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第3章 進窟
第5話 入窟
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冒険者のダンジョン入場のピークを過ぎた頃、暇になった門を警備するギルドの職員は同僚と会話をする。
「まさかこのダンジョンでE級を迎え入れる日がくるとは思わなかった。しっかりとギルド公認の刻印もあったし、あいつで間違いないんだろう。だが前回の特例はC級から始めたのだろう?」
「あぁ。ギルマスが珍しく上機嫌で『始めからから積み上げようなんて、あいつの弟子は気骨がある』って言っていたそうだ」
「絶界の弟子か――俺ら世代のヒーローじゃねぇか。全員が嘱望した才能。剣聖に手が届いた筈の男。そして、20代半ばで剣を置いた失われた大器。10年程の短い活動期間で輝くような逸話に事欠かないからな」
「あぁ。あの人の場合、息子さんの体が弱くて王都の治療技術じゃないと大人になれなかったそうだ。神様も酷な事をするもんだ。才能と家族を選ばせるなんて、だが、すっぱりと家族を選んだ男っぷりには、今となれば称賛しかないな。当時はがっかりしたが、年をとると見えるものも変わる。うちの嫁さんは今でも大ファンなんだぜ」
「絶界の弟子――新しい時代が来るんだな。活きの良い若いのが出ると嬉しくなるね。頑張ってもらいたいもんだ」
「楽しみにしながら静かに見守ろうぜ」
警備員達は昔憧れた英雄の系譜に期待を抱く。
◇
門を潜りダンジョンに入る。
んっ? この感覚は何処かで体験したような。分厚い空気の幕を通り抜ける感じだ。
何時だっけ……?
思い出せずにダンジョンの階段を下っていくと広いホールに出た。
下った距離よりこのホールの天井が高過ぎるんじゃないかな。
天井には等間隔で照明がありダンジョン内はかなり明るい。
広い円形のホールには青白く輝く鍾乳石のような小さな柱が立っており、それに触れた冒険者が消えてゆく。
その鍾乳石は壁近くに等間隔に設置されていて、総数は20ヶにも及ぶ。
あれが転移用の柱なのだろう、行ったことのある階層まで転移出来ると聞く。
冒険者の数は多いが分散しているので混雑はあまり気にならない。
まぁ。俺は初めてなので、1階に行くしかないんだが。
そこへ行く為に正面にあるトンネルを潜る。
その先は縦横10m程の通路だ。
床は固い土っぽい材質で壁と天井は赤黒い岩石を思わせる。きれいに四角く整えられた人工の通路のようだ。
ここも等間隔に照明がついていて非常に明るい。
1階は迷路型のダンジョンだ。
おっとと! 装備! 装備!
体はガンソさん特製の皮の鎧を装備している。
あとは楯を左に持ち、右に槍を携える。
最終的に採用した槍は鳶口が4つ付いた槍だ。
1ヶ所だと手首を返したり面倒だから、上下左右どこでも引っ掛けられるようにした。
5階までに出現するモンスターは、4種類と書いてあった。
大型の鳥ブルーカ。羽を飛ばしての遠距離攻撃とカギ爪と嘴で攻撃してくる。
細長い人面が体がわりのでかい4枚羽の蝶チョンチョニー。尻尾も生えている。
鱗粉の毒をまき散らし、尻尾の先から毒針を撃って来る。
カマキリとコウモリが合体したようなモンスターのエンプーサ。
鎌から風刃をはなち、擬態能力が高く背後からの奇襲に注意する必要がある。
5階層から出現するのは毛の無い狼型のモルモーだ。
武力特化って感じの速さと力押しのモンスターらしい。
それにしても、空飛ぶ奴が多いな。弓の方がいいか?
だが、初めてで状況が分からないので楯は持っていたい。
とりあえず様子見でこのまま行くか。
おっ? 早速お出ましだ。探知魔法の範囲に動きがあった。
天井付近を滑るように飛んでくる、大型の鳥ブルーカだ。
青黒い体で目だけは赤い。全長1.5m程で羽を広げると4mくらいかな。
俺の前方で滑空旋回すると羽を飛ばして攻撃して来た。
俺は体をずらし楯で防ぐ、カカカンと羽が楯を鳴らす。
こちらの攻撃が届かないとみるや、背後を取るように旋回して羽を飛ばしてくる。
カギ爪で襲ってくれれば槍で突けるんだが、頭はそれなりにあるらしい。
俺は鳶口付きの槍をしまい、普通の槍を取り出す。それを逆手に持つと槍投げのようにブルーカに投げつけた。
過たずブルーカの体に槍が突き刺さり、爆散するように黒い煙が広がり一瞬で霧散する。
初めからそこに何もなかったかのようだ。モンスターが瞬く間に消えてしまう。
そして光の粒子と共に地面に鶏よりちょっと大きめの丸鳥1羽がドロップした。
――あの怪鳥からの肉って微妙な気分になるな。。。
見た目はうまそうだが、郷に入りてはと思うことにしよう。
葉っぱみたいなので包まれていて地面に直接触れないようになっている。
……配慮に溢れていて、なんかおもてなし感があるダンジョンだな。
通路は明るいし、転移の柱も沢山用意されているし『いらっしゃいませ~』って言われてる気がする。
一緒にダンジョンに入ったモルトは好き勝手に辺りを遊び回っている。
モルトに俺は触れるが、壁すらすり抜ける物理無効だから問題ないよな。モンスターにも見えてないみたいだしさ。
さて、俺の得物だが投げナイフにしよう。
俺はアイテムボックスから投げナイフの刺さったベルトを出して腰にまく。
5階までは空飛ぶモンスターしか出てこないみたいだしね。
一通りのモンスターと当たったら最短距離で2階を目指すか。
「まさかこのダンジョンでE級を迎え入れる日がくるとは思わなかった。しっかりとギルド公認の刻印もあったし、あいつで間違いないんだろう。だが前回の特例はC級から始めたのだろう?」
「あぁ。ギルマスが珍しく上機嫌で『始めからから積み上げようなんて、あいつの弟子は気骨がある』って言っていたそうだ」
「絶界の弟子か――俺ら世代のヒーローじゃねぇか。全員が嘱望した才能。剣聖に手が届いた筈の男。そして、20代半ばで剣を置いた失われた大器。10年程の短い活動期間で輝くような逸話に事欠かないからな」
「あぁ。あの人の場合、息子さんの体が弱くて王都の治療技術じゃないと大人になれなかったそうだ。神様も酷な事をするもんだ。才能と家族を選ばせるなんて、だが、すっぱりと家族を選んだ男っぷりには、今となれば称賛しかないな。当時はがっかりしたが、年をとると見えるものも変わる。うちの嫁さんは今でも大ファンなんだぜ」
「絶界の弟子――新しい時代が来るんだな。活きの良い若いのが出ると嬉しくなるね。頑張ってもらいたいもんだ」
「楽しみにしながら静かに見守ろうぜ」
警備員達は昔憧れた英雄の系譜に期待を抱く。
◇
門を潜りダンジョンに入る。
んっ? この感覚は何処かで体験したような。分厚い空気の幕を通り抜ける感じだ。
何時だっけ……?
