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第5章 流来
第12話 絶望
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――――ダンジョン都市エイルミィ
スタンピード発生の警鐘と警笛が鳴り響く。
彼我の距離を翔破したエステラは軽い着地音を残して地に足を付けた。
そこから地上を走ってエイルミィを目指す。
「――っ! あんた今。空から落ちてこなかった?」
エステラはその言葉を無視して駆け出した。
その勢いのままエイルミィの街へ入る。
「――冒険者ギルドはどこ?」
出くわした通行人に声を掛ける。
「ん? 冒険者ギルド? 今は行っても混雑していて入れないよ。冒険者は西に集まれってさ」
「……冒険者ギルドの場所が知りたいの」
エステラは重ねて冷静に問う。
「はあ? ――向こうの大通りを右に行くとあるよ」
「ありがと」
彼女はドゥブロベルクのギルド長からエイルミィのギルド長宛の手紙を預かっている。
エステラはギルドを目指して再び駆け出す。
辿り着いたギルドの前には保護を求める一般市民と状況を確認したい冒険者でごった返していた。
「戦う意思のある方は西門前に集まって下さい! そこで状況を説明します。保護施設は準備していますので、案内があるまで噴水の前で待機して下さい」
「――スタンピードの規模は? メインのモンスターはなんだ?」
「――参加した場合の報酬はどうなっている?」
「――子供がいるのよ。押さないで。早くシェルターに入れてください」
混乱中のギルド前でエステラは声を張り上げるギルド職員へ近づき手紙を差し出す。
「――これ」
声を張り上げようと息を吸い込んだギルド職員はそれをやめて手紙に目をやる。
「――っん? ……ドゥブロベルクからの手紙……。早くても明日の到着と聞いていたが、……よっぽど急いで来てくれたのですね。ありがとうございます」
彼女は用が済んだとばかりに立ち去ろうとする。それをギルド職員が引き留めた。
「待ってください。――その手紙は直接ギルド長へ渡してください。ドゥブロベルクのギルド長。ダジル様が貴女を選んで預けた手紙です。おいっ! ――ココっ!」
男性のギルド職員は近くの若い女性に声をかける。
「――はい。何でしょう」
「この方を合同会館の作戦室へご案内してくれ。ドゥブロベルクからの使者だ」
「――! もう着いたのですか? ――何人ぐらい到着したのでしょうか?」
ココと呼ばれた女性は驚いたように尋ねてきた。
「――あたし一人」
「――当たり前だ。騎獣を乗り換えながらでないと、こんなに早くたどり着けない。ダジル様が手紙を託した方だぞ。早く案内してくれ」
慣例としてギルド長からの手紙は代表者、つまり、最高戦力に預けられる。
エステラの場合は一人なので、その限りではないのだが殊更丁重にもてなされた。
今まさにドゥブロベルクからエイルミィへ急いでいる集団も代表者に手紙が預けられている。
男性から促された女性に連れられて、エステラは合同会館の作戦室へ向かった。
§
「――ドゥシャン。だから言ったんだ。さっさと戻るぞって」
絶望の状況で男は叫ぶ。
スタンピード発生の警鐘と警笛が鳴り響く。
彼我の距離を翔破したエステラは軽い着地音を残して地に足を付けた。
そこから地上を走ってエイルミィを目指す。
「――っ! あんた今。空から落ちてこなかった?」
エステラはその言葉を無視して駆け出した。
その勢いのままエイルミィの街へ入る。
「――冒険者ギルドはどこ?」
出くわした通行人に声を掛ける。
「ん? 冒険者ギルド? 今は行っても混雑していて入れないよ。冒険者は西に集まれってさ」
「……冒険者ギルドの場所が知りたいの」
エステラは重ねて冷静に問う。
「はあ? ――向こうの大通りを右に行くとあるよ」
「ありがと」
彼女はドゥブロベルクのギルド長からエイルミィのギルド長宛の手紙を預かっている。
エステラはギルドを目指して再び駆け出す。
辿り着いたギルドの前には保護を求める一般市民と状況を確認したい冒険者でごった返していた。
「戦う意思のある方は西門前に集まって下さい! そこで状況を説明します。保護施設は準備していますので、案内があるまで噴水の前で待機して下さい」
「――スタンピードの規模は? メインのモンスターはなんだ?」
「――参加した場合の報酬はどうなっている?」
「――子供がいるのよ。押さないで。早くシェルターに入れてください」
混乱中のギルド前でエステラは声を張り上げるギルド職員へ近づき手紙を差し出す。
「――これ」
声を張り上げようと息を吸い込んだギルド職員はそれをやめて手紙に目をやる。
「――っん? ……ドゥブロベルクからの手紙……。早くても明日の到着と聞いていたが、……よっぽど急いで来てくれたのですね。ありがとうございます」
彼女は用が済んだとばかりに立ち去ろうとする。それをギルド職員が引き留めた。
「待ってください。――その手紙は直接ギルド長へ渡してください。ドゥブロベルクのギルド長。ダジル様が貴女を選んで預けた手紙です。おいっ! ――ココっ!」
男性のギルド職員は近くの若い女性に声をかける。
「――はい。何でしょう」
「この方を合同会館の作戦室へご案内してくれ。ドゥブロベルクからの使者だ」
「――! もう着いたのですか? ――何人ぐらい到着したのでしょうか?」
ココと呼ばれた女性は驚いたように尋ねてきた。
「――あたし一人」
「――当たり前だ。騎獣を乗り換えながらでないと、こんなに早くたどり着けない。ダジル様が手紙を託した方だぞ。早く案内してくれ」
慣例としてギルド長からの手紙は代表者、つまり、最高戦力に預けられる。
エステラの場合は一人なので、その限りではないのだが殊更丁重にもてなされた。
今まさにドゥブロベルクからエイルミィへ急いでいる集団も代表者に手紙が預けられている。
男性から促された女性に連れられて、エステラは合同会館の作戦室へ向かった。
§
「――ドゥシャン。だから言ったんだ。さっさと戻るぞって」
絶望の状況で男は叫ぶ。
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