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第5章 流来
第23話 壮送
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転移の柱が現れるのを見届けるとサイネさんはすかさずにこう言った。
「――そう。これで良いみたい。じゃあ。あたしゲームをしてくる」
その言葉にモルトが反応する。おぉ。いいんだよモルト。
――遠慮せず行ってきな。
いつも世話になりっぱなしで、こんなことでしか返せなくてすまんな。
モルトは親指を立ててにっこり微笑む。
好きでやっているから大丈夫と伝えてくれる。
ゲームでも映画でも楽しんで来いよ。
世界は楽しんだ者が勝ちだよな。
さて、俺はダンジョンへ戻りますか。
今日の分のお仕事を済ませよう。
いよいよ。敵対禁止協定の最大階層。
――八〇階層だ。
これで切り良くエルフの里へ向かえる。
◇
――――夕方
ギルドの二階の飲み屋で俺は歓待を受けている。
シュバインさんにバステンさんを始め一九人の愉快なおっさん達が面子だ。
この一九人はダンジョンで俺を襲った人達だが、今ではもう気安い連中になった。
「ノアっちが居なくなると寂しくなるな。儲けさせてもらった分、いくらでも好きな物を食べてくれ」
「――酒のめよ! サ-ケ! このテキーラってのは効くぞ?」
俺はいつもの言葉を返す。
「二〇歳までは飲まないと決めています」
今の俺は一七歳だ。
誕生日はいつか分からないが今年中に一八歳になる。
歳と名前が分かった啓示を授かったのが三月半ばで、同じ年の一二月三一日に再び啓示を受けたら一四歳になっていた。
この世界で目を覚まして、かれこれ四年半が過ぎたってことだね。
――なんだか、あっという間だったな。
ダンジョンで襲われたお詫びの宴会の後に、この一九人には資産を全額銀行に預けてもらった。
この人たちはノルトライブのトッププレイヤーだ。
つまり、かなりの資産を持っている。
そして、王民事業体の銀行の利子は5%だ。
一千万ベルを預ければ、五〇万ベル。
一億ベルを預ければ、五〇〇万ベルの利子が付く。
一年後に付いた利子をみた彼らは大騒ぎをして、冒険者に吹聴してくれた。
おかげで銀行ノルトライブ支所の運用資産は鰻登りだぜ。
何しろほとんどの冒険者が資産を預けたからね。
年嵩の人ほど引退後の心配がなくなったと感謝された。
それからは俺を見かけると声をかけて飯に誘ってくれるようになった。
「景気がいいわね。――あたしもご相伴いいかしら?」
アネリアさんが声をかけて来る。
「おぅ! ――アネリア。こっち来いよ」
シュバインさんが声に応える。
いつもの事だ。
まぁ。俺はアネリアさんには、少しの違和感があるから距離を置いているけどね。
◇
――翌日午後
今日は王民事業体の壮行会だ。
「――そう。これで良いみたい。じゃあ。あたしゲームをしてくる」
その言葉にモルトが反応する。おぉ。いいんだよモルト。
――遠慮せず行ってきな。
いつも世話になりっぱなしで、こんなことでしか返せなくてすまんな。
モルトは親指を立ててにっこり微笑む。
好きでやっているから大丈夫と伝えてくれる。
ゲームでも映画でも楽しんで来いよ。
世界は楽しんだ者が勝ちだよな。
さて、俺はダンジョンへ戻りますか。
今日の分のお仕事を済ませよう。
いよいよ。敵対禁止協定の最大階層。
――八〇階層だ。
これで切り良くエルフの里へ向かえる。
◇
――――夕方
ギルドの二階の飲み屋で俺は歓待を受けている。
シュバインさんにバステンさんを始め一九人の愉快なおっさん達が面子だ。
この一九人はダンジョンで俺を襲った人達だが、今ではもう気安い連中になった。
「ノアっちが居なくなると寂しくなるな。儲けさせてもらった分、いくらでも好きな物を食べてくれ」
「――酒のめよ! サ-ケ! このテキーラってのは効くぞ?」
俺はいつもの言葉を返す。
「二〇歳までは飲まないと決めています」
今の俺は一七歳だ。
誕生日はいつか分からないが今年中に一八歳になる。
歳と名前が分かった啓示を授かったのが三月半ばで、同じ年の一二月三一日に再び啓示を受けたら一四歳になっていた。
この世界で目を覚まして、かれこれ四年半が過ぎたってことだね。
――なんだか、あっという間だったな。
ダンジョンで襲われたお詫びの宴会の後に、この一九人には資産を全額銀行に預けてもらった。
この人たちはノルトライブのトッププレイヤーだ。
つまり、かなりの資産を持っている。
そして、王民事業体の銀行の利子は5%だ。
一千万ベルを預ければ、五〇万ベル。
一億ベルを預ければ、五〇〇万ベルの利子が付く。
一年後に付いた利子をみた彼らは大騒ぎをして、冒険者に吹聴してくれた。
おかげで銀行ノルトライブ支所の運用資産は鰻登りだぜ。
何しろほとんどの冒険者が資産を預けたからね。
年嵩の人ほど引退後の心配がなくなったと感謝された。
それからは俺を見かけると声をかけて飯に誘ってくれるようになった。
「景気がいいわね。――あたしもご相伴いいかしら?」
アネリアさんが声をかけて来る。
「おぅ! ――アネリア。こっち来いよ」
シュバインさんが声に応える。
いつもの事だ。
まぁ。俺はアネリアさんには、少しの違和感があるから距離を置いているけどね。
◇
――翌日午後
今日は王民事業体の壮行会だ。
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