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第6章  罪咎

第60話  対面

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 まず、俺がやるべきことは、シルビニオン少年を送り届け、命の謝罪を済ませること。

 それと今回の犠牲者。避難中のゴブリン達にはジョシュアさんから受け継いだ恩返しをしたい。無理の無い範囲で可能な限りの支援だ。

「ホブゴブリンさん。私達が村に入ってもいいですか? 皆さんも混乱して疲れたでしょうし食事の提供を希望したいのですが?」

「いや。それには及ばんが――」

「ジョシュアさんから命の恩を返して欲しいと頼まれています。私はそれを引き継ぎ伝える者です」

「――命の恩? 人間がいつも言っていたアレか?」

「えぇ。そうです。私もジョシュアさんに命を助けられた一人です。その恩を返す機会を下さい」

「――困っている隣人を助けよ。我らにはそう伝えられる言葉がある。お前がそこまで言うのなら受け入れよう」

「ありがとうございます」

「――ノア。炊き出し? だったら、あたしが手伝う」

 エステラの神聖語は片言の筈だが、タラリアが補助しているのだろう。

「ありがとう。頼めるか? 俺は少年を送り届けてくる。なるだけ早く戻るつもりだが遅れたら任せてもいいかい?」

「――ん!」

 エステラはゴブリンが戻るまで村の外で待機。俺は拝像を借りて、シルビニオンを伴って街へ向かった。





 少年の歩みに合わせて街へと戻る。シルビニオンの家は平均的な大きさだった。

「――ここが家です」

 そう言う少年の顔色は暗い。当然だ。ドアを開けて中に入っていく。

「ただいま戻りました。母様」

 元気なく少年が帰宅を告げる。続いて俺も挨拶を述べる。

「ご無沙汰しております。以前死の草原で助けて頂いた者です。お邪魔させていただいても良いでしょうか? 」

「はい。お構いもで出来ませんがどうぞ」

 涼やかな記憶と変わらない声だ。母の顔を見た少年は縋り付き泣き出して言葉にならない。

「失礼します。ノア・メートランドと申します。恐縮ですが、お伝えしなければならない事があります。驚かれ、受け入れざると思いますが……」

 息子の尋常ならざる様子。シェリルさんは達観の表情でこう言った。

「――ジョシュアの事ですね。その最期はどうでしたか?」

 俺は息を飲む。

「――立派でした。……俺が殺しました。恩を仇で返しました。シェリルさん。俺を恨んで下さい。憎んで下さい。貴女には私を殺す権利があります」

 少年が泣きながらイヤイヤをする。違うと。そうではないと。だが、それが事実だ。
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