した肉の原料は猪。鹿。熊と多岐に渡る。今回は猪だね。

 村長の音頭が通ると皆で一斉に食べ始める。別れの宴は和やかに進んだ。





 ――翌日

 シェリルさんとの約束の通り一ヶ月で片を付けた。俺の本気にみんな驚いていたっけ。シェリルさんにシルビニオン少年、立ち上げた王民事業体のスタッフ数人が見送りに来ていた。

「皆さん。忙しい中足を運んでくれてありがとうございます。またお逢いできる日を楽しみにしています」

「――ん。またね」

 いつも変わらないエステラの声だ。

「皆さん。さようなら。また逢えるといいですね!」

 クラーラは今日も明るく元気に手を振っている。
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