思い出せずにダンジョンの階段を下っていくと広いホールに出た。
下った距離よりこのホールの天井が高過ぎるんじゃないかな。
天井には等間隔で照明がありダンジョン内はかなり明るい。
広い円形のホールには青白く輝く鍾乳石のような小さな柱が立っており、それに触れた冒険者が消えてゆく。
その鍾乳石は壁近くに等間隔に設置されていて、総数は20ヶにも及ぶ。
あれが転移用の柱なのだろう、行ったことのある階層まで転移出来ると聞く。
冒険者の数は多いが分散しているので混雑はあまり気にならない。
まぁ。俺は初めてなので、1階に行くしかないんだが。
そこへ行く為に正面にあるトンネルを潜る。
その先は縦横10m程の通路だ。
床は固い土っぽい材質で壁と天井は赤黒い岩石を思わせる。きれいに四角く整えられた人工の通路のようだ。
ここも等間隔に照明がついていて非常に明るい。
1階は迷路型のダンジョンだ。
おっとと! 装備! 装備!
体はガンソさん特製の皮の鎧を装備している。
あとは楯を左に持ち、右に槍を携える。
最終的に採用した槍は鳶口が4つ付いた槍だ。
1ヶ所だと手首を返したり面倒だから、上下左右どこでも引っ掛けられるようにした。
5階までに出現するモンスターは、4種類と書いてあった。
大型の鳥ブルーカ。羽を飛ばしての遠距離攻撃とカギ爪と嘴で攻撃してくる。
細長い人面が体がわりのでかい4枚羽の蝶チョンチョニー。尻尾も生えている。
鱗粉の毒をまき散らし、尻尾の先から毒針を撃って来る。
カマキリとコウモリが合体したようなモンスターのエンプーサ。
鎌から風刃をはなち、擬態能力が高く背後からの奇襲に注意する必要がある。
5階層から出現するのは毛の無い狼型のモルモーだ。
武力特化って感じの速さと力押しのモンスターらしい。
それにしても、空飛ぶ奴が多いな。弓の方がいいか?
だが、初めてで状況が分からないので楯は持っていたい。
とりあえず様子見でこのまま行くか。
おっ? 早速お出ましだ。探知魔法の範囲に動きがあった。
天井付近を滑るように飛んでくる、大型の鳥ブルーカだ。
青黒い体で目だけは赤い。全長1.5m程で羽を広げると4mくらいかな。
俺の前方で滑空旋回すると羽を飛ばして攻撃して来た。
俺は体をずらし楯で防ぐ、カカカンと羽が楯を鳴らす。
こちらの攻撃が届かないとみるや、背後を取るように旋回して羽を飛ばしてくる。
カギ爪で襲ってくれれば槍で突けるんだが、頭はそれなりにあるらしい。
俺は鳶口付きの槍をしまい、普通の槍を取り出す。それを逆手に持つと槍投げのようにブルーカに投げつけた。
過たずブルーカの体に槍が突き刺さり、爆散するように黒い煙が広がり一瞬で霧散する。
初めからそこに何もなかったかのようだ。モンスターが瞬く間に消えてしまう。
そして光の粒子と共に地面に鶏よりちょっと大きめの丸鳥1羽がドロップした。
――あの怪鳥からの肉って微妙な気分になるな。。。
見た目はうまそうだが、郷に入りてはと思うことにしよう。
葉っぱみたいなので包まれていて地面に直接触れないようになっている。
……配慮に溢れていて、なんかおもてなし感があるダンジョンだな。
通路は明るいし、転移の柱も沢山用意されているし『いらっしゃいませ~』って言われてる気がする。
一緒にダンジョンに入ったモルトは好き勝手に辺りを遊び回っている。
モルトに俺は触れるが、壁すらすり抜ける物理無効だから問題ないよな。モンスターにも見えてないみたいだしさ。
さて、俺の得物だが投げナイフにしよう。
俺はアイテムボックスから投げナイフの刺さったベルトを出して腰にまく。
5階までは空飛ぶモンスターしか出てこないみたいだしね。
一通りのモンスターと当たったら最短距離で2階を目指すか。
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