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第3章 進窟
第4話 初日
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3つの内見で最後の物件に決めた。
ギルドからはちょっと遠いけど、閑静な場所の広さ120坪程。
木も植えられた地下付きの平屋だ。
なにより、リノベーションをし放題っていうのが気に入った。
庭に関してはモルトが隅々まで確認していて、にっこり親指を立てて許可を頂きました。今は庭の木に腰かけて、鼻歌でごきげんだ。
ツンツク達は今、街の外の森で巣立ちの訓練をしている。ピッピはタイマンの練習だね。
1対1と1対多数での高速戦闘が風颶鳥の雄鳥には必要な技能らしい。漢で魅せないとモテないようだ。頑張れよ! ピッピ。
チッチはオナイギに竜巻魔法の特訓を受けている。
もう1ヶ月もしないうちに2羽とお別れかと思うと寂しさと共に満足感にも似た喜びを感じる。
俺の子ではないし、巣立ちを見守る親鳥の心境とまでは言わないが、ちょこっと欠片ぐらいは胸に去来するものがある。
この頃、精霊のチャムとカロはあんまり姿を見せない。この間の件でちょっと力を使わせすぎたかなと心配している。
スタンピード対策はともかく、人間同士の争いにこいつらを利用するつもりはない。
あの魔物達は生物ではない何かだ。だから殲滅を手伝ってもらった。
俺の代わりにツンツクが人を殺すなんてぞっとしないし、チャムもカロも同じだ。
彼らは武器でも兵器でもなく仲間だからね。
自然界は生きるために狩ることと、身を守る為に戦うことはあっても、同族同士としか争わないと相場が決まっている。
その戦いの結果死ぬ事になっても。
キリンなんて長い首をビックリする程ぶつけ合って頸椎損傷で死んだりするんだぜ。
まぁ、大体戦って死ぬのは雄だけど。――男の悲しさだね。
そう考えると人間が異常なんだよ。他種族を遊びで狩りをして楽しいと思える感覚を持っている。
もちろん俺も例外なくその中に入る。だから自制する必要があるんだ。
仲間が持つ強力な力を自制する意味も込めて、人間には人間が対処すれば良い。俺はそう線を引いた。
それを利用して強くなっても、俺の目標には届かない。
ライバルでもあり、目標でもある師匠のおっさんから1本取れるようになる!
勝率の分けが1割5分といったが、あのおっさん全然本気じゃない。
こっちは身体強化全開なのに、強化魔法も攻撃魔法も一切使わず軽くいなしてくる。悔しいが道は遠いってことだな。
ダンジョンに通ってコツコツ積み重ねて強くなろう。
「ノアさん。家が決まって何よりです。家具が揃っていませんので買いに行きましょう」
「……エレンさん。ありがとうございました。もう自分でやりますから大丈夫ですよ。家があればテントで寝ても問題ありませんし」
エレンさんのおかげて、冒険者ギルドの斡旋枠で良い物件が見つかった。
感謝しているが、あなたは仕事へ戻らなくていいの?
「いけません。少なくとも寝具はしっかり揃えて、疲れが残らないようにしなければなりません。さぁ! 行きますよ」
そういって俺の手を引いて歩き出す。
えぇっ? ――また!
◇
――――翌朝
エレンさんの言うことは正しかった。ベッドで寝たおかげで体はすっきり快調だ。
今の俺は冒険者ギルドに向かって歩いている。
前には楽しそうにスキップで先行するモルト。もう道を覚えたんだな。
ギルドに入ると受付で待っているエレンさん。
他のカウンターには人が並んでいるけれど、エレンさんの前は空いている。
今日も他の冒険者から注目を浴びてる気がする。なんなんだろう? 1人ガンつけてる人もいるな。知らない人だけど。
「ノアさん。おはようございます。お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「おはようございます。エレンさん。昨日は色々とお付き合いしてもらいありがとうございます。おかげさまで良い朝を迎えられました」
「それは何よりです。ノアさんの役に立てたのなら私も嬉しいです。ノアさん。冒険者カードを渡してもらえますか?」
俺は昨日作ったばかりのカードを差し出す。
そこには、自分の名前と登録したギルド名とランクが刻印されている。
エレンさんは俺のカードを受け取ると、このギルドの紋章を打ち込んで返してくれた。
「お待たせしました。こちらのカードをお持ちください」
俺は冒険者カードを受け取りアイテムボックスにしまう。
「ノアさん。本日はダンジョンに入る予定でしょうか?」
「はい。そのつもりです。といっても初めてなので様子見ですが」
「それではクエストは受理せずに手に入ったドロップアイテムで処理できるクエストがあれば適宜対応しましょう。それで、こちらが、5階までの地図と出現するモンスターの要覧です。お持ちください」
「ありがとうございます。何処かで調べようと思っていたので助かります」
エレンさんに別れの挨拶をして、ダンジョンに向かう。
前の都市デュセルドルフ(仮)はダンジョンが結構離れていたが、ここは激近だ。
このダンジョンは今まで一度もスタンピードを起こしたことがないそうだ。
今渡してもらった要覧に書いてあったが、なんでもダンジョンの近くの野営地から発展した都市なんだってさ。
5階までに出てくるモンスターは4種類だそうだ。
ダンジョンの入り口には頑丈な両開きの扉が付いていて、ギルドの警備が2名おり冒険者カードを確認している。
俺が冒険者カードを提示するとギョっとしたように凝視して、俺の顔をまじまじと見た。
「あんたが? あの? ……」
俺はきょとん。警備員さんどうかしたのかな?
暫しの沈黙がありダンジョンへの入口許可が出た。
さてダンジョンはどんな処かな。千差万別で色んな特徴があるみたいだしね。
気を引き締めていきますか!
