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第6章 罪咎
第36話 逼近
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長は冒頭からの二人の戦闘を呆然と見つめる。
ノアが放ったクラスター爆弾の一撃は地形が変るほどの威力だ。その遠慮呵責の一切ない攻撃を受けてもジョシュアはものともしない。
続く乱れ打ち。以前のノアが言った。勝つために手段を選ばないを地で行く行動だ。
長にはあの攻撃力もそれを受けきる力も無い。
始めに言われた『手札が切れない。助けると思って行ってくれ』の言葉を本当の意味で理解した。
足手まといにならないように、自身では対処出来ない闘いの場から避難する。
長は暫くの間駆け足で急ぎ集団に追いつくと殿を受け持った。
――すると。
小さな人影が前方から現れて話かけて来た。
「村長さん。村の皆さんとどうしたのですか?」
その影はシルビニオン。ジョシュアの息子だ。
「お前こそどうした? 今の森は危険だぞ」
長は叱責するように声をかける。
「父を探しています。何か良くない予感がして……。それに声が聞こえたのです。何かの」
「……人間の住処へ戻れ。それが今は一番の方法だ」
聡いシルビニオンは長の雰囲気に不穏を察する。
「――父を見ませんでしたか?」
毅然とした意志でもう一度聞き返した。
「……」
長は言葉に詰まる。
――と。間も悪く。巨大な猪豚が数頭ゴブリンの集団を側面から襲った。興奮して頭を左右に振り鋭い牙で突っ込んでくる。
日々研鑽するゴブリン達は闘鬼拳の動きで素早くそれを躱したが、その場は一時騒然となった。
長は叫ぶ。
「――辺りの警戒を怠るな。落ち着いて進め!」
集団が落ち着きを取り戻したとき、その場からシルビニオンの姿は消えていた。
ж
エステラは腰に装備した三角の四翼で大空を駆る。その装備の名はタラリア。
高速思考と戦闘補助。そして、飛行機能を備えたエルフの神器のダウングレート品だ。
彼女が目指す場所は聖獣の森。
王都を旅立ち二年。やっと隣に立ちたいと望んだ人物とその物理的な距離が近づいている。
彼女はそれを知らず、だが、ギルド長からの願いと逢える可能性を求めてここまでやって来た。
ノアが放ったクラスター爆弾の一撃は地形が変るほどの威力だ。その遠慮呵責の一切ない攻撃を受けてもジョシュアはものともしない。
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長にはあの攻撃力もそれを受けきる力も無い。
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足手まといにならないように、自身では対処出来ない闘いの場から避難する。
長は暫くの間駆け足で急ぎ集団に追いつくと殿を受け持った。
――すると。
小さな人影が前方から現れて話かけて来た。
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その影はシルビニオン。ジョシュアの息子だ。
「お前こそどうした? 今の森は危険だぞ」
長は叱責するように声をかける。
「父を探しています。何か良くない予感がして……。それに声が聞こえたのです。何かの」
「……人間の住処へ戻れ。それが今は一番の方法だ」
聡いシルビニオンは長の雰囲気に不穏を察する。
「――父を見ませんでしたか?」
毅然とした意志でもう一度聞き返した。
「……」
長は言葉に詰まる。
――と。間も悪く。巨大な猪豚が数頭ゴブリンの集団を側面から襲った。興奮して頭を左右に振り鋭い牙で突っ込んでくる。
日々研鑽するゴブリン達は闘鬼拳の動きで素早くそれを躱したが、その場は一時騒然となった。
長は叫ぶ。
「――辺りの警戒を怠るな。落ち着いて進め!」
集団が落ち着きを取り戻したとき、その場からシルビニオンの姿は消えていた。
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エステラは腰に装備した三角の四翼で大空を駆る。その装備の名はタラリア。
高速思考と戦闘補助。そして、飛行機能を備えたエルフの神器のダウングレート品だ。
彼女が目指す場所は聖獣の森。
王都を旅立ち二年。やっと隣に立ちたいと望んだ人物とその物理的な距離が近づいている。
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