ギルドからはちょっと遠いけど、閑静な場所の広さ120坪程。
木も植えられた地下付きの平屋だ。
なにより、リノベーションをし放題っていうのが気に入った。
庭に関してはモルトが隅々まで確認していて、にっこり親指を立てて許可を頂きました。今は庭の木に腰かけて、鼻歌でごきげんだ。
ツンツク達は今、街の外の森で巣立ちの訓練をしている。ピッピはタイマンの練習だね。
1対1と1対多数での高速戦闘が風颶鳥の雄鳥には必要な技能らしい。漢で魅せないとモテないようだ。頑張れよ! ピッピ。
チッチはオナイギに竜巻魔法の特訓を受けている。
もう1ヶ月もしないうちに2羽とお別れかと思うと寂しさと共に満足感にも似た喜びを感じる。
俺の子ではないし、巣立ちを見守る親鳥の心境とまでは言わないが、ちょこっと欠片ぐらいは胸に去来するものがある。
この頃、精霊のチャムとカロはあんまり姿を見せない。この間の件でちょっと力を使わせすぎたかなと心配している。
スタンピード対策はともかく、人間同士の争いにこいつらを利用するつもりはない。
あの魔物達は生物ではない何かだ。だから殲滅を手伝ってもらった。
俺の代わりにツンツクが人を殺すなんてぞっとしないし、チャムもカロも同じだ。
彼らは武器でも兵器でもなく仲間だからね。
自然界は生きるために狩ることと、身を守る為に戦うことはあっても、同族同士としか争わないと相場が決まっている。
その戦いの結果死ぬ事になっても。
キリンなんて長い首をビックリする程ぶつけ合って頸椎損傷で死んだりするんだぜ。
まぁ、大体戦って死ぬのは雄だけど。――男の悲しさだね。
そう考えると人間が異常なんだよ。他種族を遊びで狩りをして楽しいと思える感覚を持っている。
もちろん俺も例外なくその中に入る。だから自制する必要があるんだ。
仲間が持つ強力な力を自制する意味も込めて、人間には人間が対処すれば良い。俺はそう線を引いた。
それを利用して強くなっても、俺の目標には届かない。
ライバルでもあり、目標でもある師匠のおっさんから1本取れるようになる!
勝率の分けが1割5分といったが、あのおっさん全然本気じゃない。
こっちは身体強化全開なのに、強化魔法も攻撃魔法も一切使わず軽くいなしてくる。悔しいが道は遠いってことだな。
ダンジョンに通ってコツコツ積み重ねて強くなろう。
「ノアさん。家が決まって何よりです。家具が揃っていませんので買いに行きましょう」
「……エレンさん。ありがとうございました。もう自分でやりますから大丈夫ですよ。家があればテントで寝ても問題ありませんし」
エレンさんのおかげて、冒険者ギルドの斡旋枠で良い物件が見つかった。
感謝しているが、あなたは仕事へ戻らなくていいの?
「いけません。少なくとも寝具はしっかり揃えて、疲れが残らないようにしなければなりません。さぁ! 行きますよ」
そういって俺の手を引いて歩き出す。
えぇっ? ――また!
◇
――――翌朝
エレンさんの言うことは正しかった。ベッドで寝たおかげで体はすっきり快調だ。
今の俺は冒険者ギルドに向かって歩いている。
前には楽しそうにスキップで先行するモルト。もう道を覚えたんだな。
ギルドに入ると受付で待っているエレンさん。
他のカウンターには人が並んでいるけれど、エレンさんの前は空いている。
今日も他の冒険者から注目を浴びてる気がする。なんなんだろう? 1人ガンつけてる人もいるな。知らない人だけど。
「ノアさん。おはようございます。お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「おはようございます。エレンさん。昨日は色々とお付き合いしてもらいありがとうございます。おかげさまで良い朝を迎えられました」
「それは何よりです。ノアさんの役に立てたのなら私も嬉しいです。ノアさん。冒険者カードを渡してもらえますか?」
俺は昨日作ったばかりのカードを差し出す。
そこには、自分の名前と登録したギルド名とランクが刻印されている。
エレンさんは俺のカードを受け取ると、このギルドの紋章を打ち込んで返してくれた。
「お待たせしました。こちらのカードをお持ちください」
俺は冒険者カードを受け取りアイテムボックスにしまう。
「ノアさん。本日はダンジョンに入る予定でしょうか?」
「はい。そのつもりです。といっても初めてなので様子見ですが」
「それではクエストは受理せずに手に入ったドロップアイテムで処理できるクエストがあれば適宜対応しましょう。それで、こちらが、5階までの地図と出現するモンスターの要覧です。お持ちください」
「ありがとうございます。何処かで調べようと思っていたので助かります」
エレンさんに別れの挨拶をして、ダンジョンに向かう。
前の都市デュセルドルフ(仮)はダンジョンが結構離れていたが、ここは激近だ。
このダンジョンは今まで一度もスタンピードを起こしたことがないそうだ。
今渡してもらった要覧に書いてあったが、なんでもダンジョンの近くの野営地から発展した都市なんだってさ。
5階までに出てくるモンスターは4種類だそうだ。
ダンジョンの入り口には頑丈な両開きの扉が付いていて、ギルドの警備が2名おり冒険者カードを確認している。
俺が冒険者カードを提示するとギョっとしたように凝視して、俺の顔をまじまじと見た。
「あんたが? あの? ……」
俺はきょとん。警備員さんどうかしたのかな?
暫しの沈黙がありダンジョンへの入口許可が出た。
さてダンジョンはどんな処かな。千差万別で色んな特徴があるみたいだしね。
気を引き締めていきますか!
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